おやぢの部屋2
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2017年 06月 13日 ( 2 )
RAVEL/Daphnis & Chloé
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François-Xavier Roth/
Ensemble Aedes
Les Siècles
HARMONIA MUNDI/HMM 905280


ロトとレ・シエクルのアルバムのレーベルが、これまでのActes SudからHarmonia Mundiに変わりました。とは言っても、制作スタッフは以前と同じですし、今までもディストリビューションはHMが行っていたのですから、それほど重要なことではないのでしょう。前回の「レ・ディソナンス」と同様、音源はレーベルではなくアーティストがしっかり管理している、ということなのでしょうね。
ですから、彼らは今までとは何ら変わらない、非常に価値のあるコンサート、そしてそのライブ録音によるアルバムのリリースに邁進することになるのです。最初に耳にした「幻想交響曲」こそ、演奏も録音もいまいちでしたが、その後バレエ・リュスのレパートリーに着手したあたりから、彼らはどんどん進化を始めていますからね。ただ、ジャケットのデザインは確実につまらなくなりましたし、彼らの新しいロゴマーク(右)からも、以前(左)のスタイリッシュな味はなくなっています。
今回のラヴェルの「ダフニスとクロエ」も、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が上演される1年前の1912年にバレエ・リュスの公演で初演されています。現在では3部から成る全曲から、部分的に連続して切り取った2種類の「組曲」が用意されていますが、なんと言っても第3部の冒頭を少しカットして最後まで演奏される「第2組曲」がオーケストラの重要なレパートリーとなっていて、頻繁に演奏されます。もうひとつ、やはり全曲からの第1部の最後と第2部の最初の部分を抜き出した「第1組曲」は、古い録音がいくつかあるようですが、現在ではまず演奏されることはありません。コンサートでは「全曲」か「第2組曲」という選択肢しかないようですね。
もちろん、ロトたちは全曲を演奏してくれています。例によって、楽器に対するこだわりはハンパではなく、弦楽器はガット弦、管楽器も極力20世紀初頭にフランスで作られたものが集められています。ちょっと興味深いのが、キーボード・グロッケンシュピールの表記です。ラヴェルの楽譜には「Jeu de Timblesジュ・ド・タンブル」と書いてありますが、このCDの楽器リストでは「Glockenspiel à clavier Mustel」つまり「ミュステル製の鍵盤グロッケンシュピール」となっています。私見ですが、「ジュ・ド・タンブル」といった場合には、普通はトイ・ピアノのような外観の平べったい楽器を指し示すような気がしますが、ミュステルの楽器はそうではなく、チェレスタと同じような縦型なので、そのあたりを正確に記したかったのではないでしょうか。
さらにロトは、楽譜そのものもきっちり検証し、多くの間違いを正しています。さらに、合唱の位置に対する細かい指示(「ステージの後ろで」、「ステージの上で」、「近づいて」といったもの)も、ステージの両翼を使って実現させているのだそうです。ただ、この録音では合唱が「ステージの後ろ」で歌っている部分でも、とてもくっきりと聴こえてきますから、おそらく実際の音響ではなく視覚的な効果によってその位置を表現していたのでしょう。第1部の最後で合唱がア・カペラで歌われる時には、ステージは真っ暗になっていたのだそうです。
おかげで、コンサートホールを埋め尽くした聴衆も、その録音をこのDCで聴いている人たちも、このアンサンブル・エデスという2005年に結成されたばかりの若々しい合唱団の卓越した演奏を存分に味わうことが出来ることでしょう(とてもええですよ)。この曲で、合唱がこれほど重要なパートだということに、初めて気づかされました。
オーケストラでは、管楽器は言うまでもありませんが、弦楽器のなんとも言えないソノリテはやはりこの曲からは初めて味わえるものでした。
フルート・ソロのマリオン・ラリンクールは、いつものルイ・ロットから甘い音を引き出しています。ただ、「パントマイム」の大ソロは、あくまで、アンサンブルの中のフルートという感じで、それほどの存在感はありません。

CD Artwork © harmonia mundi musique s.a.s.

