おやぢの部屋2
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ELGAR/The Dream of Gerontius
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Catherine Wyn-Rogers(Sop)
Andrew Staples(Ten), Thomas Hampson(Bar)
Daniel Barenboim/
Staatsopernchor Berlin, RIAS Kammerchor
Staatskapelle Berlin
DECCA/483 1585


最近、DECCAからダニエル・バレンボイムが指揮をしたエルガーの作品が継続してリリースされています。オーケストラは彼の現在の手兵、ベルリン・シュターツカペレです。ちょっと意外なレパートリーのような気がしますが、実はバレンボイムは、過去には集中的にエルガーの作品を録音していた時期がありました。
それは1970年代のこと、CBSのために、主だったオーケストラの作品をLPで8枚分ほど録音していたのです。この時代、イギリス人の指揮者以外がこれほど熱心にエルガーに取り込んだのは、極めて異例のことだったのではないでしょうか。彼はかねてよりの筋金入りのエルガー・ファンだったのです。
これらの録音はほとんどロンドン・フィルを指揮してのものですが、一部はイギリス室内管弦楽団、そして、ジャクリーヌ・デュプレとの共演での「チェロ協奏曲」は、クリーヴランド管弦楽団とのアメリカでのライブ録音でした。これらの録音は、その「チェロ協奏曲」以外はおそらくCD化もされずに入手困難な状態でした。
それが、ごく最近、SONYからバレンボイムのこのレーベルへの全録音がボックスでリリースされた際に、エルガーの選集もオリジナル紙ジャケットでCD化され、容易に入手できるようになりました。
それを予言していたかのように、バレンボイムはまず2012年に、アリサ・ワイラースタインのソロで「チェロ協奏曲」を録音、2013年には「交響曲第2番」、2015年には「交響曲第1番」も録音しました。そして、それに続いて今回初めて録音したのが、この「ゲロンティアスの夢」です。ただ、CDとしては初めてですが、ライブ映像としては、2012年にベルリン・フィルと演奏したものがDCHのアーカイヴには収められています。これは、オーケストラだけでなく、ソリストや合唱団も全て今回のCDとは異なっています。
「ゲロンティアスの夢」は、それまではアマチュアの作曲家程度の扱いしか受けていなかったエルガーが、1899年に発表した「エニグマ変奏曲」によって一躍一流作曲家として認められることになった直後の1900年に、バーミンガム音楽祭で初演され、その初演こそ不評だったものの、やがて各地での再演では大好評を博してその名声を確固たるものにしたという、いわばエルガーを「ブレイク」させることになった作品です。
そもそもは、1898年にこの音楽祭から、大規模のオラトリオを作ってほしいという委嘱を受けて作ることになったものです。そこでエルガーが選んだテキストが、1865年にカトリックの枢機卿、ジョン・ヘンリー・ニューマンによって作られた長編宗教詩「ゲロンティアスの夢」です。エルガーは若いころにこの詩に出会い、長いことこれに音楽を付けるための構想を練っていたのでした。
その詩は、ゲロンティアスという男が今まさに死に瀕している場面から始まり、やがて死が訪れるとその魂だけが天上でさまよい、様々な試練を受けた末に救済される、といったような、「死後の世界」が描かれています。なんちゃって(それは「死語の世界」)。
ソリストは、ゲロンティアス役のテノール、天使役のソプラノ、そして、司祭と苦悩の天使役のバリトンの3人、そこに、様々な設定(天使から悪魔まで)を演じる混声合唱が加わります。まるで、ワーグナーの「パルジファル」を思い浮かべるような前奏曲から、最後の感動的な天使の合唱までの1時間半、何も身構えなくても心の中から共感できるような音楽が続きます。特に、ベルリン州立歌劇場の合唱団とRIAS室内合唱団の混成チームが、バレンボイムの重みのある指揮に応えて、とても豊かな表現力で、物語を雄弁に伝えてくれています。
それに対して、テノール・ソロの声が軽すぎるのが、ちょっとした瑕でしょうか。ソプラノ・ソロももう少し可憐さがあってもよかったかもしれません。合唱団の席で歌っているバリトンのハンプソンは、さすがの貫録です。

