おやぢの部屋2
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MOZART/Così fan tutte Messe
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Siri Thornhill(Sop), Ursula Eittinger(MS)
Hubert Nettinger(Ten), Stefan Geyer(Bas)
Franz Raml/
German Mozaart Orchestra
OEHMS/OC 916



これは、指揮者も、オーケストラも、そして演奏されている「『コシ・ファン・トゥッテ・ミサ』」という曲の名前も、全く聞いたことはないという珍しいアルバムです。それもそのはず、録音されたのは2006年なのですが、このオーケストラはその年にこのラムルという韓国の和え物(それは「ナムル」)のような名前の指揮者によって設立されたものなのです。彼自身も、それまではもっぱらオルガンやチェンバロの演奏家として活躍していたそうですし。そしてその曲というのも、モーツァルトが作ったものではなく、彼のオペラ「コシ・ファン・トゥッテ」の中で歌われるアリアやデュエットなどに、彼と同じ時代の作曲家(名前は分かっていません)がミサの典礼文を乗せてミサ曲にでっち上げたというものなのです。曲自体は、ケッヘルの目録に「追加Anhang」として記載されていますからマニアであれば知っているのでしょうが、それが実際の音になるなどというのは、極めて希なことには違いありません。
そのミサ曲の前に、K408K6では383F)の行進曲が演奏されています。どうやらこの録音は、その年に行われた彼らの旗揚げツアーのライブ録音のようで、会場のノイズが盛大に聞こえてきます。ですから、録音の状態もあまり良いものではなかったようで、変に低音が強調されたり余計な残響で音の明晰さが失われているものです。そんなコンディションで聴いたせいなのでしょうか、このオリジナル楽器によるオーケストラからは、いかにも洗練されていない、投げやりな音楽しか聞こえては来ませんでした。特にコントラバス奏者の全くあたりの空気が読めていない無神経な演奏は、ひときわ目立つものです。
そして、お目当てのミサ曲となります。ここには合唱は入ってはおらず、4人の独唱者が入れ替わり立ち替わりソロやアンサンブルで参加するという形を取っています。確かに、これはあの愛らしいオペラからのナンバーが素材として使われているものでした。そして、そこはこの曲を作った(あるいはでっち上げた)作曲家の裁量ということになるのでしょうが、元の形をそのまま使っているものもあれば、例えば「Gloria」や「Credo」のように、まさにメドレーのようにあちこちからのパーツをつぎはぎして出来上がっているものもあるというものです。もちろん、こういう「パロディ」は昔からいろいろ行われてきており、バッハなどでも世俗曲をそのまま宗教曲に使い回すということは頻繁にやっていたわけですから、それなりに興味をひかれる部分はあります。しかし、なんといってもこれだけ見慣れたオペラであれば、それぞれのナンバーの情景は頭に焼き付いてしまっています。ありがたいお祈りの言葉の間に、ターバンを巻いて異国の人に変装した兵士が、うぶな姉妹を口説くという情景がつい浮かんでしまうというのは、ちょっと困ったことです。
もっと困ったことに、ここでもオーケストラの演奏はいい加減なのに加えて、ソリストたちの出来があまりにもひどいのです。ソプラノの人などは殆ど素人ではないかと思えるほどの下手さ加減、この曲の中で1曲だけ「コシ」ではなく「ティートの慈悲」からのパクリがあるのですが、そのヴィッテリアのアリアのコロラトゥーラの悲惨さといったら。
これだけではCD1枚には足らないと思ったのでしょうか、そのあとにはなんとモーツァルトの最後の交響曲「ジュピター」が全曲収録されているのです。こんなものを聴かされたのでは、いやでもこのオーケストラの基本的な技術レベルの低さと、それを全く束ねることのできない指揮者の無能さが露呈されてしまうではありませんか。なんでも、指揮者のラムルは、あのコープマンに師事していたのだとか。彼が学んだものは、師の気まぐれさだけだったのかもしれません。
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by jurassic_oyaji | 2008-02-22 20:56 | 合唱 | Comments(0)