おやぢの部屋2
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2015年 10月 05日 ( 1 )
MOZART/String Quartets K.387 & K.458
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Hagen Quartett
MYRIOS/MYR017(hybrid SACD)




モーツァルトの故郷ザルツブルクで生まれ育ったハーゲン家の4人の兄弟姉妹は、ともにモーツァルテウム音楽院で弦楽器を学び、弦楽四重奏団を結成しました。しかし、諸事情でセカンド・ヴァイオリンだけは他の人に替わり、1981年からプロとして活動を始めます。当時は元気だったドイツのDGという大レーベルに所属し、ハイドンからショスタコーヴィチまでを網羅する数多くのアルバムをリリースしました。
現在ではDGとは袂を分かち、ドイツのとても小さなレーベルMYRIOSのアーティストとして、今までに3枚のアルバムを作っていました。もうデビューから30年以上、それなりに年を重ねているはずなのに、ジャケットの写真を見ると、ハーゲン兄弟はそれぞれに美人でイケメン、髪もフサフサです。それに対して、セカンド・ヴァイオリンのライナー・シュミットだけはごく普通の風貌、さらに頭髪が少し少なめになっています。もしかしたら、ハーゲン家には、禿げんような遺伝子が伝えられているのかもしれませんね。
そして、2014年の12月に録音されたモーツァルトの「ハイドン・セット」と呼ばれる6曲の弦楽四重奏曲の中から2曲が収録された最新のアルバムがリリースされました。とは言っても、これは正式に発売されるのはまだ先の話、ドイツとオーストリアでは11月、そのほかの国でのリリースは来年の1月の予定になっています。それが、日本だけは、先ほど彼らが来日した時のグッズとして演奏会場で販売するために、どこよりも早く現物が届いていたのです。ですから、コンサートに行った人は、一足先に入手できたことになります。「フラゲ」ですね。それが、なぜかわまりまわって手元に届いてしまいました。
この弦楽四重奏団の評判はずっと昔から聞いていましたが、DG時代の録音はそれほど食指が動かなかったので聴いたことはありませんでした。それが、この家内生産的にとても素晴らしいSACDを作っているレーベルに移ったということで、まずは絶対に裏切られることのない音を味わうために聴いてみました。そうしたら、その、あまりに「モーツァルト」とは距離のある演奏に驚いてしまいましたよ。これは、「楽しい気持ちになるために」音楽を聴こうという人からは、猛反発を食らいそう。いたるところに不思議なポーズ(空白)が設けられていたり、ダイナミックスを極端に表現したり、流れるようなメロディをあちこちでせき止めたり、それこそ「喫茶店」のBGMにこそモーツァルトの音楽がふさわしいと思っているような人にとっては、「許しがたい」ものに仕上がっているのですからね。
しかし、余談ですが、その「喫茶店のBGM」ですら、そんな穏やかな音楽ばかりではなくなっているのが、今の時代です。先日「謝罪の王様」という映画のON AIRを見ていたら、その舞台となった紛れもない「喫茶店」で流れていたのは、何とも棘のある「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。よく聴いてみるとピッチも低め、おそらくピリオド楽器による演奏だったのでしょう。少し前まではこのような場所にはふさわしくないと思われていたピリオド系のごつごつとした演奏も、もはやBGMとして聴かれるだけの「市民権」を得ていたのですよ。
そう、ここで聴くハーゲンたちのモーツァルトは、まさにそんな「ピリオド系」の演奏でした。何かのインタビューで、ファースト・ヴァイオリンのルーカス・ハーゲンが「アーノンクールに多大な影響を受けた」と語っていましたが、まさにそんな、最もとんがった「ピリオド系」がここでは展開されていました。そんな、ノン・ビブラートの繊細なテクスチャーまでが再現されている録音で、この刺激的な演奏を聴くのは、至上の喜びです。

こんな、ちょっとした「手違い」は、この素晴らしい演奏と録音を貶めるものでは、決してありません。Facebookページではちゃんと謝っていることですし。

SACD Artwork © Myrios Classics
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by jurassic_oyaji | 2015-10-05 20:20 | 室内楽 | Comments(0)