おやぢの部屋2
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MESSIAEN/Chamber Works
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Hebrides Ensemble
LINN/CKD 314(hybrid SACD)



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Matthew Schellhorn(Pf)
Soloists of the Philharmonia Orchestra
SIGNUM/SIGCD 126



メシアン・イヤーならではの、コアなCDのリリースが続いています。そんな中で、有名な「時の終わりのための四重奏曲」を中心とした室内楽作品を集めた新録音のアルバムが、LINNSIGNUMからほぼ同じ時期に出ました。そのカップリングの曲目も殆ど同じというのがすごいところです。まずは、メシアンの唯一のフルート曲、フルートとピアノのための「クロウタドリ」、そして、ヴァイオリンとピアノのための「主題と変奏」と「幻想曲」(SIGNUM盤には「主題と変奏」は入っていません)、さらに最晩年の「ピアノと弦楽四重奏のための小品」という珍しい作品のオンパレード。「クロウタドリ」以外は初めて聴くものばかりです。
ヴァイオリン曲は、メシアンの最初の妻、クレール・デルボスのために作られたものです。しかも「変奏」の方はウェディング・プレゼントだというのですから、なんかロマンティック。もちろん、クレールのヴァイオリン、メシアンのピアノで初演されたものです。曲自体も、ヴァイオリンが華麗に歌い上げるという、後のメシアンの作風とはかなり異なっているのが、ちょっとした発見です。しかし、彼女は後に精神的な病から闘病生活を余儀なくされ、若くして亡くなってしまうことを考えれば、なんとも悲痛な思いに駆られてしまいます。この曲の中にある情感が、彼女の死によって失われてしまったのであれば、それはなんとももったいないような気がしないでもありません。その後のパートナーとなるイヴォンヌ・ロリオからは、おそらく全く別の形のモチベーションを与えられることになるのでしょうからね。
一方、1991年にウィーンで行われたウニヴェルザール出版の社長であったアルフレート・シュレーの90歳を祝うコンサートのために作られたのが「ピアノと弦楽四重奏のための小品」です。ブーレーズ、シュニトケ、ベリオといったそうそうたるメンバーの作品がそこには寄せられましたが、メシアンの曲はまさに彼のイディオムに満ちた仕上がりとなっていました。
そのような珍品の中で演奏されている「四重奏曲」、それぞれの演奏家たちはかなり異なるアプローチを見せています。まずはLINN盤でのスコットランドの団体、チェリストのウィリアム・コンウェイを中心とするヘブリディーズ・アンサンブル(毎日練習しているのでしょうね・・・「エブリデイズ」って)です。そのジャケットに鉄条網をあしらったということは、この曲が作られた捕虜収容所を意識してのことなのでしょうか。確かに、極めてリアルな録音によって硬質に迫ってくるこの演奏には、そのようなある種のメッセージを感じることは難しいことではありません。ただ、それがいくぶん空回りになって、単なる気負いしか見えてこないのが、ちょっと辛いところでしょうか。クラリネット・ソロもうまいことはうまいのですが、なにか見当はずれのことをやっているような気がしてなりません。すべての楽器がユニゾンで演奏するという6曲目「7つのらっぱのための狂乱の踊り」などは、正確さからいったら類を見ないものですが、それが何を目指しているかが今ひとつ伝わってこないもどかしさがあります。さらに、5曲目の「イエズスの永遠性に対する頌歌」や、終曲「イエズスの不死性に対する頌歌」のような殆どヒーリングといってもよいピースでも、素直な情感を邪魔するような扱いが耳障りです。5曲目のチェロの音程なども悲惨。
その点、ピアニストのシェルホーンを中心に、フィルハーモニア管弦楽団のソリストたちが集まったSIGNUM盤のロンドンのアンサンブルは、もっと力を抜いて、自然にわき出てくるパッションを大切にしているような気がします。「クロウタドリ」のフルートはケネス・スミス。これは、LINN盤のローズマリー・エリオットとは格が違う素晴らしさです。こんなレーベルもこちらで聴けます。
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by jurassic_oyaji | 2008-07-29 23:59 | 現代音楽 | Comments(0)