おやぢの部屋2
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2009年 11月 23日 ( 1 )
COLORaturaS
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Diana Damrau(Sop)
Dan Ettinger/
Münchner Rundfunkorchester
VIRGIN/519313 2




ダムラウのソロアルバムには、毎回いろいろな面で楽しませてもらっています。今回はタイトルが「コロラトゥーラ」という、彼女が主に歌っている声のキャラクターを表す言葉ですが、その文字を色分け(+大文字)することによって、「COLORS」という言葉を浮き出す、という仕掛けになっています。もちろん、それによって「コロラトゥーラ」の語源が「カラー」だったことを認識させる、という意味も持っているのでしょうね。それに合わせたのでしょう、ジャケットを彩る彼女のドレスのなんとカラフルなことでしょう。こんな派手なパッチワークを楽々と着こなす彼女は、なんだかそんなニューヨーカーである「SATC」のヒロイン、キャリー・ブラッドショーに似てません?
そんなカラフルな歌声を、今回も彼女は存分に聴かせてくれています。前2作では、モーツァルトやサリエリを歌っていたので、バックのオーケストラも小編成の地味なものでしたが、今回は、ベル・カントやヴェリスモ、さらにはミュージカルまで含まれているという選曲ですから、オケもフル編成、しかも日頃オペレッタなどをやり慣れているミュンヘン放送交響楽団というのも、嬉しいところです。
ダン・エティンガーの指揮するそのオーケストラは、そんな期待通りの役割を演じてくれています。1曲目、グノーの「ロメオとジュリエット」からの「Ah, je veux,vivre 私は生きたいの」で、まずカラフルなサウンドを印象づけてくれますよ。続く「リゴレット」の「Caro nome 慕わしい人の名は」のフルートの前奏も粋ですねぇ。とにかく、このオケが前奏で歌を導くのがうまいのには舌を巻きます。ロッシーニの「セヴィリアの理髪師」のロジーナのアリア、「Una voce poco fa 今の歌声は」などでの、ワクワクするようなイントロの扱いはどうでしょう。そして、そこに入ってくるダムラウの絶妙のタイミング。それから先の、ダムラウの計算され尽くした奔放さにピッタリ寄り添うオケは、まさに絶品です。というか、そんなオケに乗せられれば、彼女に怖いものなどありません。常々感じていた彼女のクレバーさは全開となります。
そんな「賢さ」が端的に感じられるのが、プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」の有名なアリア「O mio babbino caro 私のお父さん」ではないでしょうか。この人気アリアは、「ソプラノ歌手」(それがどんなランクのものであっても)のソロアルバムには必ずと言っていいほど登場する「名曲」、とても甘いメロディを持っていますから、そんな「ソプラノ」たちはめいっぱい甘ったるく歌うことを心がけているようです。2番目のフレーズに出てくるオクターブ跳躍などはその聴かせどころ、限りないポルタメントをかけてとろけるように歌ってくれているものです。でも、一度でもこのオペラを「見た」ことがあれば、この歌がそんなベタベタに甘いものではないことはすぐ分かるはず、なんたってこの曲は「財産がもらえなかったら、死んでやるんだから(かなり強引な意訳)」という、いわば「脅し」の歌なのですから、このダムラウの演奏を聴けば、そんな「ソプラノ」たちの勘違いがいっぺんに分かってしまいます。
ダムラウはドイツ人ですが、彼女の歌う英語の歌詞には、ドイツ訛りは全く感じられません。バーンスタインのミュージカル「キャンディード」の、とてもミュージカルとは思えない技巧的(まさに「コロラトゥーラ」)なクネゴンデのナンバー「Glitter and be gay 着飾って浮かれましょ」では、ハイノート(C♯?)も楽々とこなし、まさにネイティブそのもののきれいなことばを披露してくれています。「♪笑って~、笑って~/笑ってキャンディード」って(それは「キャンディキャンディ」)。
彼女は、すでにここで歌っているツェルビネッタもレパートリーになっているのだそうです。芝居も上手な彼女ですから、「ナクソス島のアリアドネ」での映像も、ぜひ見てみたいものです。

CD Artwork © EMI Records Ltd/Virgin Classics
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by jurassic_oyaji | 2009-11-23 19:49 | オペラ | Comments(0)