おやぢの部屋2
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2017年 06月 03日 ( 1 )
FJELLHEIM/Northern Lights
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Frode Fjellheim(Vo)
Tove Ramlo-Ystad/
Cantus
DECCA/481 4814


ノルウェーの女声合唱団「カントゥス」のアルバムで、ノルウェーの2Lレーベルから2015年にリリースされた「SPES」については、以前にご紹介していました。その後、このアルバムはグラミー賞の録音部門にノミネートされていましたね。受賞は逃したようですが。そのアルバムは、この合唱団にとっては7枚目となるものでした。ただ、それ以前の6枚はすべてインディーズ・レーベルのもので、インターナショナルに流通されるCDとしてはその2L盤が最初となっていたはずです。
1986年に、現在の指揮者トーヴェ・ラムロ=ユースタによって創設されたこの合唱団のメンバーは、全員がアマチュアですが、それぞれの音楽に対する真摯な姿勢は、とても熱いものがあるのだそうです。世界各地で行われた合唱コンクールでも堂々たる成績を収めていて、その実力は折り紙つきです。もちろん、それだけでは単なる「上手な合唱団」で終わってしまい、全世界でリリースされているレーベルからアルバムがリリースされるほどの「商品価値」はありません。彼女たちは、先ほどのレビューにもあったように、ディズニーのアニメのサントラに起用された、という幸運によって、一夜にして世界を相手に出来る合唱団になっていたのです。
その、「Frozen」のオープニングで、まるでミュージカルのオーバチャーのような扱いで登場するのが、彼女たちによって歌われた「ヴェリイ(Vuelie)=歌」というア・カペラの曲でした。この曲を作ったのが、指揮者のラムロ=ユースタとは音楽大学時代からの知り合いで、自身も サーミ人でノルウェーの民族音楽の伝承者である作曲家のフローデ・フェルハイムです。彼は、この合唱団とは創団時からなにかと相談を受けていたそうで、1996年に彼女らの2枚目のCDとなるクリスマス・アルバムのために「Eatnemen Vuelie(大地の歌)」という曲を作りました。これは、サーミ人独特の民族的な唱法である「ヨイク」のフレーズと、ヨーロッパ全土で親しまれている讃美歌が一緒に歌われるものです。これを聴いたディズニーの制作者から、「Frozen」のバックボーンであるスカンジナビアの世界を現すものとして、この曲を使わせてほしいというオファーが届いたのです。最終的に、その曲は少し手直しされて彼女たちによって歌われ、「Vuelie」というタイトルでサントラに流れることになったのです。冒頭ではア・カペラだったものが、最後に呪いが解ける部分でリプリーズとして再現されるときには華やかなオーケストラがバックに流れ、見るものに感動を与えるという重要な役割を果たしています。
元々力のあったこの合唱団は、この曲で大ブレイク、2LからはSACDとBD-Aというハイレゾメディアがリリースされますし、アメリカへのツアーも行われるようになりました。そして、さらにワンランクのアップが、このDECCAというメジャー・レーベルからのアルバムのリリースです。もちろん、メインタイトルは「Vuelie」、さらに、全ての曲がそれを作ったフェルハイムの作品(1曲だけは彼の編曲のみ)となっています。
「Vuelie」では、2L盤では入っていたフェルハイムのダミ声はなくなっています。さらに、編曲もキーボードとパーカッションというシンプルなものではなく、もっと大規模なオーケストレーションが施されています。その他にも何曲か同じ曲が歌われていますが、一番変わったと思えたのが、元々はヨイクだったものがベースになった「Njoktje(白鳥)」という曲です。2L盤とは歌い方も違っていて、民族的な味わいがすっかり消え去っていました。
もしかしたら、今回のアルバムも2Lのリンドベリによる録音では、と思ったのですが、そうではありませんでした。まずは、音圧が異常に高いポップス仕様のものでした。もちろんハイレゾではありませんからその音は2Lとは比較にもなりません。明らかに、そのような需要を狙ったものなのでしょう。メジャー・デビューというのは、そういうことなのです。

CD Artwork © Decca, a division of Universal Music Operateion Limited

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by jurassic_oyaji | 2017-06-03 20:19 | 合唱 | Comments(0)