おやぢの部屋2
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MOZART/Così fan tutte
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Sally Matthews(Fiordiligi)
Maite Beaumont(Dorabella) Luca Pisaroni(Guglielmo)
Norman Shankle(Ferrando) Danille de Niese(Despina)
Garry Magee(Don Alfonso)
Jossi Wieler, Sergio Morabito(Dir)
Ingo Metzmacher/
Chorus of De Nederlandse Opera
Netherlands Chamber Orchestra
OPUS ARTE/OA 3020B D



ネーデルランド・オペラがあの2006年の「モーツァルト・イヤー」に制作した「ダ・ポンテ三部作」が、まとめてDVDになりました。ヨシ・ヴィーラーと、セルジオ・モラビトというチームによる演出はもろ現代に読みかえたプラン、クリスマスはまだですが(それは「モロビト」)なかなか楽しい仕上がりになっています。まずは、一番楽しめた「コジ」から。
ネーデルランド・オペラといえば、以前やはりDVDで見た「指環」がとても印象に残っています。客席と舞台とが一体化した壮大な装置が、特に目を見張るものでした。今回もアムステルダムの音楽劇場という会場は同じです。しかし、そこはモーツァルトのこと、ワーグナーのような大げさなセットではありませんでした。とはいっても、かなり広い空間を使っての回転舞台が、ここではテンポの良い演出を可能にしています。
モーツァルトのように18世紀後半の時代様式にどっぷり浸かった台本と音楽で出来ているオペラの舞台を21世紀に置き換える時には、そこには当然何らかの操作が必要になってきます。その操作を「読みかえ」と呼ぶことは、周知のことでしょう。
そんな「読みかえ」が行われたプロダクションは、以前ピーター・セラーズのもので見たことがありました。そこでは、なぜ現代でなければいけなかったのか、という疑問に対する明確な答えが与えられるだけの強い主張が感じられたものです。ただ、それを、今回の2人の演出家に求めるのは、ちょっと酷な気がします。ここには、アイディアとしては楽しめても、残念ながらそれが論理的には辻褄が合っていないために、「突っ込み」どころがいくらでも見つかってしまうからです。「素」のフェランドはアフロヘアなのに、「紳士」に変装したあと元に戻った時には普通の髪になっているとか、「紳士」の時にもひげがあったりなかったり、というあたりが、そんな間抜けなところでしょう。
おそらく、そのようないい加減さは、原作がそもそもいい加減なプロットなのだ、という開き直りから来ているのかもしれません。したがって、そんないい加減なことをまともな大人がするわけがない、というのが、彼らのプランの出発点だったはずです。ここでは二組の恋人は高校生ぐらいの年齢という設定、「ビバヒル」や「ドーソン」ではありませんが、元カノが親友とエッチするなどというのは日常茶飯事の世界です。
もちろん、ドン・アルフォンソとデスピーナは「大人」として登場するキャラクターになっています。ただ、そんな「大人」が、「子供」をけしかけてスワッピングをやらせたりするわけですから、かなり「ワル」ではありますがね。デスピーナがドラベッラをデートに送り出す時にコンドームを持たせてやる、といったあたりが「大人」としての分別をあらわしているのだとしたら、笑えますが。
オーケストラは、金管にナチュラル楽器を用いてはいますが、基本的にはモダン指向、しかも、レシタティーヴォの通奏低音にギターを用いているのがユニークといえばユニークなところです。このギターはまるでヒッピーのような格好でステージ上をうろついて、普通の低音の合間に、即興的に他のオペラからの一節を奏でるという趣向です。「若さ」のまわりに漂っている雰囲気をこんな形で表現したのは、なかなかのアイディアではあります。
お目当てのデ・ニースは、そういう演出の元ではなかなか本領が発揮されないもどかしさがあります。しかし、他のキャストは、合唱も含めてこの演出を本気で楽しんでいるようでした(合唱の人、マジで笑ってませんでした?)。そういうところから発散される「力」にも、無視できないものがあることに、ここでは気づかされます。
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by jurassic_oyaji | 2008-08-08 20:38 | オペラ | Comments(0)