おやぢの部屋2
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2009年 11月 17日 ( 1 )
基礎から学ぶみんなのリコーダー 楽しくウェルネス!
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吉澤実・市江雅芳編著
音楽之友社刊
ISBN978-4-276-64503-5



今まで、「音楽でウェルネスを手に入れる」2007年秋)、「声楽家と医学博士が贈る歌の処方箋」2008年秋)と、ほぼ1年ごとに新作を発表していた市江雅芳さんが、やはり1年のインターバルを経て3冊目の書籍を刊行されました。今回はリコーダー奏者の吉澤実さんとの共著で、リコーダーの入門書です。
リコーダーという楽器、もちろんバロック時代あたりに大流行した管楽器(当時は横笛のフルートより人気がありました)ですが、この国ではもっぱら小学生が最初に手にする楽器、として知られていましたね。最近でこそきちんと「リコーダー」と呼ばれるようになりましたが、かつては「たて笛」、あるいはもっと昔には商品名をそのまま使って「スペリオパイプ」と呼ばれていたものです。世界的なフルーティストの工藤重典さんが、小学校の時に地元の放送局のジュニアオーケストラのオーディションに、この楽器で応募したというのは有名な話です。なんとユニークな。彼は決して紋切り型(それは「ステレオタイプ」)ではなかったのですね。
そんな教育的な楽器としてではなく、きちんとしたピリオド楽器として認知されるようになったのはごく最近のこと、若きフランス・ブリュッヘンあたりが華々しくシーンに登場したあたりでしょうか。その時に初めて、この楽器が小学校の「鼓笛隊」とは次元の違う豊かな音楽性を持っていることに気づいた人は多かったはずです。
吉澤さんたちは、そんな、かつて音楽の授業時間にこの楽器に親しんだ人たちに、改めて「趣味」の対象としてリコーダーを演奏してもらおうと考えたのでしょう。現在放送中(11月いっぱい)のNHK教育テレビの大人向け習い事番組「趣味悠々」では、「リコーダーで奏でる懐かしのオールディーズ」と題して、そのような人たちが親しんだ曲を教材に用いた基礎的なレッスンを行っています。
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それは、かつてプラスティックス製の「たて笛」に慣れ親しんだ中高年の人たちに、新たにきちんとした木製の楽器を購入してもらい、この楽器の本格的な魅力に触れてもらおうとする楽器店との思惑とも合致して、ある種の「ブーム」が巻き起こる予感すら感じられるものです。現に、さる楽器店では、この講座のテキストとリコーダーを大々的にディスプレイ、手ぐすねを引いてお客さんを待ち受けていますよ。
そして、そのテキストに、市江さんは前作と同様に、医者として、あるいは演奏家としての立場からエッセイを寄せていました。今回の書籍は、そのテキストの延長のような位置づけでしょうか。本編ではリコーダーの基礎的な知識から、全く初めての人でも始められるような奏法の基本がていねいに述べられています。そのための練習曲も、全部で31曲も用意されていますよ。その中にはアンサンブルの楽譜もたくさん収録されているのが嬉しいところです。
そこに、市江さんのエッセイ、「ドクター市江のウェルネス・コラム」の登場です。専門用語を交えながら、まず、リコーダーの要求する適度の息の量は、呼吸機能を活性化させること、さらに、この楽器のための2種類の運指(リコーダーの場合、ホルンやクラリネットのように調の異なる同族楽器のために「移調」した楽譜を使うことはなく、F管であるアルトリコーダーやバスリコーダーでは、4度下の運指を使って実音を出します)では指に指令を与えるために脳が活性化、そして、なんと言っても、アンサンブルでお互いに聴きあってハーモニーを作るというのは「聴覚フィードバック」という高度な作業になるわけで、さらなる脳の活性化につながることなどが、平易に語られます。
それで分かるとおり、リコーダーの演奏は、特に中高年にとっては「ウェルネス」の格好のツール、ここはひとつ、業者に踊らされたフリをして挑戦してみてはいかがでしょうか。

Book Artwork © Ongakunotomo-sha
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by jurassic_oyaji | 2009-11-17 22:31 | 書籍 | Comments(0)