CD Artwork © Decca Music Group Limited

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# by jurassic_oyaji | 2017-08-19 20:27 | 合唱 | Comments(0)
おでんもあります
 「杜の都合」の本番が終わって、やっと休日の練習がなくなることになりました。いや、ニューフィルでも指揮者練習は休日なので、まるまるなくなることはないのですが、「杜」はほぼ毎週でしたからね。というか、こうなるともう休みの日に練習というのがほぼ日課になっていましたから、それがなくなると逆になんだか物足りなくなってしまいます。こういう緊張感があと1回あるかもしれないという感じなのですが、その前提となっているニューフィルの指揮者練習の日程が、今のところ全くの白紙状態というのが、なんとも宙ぶらりんでもどかしいですね。
 ただ、今度は団内の「アンサンブル大会」の予定が1週間後に迫ってきています。これが終わらないと、やはりなんだかいつもの日常は戻ってこないような、緊張した日々は続きます。とはいっても、実際に練習があるのはそんなに多くはありません。今回も私は2つのグループでエントリーしていて、モーツァルトのフルート四重奏曲を演奏するグループは、もうすでに2回の練習をこなし、あとは本番の2日前に仕上げればOKという状態です。ただ、もう一つのフルートだけの四重奏のグループは、実はまだ曲目すらも決まってはいません。なかなかみんなが集まれる日が見つからないんですよね。結局、1日だけ、火曜日の木管トレーナー・レッスンが始まる前にやっと時間が取れたので、そこだけで候補曲(これは、一応楽譜が揃っています)を初見で演奏してみて、何をやるのか決める、さらには、それを本番向けにアンサンブルを磨き上げる、という作業を行うという、なんともタイトな予定が出来てしまいました。そんな程度の合わせでも、本番にはきちんと吹ける、という腕を持っている4人ならではの綱渡り、というか、やっつけ仕事ですね。どうなることでしょうか。
 実は、このアンサンブル大会、去年は15チーム出場していたものが、今年は9チームしかエントリーしていないのだそうです。この時期は何かと職場での行事が入っていて、参加できない人がたくさんいるみたい、せっかく普通のホールを借りたというのに、なんだかもったいない感じですね。大昔にやはり同じような行事が企画されていたのですが、それは結局3回か4回で終わってしまっていました。こちらの方はそんなことにはならずに、この先もしっかり続いて行ってほしいものですね。フルート四重奏曲も、ニ長調、ハ長調とやってきましたので、せめてイ長調まではやっておきたいですから。
 今回も、演奏が終わったあとには打ち上げが予定されています。その案内もすでに届いているのですが、なんでもデパート屋上のビアガーデンで行う予定なんだそうですよ。私は、そもそも飲めないので、ビアガーデンも大昔に何回か仕方なく行ったきり、最近は全くのご無沙汰なのですが、どうやらあの頃とはかなり様子が変わっているようですね。昔は、それこそ生ビールがメインで、おつまみはせいぜい枝豆に串カツぐらいしかなかったような気がしますが、いまは飲み物も食事もバイキングで、和、洋、中と揃っているんですってね。サイトには、こんな写真がありましたから、間違いないでしょう。
 まあ、一度くらいは経験しておきたいものです。お天気も、この日あたりからまた暑い日が戻ってくるような「予想」が出ているので、きっと雨は降らないでしょうし。
 私としては、この打ち上げがしっかり1時間半で終わる、というのが魅力です。この間の指揮練の後の歓迎会では、2時間で帰れると思っていたら、とうとう3時間半も粘ってしまいましたからね。というのも、私はこの日のアンサンブル大会の様子を掲載した新しい「かいほうげん」を、3日後に発行しなければいけないのですよ。一応2ページだけあけておいて、それ以外のページが全部出来上がった状態で土曜日の本番に参加、あとは、その写真を使ってページを作って、できれば月曜日には印刷する、というのが今のところの「皮算用」です。現時点で素材は揃っていてもまだ手を付けていないページが6ページありますから、突発的な事故(入院とか)が起こらないように願うばかりです。
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# by jurassic_oyaji | 2017-08-18 22:25 | 禁断 | Comments(0)
GADE/Symphonies Nos. 3 & 4
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新田ユリ/
愛知室内オーケストラ
AICHI CHAMBER ORCHESTRA/ACO-001, 002


