おやぢの部屋2
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VAJDA/Choral Works
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Gábor Hollerung/
Budapest Academic Choral Society
Budapest Youth Choir
Honvéd Male Choir
Dohnányi Orchestra Budafok
HUNGAROTON/HCD 32551



ヤーノシュ・ヴァイダという1949年生まれの現代ハンガリーの作曲家なんて、名前を聞くのも初めての人でした。とりあえずハンガリーの新しい合唱作品で「マニフィカート」などというタイトルであればそれだけで食指が動きますから、ダメモトで聴いてみるのはもはや習性です。
と、殆ど期待もしないで聴いてみると、思いもかけない喜びに出会えるものです。その「マニフィカート」がとびっきり明るい、賑やかな音楽で始まった瞬間に、このヴァイダという人の魅力にどっぷり浸かることになってしまったのですからね。その時に感じた印象は、「これは、ハンガリーのジョン・ラッターではないか!」というものです。それは、以前こちらで、ラッターのことをなにも知らない人が書いたインフォに騙されて、ついつまらない作品を聴かされてしまったという苦い体験を、十分に払拭してくれるものでした。ヴァイダは、まさにラッターのように、音楽の楽しさを天性のサービス精神で表現できる才能を持った人だったのです。年齢も殆ど同じですし。
この「マニフィカート」は、全部で7つの部分から出来ている大きな曲ですが、1曲ごとにオーケストラと大合唱の壮大な響きの部分と、メゾ・ソプラノ独唱に2本のフルートとオルガンの伴奏が付くだけ、というコンパクトな部分とが交代で現れます。こういう構成を見ると、同じタイトルを持つあのバッハの作品を思い出しませんか?そう、あれにもオブリガートにフルート2本と通奏低音というアリアがありましたっけね。ここでソロを歌っているアンドレア・メナースは、つい最近バルトークの「青ひげ」でユディット役を聴いたばかりですが、あの時とはかなり印象が違います。曲に合わせたのでしょうか、こちらでは思い切り解放された伸びやかな歌い方になっていて、あのユディットとは全く別人のように聞こえます。一方、オーケストラが入った3曲目などは、まるでオルフの「カルミナ・ブラーナ」のような単一ビートに乗った屈託のない曲、もう頭の中が空っぽになってしまいそうです。
最後の曲が、割としっとりと終わる構成になっているため、いたずらに騒ぎ立てるだけ、といった印象からも免れています。もっとも、ここでの合唱団がこういう繊細な音楽があまり得意ではなかったために、ちょっと歯がゆさを感じてしまいますが。
続いて、男声合唱とオーケストラのための「聖ペテロと傭兵」という曲が演奏されます。なんでも、元のテキストはあのハンス・ザックスが書いたものなんだそうです。ここでは、それをハンガリー語に訳したものが使われています。ペテロ役のテノールと、神様役のバリトンのソロも入りますが、明るすぎる曲調は変わりません。なによりも、ハンガリー語の抑揚で、いかにもマジャールっぽいリズムが強調された曲の中に、いきなりオルランド・デ・ラッススのマドリガーレ「マトナの君よ」がまざーるのですから、驚きます。「ドンドンドン・ディリディリ・ドンドーンドンドン」というリフレインも入りますし。
そして、最後は聴きなれたこどもの遊びうたのようなものをテーマにした「変奏曲」です。全部で10曲の変奏に、それぞれ気のきいたオーケストレーションが施され、それに乗って混声(+児童)合唱が歌うというものです。これはもはや「歌のメリーゴーランド」の世界、次々に繰り広げられるアイディア豊かなアレンジを楽しんでいるうちに、曲はお約束の盛り上がりを見せて終わります。もちろんそこには、ここまで聴いてきた1時間ほどがなんと有意義な時間だったのだろうという、カーソン・クーマンなどとは比較にならない心地よいものが残っていることでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2008-05-10 20:18 | 合唱 | Comments(0)