おやぢの部屋2
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2017年 02月 07日 ( 1 )
WAJNBERG/Works for Flute
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Antonina Styczeń(Fl)
Zuzanna Federowicz(Hp)
Paweł Czarny(Va)
Wojciech Rajski/
Polish Chamber Philharmonic Orchestra Sopot
TACET/232


1991年に生まれ、ジャック・ゾーンなどに師事したという、ポーランドのフルーティスト、アントニーナ・スティチェンのソロ・アルバム、名前すら知りませんでしたから、もちろん彼女の演奏はここで初めて聴くことになります。でも、音を聴く前に、このジャケットの写真でインパクトを与えられてしまいました。彼女の横に本物の馬が顔を摺り寄せていますね。なんでも、彼女はフルート以外にも乗馬でチャンピオンを目指しているのだそうです。
彼女の音は、とても素晴らしいものでした。高音は伸びがあって、キラキラ輝いています。そして、低音が、それほどパワーはないのですがその代りとても繊細な音色の変化が出せています。こういう、ただ弱いだけではない、しっかりと芯がある中で倍音を無くしてピアノの音色を出すという技は彼女の最大の「武器」になるはずです。
ここで演奏されているのは、1919年にポーランドに生まれ、当時のソ連に亡命してソ連の作曲家として一生を終えたヴァインベルクのフルート作品です。2曲の協奏曲は、こちらで聴いていましたが、それ以外の「フルートと弦楽オーケストラのための12のミニアチュール」と、「フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ」は今回初めて聴きました。
最も若いころ、1945年に、フルートとピアノのために作られた「ミニアチュール」は、その名の通り1分ほどの小品を12曲集めた曲集です。一夜の過ちではありません(それは「アヴァンチュール」)。1983年にピアノ伴奏を弦楽オーケストラに編曲したバージョンが、ここでは演奏されています。それぞれの曲はしっとりと歌うものから超絶技巧を誇示するものまでそれぞれ特徴を持っています。また、1曲目の「Improvisation」はずっとフルートだけで演奏されていたものが、最後だけ伴奏が付いて一緒に終わるようになっていますし、7曲目の「Öde」では逆にずっと伴奏だけで、最後にフルートが一吹き、というちょっとユーモラスなところも見せています。8曲目の「Duett」で聴くことのできる彼女の低音のピアニシモは絶品ですよ。全体に新古典派風の作り方ですが、なにかアイロニカルな側面が顔をのぞかせています。
1961年に、親交のあったルドルフ・バルシャイが指揮をしていたモスクワ室内管弦楽団のフルート奏者、アレクサンドル・コルニエフのために作られたのが、「フルート協奏曲第1番」です。ここでのオーケストラは弦楽器だけの編成です。全体にプロコフィエフによく似たテイストを持っていますが、もう少し親しみやすい感じでしょうか。第1楽章の軽やかなテーマはドップラーの「ハンガリー田園幻想曲」の最後に出てくるテーマととてもよく似ています。第2楽章でのスティチェンのピアノの低音も素敵ですが、この楽章はもっと歌ってほしいような気もします。最後の楽章は陰のあるワルツで、ヴァイオリンソロとの掛け合いがスリリングです。
もう一つのフルート協奏曲は作曲家の晩年、1987年にやはりコルニエフのために作ったものです。作風は前の協奏曲とは大きく変わり、不思議な浮遊感が漂っています。最後の楽章に唐突にグルックの「精霊の踊り」とバッハの「バディネリ」が引用されているのは、友人だったショスタコーヴィチの影響でしょうか。
もう一つ、1979年に作られたのが、「フルート、ヴィオラ、ハープのためのトリオ」です。この楽器の組み合わせはドビュッシーの「ソナタ」と同じ。武満の前に、この編成で曲を作っている人がいたんですね。この曲もやはり3つの楽章から出来ていて、最初の楽章ではドビュッシーからの引用が見られますが、なんともダークな雰囲気に支配されています。真ん中の楽章で使われているフラッター・タンギングは、その不気味さを助長しています。
このレーベルは録音の良さでは定評がありますが、これは普通のCD。やはり、いつものBD-Aだったら、弦楽器がもっと柔らかく聴こえただろうに、と思ってしまいます。

CD Artwork © TACET

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by jurassic_oyaji | 2017-02-07 22:57 | フルート | Comments(0)