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2016年 06月 28日 ( 1 )
STRAVINSKY/L'Oiseau de feu
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Dennis Russell Davies, 滑川真希(Pf)
Dennis Russell Davies/
Sinfonieorchester Basel
SINFONIEORCHESTER BASEL/SOB 10




ドイツとフランスの国境近くに位置するスイスで3番目に大きな都市バーゼルには、300年近く前から音楽文化が栄え、オーケストラの母体が存在していました。ヨハネス・ブラームスやグスタフ・マーラーが、実際にそのオーケストラの指揮をしたこともあります。そのような流れは最近まではバーゼル交響楽団(Basler Sinfonie-Orchester )とバーゼル放送交響楽団(Radio-Sinfonieorchester Basel)という2つのオーケストラとして形になっていましたが、1989年に、これらを統括する財団が設立されたことにより状況が変わります。最初のうちはそれぞれのオーケストラは独立した活動を行っていたものが、1997年に新しい「バーゼル交響楽団(Sinfonieorchester Basel)」に集約されるという、事実上の合併が行われて、1つのオーケストラとして再出発することになったのです。その時に首席指揮者に就任したのは、マリオ・ヴェンツァーゴでした。
現在の首席指揮者は2009年に就任したデニス・ラッセル・デイヴィス。彼の許で、このオーケストラは2012年に自主レーベルを発足させ、今回のCDが10枚目のアイテムとなっています。しかし、デイヴィスの任期は2015/2016年のシーズンまでで、今年の秋からはアイヴォー・ボルトンが次の首席指揮者、このオーケストラの相棒に就任することが決まっています。
この、「古くて新しい」オーケストラは、ウェブサイトなどもかなり凝った造りになっていて、外部への働きかけに積極的なような印象を受けます。この自主レーベルを飾るオーケストラのシンボル・マークも、なんか斬新な気がしませんか?

これは、オーケストラのメンバーがステージに座っている様子を表わしたものなのでしょう。ただ、これだと実際の並び方には不具合が出てしまうのは、デザインした人がオーケストラのことを良く知らなかったからなのでしょう(あるいは、なにか別の意味が込められている?)。でも、さっきのサイトでは、これをきちんと修正して、メンバー紹介のページに使っていましたね。

2014年にこのレーベルからリリースされたのが、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のオーケストラ版と4手ピアノ版とを一緒に収めたアルバムでした。今回はその続編、同じ作曲家の「火の鳥」が取り上げられています。前のアルバムは両方のバージョンが全部1枚のCDに入ってしまいましたが、今回は「火の鳥」が20分程度で終わってしまう組曲版ではなく、50分ほどかかる全曲版ですから、2枚組になってしまいました。もちろん、演奏は全く同じ、ピアノを弾くのは指揮者のデイヴィスと、その妻である現代音楽のスペシャリスト、日本人の滑川真希さんです。
まずは、ほとんど組曲版しか聴いたことのなかったオーケストラの全曲版をじっくり聴いてみます。録音がとても素晴らしく、個々の楽器がきっちり立って聴こえてきますから、組曲版とのオーケストレーションの違いなどもはっきり分かります。そんな録音のせいでしょうか、音楽全体がとても風通しが良くて、爽やかささえ感じられるのですが、この曲の場合もっとなにか泥臭いところがあった方が良いような気がします。これはライブ録音ではないようですが、ピッコロが肝心のところでいまいち冴えないのも気になります。
ピアノ連弾版を作ったのはデイヴィス自身だそうです。「春の祭典」では作曲家が用意したものがあったのでそれを演奏していたようですが、「火の鳥」ではピアノ・ソロの、単にバレエの練習用に作られたものしかなかったので、新たに作る必要がありました。デイヴィスは、オーケストラ版とこのピアノ・ソロ版とを適宜参考にして、編曲を行ったのだそうです。
ふつう、同じ曲を演奏すると、どうしてもオーケストラ版の方がテンポが遅くなりがちなのに、ここではピアノ連弾版の方が時間がかかっています。それは、有名な「カスチェイの仲間たちの地獄の踊り」が、とんでもなくもたついているため。ただでさえ退屈なピアノ版が、これではだめでしょう。

CD Artwork © Sinfonieorchester Basel
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by jurassic_oyaji | 2016-06-28 22:46 | オーケストラ | Comments(0)