おやぢの部屋2
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2016年 11月 03日 ( 1 )
HAYDN2032/No.3
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Francesca Aspromonte(Sop)
Giovanni Antonini/
Il Giardino Armonico
ALPHA/ALPHA 673(LP)




ほんの4年先の2020年の東京オリンピックでさえ、まだきちんとした計画が出来ていないというのに、そのさらに12年先、2032年を見据えてのプロジェクトなどというものを考えている人たちがいるんですね。それは、「ヨーゼフ・ハイドン財団」と、ALPHAレーベル。その年は、ハイドンが生まれてから300年という記念すべき年なので、それまでに彼の全交響曲を録音しよう、というもののようですね。やはり今の時代、このぐらい時間をかけないと100曲以上の交響曲を録音することはできないのでしょうか。というか、16年後には果たして「レコード」(CDなども含めたフィジカルな媒体)というものが存在しているかどうかも分からないというのに。
アンタール・ドラティが最初にハイドンの交響曲全集を作った頃はまだレコード業界は元気でしたからDECCAは1969年からたった4年で録音を完了させてしまいました。しかし、次に同じことを企画したアダム・フィッシャーは、途中でレーベル自体がおかしくなってしまうという事態に遭遇して、結局1987年に始まった全曲録音(NIMBUS/BRILLIANT)が完了するのはその14年後でしたからね。その間にフィッシャーの演奏スタイルは変わってしまいます。
その後、1995年から2006年にかけては、デニス・ラッセル・デイヴィスがライブ録音による全集(SONY)を完成させています。
それらは、いずれも30枚以上のCDになっています。実は、今回のアントニーニによるハイドン・ツィクルスのリリースは、2014年に始まっていました。それから2年経ってやっと3枚目のアルバムが出たというのですから、このペースでは果たして2032年までに終わるのか、という危惧さえも抱いてしまいます。
これまでの2枚は確かCDだけのようでしたが、この3枚目では何を思ったのか、LPも同時にリリースされています。CD1枚分の曲を収めるためにそれは2枚組のLP、豪華なリネン装のダブル・ジャケットは、厚ぼったい写真集まで入っていてまるで特別な理念が込められた工芸品、1000組限定発売で、シリアル・ナンバーまで付いています。しかも、そこにはCDも同梱されているだけではなく、ダウンロード・コードが記入された紙が入っていて、音源データを入手することもできます。もちろんタダで。

と、そこまでは何とも気前のいい話なのですが、その音源はなんとMP3なんですよ。LPまで出しているのですから、ここは当然ハイレゾでしょう。そんな勘違いは、LP本体にも及びます。このジャケット、見かけは豪華なのですが、LPを出し入れしようとするととても窮屈な思いをしなければいけません。LPなんか作ったことのない人が、とりあえずサイズだけ合えばいいだろうと適当に作ったという感じ、さらに、ここには帯が巻かれているのですが、それは「横」に巻かれているのですよ。ということは、そのままではLPは出せない、ということになりますね。普通、帯は「縦」に巻くものだ、ということを知らなかったのでしょう。
そして極めつけは肝心のLPの盤質の悪さ。サーフェス・ノイズはLPの宿命ですが、それが異様に大きすぎます。カッティングのレベルが低いことも手伝って、もう最初から最後までノイズだらけのものを聴かなければなりません。
結局、まともに聴けるのはCDだけ、ということになってしまいますが、それも曲順の表記が間違っています。何のためにこんな「豪華な」ものを買ってしまったのか、一生悔み続けることでしょう。

収録曲も、このジャケットでは全く分かりません。「SOLO E PENSOSO」というのは、カップリングのコンサート・アリアのタイトル、交響曲は「4番」、「42番」、「64番」、それにオペラ「無人島」の序曲が入っています。演奏はさすがアントニーニ、とても刺激的でメリハリのきいたもので、ハイドンもついにここまで、と思わせられますが、緩徐楽章での弱音器を付けたヴァイオリンの繊細なニュアンスは、CDでは伝わっては来ません。

LP Artwork © Joseph Haydn Stiftung & Alpha Classics
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by jurassic_oyaji | 2016-11-03 21:55 | Comments(0)