おやぢの部屋2
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MOZART, BERG/13
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内田光子(Pf)
Christian Tetzlaff(Vn)
Pierre Boulez/
Ensemble Intercontemporain
DECCA/478 0316



モーツァルトとベルクをカップリングしたアルバムです。ヴァイオリン協奏曲あたりだったらあるのかもしれませんが、これはちょっと珍しい組み合わせ。いや、珍しいと言えば、そのモーツァルトをブーレーズが演奏しているのですから、どんだけ珍しいことでしょうか。
もちろん、これは単なる思いつきではなく、タイトルにあるように「13」という数字が共通点となっています。この2曲は、どちらも「13の管楽器」が用いられているのです。ただ、モーツァルトの場合はそれで全部ですが、ベルクにはピアノとヴァイオリンのソロが加わりますし、同じ「管楽器」といっても、その中身はかなり異なっています。モーツァルトにはフルートやトランペットは入ってはいませんし、ベルクにバセットホルンはありません。そんなつまらない「共通点」を持ち出すのは、「現代作曲家」の悪い癖です。
モーツァルトの「13管楽器」は、もちろん「グラン・パルティータ」と呼ばれているセレナーデです。本来の編成はコントラバスが入るのですが、ここではあくまで「管楽器」にこだわって、コントラファゴットが使われています。
大昔のブーレーズならいざ知らず、最近のブーレーズだったらモーツァルトを演奏したところでそんなにヘンなことはやらないだろう、と思っていましたが、どうしてどうして、「アンファン・テリブル」は未だ健在でした。いたるところで、ちょっと聴き慣れない声部や、びっくりするようなアーティキュレーションが顔を出すのですよ。特にゆっくりとした楽章でのバセットホルンなどは、「こんなことをやっていたんだ」と思わず膝を打ってしまうほどでした。アーティキュレーションにしても、ことさら滑らかさに逆らうような音符の目立たせ方をやっていますので、ついそこに注目せざるを得なくなってしまう、という強引な手で、ぐいぐい引っ張っていきます。
アンサンブルの作り方も、あくまで指揮者主導というこういう曲では珍しいアプローチです。単なる仲間同士の楽しみで、お互いの欠点をなめ合おう、などという甘いことは一切通用しない、方向付けのはっきりした意志の強さには、確かに惹かれるものがあります。そして、そういう姿勢を取ったところで、モーツァルトの音楽自体はびくともしないということが再確認出来るというのが、嬉しいところです。もっとも、そんなきっちりとしたアンサンブルのはずなのに、最後の最後になってファゴット奏者が鮮やかな装飾を入れたりしているのは、まさにサプライズ。それは見事なアクセントとなって、この演奏に格別の魅力を与えています。それは、プレーヤーの本能がなせる業だったかもしれませんが、結局はブーレーズの手のひらの上で操られていただけなのだ、とは思えないでしょうか。
一方のベルクは、「ピアノ、ヴァイオリンと13の管楽器のための室内協奏曲」です。第1楽章はピアノだけ、第2楽章はヴァイオリンだけ、そして第3楽章になって初めて両者がソリストとして掛け合いを行う、という、3種類のソロを1曲で楽しめる大変お得な協奏曲です。
これはまさにブーレーズとアンサンブル・アンタルコンテンポランにとっては自家薬籠中のレパートリー、モーツァルトでは半ば強制的に合わせさせられていたものが、こちらでは逆に自発的な音楽を作れる喜びを味わっているように聞こえます。決してチャランポランに演奏しているわけではありません。そんな中で誰よりもひらめきを放っているのは、内田光子だったのではないでしょうか。それに比べるとテツラフくんはちょっと地味。
管楽器のメンバーは、おそらく他の分野でも名をなしている、あるいはこれから羽ばたく人ばかりのはず、その名前をぜひ入れておいて欲しかったと痛切に思います。メジャー・レーベルのクレジットは、なぜかそういうところが不親切。
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by jurassic_oyaji | 2008-10-23 20:15 | オーケストラ | Comments(0)