おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Symphony No.3
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Andrew Manze/
Helsingborg Symphony Orchestra
HARMONIA MUNDI/HMU 807470(hybrid SACD)



先日BSでN響の定期演奏会の模様を放送していました。途中から見たのでその日の指揮者は分からなかったのですが、前半のプログラムがモーツァルトの「グラン・パルティータ」ということで、指揮者を立てず、団員だけのアンサンブルというのが、ちょっとオーケストラの定期としてはユニークなものに思えました。ただ、そこでは1番オーボエを、元ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者シェレンベルガーが吹いていましたので、おそらくこの演奏会のソリストとして、後半では協奏曲を演奏するのでしょう。と思っていると、休憩あけのステージは交響曲第40番、そこで、なんとさっきのシェレンベルガーが指揮者として登場したではありませんか。いつの間にか、彼は指揮者としてのキャリアもスタートさせていたのですね。お世辞にも上手な指揮ではありませんし、メヌエットではヘミオレを大きな3拍子で振るという、ちょっと素人っぽいやり方をしていましたので、オールラウンドの指揮者としてやっていけるかどうかは未知数ですが、こうしてわざわざ「外国」まで呼ばれてきたのですから、それなりのランクには入っているのでしょうね。一芸に秀でていれば「指揮者ぐらい」簡単になれてしまうものなのでしょうか。
そんな風に、ソリストとして名をなした人が指揮者に転向するというのは良くある話です。しかし、アンドルー・マンゼが「フツーの」オーケストラの指揮者になったということになると、これはただごとでは済みません。彼の場合は、「ソリスト」と、そして「オリジナル楽器」という2つの肩書きからの脱却が必要だったはずでしょうから。
彼が2006年に首席指揮者に就任したのは、スカンジナビア半島の突端、対岸にはデンマークがあるというスウェーデンの小都市ヘルシングボルイのオーケストラでした。ただ、このオーケストラはメンバーが59人しかいないといいますから、ギリギリ「室内オーケストラ」は免れている、という陣容です。トラなしではファースト・ヴァイオリンが10人という、ちょっと少なめの編成しか組むことは出来ません。この録音でも、やはりそんな編成であることが、きっちりと曲別のメンバー表が載っているので知ることが出来ます。
その弦楽器の配置が、ちょっと面白いものになっています。「オリジナル」出身のマンゼの意向なのでしょうか、ファースト・ヴァイオリンとセカンド・ヴァイオリンが両翼に来るというのは当然の措置なのですが、なぜかチェロとコントラバスという低弦が向かって右側、セカンドの後ろにいるのです。従ってヴィオラがファースト・ヴァイオリンのすぐ隣という、普通のコンサートではまずあり得ない配置なのです。
しかし、マンゼのユニークなところはそこまででした。演奏が始まってみると、それはなんの変哲もないごくフツーのものだったのです。とりあえず楽譜はクリティカル・エディションを使っているようですが(フィナーレ第5変奏のフルートの上向スケールがデタッシェ)弦楽器はフツーにビブラートをかけていますし、フレージングもフツーのモダンオケのもの、そこには今流行の「ピリオド・アプローチ」の片鱗すらもありまへんりん。どうやら、自分でバロック・ヴァイオリンを演奏するときと、あくまでフツーの訓練を受けてきたメンバーの集団であるモダン・オケを「指揮」するときとでは、要求されるスキルが異なるものなのでしょうね。アーノンクールやノリントンのような特別な信念と力量がない限り、そこからフツーではないものを引き出すのは、かなり難しいことなのでしょう。そういえば、先ほどのシェレンベルガーも、プレーヤーとして参加したアンサンブルではさまざまの新鮮なアイディアを披露していたというのに、指揮者になった途端、やはりフツーの演奏になってしまっていましたね。
いくらカップリングに「エロイカ」の元ネタを添えたところで・・・。
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by jurassic_oyaji | 2008-04-02 20:19 | オーケストラ | Comments(0)