おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
The New Lyric Flute
c0039487_22405146.jpg




Susan Royal(fl)
CENTAUR/CRC 2907



スーザン・ロイヤルというアメリカのフルーティストのアルバムです。演奏している曲が、すべて21世紀になってから(1曲だけ2000年のものがありますが)アメリカの作曲家によって作られたものばかり、というところに惹かれて、聴いてみました。
ロイヤルという人は全くの初対面、日本にも来たことがあるそうなのですが、もちろん演奏を聴いたことはありません。ジャケ写(って)はちょっと見若いギャルですが、よくよく見るとおばさんが入っているみたい。もちろん、ライナーの経歴では実年齢は分かりません。でも、モイーズに師事したことがあるぐらいですから、そこそこの年であることは推測されます。現在はニューヨーク州立大学(SUNY)フレドニア校音楽学部の教授を務めている「博士」、かつてはバッファロー・フィルに20年以上在籍していたこともあるそうです。
ここに収められている6人の作曲家の作品は、もちろんほとんど出来たばかりの「現代音楽」なのですが、タイトルにあるように「リリック」な属性を持つものばかりです。あるいは「ロマンティック」と言い換えても差しつかえないのでしょうが、かつて「現代音楽」といえばすぐ連想されたような取っつきにくい、「難解」なものは一つとしてありません。というか、やはりひところ流行った「前衛的」なテイストのものを聴こうという機運は、最近ではかなり少なくなっているということなのでしょうか。コンサートでファーニホーやブーレーズを演奏するのは、もはやかなり勇気の要ることになっている、というのが、今時のフルート界の流れなのかもしれません。アルバムのプロデューサーでもあるロイヤルは、あえて難解な曲をオイヤルことで、親しみやすいものに仕上げたかったのでしょうか。
ここで演奏されている作曲家の中で、良く名前が知られているのはゲイリー・ショッカーとロウェル・リーバーマンでしょうか。ショッカーの「Hanna's Glade」(2005年)は、いつもながらのスリリングで親しみやすい作品。ゴールウェイが、自分のためではなく奥さんのジーニーのために委嘱したというリーバーマンのフルート、チェロ、ピアノのためのトリオ(2005年)は、4つの楽章を持つバラエティ豊かな曲、そこそこの技巧も要求される手堅い仕上がりになっています。ただ、このロイヤルという人は音の立ち上がりがかなり重苦しく、そこで音程がずり上がるという変なクセがあるものですから、こういったオーソドックスな曲にはちょっと違和感が残ってしまいます。もっとあっさり吹いていたら、これらの曲の本当の魅力も伝わってきたことでしょうに。
ですから、グレン・コーテスという人が、あの「911」に触発されて2002年に作った「I Dream'd in a Dream」では、その重いテーマをさらに重っ苦しく演奏しているものですから、そのメッセージは十分すぎるほど伝わってくるものの、正直ちょっと辛い思いが残ってしまうのも事実です。
そんな彼女の欠点があまり目立たないのが、これも最近の「クラシック」の一つの流れですが、ラテンリズムなどの「軽め」の要素を取り入れた作品です。ロイヤルのSUNYでの同僚のギタリスト、ジェームズ・ピオルコフスキが2006年に作った(もちろん、演奏にも参加)フルートとギターのための「Musique D'amité」などは、そんな曲、リズムのノリには難があるものの、楽しんで聴くことが出来ます。同じようにギターとフルートのための曲で、プエルト・リコ出身のウィリアム・オルティスが作った「Ricanstructions」(2000年)なども、ちょっとジャズ的な奏法も取り入れて、のびのびとした味を楽しめます。
彼女と、共演しているオーボエ奏者ドナ・サンデットとの委嘱作、マーガレット・グリーブリング・ハイの2006年の作品「Dances Ravissants」は、その二人の他にチェロとハープが加わるというアンサンブルです。ここに色濃く表れているのはオリエンタルなムード。このあたりも、「現代」の重要なファクターなのでしょう。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2008-07-09 22:41 | フルート | Comments(0)