おやぢの部屋2
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カラヤンの「ラインの黄金」
 最近は、テレビといえばドラマばかり見ていて、音楽ものはなかなか見ることがなくなっています。N響のライブなど、まさにハードディスクの「肥やし」になってしまっています。DVDに保存しておくほどのものでもないので、さっさと見て削除してしまいたいのですが、そんな時間があったらたまったドラマを見ていた方がよいので、なかなか空き時間は増えることがありません。
 そんな中で、最近2本ほど面白いものを見ることが出来ました。一つは今年のベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサート。モスクワ音楽院のホールという、なかなか面白い形をした(シューボックスなのに、プロセニアムがある)会場での演奏、曲目もロシア物かと思いきや、最初だけストラビンスキーの「3楽章の交響曲」だっただけで、あとはブルッフとベートーヴェンでした。そのメインが7番だったのですが、ここでラトルはなんだか見慣れない楽器を使っていました。コントラファゴットが2本も追加されていたのですよ。ベーレンライター版の楽譜を見てみても、この曲にコントラファゴットが使われることはありませんから、これはラトルのアイディアなのでしょうか。と思いながら、ネットを調べてみたら、これはベートーヴェンが8番を初演した時に用いた編成だったことが分かりました。コントラが入るようなばかでかい編成で、ピアノとフォルテの対比を付けたのだそうです。この時に一緒に演奏されたのが、3回目か4回目のステージとなる7番だったので、ラトルはこの「故事」にのっとって、コントラを加えたのですね。でも、ベートーヴェンでコントラが2本並んでいるのはいかにも異常、その8番の初演の時には木管は全部倍管だったのですが、このベルリン・フィルは各パート1本だけ、そこにコントラだけ2本入れてもあまり意味がないような気はしますがね。
 もう一つは、このところ集中的に放送されているカラヤンの映像の中で、まだ見たことのなかった「ラインの黄金」です。これは、色んな意味で本当に興味深い物でした。まず、録音が、CDで出ているものとは別、もう少し後にザルツブルクで行われたものなのだそうです。CDの「リング」では、もっとも後の「黄昏」でも1969年の録音ですから、ゴールウェイはかろうじてこの「黄昏」だけには乗っていて、その音を聴くことが出来るのですが、もちろんそれ以外は別の人でした。ところが、ここでは明らかにゴールウェイらしい、芯の通ったフルートが聞こえるので、調べてみたらやはりそうでしたね。
 その音に合わせて、映像は後に撮影されていますから、中には歌っているのとは別の歌手が演じていることもあって笑えますが、ローゲ役のシュライヤーは、絶対にシュライアーには見えないメークで登場していても彼自身でした(このシュライアーの歌は絶品)。もちろん、カラヤンが監督をしているのですが、その面白さといったら、つまり、カラヤンには指揮者の才能はあっても映画監督の才能は全くなかったことがはっきり分かってしまうのですからね。彼がやっているのは、完璧にスコアの指示を忠実に映像に直すことだけだったのです。これほど音楽と演技がシンクロしている映画もないことでしょう。「ライン川」といえば川の映像ですし、「小人」といえば、本物の「小さい人」が出てくるのですからね。その結果、映画としてはまさにB級の安物SFのような物になってしまっています。そこには、クリエーターとしてのひらめきは、なにも感じることは出来ません。もっとも、これには彼の他の映像作品に比べて際立った長所があります。それは、カラヤン自身の映像が全く登場することがない、ということです。
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by jurassic_oyaji | 2008-10-30 20:34 | 禁断 | Comments(0)
櫻家
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 「仙台Walker」というムックが、発売されたそうですね。「なんとかWalker」の仙台版ということ、これで、仙台もおしゃれな街の仲間入りが出来た、などと、どこかで紹介されていましたっけ。別に、この手のガイドブックはいくらでもありますから、そこで紹介されているお店をまるまる信用するわけではありません。行ったことがあるお店などが大々的に紹介されていることがありますが、そこってそんなにおいしかったの?と思うようなところが大半ですからね。ただ、この本の場合は、ネットによるランキングで、紹介するお店を決めているそうなので、結構当てになるような気がします。やはり、「業界」の人ではなく、アマチュアの人の感覚の方がまともなのは、どこの世界も同じことです。
