おやぢの部屋2
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Classical Beatles
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Various Artists
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最近出た「ザ・ビートルズ」の「最新」アルバムLoveと非常に良く似たジャケットですね。2枚組のこのコンピレーション、タイトルの通りクラシックのアーティストがカバーしているビートルズ・ナンバーを集めたものです。そんなものは別に何も珍しいわけではないのですが、この中に収録されている「The Beatles Concerto」というタイトルにちょっと興味を惹かれてしまいまして。確かこれは、1979年にリリースされたアルバムのタイトル、なんと懐かしい。
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ご覧のように、その頃のプログレ系ロック、ピンク・フロイドなどのアルバムのジャケット思わせるような、超クールなジャケットですね。ジョージ・マーティンがプロデュース、彼のスタジオで録音された、ピアノ協奏曲仕立てのビートルズのカバーは、なかなか新鮮な印象を与えられた思い出があります。その時には、編曲をしたのもマーティンだったような気がしていたのですが、今回のコンピのクレジットを見てみたら、編曲者はなんとジョン・ラッター、これはちょっとした驚きでした。
ピーター・ロスタルとポール・シェーファーというピアノ・デュオがソロ、ビートルズゆかりの地のオーケストラ、ロイヤル・リヴァプール・フィルを、ロン・グッロマンが指揮をしている、というものですが、ラッターのプランはビートルズの曲をもろラフマニノフ風に仕上げる、というものでした。それは、例えば故宮川泰や、故山本直純を思わせるような職人的な「アレンジャー」の仕事です。ラッターにそのような一面があることはうすうす感じてはいましたが、まさかここまでどっぷりなりきっていたとは。知られざるラッターの一面、こんなものは本人にとっては「なかったことにしたい」ものなのでは、と思ったら、なんとラッター自身も2003年に、同じソリストたちを起用して、自分自身で指揮をしたものをDECCAからりリースしていました。彼自身もこの曲にはしっかり愛着があったのですね。なんかほほえましいような気がしませんか。念のため、「ラッター」というのは、巷では「ラター」というネバネバした乳製品のような表記(それは「バター」)で通っている作曲家です。
これは2枚目の最後のナンバーでしたが、1枚目の最後には、もっと驚くようなものが入っていましたよ。それは、1966年に録音された、アーサー・ウィルキンソンという人が作った(彼自身が指揮)「Beatle Cracker Suite」という曲です。このタイトルの意味は、聴き始めるとすぐに分かります。これはチャイコフスキーの「くるみ割り人形組曲Nutscracker Suite」を下敷きにしたビートルズ・ナンバーのカバーだったのです。いやその巧妙なことといったら。「花のワルツ」、「金平糖の踊り」、「葦笛の踊り」、「小さな序曲」、「アラビアの踊り」、「中国の踊り」と言った組曲の中のナンバーと、最後はパ・ド・ドゥの「金平糖の精の踊り」というラインナップなのですが、ほとんどオリジナルそっくり、その中にいつの間にかビートルズが混じってるというとんでもないものです。「金平糖の踊り」のあのチェレスタがしっかり「Can't Buy Me Love」に聞こえるのですから、これはもう涙ものです。そして、これが作られた年を考えてみて下さい。ここで使われている「Help」や「Ticket to Ride」などは、初めて世に出てから1年も経っていないんですよ。そんな時点でもうこんなパロディが成立していたなんて、いかにビートルズの曲が短期間で浸透、ほとんど愛唱歌と化していたか、ということになりますね。
もっとも、「アラビアの踊り」でパロられている「It's For You」という曲は、今では全く知られていません。ビートルズの曲といえども、40年も経てば忘れ去られてしまうものもあるのだ、ということも、こんな貴重な録音で分かろうというものです。そういえば、編曲者のウィルキンソンは1968年に亡くなってしまいましたから、そんなことを確かめることも出来なかったことでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2008-09-23 19:52 | ポップス | Comments(0)