おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
2017年 06月 24日 ( 1 )
MOZART/Requiem
c0039487_21043495.jpg


Stephanie Culica(Sop), Lindsey Adams(Alt)
Rev. Michael Magiera(Ten), David Govertsen(Bas)
Rev. Scot A. Haynes/
Saint Cecilia Choir and Orchestra
SONY/88985424062


いちおう、モーツァルトの「レクイエム」だったら新しい録音はすべてチェックしようと思っているところに、SONYからこんなCDがリリースされました。
現物を手にしてみると、確かにSONYのロゴは入っていますが、なんか様子が違います。コピーライトのクレジットも、制作はDe Monfort Musicという聞いたこともない名前のところで、そこからのライセンスでSONYからリリースされた、みたいな書き方でした。調べてみたら、そのDe Monfort Musicというのは2012年に創設されたばかりの、主にローマ・カトリックの合唱音楽を録音するためのアメリカの新しいレーベルででした。当初のディストリビューションはUNIVERSALでしたが、2017年の1月からそれががSONYに変わったのだそうです。分かった
そのDe Monfort Musicは、シカゴのセント・ジョン・カンティウス教会と密接な関係にあり、そこで演奏されている典礼音楽をリリースしてきているのだそうです。このモーツァルトでは、この教会で活躍しているセント・セシリア合唱団とセント・セシリア管弦楽団が演奏しています。
ブックレットにはこの二つの団体に関する説明は、一切ありません。ただ、なぜかメンバーの名前だけはすべて載っています。オーケストラの場合は、彼らの「本職」まで記載されています。それで、このオーケストラは、シカゴ・リリック・オペラとかエルジン交響楽団といった、他の団体にポストがある人たちが、一時的に集まって演奏しているものだと分かります。
さらに、ブックレットにあるのは、「レクイエム」のテキストの「対訳」ではなく、「英訳」だけです。こんなのも珍しいですね。
珍しいと言えば、ここでの指揮者のスコット・A・ヘインズという人は、名前の前に「Rev.」という「神父」を意味する敬称が入っています。つまり、神父さんが指揮をしているのですね。聖職者を目指していた人が指揮の勉強もしたのか、その逆なのかは、やはりブックレットには何の情報もないのでわかりません。さらに、テノールのソリストのマイケル・マギエラという方も神父さんなのですね。
そして、ブックレットには録音のスタッフの名前はありますが、録音場所と時期はありません。まあ、場所はこの教会なので、あえて書くことはなかったのでしょう。ただ、代理店の情報によれば、これは2016年にライブ録音されたものだということです。
確かに、ライブっぽいグラウンド・ノイズたっぷりの中で演奏は始まります。ただ、なぜか聴衆の気配が全く感じられないのが不気味です。オーケストラはかなりたくさんのマイクを使っているようで、対向配置の弦楽器がはっきりと左右に分かれて聴こえます。そして合唱が登場すると、それはオーケストラとは対照的にぼやけた音像なのには戸惑ってしまいます。ただ、定位だけははっきりしていて、左からベース、テナー、アルト、ソプラノという、ふつう見かけるのと正反対の配置になっています。さらにソリストはというと、これも一人一人にマイクが付いているような生々しい音で、なぜか右チャンネルに全員固まって定位しています。なんか、とても落ち着けないマイクアレンジとチャンネル設定、まるでステレオ初期の左、中央、右だけに楽器をおいた録音のように聴こえてしまいます。さらに、ライブ録音のせいなのでしょうか、合唱は明らかにゲイン過多で、盛大に音が歪んでいます。
ソリストは、4人とも素晴らしい声ですし、合唱もかなりの名手が集まっているように聴こえます。もちろん、オーケストラも完璧な演奏です。ところが、音楽はどうしようもなくつまらないんですね。ひたすら良い声を響かせているだけで、そこには「陰」というものが全く感じられないのです。モーツァルトは、至る所で「問いかけ」と「答」を用意していたはずなのに、ここではそれが完璧に無視されているのですね。録音、演奏とも、まっとうな商品としての体をなしていませんでした。

CD Artwork © De Monfort Music LLC

[PR]
by jurassic_oyaji | 2017-06-24 21:06 | 合唱 | Comments(0)