 嬉しいことに、そこでは、私がトンカツでは仙台で一番おいしいと思っているお店が、最高位にランクされていたのです。それは、川平の「櫻家」というお店なのですが、お肉といい、コロモといい、揚げ具合といい、なんとも繊細な仕事ぶり、まるで芸術品のような素晴らしさです。毎週食べに行っても良いぐらいの、おいしいお店です。ただ、ここには一つ難点があって、店内が喫煙自由なのですね。それで、ご存じのようにある時タバコを吸っている人のすぐ隣りに座らざるを得なくなったために、「禁煙にしなければ、もう来ない!」と啖呵を切って飛び出してきたことがあったのですよ(こういう話は、だんだん大げさになっていくものです)。
 それ以来、本気でもう行くまいと思っていたのですが、そんな致命的な欠点があったとしても、やはりあの味は忘れられません。タバコはもちろん、到底許されることではありませんが、だからといってあのトンカツを食べないというのは、そんなに長くもない人生では、とても大きな損失のような気がしてきたのです。そんな風にランキングで1位にもなったことですし、ここは一つ過去は忘れてヨリを戻してみようと思いました。
 そのお店に入る前に、密かに期待していることが2つありました。一つはテーブルの上から灰皿がなくなっていること、そしてもう一つはその「仙台Walker」が大々的に飾られていることです。しかし、残念なことにその期待は両方とも裏切られてしまいました。灰皿は仕方ないとしても、確か、以前別の雑誌に載った記事はカラーコピーをして貼ってあったはずですから、間違いないと思ったのですがねぇ。でも、よく考えてみると、今回の記事ではこのお店の場所についてかなりいい加減な記載があったことを思い出しました。最寄りの駅が「北仙台」だというのですよ。地下鉄にしてもJRにしても、その駅からここまで歩いたのでは優に1時間はかかってしまいます。そんなところがマスターの気に入らなかったのかもしれませんね。それとも、そもそもマスターはこの記事を読んでいなかったのでは?
 久しぶりの「上ロース」は、以前と変わらず、まさに絶品でした。これを食べる幸せを棄てるのは、本当にばかげたことです。でも、お店の片隅からかすかに漂ってくるタバコの匂いは、やはり気になるものでした。何と言ってもネットランキング1位のお店ですからね。そんなところは当然全席禁煙というのが、今の常識なのですがね。
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by jurassic_oyaji | 2008-10-27 00:08 | 禁断 | Comments(0)
川内萩ホール5
 今日は「萩ホール」の公式のこけら落としの日です。このホールは交通の便は悪いくせに、駐車場はほとんどありません。ですから、そこに入れようと思ったらかなり早く行かなければなりません。私が着いたのは開演の1時間以上も前。それでも歩いてホールに向かう人がたくさんいたので、入り口の前には開場を待つ人でさぞや長い列が出来ているのでは、と思ったら、誰もいません。こんなに早くもうお客さんを入れていたのですね。
 しかし、受付に行ったら、指定席のカードを渡されました。早く来た順に、前からの席を機械的に割り振っていたのですね。私の席は前から10番目、これではあまりにも前過ぎるので、もっと後ろ、出来れば二階席に変えてもらえないかと聞いてみても、「その様に言われておりますので」と、なんとも融通の利かない答えです。仕方がありません、前でも我慢しましょう。この前は二階で聴きましたから、ステージに近いとまた別の聞こえ方もするかもしれませんし。
 ホールに入ってみると、ステージではまだ山台を組んだりして準備中でした。それはいいのですが、なんだかホール全体が煙っています。オペラや、ロック・コンサートなどでこんな風になっていることが良くありますが、なぜクラシックのコンサートで?と思っていると、そのわけはしばらくして分かりました。実は、このコンサートの前半には能の「高砂」が演じられるのですが、そのリハーサルが始まったら、客席を真っ暗にしてステージの後ろからレーザーを出しているのです。そのためのスモークだったのですよ。なんと斬新な。そういえば、ステージまわりには夥しい照明機材が設置してありましたね。
 本番の「高砂」は、こんな感じ。
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 なんでも、能舞台の「松の木」をイメージしたものなのだとか、なかなか素晴らしいアイディアですね。このコンサートのコンセプトは、このホールの機能をフルに体験してもらうこと、なのだそうです。うん、こんなこともできるんですね。
