おやぢの部屋2
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2017年 10月 07日 ( 1 )
MOZART/Don Giovanni
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Jean-Sébastien Bou(D. Giovanni), Robert Gleadow(Leporello)
Myrtó Papatanasiu(D. Anna), Julie Boulianne(D. Elvira)
Julien Behr(D. Ottavio), Anna Grevelius(Zerlina)
Marc Scoffoni(Masetto), Steven Mumes(Commendatore)
Jérémie Rhorer/
Choeur de Radio France, Le Cercle de L'armonie
ALPHA/ALPHA 379


ジェレミー・ロレが毎年パリのシャンゼリゼ劇場で上演しているモーツァルトのオペラは、そのライブ録音が順次CDとなっているようです。第1弾は2015年9月に上演されたこちらの「後宮」でしたが、次にリリースされたのは、それ以前、2014年12月に上演されていた「ティトゥス」でした。そして、この2016年12月に上演された「ドン・ジョヴァンニ」が3番目のリリースとなっています。
「後宮」ではそれほどの魅力は感じられなかったので、「ティトゥス」はスルーしてしまったのですが、今回は大好きな演目ですからロレの復調を信じて聴いてみることにしました。それにしても、歌手の皆さんは全員聴いたことのない人だというのには驚きました。逆に、先入観抜きでそれぞれの歌を味わうことはできることにはなるのですが。
「後宮」にはなかったことですが、今回のブックレットにはこの公演のステージ写真がたくさん掲載されています。それもカラーで。それによると、演出は良くある現代への読み替えが行われたもので、キャストは普通のスーツやジャケットを着ています。ただ、なぜかドンナ・エルヴィラはランジェリー姿になっていました。彼女は、小さな手帳を熱心に見ているので、それは「カタログの歌」のあとでレポレッロから奪った手帳なのでしょうが、このシーンで下着姿というのはどういうシチュエーションが設定されていたのか、ちょっと気になってしまいます。
もっと興味深いのは、第1幕のフィナーレです。ここではドン・オッターヴィオ、ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィラの3人だけが仮面をつけて現れる、というのが普通の演出なのですが、この写真ではなぜかパーティーの客全員がマスクをつけているのですね。いったいどんな演出プランだったのでしょう。
そのシーンには、花嫁姿のツェルリーナもいるのですが、彼女とドン・ジョヴァンニがアップになった写真で見ると、ツェルリーナを歌っているアンナ・グレヴェリウスがまるで年増女のように写っています。彼女はこれがツェルリーナでのデビューなのだそうで、実年齢はずっと若いはずなのに、ちょっと損をしていますね。
いや、彼女の声は、ツェルリーナにしてはかなり太めの声なので、そんなイメージもあってなおさら老けて見えたのでしょう。でも、それは決してミスキャストではなく、逆にこの役に芯の強さを与えていてとても心地よく聴くことが出来ましたよ。マゼットを介抱するアリアなどでは、ひょっとして姉さん女房、なんて思ってしまいます。
そこで一緒に写っているドン・ジョヴァンニ役のジャン=セバスティアン・ブは、真っ白なジャケットといういかにもプレイボーイ然とした衣装姿ですが、このツェルリーナとのデュエットなどは本当に甘ったるい声で迫ります。彼は基本的にそんな歌い方で通しているようで、そういうとても分かりやすいキャラクターに徹しているのでしょう。つまり、レポレッロ約のロバート・グリードウの方が、思いっきりドスの利いた声だということですね。
ドン・オッターヴィオ役のジュリアン・ベールは、最大の収穫でした。パリでデビューした時には「魔笛」のタミーノを歌っていたのだそうですが、あのカウフマンのような力のある、それでいてもっとソフトな声は、理想的なモーツァルト・テノールなのではないでしょうか。
ドンナ・アンナとドンナ・エルヴィラ役の人はちょっといまいち、騎士団長も、写真では貫録があるのに声はへなちょこでした。
おそらく編集なしのライブ収録のようで、ロレの指揮はそれぞれの幕のフィナーレなどはたまに歌手が付いていけないほどの煽り方を見せていました。でも、お客さんはその熱気をしっかり受け止めていたみたいですね。なんせ、最後近くの「地獄落ち」が終わったところで盛大な拍手が起こるぐらいですから。

CD Artwork © Alpha Classics

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by jurassic_oyaji | 2017-10-07 21:12 | オペラ | Comments(0)