おやぢの部屋2
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2017年 11月 28日 ( 1 )
VIRTAPERKO/Three Concertos
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Perttu Kivilaakso(Amplified Vc)
Joonatan Rautiola(Baritone Sax)
Jonte Knif(Knifonium)
Ville Matvejeff/
Jyväskylä Sinfonia
ONDINE/ODE 1305-2


1973年生まれのフィンランドの若手作曲家、オッリ・ヴィルタペルコがごく最近作った3つの協奏曲が収められているアルバムです。それぞれに、ちょっと変わった楽器がソロを務めるという、なかなかユニークなラインナップに、つい手が伸びてしまいました。
この中で最も新しいものが、2016年の作品「Romer's Gap」です。タイトルの「ローマーのギャップ」というのは、古生物学の用語で、なんでも今から3億6千年前から1400万年間続いた、生物の化石が極端に少ない時期のことなのだそうです。なんか、とりとめのないタイトルですね。ここでソリストとして登場するペルットゥ・キヴィラークソというチェリストは、かつてはヘルシンキ・フィルのメンバーとしてクラシックのチェロ奏者でしたが、今ではヘビメタ・チェロ・バンド「アポカリプティカ」の中心的なメンバーになっています。このバンドはチェロ4人、ドラムス1人という変わった編成で、チェリストの一人は、ラハティ交響楽団の現役の団員です。
そんなキヴィラークソが演奏している楽器も、ただのチェロではなく「Amplified Cello」なのだそうです。「アンプリファイ」とは「増幅する」という意味ですが、この場合は「アンプにつないだ」というぐらいの意味になるのではないでしょうか。ただ、ロック・ミュージシャンたちはその「アンプ」に表現手段を持たせるために、楽器とアンプの間に「エフェクター」をつなぎました。それは音の干渉を作り出す「フランジャー」とか、歪みを与える「ディストーション」などといった様々なものがあって、楽器の音をとても幅広いものに変えることができます。
ですから、まずこの「アンプリファイド・チェロ協奏曲」を聴く時には、そんなエフェクターによって変えられたヘビーな音響こそを味わってみたいものです。「カデンツァ」と、クラシックっぽい呼び名が付けられている部分も、ほとんどギンギンのギター・ソロを聴いているように思えることでしょう。
しかし、そんな大音響とともに、とても繊細でしっとりとした味わいも、この「楽器」では表現できることも、この協奏曲の第2楽章では知ることも出来るはずです。
2曲目は、2014年に作られた「Multikolor」というバリトン・サックスのための協奏曲です。タイトルはおそらく「Multi Color」のことでしょうから、ここでは、ソリストのヨーナタン・ラウティオラは、この、吹奏楽ではサックス・パートの最低音を担当する楽器から、「多彩な音色」を引き出しているはずです。ダメな不倫相手ではありませんよ(それは「セックス・パートナーの最低男」)。
まずは、そんな低音楽器から、いきなりハイ・ノートが聴こえてくるあたりから、バリトン・サックスの一味違う魅力に浸っていただきましょう。やがて、本来の低音でブイブイと盛り上がる時には、なぜかホッとすることでしょう。
そして、最後の2013年に作られた、「Ambrosian Delights」に登場するのは、「クニフォニウム」という、おそらく誰も聴いたことのない名前の楽器です。これは、ここで演奏しているヨンテ・クニフが製作して、自らの名前を付けた楽器です。その正体は真空管が使われているモノフォニック・シンセサイザーです。
外観は、その世界では有名な「ミニモーグ」とよく似ていて、鍵盤の上には多くのツマミがついたボードがあり、奏者はそこで瞬時に音色、エンヴェロープを変えたり変調したりできます。出てくる音もモーグのシンセサイザーにとてもよく似ています。
元々はバロックのアンサンブルのために作られたもので、チェンバロが大活躍していますが、これもおそらくクニフが作った楽器なのでしょう(彼は楽器を作るだけではなく、音響システムの構築も行っていて、ハリウッドの大作曲家ハンス・ジンマーはそれを使っているのだそうです)。後半はリズミカルなビートに乗って、とてもポップでダンサブルな音楽が展開されていますよ。

CD Artwork © Ondine Oy

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by jurassic_oyaji | 2017-11-28 23:02 | オーケストラ | Comments(0)