おやぢの部屋2
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2017年 03月 02日 ( 1 )
BACH/Johannes-Passion
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Verokika Winter(Sop), Franz Vitzhum(CT)
Andreas Post(Ten), Christoph Schweizer, Thomas Laske(Bar)
Rainer Johannes Homburg/
Stuttgarter Hymnus-Chorknaben
Handel's Company
MDG/902 1985-6(hybrid SACD)


全く聞いたことのない指揮者と合唱団、アンサンブルが演奏している「ヨハネ」ですが、どんなサプライズが潜んでいるかわかりませんから一応聴いてみました。とりあえず、ソプラノのヴェロニカ・ヴィンターだけは、例えばシューマン版の「ヨハネ」で知っていましたから。でも、よく見たらアンサンブルの中にヒレ・パールがヴィオラ・ダ・ガンバで参加していましたね。これはもうけもの、さらに、彼女のパートナーのリー・サンタナまで、リュートで加わっていました。ヒレの方はちゃんと写真入りのプロフィールが紹介されているのに、リーはその中にちょっと登場するだけ、というのがかわいそう。
そのほかに、なにか珍しい楽器がないかと録音の時の写真を見てみると、そこには「コントラ・ファゴット」の姿がありました。バロック時代の楽器ですから、長さが3メートル近くもあるので、すぐに分かります。ということは、もしかしたらこのあたりの楽器が補強されている「第4稿」を使って演奏しているのでしょうか。
その件に関しては、指揮者のホムブルク自身が書いたライナーノーツに、明確な説明がありました。
1749年に、バッハはこの曲の4度目の演奏を行った。そこで彼は、それまでの演奏の中で行った改訂をすべて捨て去って、25年前のオリジナル・バージョンに立ち戻った。ただ、楽器編成だけは少し大きくした。特に、通奏低音はコントラ・ファゴットまで加えて拡大されている。ここで録音されているのは、そのバージョンだ。
これだけ読むとその「1749年」に演奏された「第4稿」がここでは使われている、と普通は思いますよね。でも、この演奏で使われている楽譜はごく一般的な「新バッハ全集」であることがすぐ分かります。もちろん、それは1749年に使われた楽譜ではありません。先ほどの指揮者のコメントで楽器編成のことが述べられていましたが、それに関してはただコントラ・ファゴットを加えただけで、「第4稿」で行われたその他のもっと重要な楽器の変更(たとえば20番、35番などのアリアのオブリガート)は全くありませんでした(このあたりの詳細はこちらで)。
そんなわけで、ここではまた一つ「1749年に使われた楽譜」についての誤解が生んだ悲劇が誕生していました。
でも、確かに実際にコントラ・ファゴットを加えた演奏は非常に珍しいものですから、そのサウンドにはインパクトがあります。ポジティーフ・オルガンでは出せない低音が、ビンビン聴こえてきますからね。
さらに、合唱が「少年合唱」というのも、ちょっとユニーク。本当はこれがバッハ時代のサウンドなのでしょうが、最近ではなかなか聴く機会がありません。というか、このアルバムはこの少年合唱をメインとしたものなのでしょう。「シュトゥットガルト少年聖歌隊」というこの団体は、なんでも1900年までその起源が遡れる長い歴史を持っているのだそうです。そこの6代目の指揮者に2010年に就任したのが、ここでの指揮者ホムベルクです。そして、彼が1999年に設立した「ヘンデルズ・カンパニー」というピリオド楽器のアンサンブルが共演しています。
この合唱、もちろんテナーとベースのパートは「青年」が担当していますが、それもかなり「若い」音色なので、少年たちともよく調和して、全体としてはとてもまろやかなサウンドを聴かせてくれます。その、あまり芯のないフワフワとした感じがなんとも言えない「癒し感」を与えてくれますし、そんな声とはちょっとミスマッチに思える、群衆の合唱のポリフォニーもなかなかのもので、不思議な充足感を味わえます。
同じような軽い声でアリアも歌っているエヴァンゲリストのポストも、そんな流れとはぴったり合っています。とても心地よい「ヨハネ」を聴くことが出来ました。こんなデタラメな楽譜ではなく、ちゃんとした「第4稿」だっタラレバ

SACD Artwork © Musikproduktion Dabringhaus und Grimm

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by jurassic_oyaji | 2017-03-02 19:53 | 合唱 | Comments(0)