おやぢの部屋2
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2016年 12月 29日 ( 1 )
MOZART, NIELSEN/Flute Concertos
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Juliette Bausor(Fl)
Jaime Martin/
Royal Northern Sinfonia
SIGNUM/SIGCD467




2016年の7月にロンドン・フィルの首席フルート奏者に就任したばかりのジュリエット・ボウザーが、まだロイヤル・ノーザン・シンフォニアの首席奏者時代、2015年の6月に、その頃の同僚をバックに録音した協奏曲のアルバムです。
彼女は1979年にウォリックシャーに生まれたイギリス人ですが、名前のスペルがフランスっぽいので、ジュリエット・ボソーと表記しているサイトがあって、それがネットでかなり拡散しているようです。でも、ここはやっぱり「ボウザー」ぐらいの方がいいような気がしませんか。というか、このナクソス・ミュージック・ライブラリーのいい加減な表記は生まれつきのものでしょうから、いまさらなくそす(なくす)ことは出来ないのでしょう。
ごく最近聴いたルーラントのアルバムでは、バッハとペンデレツキというとんでもないカップリングで驚かされましたが、その時は特に必然性はないただの偶然だったので安心したことがあります。しかし、今回のボウザーが選んだフルート協奏曲は、モーツァルトとニルセンですって。それを、2日間のセッションで録音しているのですから、これは最初から「狙った」選曲に違いありません。もはや、今の時代の音楽媒体では、モーツァルトの協奏曲だけをまとめるような名曲志向では、なかなか差別化が図れずに苦戦することは分かっているので、あえてこんな突拍子もない組み合わせで意表をつくことが必要になっているのかもしれませんね。
前半は、モーツァルトのト長調の協奏曲と、オーケストラとフルートのための「アンダンテ」、さらに、ヴァイオリン曲をフルートで演奏している「ロンド」という、まさに「フルート名曲集」といった趣のラインナップで迫ります。しかし、バックのロイヤル・ノーザン・シンフォニアは、かつてはフルーティストとしても活躍していたスペイン出身の指揮者、ハイメ・マルティーンの煽りに乗せられて、「名曲」としての振る舞いを放棄しているようでした。第1楽章のテーマなどは、シンコペーションでおとなしくフルートの伴奏を務めていればいいものを、ことさらその弱拍のアクセントで流れを断ち切ろうとしています。
それを迎え撃つボウザーのフルートも、やはり、爽やかに流れるようなものは期待できません。何か深い思慮に支えられたような、まるでモーツァルトって素直に楽しんではいけないものなのではないか、と思わせられるような吹き方にはたじろいでしまいます。そこで、一瞬聴きなれないフレーズが現れました。

60小節目の最後から3番目の音符(A)が、1オクターブ高く演奏されていました。その2小節先で全く同じフレーズが出てくる時にはきちんと楽譜通りですから、もしかしたらそのような新しい楽譜が出ているのでしょうか。別にこれはライブ録音ではありませんから、もし仮に「吹き間違い」だったとしても、誰かは気が付くはずですし。
第2楽章はとても美しいメロディをたっぷり歌う、というのではなく、やはり内面を深く追及しているような「深さ」が感じられます。そして、第3楽章も軽やかさはあまり感じられません。
「アンダンテ」と「ロンド」も、そんな普段聞きなれた「モーツァルト」とはちょっと違う重ったるさがあったので、ちょっと辛くなりかけた時に、ニルセンが始まりました。これが、とても素直に心に入ってくるのですね。この曲は今まで何人ものフルーティストの演奏で聴いていましたが、その都度何か壁がはだかってあまりなじめない、という印象があったのですが、今回は全然違います。何がそうさせたのかは分かりませんが、それぞれの楽章のテーマはすんなり聴こえてくるし、それぞれの変奏もとても納得のいくものとして聴こえてきました。この人は、こういう曲で本領を発揮できるのかもしれませんね。この選曲が最初から狙ったものであったのなら、すごいことです。

CD Artwork © Sigunum Records Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2016-12-29 21:05 | フルート | Comments(0)