おやぢの部屋2
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RACHMANINOFF/Piano Concerto "No.5"
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Wolfram Schmitt-Leonardy(Pf)
Theodore Kuchar/
Janácek Philharmonic Orchestra
BRILLIANT/8900



かつては他のレーベルのライセンス品などで破格の値段のボックス物などを大量投入、CD界に価格破壊の嵐を巻き起こしたこのレーベルは、もはや「超廉価盤専門」などとは言ってはいられなくなってしまいました。いつの間にか自社での制作が多くなって、なかなかユニークな企画を発表するようになり、ちょっと侮れないものに変わってしまっていたのです。それでも、全集のような形でのセットものではまだ割安感がありましたが、今回のアイテムはなんと1枚でノーマル・プライス、こうなると、もはや普通のマイナー・レーベルと何ら変わらないようになっていますね。もう一つの「廉価盤」の雄NAXOSも、ちょっと垢抜けなかったジャケットが何となくスマートになってきたと思ったら、値段も少しスマートになり、一流品の仲間入りをしていましたし。そのうちには高音質のマスタリングを行うような噂も飛び交っていますから、こちらも油断はできません。
しかし、この企画のユニークさには、価格のことを言う必要もないほどの衝撃が与えられるのではないでしょうか。なにしろ、ラフマニノフのピアノ協奏曲「第5番」の世界初録音ですからね。もちろん、彼が作ったピアノ協奏曲は「4番」までしかありません。ですから、これは新しく発見された誰も知らない楽譜を、初めて演奏したものなのでしょうか。だとしたら、かなりセンセーショナルなことですね。
あいにく、この曲はそのようなまっとうなものではありません。正式なタイトルは「交響曲第2番に基づくピアノ協奏曲」、つまり、あの激情のるつぼと化した甘美この上ない交響曲を、ピアノ協奏曲に作り替えたものだったのです。そんなアイディアを思いついたのはピーター・ヴァン・ヴィンケルという、このレーベルでもその演奏を披露しているオランダのピアニストでした。彼は、ラフマニノフの交響曲第2番を聴いていて、「なにかが足らない」と思ったのだそうです。そして、ロシア生まれのピアニスト兼作曲家、現在はベルギーで主に映画やテレビの仕事を行っているアレキサンダー・ワレンベルクという人にその「再構築」を依頼します。
ワレンベルクは、まず4楽章あった「交響曲」を、3楽章の「協奏曲」にするために、交響曲の第2楽章と第3楽章をドッキングさせて、それを第2楽章としました。最初に出てくるのは元の第3楽章アダージョの有名な甘いテーマです。それがひとしきり続いたあとに、元の第2楽章のスケルツォが登場します。そしてカデンツァを挟んで、またアダージョに戻る、という構成です。そんな風に、元の形を適宜切りつめたり、もちろんなにもなかったピアノパートを新しく作ったり(カデンツァもあります)という作業を行った結果、この「協奏曲」は元の「交響曲」の40.6%の長さになったということです。
こうして、2000年にヴァン・ヴィンケルが思いついたアイディアは、2007年に実際にスコアとして完成、その年の6月にチェコで録音されたものが、このCDということになります。
そこから聞こえてきた「協奏曲」は、確かにラフマニノフのフレーズで満ちあふれているものでした(当たり前ですが)。しかし、良く出来てはいますが、ここでヴァン・ヴィンケルとは別の意味で「なにかが足らない」と思ってしまうのはなぜでしょう。例えば、元の第3楽章でオーケストラ全体からわき出てくるはずの熱い思いが、ピアノが加わったこのバージョンからは殆ど感じ取ることができないのです。さらに、フィナーレが持っていたはずのとてつもない躍動感が、なぜかすっかり消え失せています。「足らない」と感じたのは、おそらくラフマニノフ自身が曲を作るときにその中に込めていたであろうパッションだったのではないでしょうか。このワレンベルクのアレンジ、これがコンサートで演奏されたとき、果たして割れんばかりの拍手を受けることはあるのでしょうか。
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by jurassic_oyaji | 2008-03-17 20:34 | ピアノ | Comments(1)
Commented by kawazukiyoshi at 2008-03-20 17:33
知りませんでした。
ラフマニノフの第5番。
聞いてみたい気になります。
今日もスマイル