おやぢの部屋2
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2012年 01月 29日 ( 1 )
LLOID WEBBER/The Phantom of the Opera at the Royal Albert Hall
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Ramin Karimloo(Phantom)
Sierra Bogges(Christine)
Hadley Fraser(Raoul)
Anthony Inglis(Cond)
UNIVERSAL/GNXF-1418(BD)




1986年に初演されたアンドリュー・ロイド・ウェッバーのミュージカル「オペラ座の怪人」は、昨年25周年を迎えました。それを記念して201110月1日と2日に開催されたのが、この「25周年記念公演」です。ただし、それは単に今まで世界中の劇場で延々と続けられていた公演とは一線を画す、とてつもないスケールを持ったものでした。まず、会場には、普通のミュージカル用の劇場ではなく、ロイヤル・アルバート・ホールという、あのBBCの「プロムス」でおなじみの巨大なコンサートホールが使われています。スタッフは学生ばかり(それは「アルバイト・ホール」)。収容人員7000人という比類のないキャパ、もともとコンサートのためのステージしかなかったものを逆手にとって、ホール全体を使っての演出が取り入れられ、出演者も通常の3倍に増やされています。さらに、すでにオペラの世界では日常的に用いられるようになった「ライブ・ビューイング」の手法によって、リアルタイムにヨーロッパやアメリカの劇場や映画館でスクリーン上に公演の模様を再現していたのです。
もちろん、この映像素材は、日本の映画館でも昨年末から大都市での上映が始まり、今でも地方都市での上演が続いています。その素材がついにBD化、この画期的なステージの模様が「お茶の間」で楽しめるようになりました。なんでも、映画館で使われたデータはコマ数を変換する時のトラブルで、音声に欠陥があったそうですが、BDではそんなことはありませんから、もしかしたら映画館よりも「良い音」で楽しめるようになっているのかもしれません。
とは言っても、やはり映像はいくら大画面モニターであっても、映画館のスクリーンとはスケールが違うのでしょうね。最初の頃は、ホール全体のアングルでは細かいところが分からず、いったい、そこで何が行われているのか的確には把握できない状態が、しばらく続いてしまいました。しかし、次第にカメラワークに慣れてくれば、その仕組みは次第にはっきりとしてきて、そこに注がれているエネルギーがいかにハンパではないことを思い知ることになるのです。
まずは、オーケストラ。このホールにはオーケストラ・ピットはありませんから、ステージの後の一段高くなったところに配置されています。出演者は、ステージの前にあるモニターで、指揮者を見ることになります。総勢45人ほどの小ぶりの編成(弦のプルト数は4-2.5-2-2-1.5)ですが、劇場のピットでのしょぼいオケに比べたら、格段に深い響きです。弦楽器はいかにもしっとりと聴こえてきますし、なによりも「序曲」などではこのホールに備え付けのオルガンが加わるのですから、そのサウンドはまさに「本物」の重厚さを持つものでした。
そして、コンサートホールを劇場に変えてしまうマジックをかなえたのが、ロック・コンサートなどでおなじみのLEDスクリーンでした。クリスティーヌがファントムに連れられてやってくる地下の湖のシーンでは、劇場と同じように床から燭台がせり出してくるのを、このスクリーンによって体験することが出来ます。背景を瞬時に変えられるのですから、場面転換も極めてスムーズに運んでいました。
そんなお膳立ての上での、劇場と同じ繊細さを持った演技や歌は、感動的でした。キャストたちはすべてハイレベルの人たちばかり、中でもファントム役のカリムルーの声の多彩さには、圧倒されてしまいます。
一応「お祭り」ですので、アンコールでは25年前のオリジナル・キャストが登場して歌うというオマケがついていました。なんとも皮肉なことですが、彼(彼女)らの「芸」によって、この作品は25年をかけてまさに「オペラ」を超えるほどのとてつもないクオリティを築き上げていたことが実証されていたのです。ほんと、OCCDを聴き直してみると、マイケル・クロフォードのファントムなどはまるでシロートです。

BD Artwork © Universal Studios
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by jurassic_oyaji | 2012-01-29 22:20 | オペラ | Comments(0)