おやぢの部屋2
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RODGERS/The Sound of Music
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Frederica von Stade(MS)
Hakan Hågegård(Bar)
Erich Kunzel/
Cincinnati Pops Orchestra
TELARC/CD-80162



このところ、快調にリリースが続いているTELARCの「Classics」シリーズの中に、こんなのもありました。1987年に録音されたリチャード・ロジャースのミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」です。この頃はデジタル録音がやっと一般的になった時期で、ブックレット(もちろん、初出と全く同じもの)を見るとソニーの16ビットのPCMレコーダーが使われていたことが分かります。もちろん、マルチチャンネルではありません(「サラウンド・オブ・ミュージック」)。しかし、スペック的には今の機材よりも数段劣っているはずなのに、出てきた音は同じレーベルの最新録音のものに比べて格段に良いと感じられるのはなぜでしょう。ほんと、鳴り物入りで発売された「ドイツ・レクイエム」のSACDの音のショボいこと。やはり録音の良さは機材の良し悪しではなく、エンジニアの腕(あるいは耳)にかかっているものなのでしょうね。
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SACD-60701

そんな素敵な録音、序曲(なんでしょうね)で聞こえてくる鳥の声のSEのリアルさで、まずびっくりさせられます。最初は部屋の外で鳴いているスズメかな、と思ってしまったほどですから。オーケストラの音も、なんと瑞々しいことでしょう。変に残響に頼るのではなく、楽器の芯の音をきっちりとらえている、という感じです。オーケストレーションの「隠し味」であるグロッケンやトライアングルも、適度な明晰さで聞こえてきます。そして圧巻は、結婚式のシーンでのオルガンのとんでもないレベルです。よくこんな無茶が出来たなと思えるほどのものすごい迫力、まさにTELARCの面目躍如、ですね。
ご存じのように、このミュージカルはもともとは1959年にブロードウェイで初演されたもので、現在でも各地でロングラン公演を続けているという「名作」です。最近ではあのアンドリュー・ロイド・ウェッバーによるプロダクション、というのもありましたね。ただ、これを元に1965年に作られた映画がすっかり有名になってしまいましたから、そちらでこの作品に親しんでいる方の方が圧倒的に多いことでしょう。しかし、このアルバムは、もちろんステージ版に拠っていますから、舞台に接したことのない人には馴染みのないナンバーなども登場します。映画では、おそらく、ハリウッドの論理で全く歌を歌わないセリフだけの役になってしまったのが、フォン・トラップ大佐の婚約者エルザと、興行師のマックスですが、ここではその二人が「歌って」いる「How Can Love Survive?」と「No Way To Stop It」という曲が聴けるというのが、嬉しいところでしょう。マリアとフォン・トラップ大佐とのデュエット「An Ordinary Couple」というのも、映画ではカットされていましたね。
いくら「シンシナティ・ポップス」が演奏しているからといっても、これはミュージカルをクラシックのアーティストが演奏していることに変わりはありません。そこでは、この3年前に録音された、やはりクラシック指向の「ウェスト・サイド・ストーリー」と同じ居心地の悪さを味わうことになります。キリ・テ・カナワのマリアほどではありませんが、フレデリカ・フォン・シュターデのマリア(同名!)には、ジュリー・アンドリュースのイメージがあまりにも浸透している現実を差し引いたとしても、不満は隠せません。声が暗めなのは仕方がありませんが、リズムがこれだけ停滞してしまうと、あの元気の良い娘の姿は見えては来ません。
それよりも、本来はあまり重要ではないナンバーなのに、きちんと「クラシック」のつもりでロジャースが書いたであろう、幕開けの修道女の合唱は、本編以上に魅力的なものに仕上がっています。それと、やはりこの録音の主役はオーケストラ。ただ、その編曲はステージ版にしてはかなり凝ったものですし、映画のものともかなり違っています。誰がそれを担当したのか、というデータがブックレットに見あたらなかったのが、ちょっと残念。
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by jurassic_oyaji | 2008-10-03 22:16 | オペラ | Comments(0)