おやぢの部屋2
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BACH/Motets
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Peter Dijkstra/
Nederlands Kamerkoor
CHANNEL/CCS SA 27108(hybrid SACD)


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Bo Holten/
Flemish Radio Choir
GLOSSA/GCDSA 922205(hybrid SACD)



最近バッハのモテットの新しい録音がないな、と思てっていたところ、なんとまとめて2種類もリリースされました。いずれもネーデルランドのアーティストによる録音のSACD、レーベルを扱っている日本の代理店も一緒という不思議な縁で結ばれたアイテム同士です。
まずは、合唱指揮界の期待の新星、ピーター・ダイクストラの指揮するオランダ室内合唱団です。この合唱団の他にもドイツのバイエルン放送合唱団とスウェーデンのスウェーデン放送合唱団の指揮者も務めているという超売れっ子のダイクストラ、最近は自らの仲間を集めた男声合唱団「ジェンツ」の方はどうなっているのでしょうか。
このレーベルのSACDでは、使っているマイクなどの機材から、マスタリングの時のケーブルまで、きちんとメーカーや機種を表記しています。それだけ音に対するこだわりはハンパではないぞ、ということなのでしょう。確かに、ここで聴ける録音は素晴らしいものです。合唱団の声はとてもきれいに混ざり合っている中に、通奏低音として加えられたチェロとオルガン(なぜか、どこにもクレジットがなく、いきなりプロフィールが書いてあるのは、ブックレットの編集ミス?)が、控えめなのにはっきりした主張をもって聞こえてきます。なによりも美しいのが、歌い終わったあとの残響です。録音セッションは教会で行われていますが、その空間が感じられるような広がりを持った爽やかな残響が、とても暖かくその場を包み込んでいます。
ただ、ここで歌っているオランダ室内合唱団の、特に女声パートの声の質が、ちょっと前までのまるでいぶし銀のような渋いものから、もっと軽やかなものに変わってしまっているのが気になります。いや、正直それは「軽やか」というよりは「薄っぺら」と言った方があたっているような、芯のない響きなのです。ここで彼らが聴かせてくれる素材としての「音」は、それ自体は非常に透き通った、美しいものです。ハーモニーもこの上なく見事に決まり、高次倍音がはっきり感じられるものです。しかし、それは人間が息を吹き込んで出している音というのではなく、何か楽器、それも電子楽器のような、極めて客観性の強いものが発する音のように聞こえてなりません。そこからは、歌っている人たちの人格が、まるで感じられないのです。
このような感覚は、ダイクストラとジェンツのアルバムを最初に聴いたときに受けた印象と良く似ています。美しいのだけれどなにも訴えるものがない、これはちょうど「癒し系」とか、「ヒーリング・ミュージック」を聴いたときに感じる物足りなさにつながるものなのでしょう。そのような路線が好結果を呼ぶ場合もあるのでしょうが、ここで演奏されているものがバッハだったところに、彼らの誤算がありました。中でも、多くの曲が集まっていて、それぞれが個別の訴えかけをもって迫ってきて欲しい「Jesu, meine Freude」などは、全てがのっぺりとした肌触りのよいものにまとめ上げられていて、なんの引っかかりもない分、衝撃からはほど遠い仕上がりとなってしまっているのです。
もう一方のベテラン、ボー・ホルテンを迎えたフランダース放送合唱団の場合は、指揮者の伝えたいものはしっかり伝わってくるという安心感があります。ちょっと合唱には雑なところがあるにもかかわらず、こちらの方がより充実したものが味わえたと感じられるのは、なぜなのでしょう。
ちなみに、ダイクストラ盤ではいわゆる1番から6番までの6曲、ホルテン盤では、それに偽作(J・クリストフ・バッハ)とされているBWV Anh.III 159Ich lasse dich nicht, du segnest mich denn」を加えた7曲が演奏されています。
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by jurassic_oyaji | 2008-04-20 20:10 | 合唱 | Comments(0)