おやぢの部屋2
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MENDELSSHOHN/Elias
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Letizia Scherrer, Sarah Wegener(Sop)
Renée Morlec(Alt)
Werner Güra(Ten), Michael Volle(Bas)
Frieder Bernius/Kammerchor Stuttgart,
Klassische Philharmonie Stuttgart
CARUS/83.215(hybrid SACD)



来年2009年は、メンデルスゾーンの生誕200年のアニバーサリーにあたっています。ただ、モーツァルトやバッハに比べて、彼の場合はいまいち盛り上がりに欠けると感じられるのは、単なる気のせいなのでしょうか。思うに、彼の場合の最大のヒット曲といえば、「ヴァイオリン協奏曲」、ひところはチャイコフスキーの曲と一緒にコンビを組んで、「メン・チャイ」という名前で引っ張りだこだったあのアイドルも、今ではすっかり世の中から見放されてしまっているのかもしれません。5つあるフルサイズの交響曲にしても、普通にコンサートで演奏されるのは「3番」と「4番」だけですし。
もちろん、そんな一般社会の人気などには目もくれず、そんな年だからと珍しい作品をまとめて録音してくれる、というのがCD業界の恒例でもあります。CARUSレーベルのメイン・アーティスト、ベルニウスもそんな一人、おそらく来年中の完成を目指して、メンデルスゾーンの珍しい宗教音楽全集の録音を着々と進行中です。今回の新譜は、その第12集にあたる、オラトリオ「エリア」です。
旧約聖書に登場する預言者エリアを題材にしたこのオラトリオは第1部、第2部がそれぞれ1時間、合計2時間を要する大作です。それぞれのパートはレシタティーヴォやアリア、合唱など、細かい曲に分かれていますが、曲の間に休みを入れないというメンデルスゾーンの得意技(「メンコン」では楽章の間はつながっていますし、「スコットランド」も休みなしに演奏すべきものです)はここでも発揮されているため、音楽は延々と続いているという印象があります。アリアなども、そこが聞かせどころだ、といったようないかにも「アリア」っぽい作り方では決してありあせんから、音楽としてのインパクトはあまりありません。正直、これはかなり「渋い」曲、全曲を聴き通すのはちょっとしんどいな、というのが、偽らざる印象ではないでしょうか。
しかし、このベルニウスの演奏に限っては、そんなネガティブな思いを抱くことはまずありません。何よりも、録音がとびきりのものなのですからね。ホールではなく教会で録音されたもので、豊かな残響を伴ってはいますが、決してそれで音の明晰さが失われるということはありません。そこではたと気づいたのですが、これはSACDではありませんか。このレーベルでは、だいぶ前から一部のアイテムでSACD化されていたのですね。なにしろ、それはジャケットの片隅に遠慮がちにSACDのロゴが入っているだけというものでしたから、全く気づきませんでした。そこで、改めてCDレイヤーと比較してみると、その違いは歴然としたものがありました。CDではソリストの声の伸びやかさは全く失われていますし、なによりも雰囲気が台無しです。録音はDSDではないようですが、24BIT/96kHz、あるいは192kHzといった最近のPCMの成果を受け入れるには、16BIT/44.1kHzというCDのスペックがいかにしょぼいものであるかが、ここには如実に現れています。
演奏も、合唱、ソリスト、そしてオーケストラが、実に伸び伸びとした演奏を繰り広げてくれています。中でもベルニウスの手兵シュトゥットガルト室内合唱団の素晴らしさには、圧倒されてしまいます。単に響きが美しいというだけではなく、この曲のようなさまざまなシチュエーションの中での歌い分けがとても見事、なんせ、この曲では合唱によるレシタティーヴォまでこなさなければならないのですからね。さらに、個々のメンバーのレベルの高さにも驚かされます。普通はソリストが歌うアンサンブルも、合唱団員が担当、その透明な響きはソリストにはないクリアなものです。メンバーのサラ・ヴェーゲナーという人は、第1部での「子供」のソロも任されています。その無垢な声はまさに心を打たれる感動的なものです。
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by jurassic_oyaji | 2008-09-03 20:06 | 合唱 | Comments(0)