おやぢの部屋2
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2017年 02月 02日 ( 1 )
Polska/Choral Works by Penderecki, Szymanowski, Górecki, Lutosławski, Haubenstock-Ramati
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Marcus Creed/
SWR Vokalensemble
SWR/19017CD



HÄNSSLERからNAXOSに移行したSWRレーベルは、最初のうちは以前と同じ品番をそのままつけていましたが、最近になって独自の番号の付け方に変わっていますね。パートナーが変われば、身も心もオトコの流儀に変わる女心、みたいなものなのでしょうね。
そんな環境の変化にもかかわらず、このクリードとSWRヴォーカルアンサンブルの国別対抗アルバムは好調にリリースを重ねています。その最新盤はポーランドです。とは言ってもショパンの合唱曲が紹介されているわけではなく(そんなのあったっけ?)登場する作曲家はシマノフスキ、ルトスワフスキ、ハウベンシュトック=ラマティ、ペンデレツキ、グレツキという、「現代」作曲家たちです。ハウベンシュトック=ラマティなんて名前、久しぶりに聞きました。
今、作曲家の名前を挙げた時には、おそらく有名な順番に従って並べたであろうタイトルには逆らって、あえて生年順にしました。ペンデレツキだけはまだご存命ですが、他の方は全てお亡くなりになっていますから「現代(modern)」作曲家ではあっても、もはや「同時代(contemporary)」作曲家ではないというところがミソ、ちょっと前の音楽を歴史的な視点で俯瞰する、といったスタンスのアルバムなのでしょう。
そういう意味で、シマノフスキあたりはまさにポーランドの「現代」音楽の始祖、的な存在になってきます。ここで演奏されているのは「6つのクルピエ地方の歌」。クルピエというのはポーランドの北東部に位置する独自の文化を持った地域ですが、そこに伝わる歌が書物として残っています。その歌詞の中から、結婚式の一連の流れを歌ったものを抜き出し、オリジナルのメロディを付けて出来上がったのがこの作品です。その音楽は、あくまで民族的な素材に忠実なものとなっていて、奇しくも同じ年(1882年)に生まれたハンガリーのコダーイとの類似点を見出すことは容易です。
これが、1933年生まれのグレツキになると、同じクルピエの歌を素材としていても、その音楽はガラリと様相を変えることになります。1999年に作られた彼の「5つのクルピエ地方の歌」では、題材も愛の歌(別れの歌も含む)から取られ、音楽はあくまで流れるようなこの頃のグレツキの作風に沿ったものになっています。メロディは洗練され、同じパターンが幾度となく波のように押し寄せる、という、いわば「ヒーリング」的な音楽ですね。
ペンデレツキの場合も、この中の「ケルブ賛歌」(1987年)や「Veni, creator spiritus」(1989年)を作ったころには、どっぷりとこの「ヒーリング」の作風に浸かっていました。「ケルブ」はロシア正教の聖歌、「Veni」では、かつての「Stabat mater」(1962)の厳しいイディオムが、なんとも軟弱に引用されています。
この作曲家がこのような「変節」を完了したのは1973年のことですが、彼の先輩のハウベンシュトック=ラマティの場合は、1970年に「Madrigal」を作った時点では、若き日のペンデレツキをもたじろがせるほどの尖がった音楽をやっていました。この、メロディもハーモニーもない、今聴くととても新鮮に感じられる曲の前後に、ペンデレツキの甘ったるい2つの作品が演奏されているというのは、ある意味快挙です。
最後に演奏されているのは、ルトスワフスキが1951年にポーランド軍からの委嘱によって作った「兵士のテーマによる民謡集」からの抜粋です。元々は男声合唱のための曲でしたが、それを1968年生まれの、まぎれもない「現代」作曲家、パヴェウ・ウカシェフスキが混声合唱用に編曲したバージョンで歌われています。
SWVヴォーカルアンサンブルの、それぞれの曲に応じた適応性には驚くべきものがあります。それだからこそ、同じ「ポーランド」とは言ってもさまざまな作曲家が登場していたことが如実に分かるのでしょう。というか、グレツキとハウベンシュトック=ラマティを、同時にこれだけの共感をもって歌えるなんて、すごすぎます。

CD Artwork © Naxos Deutschland Musik & Video Vertriebs-GmbH

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by jurassic_oyaji | 2017-02-02 20:16 | 合唱 | Comments(0)