おやぢの部屋2
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SAINT-SAËNS/Symphony No.3
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Charles Munch/
Boston Symphony Orchestra
ビクタークリエティブメディア/JMCXR-0002S


1999年に日本ビクター(当時)が開発した新しいCD、とことんマスタリングに手間をかけたという「XRCD」のフラッグシップとしてリリースされた1959年録音のミュンシュのサン・サーンスは、品番も「0002」と、まさにこのシリーズの劈頭を飾るものでした。その音の良さが、アメリカで作られたSACDと比較しても再確認されたことは、こちらで述べてあります。そこからは、まさにフォーマットのスペックを超えた、真にマスターテープに迫るほどの生々しい音が聞こえてきていたのです。
その同じマスターを使用して、本体の材質を「超高品質素材」に替えただけというものが、このほど発売されました。品番もほぼ同じ、最後に付いている「S」というのが、その「SHM-CD」をあらわしているのでしょう。ジャケットの作り方やライナーノーツも、ほとんど同じものです。表ジャケットの「XRCD」のロゴの横に「SHM-CD」のロゴが並んでいる、というのが唯一の違いでしょうか。
もっとも、裏面やレーベルのクレジットでは、制作、発売の会社名が若干変わっていたり、同じように、原盤所有者の名前が「BMG Entertainment」から「Sony BMG Music Entertainment」と変わっているのが、時代の流れをあらわすものでしょう。ただ、その社名もいずれは「Sony Music Entertainment」とさらに別なものに変わってしまうはずでしょうが。
それはともかく、この新旧のXRCDを聴き比べて、そこにははっきりとした違いがあることはすぐ分かりました。実は、旧品の音の良さには驚きつつも、その中にはやや「力あまった」感がなくはない、という気がずっとしていました。それが、例えばSUPRAPHONレーベルのものなどには顔を出していて、ちょっと粗野に聞こえてしまうことが少し残念だったのです。しかし、この新品では、そのようなものが完璧にぬぐい去られているのです。あまりに力がありすぎて、ちょっとはみ出してしまった部分を、ていねいに磨き上げて滑らかにした、そんな感じでしょうか。ほんの2点だけ、その違いがはっきり分かる部分を指摘してみましょう。まず、トラック2、第1楽章の後半にあたるゆっくりとした部分の4分7秒あたりから始まるファースト・ヴァイオリンとセカンド・ヴァイオリンの掛け合いの部分です。旧品では、この部分はいかにもモヤモヤした感じで、失望してしまったものですが、新品では見違えるように輪郭のはっきりしたものになっています。もう1箇所は、トラック4、盛大にフル・オルガンで始まる部分です。始まってから1分13秒ぐらいのところ、4手ピアノの細かい音型に乗って、ヴァイオリンが美しく歌った後、オルガンと弦楽器のトゥッティに続いて金管楽器が吹き鳴らすファンファーレの後半に入るピッコロの音の存在感が、新旧ではまるで違っています。新品では、まさにピッコロ奏者の姿が見えるほどのリアリティあふれるものになっています。
先日、「SHM-CD」のことを扱ったエントリーをアップしたところ、その翌日に発売された「レコード芸術」の10月号では、この新素材を使用したCDのことを大々的に取り上げていましたね。やはり、これはかなりメジャーな動きとなっていることが分かりますね。もちろん、この雑誌のことですから業界サイドの提灯持ちの記事であることは間違いないものの、そんなおべんちゃらを差し引いて(そしたら、なにも残らないだろう、という「本音」はひとまず置いといて)読んでみても、このCDは明らかに今までのものとはひと味違う、ということは誰しもが認めていることがうかがえます。しかし、実際にここまで音が違うことが確認されてしまっては、もはや従来の「欠陥商品」を出し続けることは、メーカーとしての良心が問われることにはならないでしょうか。この雑誌こそが、そういう主張を行わなければなりません(「リコール芸術」)。
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by jurassic_oyaji | 2008-09-21 20:35 | オーケストラ | Comments(0)