おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOZART/La nozze di Figaro
c0039487_2012776.jpg

Garry Magee(Count) Cellia Costea(Countess)
Danille de Niese(Susanna) Luca Pisaroni(Figaro)
Maite Beaumont(Cherubino)
Jossi Wieler, Sergio Morabito(Dir)
Ingo Metzmacher/
Chorus of De Nederlandse Opera
Netherlands Chamber Orchestra
OPUS ARTE/OA 3020B D



この「ダ・ポンテ三部作」は、2006年の11月から2007年の1月にかけて「コジ」、「ドン・ジョヴァンニ」、「フィガロ」の順に3日連続してツィクルスとして上演されたものです。キャストにも共通性があり、この「フィガロ」では「コジ」に出ていた殆どの人がそのまんま他の役を演じています。さらに、「ドン・ジョヴァンニ」でも、「フィガロ」のマイナーな役の人が3人ほどメイン・ロールに変貌と、びっくりするようなキャスティング、それこそ「指環」のように、まさに一貫したツィクルスとしての性格が強調されています。
今回の設定は、車のショールーム、でしょうか。真ん中には本物のオープンカーが展示されています。ステージの上の方にはその車のエンブレムが飾られていますが、そこにある文字は「アルマヴィーヴァ」、そう、ここでは「伯爵」は自動車会社のオーナーという「読みかえ」がなされているのです。キャストは「コジ」ではドン・アルフォンソ役だった人です。実はこのセット、2階部分も設けられていて、そこが「オーナー夫人」の事務所、彼女は設計担当なのでしょうか、そこにはドラフターなどが置いてあります(この人は、ここだけのキャスティング)。そしてケルビーノ(2日前はドラベッラでした)あたりは整備工、会社のロゴの入ったツナギ姿で、車の下から登場です。
そうなると、その他の役どころは自ずと想像出来ることでしょう。フィガロはグリエルモ、そしてスザンナはデスピーナ役だったデ・ニースということになります。フェランドだった人も、目立ちませんがドン・クルツィオ役で登場しています。ただ、もう一人の目立たない役、ドン・バジリオが、ここではかなり活躍する場面を与えられています。序曲の間に結婚パーティー用の飲み物を運んできた業者の女の子の尻をなでたりしているので、最初はこの人が伯爵(いや、オーナー)だと思ってしまったぐらい、存在感がありました。ですから、第4幕の普通はカットされてしまう唯一のアリアも、しっかり歌わせてもらえています。もう一人のやはりアリアをカットされがちなマルチェリーナも、しっかりフルで歌っているのは、この二人が「ドン・ジョヴァンニ」でドン・オッターヴィオと、ドンナ・エルヴィラを演じていることと無関係ではないはずです。
この「ショールーム」のセットは、最初から最後まで変わることはありません。第1幕の、本来はケルビーノが椅子の後ろに隠れて伯爵の話を盗み聞きするところなどは、真ん中のオープンカーを上手に使って(エンジンルームに隠れるというのはちょっと無理がありますが)面白い味を出していますし、第3幕の結婚式の場面でも効果的な使われ方をしています。しかし、第4幕になるととうとうこのセットだけではどうにもならなくなって、プロジェクターで監視カメラのような映像を流して情景を描くという「反則技」に走ってしまいます。いくらなんでもそれはないだろうというこの扱い、DVDにはそのカメラの映像しか映りませんが、歌手たちは一体どんな風にこの白々しい状況を耐えていたのでしょうか。
そんな演出の破綻とともに、ここではメッツマッハーの作り出す音楽がなんとも流れのない停滞したものに感じられてしまいます。モーツァルトにはなくてはならない生気あふれるテイストが、まるで見当たらないのですよ。もう一つ、レシタティーヴォの通奏低音もこの指揮者が自ら演奏しているのですが、その楽器がシンセサイザーなのです。これは、いくら「現代」でも、ちょっと許し難い措置なのではないでしょうか。チェンバロやフォルテピアノの代わりに使うには、この「楽器」はあまりにも貧相な音色です。まるで気が抜けた新鮮なサイダーみたい。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2008-08-10 20:13 | オペラ | Comments(0)