 その照明プランは、レーザーこそないもののその後のピアノや声楽、ヴァイオリンといったクラシックのアーティストの演奏の時にも貫かれていました。ちょっと普通のコンサートとは勝手が違っています。ソリストは真っ暗な中にステージに登場、真ん中に来た時にやっと照明があたってお客さんに分かる、といったような、それこそロック・コンサートのノリですね。そんな中で、レーザー用のスモークが、いつまでたっても晴れないのが気になります。普通の照明だと、これは逆にゴミゴミとしたイメージしか与えられませんから、かえって逆効果のような気が・・・。
 と思っていると、最後の合唱のステージになったら、「カルミナ・ブラーナ」でいきなりまたこのレーザーの登場です。
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 これには思わずのけぞってしまいましたね。それからは、もう演奏を聴くどころではありません。次の「第九」でもそんな照明やらレーザーの嵐、それがなまじ音楽にシンクロしているものですから、その醜悪さは際立ちます。さらに、エンディングでは後ろのライトが一斉に点灯して「目つぶし」までやるのですから、これには驚きを通り越して、腹が立ってきました。これはちょっと勘違いをしているのではないか、という思いです。私たちは音楽を聴きにきたのであって、いくら色んなことが出来ることを見せびらかしたいからといって、こんな場末のキャバレーのような安っぽい光の中での演奏などは全く望んではいないのですよ。ましてや、それで音楽の「解説」までやってもらおうなどとは、さらさら考えてはいません。このホールの企画担当者は、これからのクラシックのコンサートで本当にこんなことをやるのを目指しているのでしょうか。これだけ素晴らしいホールを造っておきながら、こんなお粗末なことしか考えつかないのだとしたら、これは非常に残念なことです。少なくとも、ソフト面ではこのホールの権威は地に落ちました。

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by jurassic_oyaji | 2008-10-10 23:52 | 禁断 | Comments(2)
川内萩ホール4
 この前の「萩ホール」の内覧会、マスコミや音楽関係者も来ていたそうなのですが、直後のニュースや新聞の記事の扱いはそれほど目立つものではありませんでした。NHKの7時台のニュースはちょっと見られなかったので9時台のを見てみたら、もうやってはいませんでしたしね。後で合唱団の人に聞いたら、7時台にはやっていたそうなので、1回しかオンエアに値しないネタ、ということだったのでしょう。うちで取っている朝日新聞も、一応写真は載っていましたが、そんなに大きな記事ではありませんでした。
 ところが、今日になって、その「朝日」で、大々的に紙面を割いてこのホールのことを特集しているではありませんか(あ、もちろん地方版だけですがね)。そこでは関係者のインタビューなども交えて、幅広い見地からこのホールのこれからの役割、みたいなことが語られていました。その中で「客席が800のホールで定期演奏会をやっているプロのオーケストラは、仙台フィル以外にはない」という指摘が、なんとも恥ずかしいものでした。だったら、格好のホールが出来たのですから、こちらに移ってくればよいと思うのですが、なかなかそうもいかないのが実情なのだそうです。なんでも、このオケは仙台市から膨大な補助を受けている関係で、仙台市の施設以外での定期演奏会の開催が不可能なんですって。おかしな話ですよね。だったら、あんな欠陥ホールではなく、しっかりした音楽ホールをさっさと造ればよいのに、とは誰でも思うことじゃないでしょうか。ホールを造る機会は、今まで何度もあったのに、その都度話は立ち消えになっていたのですからね。このホールは、仙台市が造らなかったものだから、大学がその隙間を埋めるために造ったことになってしまった理想的な音楽ホールなのですよ。恥ずかしいとは思わないのでしょうか。
 いえ、実はこの新聞記事を読んで、私自身がとても恥ずかしい思いをしてしまったのですがね。私が前に書いたものの中に「タングルウッド」というのがありましたよね。ところが、この記事では「グラインドボーン」とあるではありませんか。これは、企画担当の方が、「ホールの前の芝生を使って屋外コンサートをやってみたい」、と言っていたのを受けて書いたものなのですが、その方が言ったのが、最初は確かに「グラインドボーン」だと思っていたのですが、しばらくして「禁断」を書く頃にはもしかしたら「タングルウッド」じゃなかったのか、と思うようになっていたのですよ。だって、グラインドボーンでは、芝生の上にブルーシート(ではないか)を敷いてお弁当を食べることはあっても、そこでは野外演奏などはやってはいないはずですからね。迷った揚げ句使った「タングルウッド」は、見事に私の記憶違いでした。ああ恥ずかしい。
