おやぢの部屋2
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POULENC/Gloria & Motets
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Susan Gritton(Sop)
Stephen Layton/
Polyphony
The Choir of Trinity College Cambridge
Britten Sinfonia
HYPERION/CDA67623



前作のブルックナーで、単なるハーモニーの美しさを聴かせるだけではなく、多少崩れたところがあってもより深い魅力として迫ってくる「力強さ」を見せつけてくれたレイトンと「ポリフォニー」でしたが、今回はプーランク・アルバムです。前半は「グローリア」、そして後半はモテットという編成になっています。
オーケストラも加わる大規模な「グローリア」では、合唱団がもう一つ、ケンブリッジ・トリニティ・カレッジ聖歌隊が参加しています。つまり、合同演奏ですね。そうなったことで、レイトンの「力強さ」は、さらに前面にアップで迫ってくることになりました。ただ、そこで、彼本来の持ち味であった緻密な表現があまり見られなくなっているというのが、面白いところです。合唱団の可能性を最大限に生かして幅広い表情を与えるということにかけては他の追随を許さないレイトンですが、ここでは単に「力」だけが先走ってかなり雑な歌い方になってしまっているのですね。特にフレーズの最後の扱いなど、考えようによっては思い切りの良い表現と言えなくもないのかもしれませんが、いかにも乱暴な印象はぬぐえません。
それと、オーケストラのまとめ方がちょっと、という気もします。このスコアはとても華やかな効果が生まれるような書き方をされていますが、彼の場合、やはりこちらにも「力」を求めた結果、そのすべての要素を満遍なく聴かせようとしてしまいました。そこからは、いかにも騒々しいという印象しか与えられません。あるいは、最初からそういう音楽なのだ、と、ある意味逆説的な解釈で意識的にそのようなサウンドを目指したのかもしれませんが、それではあまりにも趣味が悪すぎます。もう少し賢く振る舞って音を整理しないことには、プーランクの「粋」は生きてこないのではないか、と思うのですが、どうでしょう?
ですから、後半のモテットで「ポリフォニー」の単独ステージになったときには、正直ほっとした気分になったものです。最初の「Salve regina」で聞こえてきたア・カペラの合唱の響きの、なんと美しかったことでしょう。やはりプーランクは、こんな風にピュアな編成の方が、しっとりとした味がより伝わってくるような気がします。
しかし、そこはレイトンのことですから、次の「悔悟節のための4つのモテット」になる頃にはそんなのんびりした気持ちは捨てなければいけないことに気づかされます。それはなんと振幅の大きい表現なのでしょう。究極のピアニッシモで、ふわっとしたハーモニーを味わっていたと思ったら、次の瞬間にはいきなりハイテンションのフォルテシモが現れるというはげしさ、そこからは、一歩踏み込んでプーランクの内面までさらけ出さずには置かないという、厳しいものが感じられます。
「クリスマスのための4つのモテット」でも、そんな、ちょっとマゾっぽさを味わうような演奏は続きます。最初の「O magnum mysterium」で現れる、同じ作曲家のフルートソナタの第2楽章を思わせるようなテーマは、そんな夢みるような雰囲気をたたえることはなく、あくまで厳しく歌われます。
そして、最後のノーテンキとも言える明るさを持っているはずの曲「Exultate Deo」での、尋常ではないテンションの高さはどうでしょう。こんな、最近のレイトンの美学を端的に現した演奏でアルバムを締めくくるなんて、見事としか言いようがありません。
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by jurassic_oyaji | 2008-04-04 21:00 | 合唱 | Comments(0)