おやぢの部屋2
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WAGNER/The Great Operas from the Bayreuth Festival
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Wolfgang Sawallisch, Karl Böhm,
Silvio Varviso, James Levine/
Chor und Orchester der Bayreuther Festspiele
DECCA/478 0279



バイロイトで上演されたワーグナーのすべてのオペラのライブ録音が、CD33枚セットのボックスとなりました。怪しげな「ヒストリカル」ではなく、すべてPHILIPSDGなどのメジャー・レーベルから正規盤としてリリースされたものばかり、それが、ネットで割引などが付くとたったの8,000円とちょっとというのですから、これは買うなというのが無理な話です。同じ思いの人も多かったとみえて、「初回限定」のこのボックスは、発売予定日前に予約が殺到して、なんとまだ現物が市場に出る前に「入手不可・廃盤」という扱いになってしまいましたよ。もっとも、しばらく経つと何事もなかったように追加オーダーに応じるようになっていたのですから、「初回限定」とはいったい何だったのかという思いにはなりますが。
そんなわけで、一時は入手をあきらめたものがこうして手元にあるというのは、なんとも感慨深いものです。しかし、値段が値段ですから仕方がありませんが、33枚のCDがただ紙袋に入っただけでドサッと重ねられているというのは、なんとも味気ないものですね。
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サヴァリッシュの「タンホイザー」などは、LPで何度も聴き込んだものですし、ベームの「トリスタン」などは、リハーサル付きの輸入盤を買って、そのリハーサルをよく聴いたものです(今回のボックスには、リハーサルはありません)。その頃のベームの「指輪」も、FM放送で聴いていたものばかり、いつかはCDで揃えたいと思っていたところですから、こんな嬉しいことはありません。1960年台から70年台初期にかけての、まさにきら星ような豪華な歌手たちによる、絶頂期のバイロイトの音を、これからじっくり味わうことにしましょうか。はたして、全て聴き終わるのはいつのことになるのでしょうか。
とりあえず、まだ1度も聴いたことのなかった、この中ではもっとも古い録音である1961年のサヴァリッシュ指揮による「オランダ人」を、一通り聴いてみました。お目当てはアニア・シリア、当時は評価が分かれていた人でしたが、それを冷静に聴いてみたいと思ったからです。しかし、そのゼンタが登場する前に、序曲の段階で引っかかってしまいました。最後が、なんだか今まで聴いたことのないような終わり方だったのですよ。「救済のテーマ」が現れない形ではあるのですが、バレンボイムやクレンペラーとは違っていて、そのちょっと前、ハープが出てくるあたりからもう普通の形とは変わっています。そうなると、他の音源を引っ張り出してきて、解決しておかないと先へは進めません。その結果、これはどうやら初稿、1841年のバージョンのようだということが分かりました。「世界初の初稿による録音」を行ったヴァイル以前にも、こんな演奏を残していた人がいたのですね。「ゼンタのバラード」も、1841年の形、「イ短調」になっていましたし。ところが、もっと先へ行くと、なぜか各幕ごとにきちんと終止しています。そして、3幕の最後も、確かに「救済のテーマ」はありませんが、ヴァイルによる実際の1841年版とはまったく違った終わり方でした。なんとも不思議な楽譜を使って演奏されているのですが、その前後の他の指揮者(1955年のカイルベルトと1971年のベーム)によるバイロイトのライブ録音では、普通に「救済あり+ト短調のバラード+幕間の終止なし」の版を使っていますから、もちろんこれは「バイロイトの伝統」などではなく、サヴァリッシュの意向だったのでしょうね。
肝心のシリアですが、やはり極めてユニークな個性でした。とてもドラマティコとは言えないような細めの声なのですが、その奥には不思議な力がこもっています。鋭利な刃物によって、力に頼らず鮮やかに仕留めるといった感じ、こういう颯爽としたキャラは、本当にカッコ良いと感じてしまいます。真面目な役しかやらないんでしょうし(シリアスって)。
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by jurassic_oyaji | 2008-06-07 22:25 | オペラ | Comments(0)