おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
2017年 01月 21日 ( 1 )
BRUCKNER/Symphony No.8
c0039487_20471072.jpg



Karl Böhm/
Berliner Philharmoniker
TESTAMENT/SBT 1512




往年の名指揮者カール・ベームは、ドイツ・オーストリア系の作曲家の作品を演奏することには定評があり、数多くのレコーディングを残しています。しかし、それはもっぱらかつてのスタンダードであるベートーヴェンやモーツァルトに限られたことであって、ちょっと新し目のファンが喜ぶマーラーやブルックナーあたりはほとんど目に付かないのではないでしょうか。いや、確かに、マーラーに関してはおそらく交響曲のアルバムは全く出してはいないはずですが、ブルックナーに関しては、コンサートではちゃんと取り上げていました。なにしろ、ブルックナーの交響曲第4番を、世界で初めて録音したのは、ほかならぬベームなのですからね。それは、1936年頃にドイツのEMIであるELECTROLAに録音したもので、オーケストラはザクセン・シュターツカペレ(現在のドレスデン・シュターツカペレ)でした。しかも、その頃はブルックナーの弟子によって改竄された楽譜しか出版されていませんでしたから、当時の指揮者、フルトヴェングラーとかクナッパーツブッシュなどは、「改訂版」と呼ばれるそれらの楽譜を使って演奏していたのですが、ベームは新しく出版された原典版(その時はハース版)を使っていたのですからね。
ただ、その後はDECCAやDGといったレーベルはすでに他の指揮者によるブルックナーの交響曲の録音を持っていましたから、レパートリーが重なるためにベームに録音をさせることはありませんでした。それでも、1970年代になって、やっとDECCAで3番と4番、DGで7番と8番を、それぞれウィーン・フィルと録音することが出来ました。
ただ、8番ではそのような正規の「商品」ではない、ラジオ放送用の音源などを使ったブートレグまがいのものは、ウィーン・フィルのものをはじめ、ベルリン・フィル、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団、バイエルン放送響、北ドイツ放送響、ニューヨーク・フィルなどとの録音が残っています。そのベルリン・フィルとの1969年の録音が、今回晴れてTESTAMENTから正規品としてリリースされました。
これには、もう一つポイントがあります。それは、ここで1番フルートを吹いているのは、このコンサートの数か月前に入団したばかりのジェームズ・ゴールウェイだ、ということです。ベームがDGでベルリン・フィルと精力的に録音していたのはゴールウェイが入団する前のことでしたが、1970年にかろうじて「ポストホルン・セレナーデ」で共演出来ていました。そこでのゴールウェイのソロは、とても伸び伸びとした素晴らしいものでした。
ベームという人は、ライブとセッション録音とではだいぶ演奏に対する姿勢が違っているようです。ブルックナーの8番でも、演奏時間を比べるとライブは72分とか74分といった感じですが、DGでのセッション録音は82分ですから、テンポだけでもかなり違っています。それだけ、ライブの方が勢いのある演奏になっているのではないでしょうか。
この1969年のベルリン・フィルとのライブも、かなりサクサクと進むスピード感にあふれるものでした。そこでのゴールウェイは、なんだかちょっと居心地が悪かったのでは、というような気がします。ソロで本当はもっと歌いたいのに、指揮者が先に行ってしまうもどかしさ、みたいなものが何となく感じられてしまいましたね。
実はゴールウェイは、1975年、このオーケストラを去るちょっと前に、この曲をカラヤンの指揮で演奏しています。それは、まさにゴールウェイのやりたかったことがカラヤンによって引き出されたような素晴らしいものでした。特に、カラヤンはハース版を使っていますから、ノヴァーク版で演奏されたベームの時にはカットされていた第4楽章の「O」と「P」の間にあるフルート3本の長大なソリを嬉々として吹いていました。

やはり、フルーティストであれば、この曲はハース版をつかってちょうだい、と言いたくなるのでしょうね。
[PR]
by jurassic_oyaji | 2017-01-21 20:51 | オーケストラ | Comments(0)