今年、2017年は、デンマークの作曲家ニスル・ウィルヘルム・ゲーゼが生まれてから200年という記念の年です。しかし、例えばバッハやモーツァルトの記念年のように盛大にお祝いされるということが無いのは、ひとえにこの作曲家が一般の人にはほとんど知られていないからです。なんせ、名前すら最近でこそきちんと「ゲーゼ」と呼ばれるようになっていますが、少し前までは「ガーデ」とか、もっとひどいのは「ガーゼ」でしたからね。お前は救急箱か。
つまり、ゲーゼさんは1817年に生まれたことになります。時代的にはメンデルスゾーン(1809年)やシューマン(1810年)といった有名なロマン派の作曲家と同時代、ということですね。
実際、ゲーゼはメンデルスゾーンとは深い関係にあって、1842年に作られた彼の「交響曲第1番」をライプツィヒで初演してくれたのは、ほかならぬメンデルスゾーンだったのです。ゲーゼはそのままライプツィヒへ赴いてメンデルスゾーンの弟子となり、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の副指揮者として1845年には、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」の初演の指揮を任されるほどになります(この時、本来指揮をするはずだったメンデルスゾーンは、体調不良でした)。さらに1847年にメンデルスゾーンが亡くなると、その首席指揮者のポストを引き継ぎました。しかし、1848年にデンマークとプロイセンとの戦争が勃発したために、ゲーゼはデンマークに戻ります。それ以後は、故国の音楽発展に寄与、さらにニルセン、ノルウェーのグリーグといった、多くの北欧の作曲家を育て、「北欧音楽の父」とも呼ばれています。
彼の交響曲は、全部で8曲あります。いずれも演奏時間は20分から30分のもので、古典的な4楽章形式をとっていますが、「5番」だけにはソロ・ピアノが加わっているのがちょっとユニークなところでしょうか。
今までに、その8曲全部が録音されたセットは、おそらく3種類あります。それは、1980年代のネーメ・ヤルヴィ指揮のストックホルム・シンフォニエッタ(BIS)、1990年代のミハエル・シェンヴァント指揮のコペンハーゲン・コレギウム・ムジクム(DACAPO)、そして2000年代のクリストファー・ホグウッド指揮のデンマーク国立放送交響楽団(CHANDOS)です。
そこに、史上4番目の交響曲ツィクルスを目指して、新田ユリさんと愛知室内オーケストラとの録音のリリースがスタートしました。新田さんは、かつてフィンランドでオスモ・ヴァンスカの薫陶を受け、現在は日本シベリウス協会の会長を務められているというまさにシベリウスのスペシャリストですが、シベリウスだけには限らない、北欧音楽全般に対する広範な視野をお持ちになっている方です。その一端はこちらの著書に反映されています。
新田さんは2015年にこのオーケストラの常任指揮者に就任されましたが、その就任記念演奏会として2月27日に開催された第14回定期演奏会で演奏されたのが、「交響曲第3番」(ACO-001)です。さらに、就任前の2012年9月28日の第11回定期演奏会で演奏されたのが「交響曲第4番」(ACO-002)です。
先ほどの書籍の中では、新田さんは「正直なところ『第1番』と『第8番』の間に、大きな変化は見られない...8曲とも同じような色合いに聞こえてしまう」と書かれていますが、どうしてどうして、「3番」の持つまるでチャイコフスキーのような哀愁、そして「4番」が醸し出すとても甘美で上品なテイスト、それらはこの録音ではそれぞれに印象深く伝わってきます。
ただ、これはCDではなく、NML、Spotify、iTunesなどでの配信によるリリースで、品番もそれらのアートワークのものです。ですから、音源はAACレベルで、ちょっと物足りないところはあります。ハイレゾでの配信は期待出来るのでしょうか。それとも、裏切られる?(それは「背信」)。
今年3月の第18回定期演奏会では、「交響曲第1番」が演奏されました。この堅実な歩みが続きますように。

