おやぢの部屋2
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COOMAN/Sacred Choral Music
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Samuel Rathbone(Org)
Rupert Gough/
The Choir of Royal Holloway, University of London
NAXOS/8.559361



カーソン・クーマンという、母親が動物みたいな(それは「母さん、熊」)名前の作曲家がアメリカにいるって、知ってました?なんでも、現在までに800曲近い作品を発表しているというものすごい創作力を誇る人なのですが、1982年の生まれといいますから、まだ25才か26才という、「神童のようなもの」です。もし15才の時から作曲を始めたとしても、わずか10年間で800曲なんて、すごいものですね。しかも、そのジャンルは器楽曲から声楽曲までに幅広く及んでいます。もちろん、交響曲や協奏曲のような大規模なものもありますし、なんとオペラやミュージカルまで作っているのですね。もっとも、ミュージカルというのは学校の文化祭で上演するようなほんの10分足らずの小規模なもののようですが。
クーマン君のすごいところは、それらの作品にしっかり自分の手で「作品番号」を付けているということです。普通、作品番号のようなものは出版社が付けるもので、作った本人はそういうものには無頓着な場合が多いものです。ですから、殆どの作曲家の場合専門の研究者が大変な苦労をしてその作品にきちんと番号を振るという作業を行うのですね。果たして武満徹やクセナキスに「作品番号」が付けられることはあるのでしょうか。しかし、彼の場合は、そういう面での問題というのは将来起こることはあり得ないということになりますね。そういう几帳面な性格が災いしたのかどうかは分かりませんが、彼の写真を見ると、とてもそんな年齢とは思えないような立派な頭頂部に驚かされることになります。(左)
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もう少し前の写真(右)では一応「前髪」は健在ですから、これはそんなたくさんの作品を産み出した代償なのでしょうか。髪をかきむしって、作曲に没頭した結果だとか。
そんなクーマン君の、これは宗教的な合唱曲を集めたアルバムです。すべてのものが、教会などからの委嘱によって作られたといいますから、もはや安定したヒット・メーカーのようなスタンスで曲を作っているというところでしょうか。どの曲もせいぜい3分程度の演奏時間というのも、ヒット曲のサイズとしては適当な長さです。
ここで演奏しているのがイギリスの聖歌隊というのが、ちょっとしたミスマッチでしょうか。少年ではなく女声が入った聖歌隊ですが、その声はまるで少年のような清純さを持ったものです。しかし曲の方はあまりそのような音色を求めていないような、色彩感豊かなテイストを持ったものなので、ちょっとした違和感がつきまといます。さらに、オルガニストとしても活躍しているクーマン君は、伴奏のオルガンパートをとことん技巧的なものに仕上げていますから、正直ちょっと「やかましい」と感じられてしまいます。録音に使われた礼拝堂にあったオルガンも、ちょっとしまりのない音ですから、なおさら騒々しさをかき立てます。
曲自体は、いかにもアメリカの音楽の伝統をしっかり受け継いでいるな、という感じが伝わってくるものでした。例えばコープランドあたりにみられるようなこれ見よがしのシンコペーションとか、斬新なつもりでいる陳腐なハーモニーなどがその特徴でしょうか。一生懸命新鮮味を出そうとしているのかもしれませんが、結果的にはルーティンワークにすぎなかった、みたいな、どこか音楽に最も必要とされるものが欠けているような気がしてならないのです。そういえば、さっきのクーマン君の写真、アーティストというよりは、なにか有能なビジネスマンのような雰囲気がありませんか?
音楽雑誌の広告に「J・ラター(あ、もちろん、ジョン・ラッターのことですね)が好きな方は必聴!」みたいなことが書いてありましたが、残念なことに、ここからはラッターの持つ音楽の喜びとは全く異質なものしか感じることは出来ませんでした。
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by jurassic_oyaji | 2008-04-10 20:09 | 合唱 | Comments(0)