おやぢの部屋2
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Original Works for Theremin
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Lydia Kavina(Theremin)
Charles Peltz/
Ensemble Sospeso
MODE/MODE 199



現在、世界最高のテルミン奏者と言われているリディア・カヴィナは、この楽器の発明者レフ・テルミンの従兄弟の孫にあたります。リディアが小さかった頃、「レフおじいちゃん」は、よくお菓子を持って家へ遊びに来たそうで、そんなときにリディアは発明者自らのもとでこの楽器の演奏を学んだのだそうです。
テルミンという楽器は、もちろんレフ・テルミンが製造、商品化も行ったものですが、現在では発音原理は同じでも、さまざまな制作者によって色々な形のものが同じ「テルミン」という名前で呼ばれています。その中でも、最もよく見かけるものは、「モーグ・シンセサイザー」で有名な故ロバート・モーグが作った「Etherwave」というモデルではないでしょうか。それこそ、「のだめカンタービレ」(21巻は8月11日発売です)にも登場した非常にコンパクトな外観を持ったものですね。この楽器も、そして、そのハイエンドモデルである「Etherwave PRO」も、もちろんリディアは演奏していましたが、このアルバムの裏ジャケットには、それらとも違った、全く別の形をした楽器の写真がありました。大体、どんな「テルミン」でも、一つの胴体からピッチ・アンテナとヴォリューム・アンテナが出ているものなのですが、このアンソニー・ヘンクが作った楽器はそれが右手と左手に完全に分離しているのです。その間はU字型のパイプでつながれて、まるでフィットネス・クラブのランニング・マシンのような形をしています。良く見ると、これはテルミン博士の作ったプロトタイプに似ていないこともありませんが。もっとも、最近では彼女はロシア製の「tVOX Tour」という楽器をもっぱら愛用しているようですね。このアルバムも、おそらくこの楽器を使って録音されたものなのでしょう(これらの写真はこちら)。
MODEからりリースされた彼女の2枚目の、「テルミンのためのオリジナル曲」を集めたアルバム、全て世界初録音となるものばかりです。ただ、1曲だけパーシー・グレンジャーの「フリー・ミュージック第1番」だけは、1枚目にも収録されていたものです。しかし、これは当時としては画期的な「図形楽譜」による作品ですので、別バージョンということになりますね。この曲の他にもう2曲、グレンジャーの4台から6台のテルミンのための曲(もちろん、リディア1人による多重録音)が、いかにもこの楽器らしいファンタジーあふれる作品です。それぞれの楽器の定位もはっきりしていて、不思議な浮遊感に駆られるものです。ただ、それぞれほんの1分(最後の曲など30秒)程度しかないというのですから、いかにも物足りない感じがします。
メインとなっているのは、懐かしいヒッチコックの映画のサントラを編曲したミクローシュ・ローザの「『白い恐怖』協奏曲」や、ごく最近、ティム・バートンがジョニー・デップを起用して作った伝説のB級映画制作者の伝記映画「エド・ウッド」の音楽(ハワード・ショア)です。これらを聴くと、いかにも「空飛ぶ円盤の効果音」的な、言ってみればこの楽器の代表的な使い方が綿々と生き続けていることが良く分かります。確かに、「エド・ウッド」では、ジョニー・デップが釣り竿の先に円盤の模型をぶら下げて映画を撮っているシーンが出てきましたね。
それと同時に、最近の「現代音楽」シーンでは、もっとアグレッシブな使い方も開拓されていることも、1999年に作られたオルガ・ノイヴィルスの「Bählamms Fest」というオペラからの組曲を聴くと、分かります。ここでのテルミンは、他のどんな楽器とも異なる個性を持つものとして、なくてはならない役割を与えられているように思えます。
もう1曲、クリスチャン・ウルフの「エクササイズ28」という4つの楽器のためのアンサンブルも、テルミンならではの表現力を他の楽器と競わせているようです。
奇跡的な復活を遂げた「テルミン」。いま、音楽のあらゆるジャンルで、新たな存在を主張し始めています。そのうち、オーケストラが出来るかもしれません。「テルミン・フィル」って・・・。
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by jurassic_oyaji | 2008-07-27 20:20 | 現代音楽 | Comments(0)