おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
VIVALDI/Flute Sonatas
c0039487_23163845.jpg



Mario Folena, Roberto Loreggian(Fl)
ConSerto Musico
BRILLIANT/93703



ヴィヴァルディのフルート・ソナタと言えば、かつては「忠実な羊飼いIl Pastor Fido」という、作品13として出版された6曲からなるソナタ集が知られていました。その「第2番」の冒頭は、NHK-FMの「バロック音楽の楽しみ」のテーマ曲として、広く親しまれていたものです。これはランパルが演奏したものですが、その他にも多くのフルーティストがこの曲を録音していました。しかし最近になって、この曲集はニコラ・シェドヴィルNicolas Shedevilleというフランス人が、ヴィヴァルディの名を騙って出版(当時は、楽譜の売れ行きをあげるために、このようなことはよく行われました)したことが判明、今ではこれらの作品は「伝ヴィヴァルディ」という肩書きでしか呼ばれなくなっています。
協奏曲でしたら、山ほどのものを作っているヴィヴァルディですが、独奏楽器のためのソナタは、それに比べたらほんの少ししかありません。その中でも、フルートのためのソナタといったら、ソロ・フルートと通奏低音のためのソナタが4曲と、2本のフルートと通奏低音のためのソナタが2曲、合わせて6曲しかないそうなのです。それらのものに、有名なヴァイオリン協奏曲集「四季」からの「春」を、フルート1本だけのために編曲したものを加えたものが、このアルバムの収録曲です。「春」の編曲はなんとあのジャン・ジャック・ルソー(ウッソー!)、これは聴いたことがありましたが、それ以外は初めてのものばかり、レアリゼーションにも一工夫あって、これは非常に魅力的なアルバムです。
演奏している「コンセルト・ムジコ」という団体は、おそらくトラヴェルソのマリオ・フォレーナが中心になったアンサンブルなのでしょう。ここではもう一人のフルーティストと、2人のチェンバロ奏者が加わっています。そのうちの一人はポジティーフも演奏、つまり、通奏低音は鍵盤楽器だけということになります。しかし、この2人がとてもファンタジーあふれるバスを繰り広げてくれているので、ヘタにチェロやガンバが入った時よりもスケールの大きな音楽が現れてきます。チェンバロとオルガンがフルで頑張っている時には、まるで協奏曲のようなオーケストラかと思えるほどの世界まで表現してくれていますよ。
曲順も、考え抜かれたものになっています。真ん中にルソー編曲の無伴奏を持ってきて、その前後にシンメトリー風に3種類の異なったプランを持つソナタを配する、という趣向です。まず、最初の「プレリュード」が無伴奏のフルートだけという、意表をつく始まり方を見せるハ長調のソロ・ソナタ(RV 48)、その後も楽章ごとに低音の楽器が変わるという多彩な様相を見せてくれて、一瞬も飽きさせられることはありません。オルガンの鄙びた音色のパイプが、トラヴェルソと一緒に管楽器の合奏をしているような錯覚に陥るほど、生々しく響きます。それに呼応する後半の曲は、ト短調のソナタ(RV 51)、ここでは、カンタータから引用された「レシタティーヴォ」という楽章が加わり、まるで劇音楽のような幅広い世界を見せてくれます。
組曲風の楽章を持つ短調のソナタ2曲(ニ短調RV 49、ホ短調RV 50)は、それぞれにしっとりとした憂いをたたえた、聴き応えのあるもの、そして、まさに協奏曲そのものの3楽章形式の2本のフルートのためのソナタ(ト長調RV 80、イ長調RV 800)では、華麗な曲想の名人芸が楽しめます。最後に鳴り響くRV 800の第3楽章のキャッチーなメロディは、聴き終わった後も耳の中に残っている心地よいものでした。
ルソー編曲の「春」は、ヴァイオリンの難しいパッセージを巧みにフルートに移し替えている、この作曲家のセンスがうかがえる秀作です。フォレーナの名演が、それを気づかせるのに大きな役割を担っているのは明白なこと、コンティヌオの卓越したセンスともども、ヴィヴァルディの新たな魅力が堪能出来る、これは本当に素敵なアルバムです。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2008-06-17 23:17 | フルート | Comments(0)