おやぢの部屋2
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2017年 05月 11日 ( 1 )
Electronic Sound
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George Harrison
ZAPPLE/02


先日「ザップル・レコード興亡記」を読んでとても気になってしまったジョージ・ハリスンの「Electronic Sound」を実際に聴いてみることにしました。ビートルズ時代のジョージはとても好きだったのですが、ソロになってからのアルバムなどは全く興味がなかったのでどれも聴いたことはありませんでした。今回チェックしてみたら、やはり元ビートルズとあって、それらのアルバムはとても手厚い待遇を受けていたことが分かりました。CD化された後でも、何回もリイシューが繰り返されていたのですね。なんと、今年の2月にはジョージのすべてのソロ・アルバム13枚が、紙ジャケット仕様でリリースされていました。それは国内盤のみのことなのだそうです。なんでも、国内でLPが発売になった時の「帯」までが、ミニチュアで復刻されているのだとか。しょうもない気がしますが、マニアにはたまらないのでしょう。
この「Electronic Sound」は、オリジナルは1969年のLPですが、それは普通のシングル・ジャケットで、録音データなどは中袋に印刷されていたようですね。今回入手したのは、2014年に新たにリマスタリングが行われた輸入盤CD、それはダブル・ジャケット仕様の紙ジャケットで、CDはLPの中袋をほぼ忠実に再現したものの中に入っています。
このCDには、オリジナルにはなかったブックレットが入っていて、そこには多くの写真と、2014年に新たに書き下ろされたライナーノーツが掲載されています。それらは資料としてはとても興味深いものでした。まず、ダブル・ジャケットの見開きの部分に、ジョージ自身が購入した「モーグ」の、2014年に撮影された写真があるのが感激ものでした。それは、「モーグIIIP」という、ポータブル・タイプでした。
さらに、ブックレットではこの同じ楽器が「アビー・ロード」のセッションで使われた時の写真なども見ることが出来ます。ライナーノーツによると、それは確かにこのアルバムが録音された時に使われたもので、1969年の8月にアビーロード・スタジオに運び込まれたのだそうです。他のデータによると、セッションでこれが使われたのは8月5日から19日までの間ですから、それは間違いありません。「アビー・ロード」には、しっかりジョージの「モーグ」が使われていたのでした。
ただ、この写真ではセットアップを行っているのがジョージ・マーティンのようで、ジョージをはじめ、他のメンバーはそれを眺めている、という感じに見えてしまいます。おそらく、音を作ったのはすでに同じものを持っていて使い慣れていたジョージ・マーティンだったのでしょうね。ジョージたちは単にキーボードでフレーズを演奏しただけなのでしょう。
もちろん、中袋のデータでもわかるように、1曲目の「Under the Mersey Wall」が録音されたのは1969年の2月ですから、ジョージがこの「モーグ」を入手した直後なのですが、2曲目の「No Time or Space」が録音されたのが1968年の11月、しかも録音場所はカリフォルニアなのですから、これと同じ楽器ということはありえません。この点こそが、「興亡記」でもしっかり述べられ、今回のライナーノーツでも語られていることなのですが、この曲を実際に「演奏」していたのは、「アシスタント」というクレジットがあるバーニー・クラウスに間違いないでしょうね。そのカリフォルニアでのセッションが終わってから、ジョージがクラウスに頼んでデモ演奏をしてもらったものを無断で録音して、それを編集しただけだ、というクラウスの主張は、「真実」に限りなく近いものなのでしょう。
実際にこの2曲を聴いてみると、それははっきりします。ジョージ自身が演奏した「Under the Mersey Wall」では、いかにも偶然に出来た音を羅列したという感じで、逆にそれがまるでジョン・ケージの作品のような味を出しているのに対して、「No Time or Space」の音は、明らかにこの「モーグ」の操作に熟達した、確かな意思を持って作り上げられたものなのですから。

CD Artwork © G. H. Estate Limited
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by jurassic_oyaji | 2017-05-11 20:24 | ポップス | Comments(0)