おやぢの部屋2
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2017年 09月 03日 ( 1 )
第3幕ではクラリネットは出番がないんですね
 仙台オペラ協会の「フィガロ」を見てきました。なんでも、このカンパニーがこれを上演するのは、これが5回目になるのだそうです。まあ、昔から市民オペラの定番としてこの「フィガロ」が好まれていましたから、そういうことにもなるのでしょう。直近の公演は2004年、末廣さんの指揮でした。それも私は、プレ企画として小さなところで「サワリ」を演奏したものと、本番とを見に行ってましたね。末廣さんの指揮がかっこよすぎて、歌手がどうだったかなんて全然覚えていませんけど。
 今回は、半分義理で買わされたようなものでしたから、そんなに期待はしていませんでした。正直、私は「フィガロ」はあんまり好きではありませんでした。モーツァルトだったら「魔笛」か「ドン・ジョヴァンニ」か、と思っていましたからね。実際、今まで何度もCDで全曲を聴いてますし、生の公演も何度か行ったことがありますが、特に後半の2つの幕が退屈で、途中で飽きてしまうんですよね。第4幕などは、いまだに何がどうなっているのか分からないぐらいでしたから。
 ですから、県民会館に入って演奏予定時間を見たら、休憩を入れて4時間近くかかるとあったので、もううんざりしてしまいましたね。なんと言っても、ソリストが全員、例えば新国立劇場並みの水準の人ではありませんから、そんなのを4時間も聴いていられるか、という気がしますから。
 確かに、最初の頃はまず歌手の皆さんのあまりのレベルの違いにのけぞってしまいました。フィガロとスザンナ、そして伯爵はとても素晴らしいのですが、その他のキャストがいまいちなんですね。ケルビーノなどは殆どオンチですし。
 でも、それを我慢して聴いていると(たとえば、オケピットの木管を眺めているとか)、なんだか演出がとても心地よいことに気づいてきました。別に変なことをやっているわけではなく、ごく自然な演出なのですが、なんともしっくりくるんですよね。第1幕ではフィガロがケルビーノをからかって歌う「Non piu andrai」の時に、ケルビーノを座らせて髪の毛を切ったりするんですが、確かにフィガロは元は理髪師だったんですよね。こんな演出は初めて見たような気がします。今回の演出家は渡部ギュウさん、基本的に演劇畑の人ですから、ご本人もオペラの演出は得意ではないようなことをプログラムに書いていましたが、逆にオペラ専門の演出家では見逃すような、演劇人としての視野のようなものが、感じられるのです。
 それに気が付いてしまうと、苦手だった後半の2つの幕がとても面白く見られるようになってきました。なんか、第4幕の仕組みが初めてよく分かったような気がします。それとともに、ダ・ポンテが巧妙に仕組んでいた伏線にも気づくことが出来ました。いやあ、「フィガロ」って本当はこんなに面白いオペラだったんですね。
 その第4幕では、確か2004年の公演ではカットされていたマルチェリーナとドン・バジーリオのアリアがしっかり歌われていましたね。ですから、生でこのアリアを始めて聴くことが出来ました(CDでは大体演奏されます)。つまり、前回はアリアがなかったテノールのJ先生は、今回はちゃんと歌えた、ということでしょうね。
 後半に出てくるアントニオも、とてもいい声だし芝居もうまいので、「客演」とあるから東京あたりからわざわざ呼んだ人かな、と思ってプログラムを見たら、なんと、かつて同じ合唱団で歌っていた人だったではありませんか。そういえば、オペラに出たこともあると聞いたこともありますし、本当にいい声をしていましたね。
 結局、あんまり楽しいので4時間なんてあっという間に過ぎてしまいました。見事に「期待を裏切られた」オペラでした。
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by jurassic_oyaji | 2017-09-03 22:14 | 禁断 | Comments(0)