おやぢの部屋2
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2017年 02月 04日 ( 1 )
STRAUSS/Elektra, Der Rosenkavalier(Suites)
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Manfred Honeck/
Pittsburgh Symphony Orchestra
REFERENCE/FR-722SACD(hybrid SACD)



ホーネックとピッツバーグ交響楽団とのこのレーベルでのデビューアルバムが、たしかシュトラウスの交響詩だったのではないでしょうか。それから多くの作曲家の曲を録音してきて、おそらく6枚目となるこのアルバムでまたシュトラウスに帰ってきました。あ、もちろん「ヨハン」ではなく「リヒャルト」の方ですからね。
ただ、今回は交響詩ではなく、オペラの中の曲を集めた「組曲」でした。しかし、「ばらの騎士」の方は普通に使われるアルトゥール・ロジンスキの編曲ですが、「エレクトラ」の方は新たにホーネック自身が構成を考えて、トマーシュ・イレという作曲家が実際に編曲したという、これまでもヤナーチェクの「イェヌーファ」やドヴォルジャークの「ルサルカ」でとったのと同じ手法による組曲です。ですから、これは初めて録音されたものになるのでしょう。
「エレクトラ」についてのホーネックの思い入れは、かなりなものがあるようです。彼が初めてこのオペラを体験したのは、まだウィーン・フィルの団員だった頃にクラウディオ・アバドの指揮で演奏した時のことだったそうです。その時のオーケストラのサウンドには圧倒されてしまい、まるでこのオペラの主人公はオーケストラのようだと感じたのです。そして、なぜ、今までこれをオーケストラの曲に編曲した人がいないのか、とても不思議だったそうです。たしかに、ここでのオーケストラは多くの楽器が加わって人数もかなり多くなっていますから、それはかなり困難を伴うことなのでしょうが、いつかはそれを演奏してみたい、とずっと思っていたのでしょうね。そんな長年の夢が、ここでかなうことになりました。
出来上がったオーケストラ曲は、オリジナルのオペラとは全く異なった様相を見せていました。そもそも、オペラでは冒頭に1度だけ奏される印象的なアガメムノンのテーマ(「ボルガの舟歌」に似てませんか?)は、このホーネック版では2回繰り返されているのですからね。
オペラではどうしても耳に入るのは歌手たちの歌う声、「エレクトラ」の場合、それはあまりリリカルなものではなく、正直聴いて魅力を感じるようなものではありません。でも、それを取り去ってオーケストラだけになると、そこには様々なテーマ有機的に結びついて、なんとも雄弁に物語を綴っていました。ですから、これを聴くと、まるで最初からシュトラウスが「交響詩」として作ったのではないか、と思わせられてしまうほどです。
演奏も、とても緊張感があふれる素晴らしものでした。何よりも聴きごたえがあるのが、本当に小さな音で不気味な雰囲気を醸し出している部分です。これだけやってしまうと、歌がなくても完全に音楽として成立しているのではないでしょうか。いや、もしかしたら、へたに歌を入れるよりこちらの方がコンパクトに「エレクトラ」の世界が味わえるのかもしれません。
「ばらの騎士」の方は、そもそもの音楽の作られ方が「エレクトラ」とは異なっていますから、この組曲からはきっちりとオペラの世界が広がってきます。そうなると、もろにこのオペラに必要なセンスというか、「色気」のようなものが求められるのですが、この演奏ではそれがちょっと欠けているような気がしてなりません。「銀のばらのモティーフ」は録音のバランスもあるのでしょうが、絶対に聴こえて欲しいチェレスタのきらめきが全く感じられません。そして、「オックス男爵のワルツ」も、何とも鈍重なリズム感に支配されています。このあたりが、アメリカのオーケストラの苦手なところなのかもしれませんね。
録音そのものは、いつものようにとても生々しい音で、パワーも繊細さもきちんと感じられるのですから、やはりオーケストラのセンスにちょっと難があった、ということなのでしょう。こればっかりは、いくらホーネックがを折ってもどうなるものではなかったのかもしれません。

SACD Artwork © Reference Recordings

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by jurassic_oyaji | 2017-02-04 20:45 | オーケストラ | Comments(0)