おやぢの部屋2
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2009年 07月 12日 ( 1 )
Kontra Wagner
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Members, Ensembles and Guests of the Berliner
Philharmoniker
COL LEGNO/WWE 1CD 60018



2007年の「ザルツブルク・イースター音楽祭」での室内楽のシリーズ「コントラプンクテ」から「リヒャルト・ワーグナーの作品」と、「反ワーグナー」というワーグナーがらみのタイトルのコンサートのハイライトです。そんな日本料理がありましたね(それは「昆布のテンプラ」・・・そんなもん、あっか!)。
なんと言っても面白いのは、「ワーグナーの作品」の方です。と言っても、まともな「作品」は「ジークフリート牧歌」だけ、あとは「ヴェーゼンドンク」の中の「夢」をヴァイオリンやトランペットのソロに編曲したものとか、さらに他の作曲家がワーグナーのモチーフを用いて作った曲が並んでいます。その中の、ヒンデミットが弦楽四重奏のためにアレンジした「さまよえるオランダ人序曲」が白眉です。というか、実は、この曲があったからこのCDを買ったようなもので。「朝の7時に、温泉地の二流のオーケストラが演奏した」というサブタイトルが付いているこの編曲は、以前こちらのWERGO盤(WER 6197-2)で聴いていました。
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「編曲」というにはあまりに過激なそのプランは、いかにも「二流」の演奏家が殆ど惰性でいい加減に演奏している様子を再現したもの、それはまさに抱腹絶倒ものでした。その中で「難しいパッセージが演奏できなくて、適当にごまかす」という部分があるのですが、今回の録音でも全く同じように弾いていましたから、ヒンデミットはきっちり「ヘタ」に聞こえるように楽譜に書いていたことが分かります。他にも、全く別のキーでフレーズが現れたり、メロディそのものが微妙に変化していて笑いを誘います。長調のものを短調で演奏するといった他愛のないものなのですが、例えば「水夫の合唱」が出てくる少し前にある「ドミソラソ」という木管のツナギの部分が短調になると、日本人にとってはまるで「演歌」のように聞こえてしまって、思わず大爆笑。「あなたを待てば/雨が降る」というフランク永井の名曲の歌い出し「あなたをま」の部分ですね。さまよえるオランダ人は、時空を超えて昭和の有楽町に現れたのでしょうか。
WERGO盤のライナーでは、「これは決してワーグナーのパロディではない」と言い切っています。そんな、ありがちないい加減なオーケストラに対する皮肉なのだとか。言ってみれば、モーツァルトの「音楽の冗談」の精神を受け継いだものなのでしょう。しかし、このちょっと下品な面白さは、まさにあの「PDQバッハ」にもつながるほどの衝撃ですよ。
他にも、有名なモンティの「チャールダーシュ」をほぼ原曲通りヴァイオリン・ソロが弾いているバックで、4本のファゴット(!)がワーグナーのモチーフを織り込んだ怪しげな伴奏を繰り広げる、というアルトゥール・クルニッヒという人の編曲も笑えます。実は、先ほどの「PDQ」のピーター・シックリーの作品にも、やはりファゴット4本で「トリスタン」や「ローエングリン」をタンゴ仕立てで演奏するというもの(タイトルは「ラスト・タンゴ・イン・バイロイト」)があるのですが、もしかしたらこの日もそれが演奏されていたのかもしれませんね。これは、TELARC盤(CD-80307)で聴けます。
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動画もありました。

演奏しているのは、この音楽祭のホスト・オケ、ベルリン・フィルのメンバーやゲストたちです。大きな編成の時に指揮をしているミヒャエル・ハーゼルという人は、このオーケストラのフルート奏者。ピッコロを吹いている映像によくお目にかかれます。中でも、2007年の「ヴァルトビューネ」では、アンコールの「ベルリンの風」の時に指揮者のラトルが指揮台を降りてこのハーゼルのところに歩み寄り、彼の指揮棒とピッコロを交換して、このフルーティストに代わりに指揮をしてもらう、というサプライズがありました。
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それは6月のこと、4月のザルツブルクでハーゼルの指揮を見ていたラトルは、その時からこのネタを仕込んでいたのかも。

CD Artwork © col legno Beteiligungs- und Produktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2009-07-12 20:53 | オーケストラ | Comments(0)