おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
2017年 08月 05日 ( 1 )
CALANDRELLI, FREIBERG, BEAL/Concerto for Clarinet & Orchestra
c0039487_20285791.jpg


Andy Miles(Cl)
Wayne Marshall, Rasmus Baumann/
WDR Funkhausorchester Köln
CPO/555 154-2



このアルバムのタイトルは、「Symphonic Jazz with Andy Miles」です。「シンフォニック・ジャズ」という言葉は、あのガーシュウィンに「ラプソディ・イン・ブルー」を作らせ、それを演奏したポール・ホワイトマンが目指したコンセプトなのでしょうが、それは、今回のアルバムのコンセプトとは微妙に異なっているようです。「元祖」の方はあくまで主体はジャズバンド、それにストリングスを少し加えて「シンフォニック」に迫ろうというものですが、こちらはクラシックの伝統的な編成による「シンフォニック・オーケストラ」を使って、ジャズのイディオムをふんだんに使った曲を作ろう、というものなのでしょうから。
そして、今の時代は最初からジャズとクラシックの垣根がないところからキャリアをスタートさせている音楽家がたくさんいます。ここで聴くことのできる3つの「クラリネット協奏曲」を作ったり演奏しているのも、それぞれに日常的にジャンルを超えた活動を行っている人ばかりですからね。
ここで演奏しているオーケストラはWDR(西ドイツ放送)に所属している2つのオーケストラの一つ、WDRケルン放送管弦楽団。もう一つの「ケルン放送交響楽団」の方はクラシック専門ですが、こちらはもっと幅広い音楽をいつも演奏しています。それで儲けるんですね。そして、その首席クラリネット奏者であるアンディ・マイルズが、このアルバムの主人公です。
ジャケットの写真で、彼がクラリネットを演奏していますが、その楽器を見ると「エーラー管」であることが分かります。これは、世界中でメインに使われている楽器(ベーム管)とは全く別のタイプの楽器で、主にドイツのオーケストラ奏者だけによって使われているものです。その渋い音色は、まさにドイツ・オーストリア古典派の音楽には最も適した楽器だと言われています。そんな楽器で演奏されるジャズ、ちょっと気になりますね。
最初に演奏されている協奏曲は、1939年生まれの、アメリカの編曲の世界では名前を知らない人はいないという大御所、ホルヘ・カランドレリの作品です。いかにもクラシック的なアレグロ-アダージョ-プレストという典型的な楽章配置になっていて、第1楽章あたりは近代の例えばイベールあたりの作品とよく似た、技巧的なパッセージと色彩的なオーケストレーションが魅力的なものに仕上がっています。しかし、途中からそれがガラリと変わって、小粋なジャズ風のリズムに乗った軽快なものになります。そして最後には「カデンツァ」が用意されていますがおそらくそれは演奏者に即興演奏が任されている「ソロ」のパートなのでしょう。
第2楽章は、まさにスタンダード・ナンバーのジャズ・ヴォーカルの世界が広がります。まるでムード・ミュージック(死語)のようなサウンドが、ジャジーに迫ります。しかし、最後の楽章あたりでは、弦楽器に打楽器のような演奏をさせる「現代的」な奏法まで繰り出して、ハードさも主張しています。
2曲目はこのオーケストラの委嘱によって、特にマイルズのために作られた、1957年生まれ、映画やテレビの世界で活躍しているダニエル・フライバーグの「ラテン・アメリカン・クロニクルス」という、スペイン風のテイストを持った作品です。ここでは、クラリネットのソロがオーケストラのフルート奏者と掛け合いをするシーンもありますが、そのフルートもしっかりジャズっぽいビブラートで応戦しています。
3曲目はトランペット奏者から作曲家に転身した1963年生まれのジェフ・ビールの「Riches to Rags」と「Famines to Feasts」という2つの部分から成る作品。シンコペーションのリズムが各所で大活躍です。
マイルズは、胸のすくようなテクニックで、見事にソロのパッセージを吹きまくっています。エーラー管ならではの落ち着いた音色と、控えめなビブラートが、ジャズの中にもしっかりクラシックのセンスを感じさせてくれています。
 
CD Artwork © Classic Produktion Osnabrück

[PR]
by jurassic_oyaji | 2017-08-05 20:34 | オーケストラ | Comments(0)