 その記事のもう一つのポイント。それは、ブログにトラックバックしたことがある、ぐらいの薄~いおつきあいのある音楽ライターの山尾敦史さんがここに来ていて、インタビューを受けていた、ということでした。確か去年の「せんくら」にやってきて、ルポをなさっていましたね。そんな縁でのご招待だったのでしょうか。彼のブログでもしっかり「長く」触れられていましたね。あの同じ場所に山尾さんがいたなんて。知っていれば、サインぐらい頂いていたのに。

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by jurassic_oyaji | 2008-10-08 21:02 | 禁断 | Comments(3)
川内萩ホール3
 新しくできた音楽ホール「川内萩ホール」の「内覧会」というのが開かれたので、行ってきました。ネットなどでそういうものが開催されるというのは知っていましたのですが、なんの関係もない一般の人が行っても構わないのか、という不安はあったので、ちょっとためらっていたところに、今度の合唱団経由で案内がまわってきました。どうも、あまり参加者がいないようなのでたくさん来て欲しいような感じだったので、喜んで行ってみることにしましたよ。なにしろ、ホールの音響設計を担当した方が、自らその説明をして下さる、ということでしたから、それはぜひ聞いてみたいと思うじゃないですか。私はある意味、「ホールおたく」ですからね。それと、「デモンストレーション」として、ピアノやヴァイオリンの演奏もある、ということでしたから、このホールの客席での聞こえ方をチェックする又とないチャンスですし。
 基本的にマスコミや音楽業界へ向けての内覧会なので、しっかりプレス用の席が用意されています。
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 しかし、他のお客さんはやはりそんなには来ていませんでした。私は、2階席の一番前に座って、もっぱら音を聴くことに専念。見ると、2階席の真ん中あたりが招待席で、西澤元総長の名札なども貼ってありましたから、音響的にはこのあたりが自信のポイントなのかもしれませんね。
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 ステージには大きなスクリーンが用意されていました。床下に収納してあったものを、吊りカンでぶら下げているのですね。会議などにも使えるような装備なのでしょう。
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 音響設計を担当した鈴木先生のお話は、やはりもっとも面白いものでした。さっきのスクリーンに資料を写しだして説明をするのですが、一番ウケたのは「コリオラン序曲」のゲネラル・パウゼでの残響の様子を、Pyramixみたいな画像で「見せて」くれたことですね。そんな、かなり基本的なところからのホールの音響の話は、なかなか興味深いものでした。そして、実際のこのホールの改修の経過も、「前」と「後」の図面を重ねてはっきり分かるように示してくれていました。予想通り、横幅を狭くして、プロセニアムを取り払った、ということでしたね。このあたりの資料が、スクリーンだけではなく手元でも見られたらなお良かったのですが。
 そして、いよいよ「生」演奏が始まりました。最初はピアノ・ソロ。練習している時点で、伴奏のピアノの音がとても柔らかく聞こえていたので期待していた通り、それはとても柔らかいにもかかわらず芯のある輪郭のはっきりした音でした。残響が決して楽器の邪魔をせずに、豊かな響きを産むことのみに貢献しているという、最初にこのホールで感じた印象は、間違ったものではありませんでした。その響きの傾向は、どっしりと落ち着いた感じ、それは特に低音が豊かに響いているせいなのでしょう。オーケストラなどではどんなバランスなのか、早く聴いてみたい気がします。
 それと同時に、残響に邪魔されない分、演奏者の力量がストレートに聴衆に伝わってくる、という、ちょっとおっかない面も明らかになったのではないでしょうか。真に感動を引き起こすことの出来る演奏家なのかそうでないのかが瞬時にさらされてしまうこのホール、すごいものを作ってしまったものです。
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 前から気になっていたのが、ステージへの入り口の位置。今日の話では、以前は客席だったところまでステージを前に出したということですから、これは前にもってくることが出来なかったのですね。今日はソロでしたが、オーケストラで指揮者が出てくる時は、ちょっと間抜けな歩き方をしなければいけないかも。