AAC Artwork © Aichi Chamber Orchestra

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# by jurassic_oyaji | 2017-08-17 20:54 | オーケストラ | Comments(0)
コーラ類は全く売れませんでした
 しかし、今年の夏はひどいことになってしまいましたね。確か、「長期予報」では今年は猛暑になるんじゃなかったんですか?まあ、これはあくまで「予想」ですから、こういう「予報」を出した人には何の罪もありません。いけないのは、それを真に受けてさもそれが真実であるかのように世の中に広めたメディアです。
 私も、そんな「フェイク」を信じてしまった口、「猛暑」ときいて、こんなに自販機用の飲み物を用意してしまっていました。
 ところが、その結果は、こんなものでした。
 売れたのは綾鷹だけ。これは暑さには関係なく、お墓にお供えするために購入する人が多いので、普通に売れましたが、それ以外はこんなに寒ければ売れるわけがありませんね。こうなれば、お彼岸だけが頼りです。
 それでも、お墓参りの人たちは雨にも負けずにやってきます。私も、一応お墓参りには行ってきましたが、そこでちょっとした事故が。我が家のお墓に花を供えたりして帰る途中で、全然花が上がっていないお墓がありました。ちょっと気になったので、誰のお墓なのか見ようと思って外柵の石に上ったら、そこで足を滑らせてしまいました。いや、普通はこのぐらいの滑り方だったら私の運動神経をもってすれば簡単に立ち直れるのですが、あいにくその時には片手に水の入ったバケツを持っていたので、バランスが狂ってしまったんですね。そのまま石の角に太ももをぶつけてしまって、ものすごい激痛が襲ってきましたよ。もしかしたら大腿骨骨折?などと思ってしまうぐらいの、激しい激痛でした。でも、しばらくしたらなんとか立ち上がれそうだったので立ってみたら、ただの打撲のようでしたので一安心。ただ、穿いていたジーンズは泥だらけになってしまっていたので、それからの予定を変えて一旦家に帰らなければいけませんでしたけどね。そこで見てみたら、そこは軽いかすり傷も出来てました。
 確かに、最近はいろんなところでやたらと滑りやすくなっていました。まあ、そんなものだろうとは思っていたのですが、靴の底を見てみたら、こんなことになっていましたね。
 かかとの部分がほとんどすり減ってまっ平らになっているではありませんか。これでは滑るのも当たり前ですね。確かに、今までの滑っていたシーンを思い出して見ると、かかとから足を着いたときに滑っていたような。この雨はまだまだ続きそうですから、早急に新しい靴を買わないことには。
 結局、足の傷の方はガーゼを当てる必要もないほど軽いもので、傷口は完全に塞がってしまいました。
 ガーゼといえば、そんな名前の人がいたはず、と思っていたら、それはデンマークの作曲家のゲーゼでした。今年はその人の生誕200年ということで、割とあちこちで名前を聞く人ですが、「Gade」というスペルなので昔は「ガーデ」、あるいは「ガーゼ」と呼ばれていましたね。
 そういう北欧の作曲家に詳しい指揮者の新田さんが、そのニルス・ゲーゼの交響曲を演奏したライブ録音が、最近NMLで配信されるようになった、という情報が伝わってきたので、さっそくニューフィルのFacebookページで紹介したら、結構速いペースでリーチが高まってきましたね。そして、なんと新田さんご本人のコメントまでいただいてしまいました。そうしたら、リーチの増加のスピードが急に上がってきましたね。よく分かりませんが、単純にリーチが増えるのはうれしいものです。というか、これも「かいほうげん」のコンテンツに使えますし。
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# by jurassic_oyaji | 2017-08-16 21:53 | 禁断 | Comments(0)
WAGENSEIL, BONNO, GASSMANN, MONN/Flute Concertos
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Sieglinde Größinger(Fl)
Ensemble Klingekunst
CPO/555 078-2


