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Madonna/Hard Candy
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Madonna
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1958年8月16日生まれと言いますから、もうすぐ50歳の大台を迎えようというマドンナのニュー・アルバムです。いやあ、しかしとてもそんな前期高齢者とは思えないようなこのジャケ写はどうでしょう。なんとも瑞々しいボディ、ただ、「セクシー」と言うよりは「マッチョ」と言った方が似合っているのが、気になりますが。
インターナショナル的にはジャスティン・ティンバレイクやカニエ・ウェストをフィーチャーした「4 Minutes」や「Beat Goes On」などのナンバーがイチオシのチューンなのでしょうが、日本ではなんと言ってもキムタク主演の「月9」ドラマとのタイアップ曲「Miles Away」が注目となっています。そのおかげで、このアルバムはオリコンに初登場1位という快挙を成し遂げました。ドラマも始まり、露出が増えてくると、さらにセールスは伸びることでしょう。
もちろん、その前からこの曲はあちこちで耳にすることが出来ました。しかし、最初に聴いたときには、アコースティック・ギターの爽やかなイントロに乗って歌われるボーカルの主が、まさかマドンナだとは思ってもみませんでした。マドンナと言えば、未だに「Like a Virgin」や「Material Girl」での蓮っ葉な歌い方しか思い浮かびません。かなり前に、ロイド・ウェッバーのミュージカル「エヴィータ」を映画化したときにタイトル・ロールとして出演、もちろん歌も歌っていたのですが(このミュージカルにはセリフは全くありません)、それはまさにミス・キャストそのもの、聴いていて辛くなるようなものだったのです。ま、どんな歌を歌っても多寡がしれているな、と。
そんなマドンナが、いつの間にかこんなに素敵な歌が歌えるようなシンガーになっていました。「Miles Away」の中に聴くことが出来る彼女の声からは以前の拙い歌い方はすっかり影を潜め、素材としての声そのものに安らぎを与えられる力が備わっています。それは、なにか包容力のようなものまで感じられる、そう、まさに「癒し」の力さえ持ったものだったのです。そこには、そのようなものを売り物としているクラシック系のシンガーなどとは比べものにならないほどの魅力すらも見いだせるはずです。これは、年齢を重ねた彼女の、輝かしい到達点なのかもしれません。そして、この曲も、そんな彼女の力をしっかり受け止めた、シンプルな中に静かな訴えかけを秘めた素晴らしい作品です。「♪so far away♪」という最後のフレーズの、なんと心にしみることでしょう。
その他にも、このアルバムには美しい曲があふれています。「Give It 2 Me」などは、いにしえのアラン・パーソンズ・プロジェクトを彷彿とさせるものですし、「Incredible」の明るいコード進行は、まさにポップスの王道を行くものではありませんか。「Devil Wouldn't Recognize You」などという恐ろしいタイトルのものも、イントロや間奏でのピアノのフレーズは懐かしさすら誘うもの、そして「Voices」では、ア・カペラのイントロが意表をつきます。この曲のメロディに、ポール・サイモンの投影を見るのは、そんなに見当はずれではないはずでしょうし(「My Little Town」に似てません?)。
このアルバム自体は、おそらく今の音楽シーンの最先端を行くヒップ・ホップのテイストを前面に押し出したものなのでしょう。それはそれでマーケットの需要として求められているものであることは理解出来ます。おそらく、こういうものを愛好する人は多いことでしょう。しかし、このような深みのある歌が歌えるようになった彼女が、そのような一過性のファッションに決して甘んじていることはないだろうというのも、容易に想像できる一つの真理です。猥雑なラップや、スピーカーが壊れているのでは、と心配してしまうほどの歪みのかかったベースラインの陰から聞こえてくる彼女の本心にこそ、ここでは気づくべきなのかもしれません。
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by jurassic_oyaji | 2008-05-22 19:45 | ポップス | Comments(0)