 終わって外に出てみると、雑草がきれいに刈り取られていて素敵な空間が広がっていました。そういえば、運営担当の志賀野先生は、この広場を使って「日本のタングルウッド」を実現したい、というような壮大なヴィジョンを語っておられましたね。
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 建築設計についてのお話をされたのは、とても大学教授とは思えない、まるでビジネスマンのような小野田先生、その先生によるリサーチの結果、「他の大都市にあって仙台にはない」ものだった、1,000人以上収容出来る音楽ホールが、ついに完成しました。

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by jurassic_oyaji | 2008-10-04 20:58 | 禁断 | Comments(0)
川内萩ホール2
 この間「萩ホール」に行った時にもらってきたチラシを貼り付けてみます。
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 なかなか素晴らしいデザインのチラシなのですが、上の方にはめ込んである文字がちょっと気になっていました。上から「バーガンディ」、「チェリー」、「シュー・ボックス」と書いてあるような気がしませんか?おそらく、これはこのホールのキャラクターをストレートにあらわした単語を並べたものなのでしょう。 
 「シュー・ボックス」はすぐ分かります。これはもちろん、このホールの形をあらわす言葉でしょう。ホールの形には色々あります。この萩ホールは、かつては多目的ホールでしたから、それは「プロセニアム」という呼ばれ方をする形をしていました。これはオペラハウスなどによく見られるように、ステージと客席との間に仕切があって、その一部が窓のように開いているホールのことです。ステージの上は舞台装置などをつり下げるために吹き抜けになっていますから、オーケストラなどが演奏する時には、ここを反響板でふさいで音が逃げないようにする必要があります。今回音楽ホールとして改修する時に採用したのが、「シュー・ボックス」タイプのホールです。その名の通り靴を入れる箱のように直方体、つまり、どの面も長方形になっている箱のような形をしているホールです。それは、「客席」ではなく「ホール全体」がそのような形になるということで、ステージも当然その直方体の中に入り、客席とステージを隔てていたプロセニアムが存在しなくなります。それによって、音は自然にホール全体へ広がり、美しい響きが生まれる、とされています。東京オペラシティのコンサートホールが、その見本。同じようにステージがむき出しになったものでも、サントリーホールやミューザ川崎のようにステージのまわりを階段状に客席が囲んでいるものは、「ワインヤード」と呼ばれていますね。
 「シュー・ボックス」のコンサートホールは別に珍しいものではなく、仙台市内でも青年文化センターのコンサートホールや、「けやきホール」はこのタイプ、毎年「第9」を演奏している「えずこホール」もそうですね。
 チラシの他の2つの単語は、このホールの内部の色をあらわしているのでしょう。「バーガンディ」というのは、実は初めて聞いた言葉なのですが、調べてみるとブルゴーニュワインの色だとか、←こんな色だそうですから、まさにホールの壁面の色ですね。「味噌樽」ではなく「ワイン樽」でした。そうなると、「チェリー」というのは、多分ステージの色なのでしょう。
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 このように、このステージはかなり派手な色遣いになっています。明るい「チェリー」と、渋い「バーガンディ」の対比が、このホールの特色だということなのでしょうか。
 ところで、この「バーガンディ」のスペルは、いくら調べても「burgundy」以外にはありませんでした。このチラシにある「burgandy」という単語自体が、英和辞典には載っていないのですよ。うすうす気にはなっていたのですが、どうやらこれはミスプリントのようですね。こんなチラシやポスターが出回ってしまったら、ちょっと恥ずかしいのでは。

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by jurassic_oyaji | 2008-09-24 22:02 | 禁断 | Comments(1)
川内萩ホール
 仙台に新しく誕生した「川内萩ホール」に行ってきました。おそらく、中に入って実際に合唱の練習をしたなどというのは、私たちが最初のことでしょう。さらに、その中で撮った写真をwebで公開するのも、これが最初になるはずです。
 実は、半年前にこのホールの改修工事中の写真を撮っていました。それと、ごく最近のものとを比較してみて下さい。
