おやぢの部屋2
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2017年 09月 07日 ( 1 )
WAGNER/Der Ring ohne Worte
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Hansjörg Albrecht/
Staatskaoelle Weimar
OEHMS/OC1872


かつてはこのレーベルからバッハのオルガン曲や、オルガンのために編曲されたさまざまな作曲家の曲をリリースしていたオルガニストのハンスイェルク・アルブレヒトは、いつの間にかミュンヘン・バッハ管弦楽団の指揮者になっていましたが、さらに最近では普通のシンフォニー・オーケストラも指揮する、「普通の」指揮者にもなっていましたね。なんでも、今ではモーツァルトのオペラの指揮まで行っているそうですから、その才能はもはやオルガンにはとどまらない広範なジャンルへと及んでいるのでしょうね。
ですから、今回ワーグナーの「指環」の全曲を収録したアルバムが出ても、別に意外な感じはありませんでした。まあ、なるべくしてなった当然の帰結だ、と思いましたね。ただ、「指環」のアルバムなのに1枚しか入ってなかったので、変だと思ってタイトルをよく見てみたら、「Der Ring des Nibelungen」ではなく「Der Ring ohne Worte」、「Der Ring」までは同じですが、そのあとが違ってます。そう、これは前にも聴いたことのある、「言葉のない『指環』」という、指揮者のロリン・マゼールが作った「ハイライト版」でした。これはマゼールが自分で演奏するために作った版なのでしょうから、よもや他の指揮者が指揮をするというケースなどありえないと思っていたのですが、それをアルブレヒトがやってしまったんですね。
ですから、本来だとCDでは14枚ぐらい必要なものが、たった1枚に圧縮されてしまいました。ところが、なぜか日本の代理店が貼付したバーコードでは「2枚組」となっていますね。
確か、マゼールのBDでは演奏時間は「83分」もありましたから、これを作った人は、まさか、この曲がCD1枚に収まるとは思っていなかったのかもしれませんが、現物はそれより10分も短くなっていましたから、楽々1枚に収まっていたのでした。別にマゼール版をカットしたような形跡は見られませんでしたから、これは単に全体のテンポが速かったからなのでしょう。
ただ、部分的に比較してみると、中にはマゼールの方が速いところもありました。しかし、「ワルキューレ」の「ヴォータンの別れ」のシーンや、「神々の黄昏」の「ジークフリートの葬送行進曲」といったゆったりしたところでは、アルブレヒトがかなりあっさり目に演奏しています。おそらく、マゼールの演奏では、テンポの変化を際立たせるように、速いところはより速く、遅いところはより遅くと、大きな起伏を作っていたのでしょう。
ですから、マゼールを聴いた後にこのアルブレヒトの演奏を聴くと、なんかのっぺりとしていて、その中に入って興奮したり、しっとりした情感を味わったり、ということが出来にくくなっているのではないでしょうか。それと、どちらもライブ録音なのですが、今回のワイマール・シュターツカペレの場合は、金管楽器が終わりごろになると明らかにばてているような感じになっています。彼らは通常はオペラのピットに入っているオーケストラですから、それこそ「指環」全曲を演奏したことだってあるのでしょうが、やはりオペラの中で休み休み吹いているのと、このマゼール版のように最初から最後まで全力で吹きっぱなしというのでは、スタミナの配分が違うのでしょうね。その点、BDのベルリン・フィルは決して途中で力がなくなることはありませんでした。
なんせ、超短縮版ですから、この曲だけで物語のあらすじをたどろうというのは無理な話です。今回改めてその「編曲」の実態を調べてみると、最後の「神々の黄昏」だけで半分近くの時間を費やしていることが分かりました。ですから、「ワルキューレ」などは15分しか時間がもらえてませんし、その中でも第1幕はたった4分で終わってしまいます。ジークムントとジークリンデは1分ちょっと経って出会うのですから、彼らは愛の語らいもそこそこに、その3分後にはベッドインしているということになりますね。なんという早さ。丸亀製麺みたい(それは「イートイン」)。

CD Artwork © Deutschelandradio/OehmsClassics Musikproduktion GmbH

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by jurassic_oyaji | 2017-09-07 21:18 | オーケストラ | Comments(0)