おやぢの部屋2
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2016年 10月 18日 ( 1 )
RILEY/In C, Sunrise of the Planetary Dream Collector
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Ragazza Quartet
Slagwerk Den Haag(Perc)
Kapok(Jazz Trio)
CHANNEL/CCS 37816




まず、このパッケージが秀逸。インフォの写真では文字情報も入っているようになっていますが、現物はこれだけ、写真では何のことか全然分からないでしょうが、これを実際に手に取ってみるとその意味が分かります。



CD本体が入ったデジパックがさらに筒状のカバーの中に入っているのですが、そのカバーには斜めに細いスリットが無数に入っています。その中でこのデジパックを動かすと、こんな風に「モアレ効果」で大きな波が動き出すのですね。

「モアレ」というのは、30過ぎではなく(それは「ハダアレ」)「ミニマル・ミュージック」を語るときによく使われる言葉、それを、このパッケージで実際に体験できるということなのです。こればっかりは音源配信では全く伝わらないでしょう。
これは、その「ミニマル・ミュージック」の代表的な作曲家テリー・ライリーの、まさに代表的な作品「In C」が収められたアルバムです。1964年に作られたこの作品の楽譜には、53個のメロディの断片が書きつけられているだけ、それぞれは、最も短いもので半拍(十六分音符2つ)、最も長いものは休符も含めて32拍もあります。それを、任意の楽器を演奏する任意の人数のメンバーが、それぞれ最初から順番に、あるいは途中を飛ばしたりしてそれぞれの断片を好きなだけ繰り返す、というのが「ルール」です。この「楽譜」はIMSLPでも公開されていますから、探してみてください。
今回のCDのアーティストは、オランダの巨乳の女性ばかりの弦楽カルテット「ラガッツァ・カルテット」。これまでにこのレーベルから2枚のアルバムをリリースしていますが、それぞれにとてもユニークなアプローチが評判を呼んでいたようです。今回はライリーの作品が2曲取り上げられていて、そこに他の団体も参加しているというのが、やはりユニークさを際立たせています。その「他の団体」というのは、「デン・ハーグの打楽器奏者たち」という4人のメンバーによる打楽器アンサンブルと、「カポック」という名前のジャズ・トリオです。「トリオ」とは言っても、オーソドックスな編成ではなく、なんとホルンとギターとドラムスという、こちらもユニークなメンバーが集まった団体です。ですから、このアルバムの本当のタイトルは「Four Four Three」という、それぞれの団体の人数を羅列しただけというとてもシンプルなものでした。
「In C」では、「Four」と「Four」、つまり、弦楽四重奏に打楽器が加わった編成で演奏されています。そもそもライリーが指定した「音」は、その楽譜にあるフレーズだけですが、もちろん打楽器の中にはマリンバなども含まれていて、そこではきちんとそのフレーズが演奏されているものの、ここでは「リズム」としての参加が目立っています。もちろん、それは単なるメトロノーム的なパルスではなく、それ自身がライリーの指定を超えた自由なフレーズを作り上げているという、とても積極的な関わり方です。
ラガッツァ・カルテットのメンバーも、彼女たちの楽器だけでなく、「声」まで動員して、フレーズに彩りを添えています。それが、とても正確なソルフェージュなのには、感心させられます。こんなのを聴くと、合唱だけで「In C」を演奏したくなってきますね。
久しぶりにこの「古典」(実は、初演から半世紀経っています)で、「モアレ効果」を体験してみると、同じ「ミニマル」とは言っても、もう一方の雄、スティーヴ・ライヒとは根本的なところで音楽の意味が異なっていることに気づきます。そもそも、あちらは楽器も、そして楽譜も厳格に指定されていますし。
もう1曲は、1980年にクロノス・カルテットのために作られた「Sunrise of the Planetary Dream Collector」。この頃になるとライリーの作風もだいぶ変わってきて、これは北インドの民族音楽が素材となっています。これも、ホルンやコルネットが入ったジャズ・トリオとのコラボで、クロノスのものとは全く別の世界が繰り広げられています。

CD Artwork © Channel Classics Records bv
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by jurassic_oyaji | 2016-10-18 20:58 | 現代音楽 | Comments(0)