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 2階部分の窓のうち、両サイドの外側のものがふさがれていることが分かりますね。この階は、ホールの中では1階席の後部にあたります。なぜこうなったのか、それが、このホールの全面改修の鍵となっています。
 ホールに入ったとたん、有機溶剤の匂いが鼻を突きました。いかにも塗装が終わったばかりという、感じです。最近の主流である木材の生地を生かしたものではなく、塗料を厚ぼったく塗ったという、ちょっと趣味の悪い内装です。仲間の1人が「プラモデルみたい」と言っていましたね。
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 ステージはかつての面影は全くありませんが、客席を見てみると2階席などは昔の姿とほとんど変わっていません。変わったのは1階席。かなり横幅が狭くなって、その分がバルコニー席となっています。実は、ロビーからホールの中に入る扉の部分が、異様なほどのスペースがありました。つまり、その分の壁面がまるまる中に寄ってきたのですね。その結果、窓がなくなってしまいました。このあたりが、おそらく音響的に大きな影響を持っているのでしょう。 
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 ステージも、奥行きがおそらく今までの3倍近くになっています。これだけあれば大人数の合唱付きのオーケストラでも軽々乗ってしまいます。それでも余った部分には、オルガンを入れていただきましょう。
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 椅子にはテーブルが付いています。会議などにも利用しようということなのでしょう。荷物が多い時など、便利かもしれません。前の席との間隔も充分取ってありますから、遅く来た人も楽々入れます。
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 ステージを見てみたところ、いたるところにゴムの緩衝材が入っていました。上の写真はステージの前面と床の間、下の写真はステージの縁、この黒いゴムがまわりに全て入っています。これも、音響的な意味があるのでしょう。
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 みんなが歌っている間に2階席からその音を聴いてみました。これは、ちょっと驚くほどの、とても豊かな響き。特に低音がとても伸びやかに届いてきます。残響はたっぷり付いていますが、悪名高いさるホールのような締まりのないものではなく、音を豊かに聴かせるもの、とても美しい響きです。ついに仙台にも、まともな音楽ホールが誕生したのでは、という予感のようなものが、確かに感じられました。
 もう少しすると、ここでさまざまなコンサートが開かれることでしょう。仙台の音楽事情も、これで少しはマシなものになればよいのですが。

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by jurassic_oyaji | 2008-09-14 21:23 | 禁断 | Comments(0)
ビルギット・ニルソン 補遺
 きのうの「おやぢの部屋」、紹介した本の中身よりも表紙の方で突っ込みどころが多かったものですから、「レビュー」というにはほど遠い内容になってしまいました。まあ、たまにはこういうこともやらないとストレスが発散できません。というより、このネタは私にとっては久しぶりに手応えのあるものでしたので、中身そっちのけでのめり込んだというわけでして。
 そもそも、この本を本屋さんで見つけた時点で、これはLPのジャケットと同じものであることは分かりました。ただ、手元にはもうLPの現物はなくなってしまっていたので、代わりにCDのジャケットを見てみたところが、見事にその写真が裏焼きだったのですよね。ふつう、LPをCD化する時には、レタリングなどは多少変更するでしょうが写真などはそのまま使うはずですから、当然初出のLPも裏焼きだったのだと思いました。その間違いが、この本が出たお陰でやっと正されたのだな、と。しかし、同じCDでも後に出た「オリジナルス」などで使われている写真は、最初のLPのジャケットに近い(「近い」というのがミソ、決して全く同じものではありません)ものなのですが、それは表紙と同じ向きだったのですよ。そうなると、「オリジナルス」ではなく、もともとのLPのジャケットの画像が欲しくなるじゃないですか。そこで、ネットであちこち探し回ったら、中古レコード店のサイトでそれは見つかりました。ただ、それは部分的に欠けていて、完全なものではありません。こんなことになるのなら、持っていたLPを手放すのではなかったと後悔しても、それは後の祭りなのですね。