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by jurassic_oyaji | 2017-06-13 23:00 | オーケストラ | Comments(0)
まだステレオ放送は始まっていません
 だんだん調子が上がってきて、ギャグもなかなか決まるようになってきた朝ドラですが、このところの展開は同じ脚本家の「ちゅらさん」そっくりになってきたのがちょっと気になりますね。いや、別に設定が同じでも全くちがう話がこれから始まるのでしょうから、そんなのはどうでもいいことです。要は、見て笑えて泣けれさえすれば、上質の朝ドラと認めてもらえるのですからね。
 時代的にも、この頃だと全く同じころに幼少期を過ごしたという世代がたくさんいることでしょうから、考証なども念がいっているようです。その時どきの実際の映像なども流すなど、同時代感をしっかりにじませているのではないでしょうか。ただ、細かいところではそんな考証が行き届かないところも出てきますから、そんなところもたかがドラマ、と言いながら許してあげるようにしましょうね。もしかしたら、作っている人はわざと間違った情報を織り込んで、見ている人を試しているのかもしれませんからね。
 ですから、こちらもきちんとそれに応えてあげなければいけません。今日のオンエアでは、かなり「気になる」部分がありましたからね。
 まずは、「事務員ではありません。オフィスレディです」というセリフ。これはちょっとギリギリ、という気はするのですが、この頃はまだ「ビジネスガール(BG)」と言っていたのではないでしょうか。もう少ししてから「BGというのはもっといやしい職業を指し示す言葉だから、オフィスレディ(OL)と言いなさい」というお触れが出ることになるのだ、というのが私の記憶です。
 もう一つ、「アプレ」という言葉も出てきましたね。確か、フランス語で戦後(アプレ・ゲール)をあらわす言葉を略したもののように記憶していますが、これなんかは私の親の世代の流行語だったような気がしてならないんですけどね。
 まあ、このあたりは、文献によっても様々ですから、確実に間違いだ、と決めつけるわけにはいきません。地域格差、というのもありますしね。
 でも、退職金代わりにもらったトランジスタラジオがアップになったとあっては、そんなことも言ってはいられません。
 なかなか精巧に作られた小道具ですが、「とと姉ちゃん」のように当時の現物を探し出してくればいいものを、なまじ丸ごとそれらしいモデルを作ろうとして、完全に墓穴を掘ってしまったようです。ちょっと見ただけでも分かる間違いが、3か所は見つかりました。
 まずは、この機械の名前。
 右下の部分をアップすると、こんな文字がありました。「FM/AM 2BAND RECEIVER」ですね。確かに、この頃はFM放送は実験段階でしたが始まっていましたから、FMとAMの2つのバンドがあるのは構いません。ただ、「レシーバー」というのは、当時はFM/AMチューナーが組み込まれていたアンプという、オーディオ機器の呼び名として定着していて、このような携帯用の機器には使われることはありませんでした。これは単なる「トランジスタラジオ」以外に呼びようのないものなのですよ。
 そして、この部分です。
 ダイヤルを合わせる目盛りが上下2段になっていますから、それぞれFMとAMとに対応しているのでしょうが、下段が「MW」となってますよ。その横には「Medium Wave」とありますから、それは「中波」の略であることが分かります。上段がFM、つまり「Frequency Modulation」なのですから、それに合わせればここはAM(Amplitude Modulation)でなければいけません。これは、それぞれ「周波数変調」と「振幅変調」のことですから、同じカテゴリーになるのですが、「Medium Wave」というのは波長のカテゴリーですから「Short Wave(SW)」つまり「短波」とセットで使わなければいけません。現物の「トランジスタラジオ」ではこんな感じですね。FMがまだ放送されていないころのラジオでは、このようにAMの「中波」と「短波」しか聴けなかったのです。
 そして、確実に間違いだと自信を持って言えるのが、「MHz、kHz」という周波数の単位です。下の「現物」では「KC」とか「MC」になっていますね。これは、当時は周波数には「C(サイクル)」という単位が使われていたためです。「C」(正確には「c/sec」)から「Hz」に変わるのは1972年のことなのですね。ですから、このドラマの時代にこんなラジオは絶対に存在していないのです。
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by jurassic_oyaji | 2017-06-13 00:08 | 禁断 | Comments(0)