このジャケットに使われているのはマリア・テレジアの肖像画。彼女は、父のカール6世が亡くなった1740年にハプスブルク家の後継ぎとして神聖ローマ帝国の皇后となり、自身が亡くなる1780年まで文字通り「女帝」として君臨していました。人見知りが激しかったそうですね(それは「テレヤ」)。ウィーンでは東京からの新婚さんや恋人たちがいちゃいちゃするので有名な観光地、シェーンブルン宮殿は、彼女が在位中の1748年に完成させたものです。ま、毎年テレビで見れますから、別に行きたいとは思いませんが。
そんな、今となっては観光資源としてこの都市に多大の貢献をしている豪華な施設を建設できたほどの財力を誇ったハプスブルク家でしたが、マリア・テレジアの王位継承が発端となった戦争によって、軍事予算が増えたことに反比例して、文化的な面での予算は徐々に削減されていったのです。宮廷の楽団も、カール6世の頃にはそのメンバーは150人ほどいたものが、マリア・テレジアの代になると次第に減っていき、たとえば、このアルバムにも登場する宮廷バレエ作曲家だったフローリアン・レオポルド・ガスマン(あの有名なアントニオ・サリエリの前任者)が1772年に宮廷楽長に就任したときには合唱も含めた楽団員は40名ほどになっていたそうですからね。
さらに、この18世紀というのは、それまでの絶対主義に代って、啓蒙主義が台頭してきた時代です。芸術面にもその影響はあらわれ、音楽もそれまでの「バロック」から「古典」へと、徐々に変貌していった頃になるのです。
このアルバムには、そんな激動の時代のウィーンで活躍していた4人の作曲家による5曲のフルート協奏曲が収録されています。それらは1740年から1760年までの間に作られたもので、いずれも楽譜は出版されてはおらず、各地の図書館に保存されていた自筆稿を使って演奏されています。当然のことながら、これらは全て世界初録音です。
唯一、2曲の協奏曲が取り上げられているゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイルは、宮廷音楽家。いずれも1750年に作られたト長調とニ長調の協奏曲は、バロックの様式を色濃く残した中にも、例えば長調と短調の間をめまぐるしく行き来するパッセージなど、斬新な面も顕著な作品です。
彼と同じ時期にやはりウィーンの宮廷に仕えたジュゼッペ・ボンノのト長調の協奏曲は、どこかC.P.E.バッハを思わせるようなパッショネートな面が感じられます。
この中では最も初期、1740年に作られた、ウィーンの教会オルガニスト、ゲオルク・マティアス・モンの変ロ長調の協奏曲は、フルートとともにチェンバロもソロ楽器として大活躍する、いわば「トリオ・ソナタ」のような形態をとっています。
そして、先ほどのガスマンの作品からは、作られたのが1760年という時期のせいなのか、あるいはハ短調という調性のせいなのか、あのモーツァルトの出現まではあと少し、という期待が感じられてしまいます。
そんな、様々な作品を、それぞれのキャラクターを際立たせながら見事に演奏しているのが、バロック時代のワンキーの楽器から、マルチキー、さらにはベーム管まで、あらゆるタイプの楽器の演奏に長けた美しすぎるフルーティスト、ジークリンデ・グレシンガーです。もちろん、ここで吹いているのはバロック時代から使われていたワンキーの楽器でしょうが(さらにキーが増えた楽器が使われるようになるのは、もう少し先のこと)、その密度の高い音色は他の奏者の追随を許しません。この楽器ならではの調性によるピッチの変化の機微も存分に楽しめます。なによりも素晴らしいのは、彼女の装飾のセンスでしょう。完璧なテクニックで飾り立てられた旋律は、ゾクゾクするほど魅力的です。彼女自身と、チェンバリストのマヤ・ミヤトヴィッチが中心になって2009年に創設された「アンサンブル・クリンゲクンスト」の自発的なサポートも、これらの珍しい作品に命を吹き込む、素晴らしいものです。

CD Artwork © Classic Produktion Osnabrück

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# by jurassic_oyaji | 2017-08-15 21:41 | フルート | Comments(0)