 一縷の望みを託して、昔からの雑誌などをしまってある納戸に行ってみました。もしかしたら、発売された時の雑誌に広告などが載っているのではないか、と。そうしたら、なんと、すぐ目に付くところに1968年の分の「レコード芸術」を束ねたものが見つかりましたよ。その1月号には、出たばかりのそのLPの写真が、今と同じように雑誌本体よりも遙かに立派な紙を使ってカラーで印刷されていたではありませんか。40年も前の写真がこんなに簡単に見つかってしまうなんて、まさに奇跡です。これで、完璧なジャケットが揃い、見事に「おやぢ」に使うことが出来たのです。
 この写真を、発表された順序に上から並べてみました。LP、CD、本の順序です。
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 もちろん、「おやぢ」にも書いたように正しいのは2番目の向きの写真です。ですから、それに気づいたメーカーはCD化にあたって、こちらの写真を使ったのでしょう。しかし、なぜか出版社の人はそれには気づかなかったのでしょうね。
 そして、そんな「裏焼き」云々よりも重大なことが、この写真には秘められていたことも、すぐ分かりました。この写真でしたら、人物がいるかいないかはよりはっきり分かることでしょう。おそらく、最初のLPではデザイン的な面で、文字に人物がかかってしまうのでそれを消してしまったのでしょうね。CDにしたときには別に文字は関係ないのですから、その時点で元に戻しておけばよかったものを、ちょっとしたリサーチを怠ったためにこの2人の人物は40年の間ドイツ・グラモフォンレーベルのジャケットからは消えたままだったのです。
 私にとっては、こんなことを「発見」するのは無常の喜びです。これに関わっている間は、なんと幸せな気分でいられたことでしょう。しかし、世の中にはそんなことにはなんの価値も見いだせない人がいます。おそらくそういう人の方が遙かに多いことでしょう。いや、確かに私と同じ価値観を持っていたと思っていた人が、実はそうではなかったことが分かってしまって、なんともやりきれない気持ちになっているところです。
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by jurassic_oyaji | 2008-09-12 21:35 | 禁断 | Comments(0)
NOKIA Tune
 「ミディアム」というアメリカのドラマにハマっていることは前にも書きました。霊能者アリソン・デュボアが、その力を使って事件を解決するという、分かりやすいお話です。とにかく、脚本に隙がありませんから、最後には必ず納得して満ち足りた気分になれるというものです。もちろん、そんな殺伐とした事件と同時に、ごくふつうの夫婦愛や家族愛もていねいに描かれているというのが、嬉しいところです。
 ところで、そのドラマの中で主人公のアリソンの携帯電話の着信音が必ず登場するのですが、それが色んなところでよく耳にするものなのです。他の映画やドラマでもよく出てくるので、もしかしたらあちらの携帯の標準の着信音なのかな、と思ったりもしてしまいます。日本の場合だと「着うた」とか、ずいぶん凝ったものが使われていますが、これはちょっと陳腐な、そう、昔だったら自分で着信音を作る、という機能が付いていましたが、そんな感じの「音」です。これが、その楽譜とです。
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 実は、今の私の携帯が疲労骨折状態で満身創痍となってしまい、後釜のことも考えなければいけなくなってきたので、ちょっと気に入ったデザインの新しい機種を、最有力候補として検討中なのですよ。そこで、サイトでちょっと調べていたら、全く偶然なのですが、この携帯の着信音が、そのアリソンの着信音と同じものだということが分かりました。その、フィンランド製の携帯には標準装備されている着信音は、「ノキア・チューン」と呼ばれて、著作権の登録もされているそうなのです。なんでも、その「ノキア」は世界最大のシェアを誇っているのだとか。つまり、その製品の着信音が、ほとんど「携帯の着信音」の代名詞のように、使われているのですね。
 さらに調べてみると、この音には元ネタがあるそうで、それはあの「アルハンブラの思い出」という有名なギター曲を作曲したタレガが作った「グランド・ワルツ」という、やはりギターの曲なのだそうです。この安っぽいメロディは、とてもあんな美しい曲を作ったタレガのものとは思えませんから、ちょっと意外な気がしてしまいません?そこで、その元ネタを捜してみました。そんな時に役に立つのがNML、こちらのトラック25、13秒頃に着信音が現れますから、別にログインしなくても聴けますよ。確かに、紛れもなくタレガが書いたメロディではありますが、いくらなんでもここだけ取って「タレガの作品」と言われてしまうのはあまりにもかわいそうな気がしますよね。
 最初にアリソンの着信音を聴いた時に、これは「ジュラシック・パーク」に出てきた音なのでは、と思いました。正確には3作目の「ジュラシック・パーク3」で、「携帯」ではなく、「衛星電話」の着信音として、かなり重要な役割を持ったものでした。そう、この音が遠くから聞こえてきたので、これを持った人が近くにいるのだと安心したら、実は彼は恐竜に食べられてしまっていて、それは恐竜の腹の中で鳴っていた、というものでしたね。結局、その恐竜の糞の中から取り出すことになるのでした。
 しかし、DVDがあったので見直してみたら、これは良く似た感じではありましたが、全く別のメロディでした。こんな楽譜とです。

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 そういえば、映画の中ではウィリアム・H・メイシーが「うちの店のCMソングだ」と言ってましたね。これも、おそらく元歌は立派な曲なのでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2008-09-06 23:15 | 禁断 | Comments(0)
のだめ21巻
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 「のだめ」の第21巻、発売されたのはおとといのことでした。あいにく本屋さんに行く時間がなかったので、やっときのうゲット、きのうは「おやぢ」のローテーションだったため、2日遅れでご紹介です。
 毎回ちょっと不思議なデッサンによるオーケストラの中の楽器を演奏するのだめの姿をあしらった表紙、もう殆どの楽器が出てしまったので、次はなにを出してくるのか期待している人も多かったのではないでしょうか。しかし、これはそんな期待を見事に裏切ってくれた「楽器」でした。つまり、これは「歌」というか、クラシカルには「声楽」という楽器の登場です。おそらく、本編の中で千秋が、共演者の希望を聞かれて「歌とやりたいです」と言うのに呼応しているのでしょうね。
 そう、千秋が目指しているのはオペラなどの指揮というのがここで明らかになるのです。もちろん、それはまだまだ先の話になるのでしょうが、実際にビエラ先生の「ファウスト」のリハーサルに立ち会ったりしているのですから、ピットの中の千秋も姿も、いずれ見ることが出来るのかもしれませんね。
 しかし、そんなのは、別に本筋のプロットではありません。ここでは、ちょっと今までとはテイストが変わった、かなりシビアな展開となって、それぞれのキャラクターの深いところでの心理が描かれます。ただ、それを書いてしまうと、前巻でのラヴェルのように楽しみがなくなってしまう人が出てくるかもしれませんから、やめておきましょうね。でも、正直こんなのはのだめらしくないような。
 表紙がなんの楽器もないので突っ込みようがないと思っていたら、中には結構面白いカットがあったので、嬉しくなってしまいました。こうでなくっちゃ。
 まず92ページにあるピアノのカット。これは、実は前の巻でいちゃもんを付けたターニャがコンクールで弾いていたのと同じ楽器なのですよ。何よりの共通点は、スタインウェイのDタイプでありながら、フレームの鉄骨が1本足らないということです。つまり、前にあったターニャの姿を消して(というか、これは楽器と人物が別のレイヤーになっているのでしょうね)、そこに譜面台を書き足したのが、このカットということになるのです。このぐらい大きくすると、ピアノ本体と譜面台のタッチの違いも分かりますね。
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 次が、このチケットです。「Piano Concerto」ではなく「Piano Concert」、これは、ピアノのおさらい会なのでしょうか。しかも、この「コンサート」は、メインが「展覧会の絵」というのですから、「コンチェルト」だけの「コンサート」ではないはずなのに。他の文字は全てフランス語なのに、これだけ英語というのも気になります。それと、前プロの曲名はこれを読んでいる人は正しくルビを振ることは出来たのでしょうか。
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 もう一つ、これはフルートを吹く人でないと分かりづらいかもしれませんが、この女性が使っている楽器はかなり変なところにGisキーが付いていますね。しかも、彼女はそれを右手の親指で押さえてるし。
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by jurassic_oyaji | 2008-08-13 21:14 | 禁断 | Comments(0)