おやぢの部屋2
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カテゴリ:フルート( 207 )
Vox Balaenae
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TrioWiek:
Christina Fassbender(Fl)
Justus Grimm(Vc)
Florian Wiek(Pf)
PROFIL/PH12013




フルート、チェロ、ピアノという、決してレパートリーは多いとは言えない楽器の組み合わせの三重奏が4曲収められています。
タイトルの「ヴォクス・バレナ」というのは、ラテン語で「クジラの声」という意味です。1929年生まれのアメリカの作曲家、ジョージ・クラムの作品のタイトルから取られました。最近ではあまり名前を聞くことはなくなりましたが、ある時期にはかなりの人気を博した「現代作曲家」ですね。この、彼の1971年に作られた作品を演奏する時には、このジャケットにあるように演奏者は全員黒いマスクをつけて顔が分からないようにしたうえで、薄暗い中で青い照明を受けて演奏するように指示されているのだそうです。いかにも、あの時代の「現代音楽」の残渣を見る思いですが、今となってはそんなこけおどしが通用するわけもなく、これは単なるデザイン上の遊びとして使われているだけです。
実際に彼らがこれを録音している場面の写真はインレイで見ることが出来ますが、そこでは彼らは普通に顔を出して演奏をしていました。それよりも、そこでのピアニストは鍵盤ではなく直接グランドピアノの中の弦を叩いているようですし、フルーティストの横にはサンバル・アンティークのセットが用意されていますから、サウンド的にかなりユニークなものが期待できます。
そもそも、この作品にはPAが欠かせないものとなっていました。単に音を大きくするだけではなく、エコーを加えたり変調を行ったりという、様々なエフェクターとしての要素も求められていたのです。そんな設定で、この「クジラの声」という壮大な作品は始まります。文字通り、作曲家はザトウクジラの鳴き声を録音したテープを聴いてインスパイアされたという通り、それはそんな水棲哺乳類の、単に鳴き声だけにはとどまらない、巨大な体躯までもが連想されるようなスケールの大きさでした。
さらに、この作品では、その「クジラ」のテーマから変奏曲が作られています。それは、この地球に生命が生まれたとされる「始生代」から始まって、「原生代」、「古生代」、「中生代」、「新生代」と続く太古の年代がタイトルとなっている通り、まさに「地球の歴史」を描いたものなのです。正直、その曲のどのあたりから「始生代」が始まるかは全く分からなかったのですが、まあ、その姿勢だけは受け取っておきましょうね。
これは、メインプログラムということでCDの最後に入っていますが、最初に演奏されているのが、やはりクラムと同じ世代のアメリカの作曲家、ネッド・ローレムの「フルート、チェロとピアノのためのトリオ」です。4つの古典的な楽章から出来ていますが、その音楽は型にはまらないなかなか魅力のあるものでした。特にフルートは、1楽章の頭からとても華やかなソロが登場して、フルーティストはそのテクニックを問われることになります。ここ演奏している「トリオ・ヴィーク」のメンバーのクリスティーナ・ファスベンダーは、師であるマイゼンやニコレ譲りのとても渋い音色とテクニックで、それに見事に応えています。それ以降は、かなりジャジーでリズミカルなところが現れて、アンサンブルの確かさも存分に楽しめます。
次の、フィンランドの作曲家サーリアホの1998年の作品「アルト・フルート、チェロとピアノのための『灰』」は、この作曲家ならではの妥協を許さない厳しい音楽です。アルト・フルートは、肉声も交えた特殊奏法が光りますし、ピアノはおそらくプリペアされているのでしょう、不思議な音響も混ざります。
そんな中で、マルティヌーの「トリオ」を聴くと、これが作られたのが1950年だということが信じられないほど、そのロマンティックな書法が際立ちます。同じ作曲家の「フルート・ソナタ」ととてもよく似た親しみやすさがあります。ファスベンダーは、ここではローレムの時とは別人のように甘ったるい演奏を繰り広げています。
それにしても、ジャケットでミスプリとは。

CD Artwork © Profil Medien GmbH
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by jurassic_oyaji | 2016-03-07 20:34 | フルート | Comments(0)
CAGE/Complete Works for Flute・1
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Katrin Zenz, Uwe Grodd(Fl)
Maxim Mankovski(Perc)
Ludovic Frochot, Chara Iacovidou(Pf)
NAXOS/8.559773




以前こちらで「ギリシャのフルート音楽」という珍しいものを発表していた、ドイツ生まれのギリシャ在住のフルーティスト、カトリン・ツェンツが、今度は「ジョン・ケージのフルート作品全集」という、とんでもないものを作ってしまいました。まあ「全集」とは言ってもCD2枚だけでおさまるぐらいのものですから、量としては大したことはありませんが、それでも今までにはそういうものは存在していなかったということで、これが「世界初」の企画ということになりました。もちろん、リリースはそんな「世界初」が大好きなレーベルのNAXOSです。
ジョン・ケージの場合は、「作品」そのものが「不確定」、つまり、彼の場合、あるタイトルの「作品」があったとしても、そもそもどういう楽器編成なのか特定されておらず、しかもそれを演奏するための狭義の「楽譜」が存在していないことがありますから、なにをもって「全集」と言うかが問題になってきます。ですから、ここで「世界初のフルート作品全集」と、ライナーの中でこのアルバムのプロデューサーでもあるフルーティストのツェンツがいかに声高に訴えようが、それはほとんど意味のないことになってしまうのです。
とは言っても、やはり「全集」というだけのことはあって、ここにはケージがそのような従来の「音楽」とはかなり異なる様相のものを作り出す以前の、いわば習作のようなものまで網羅されているのは、ありがたいものです。それが、彼がまだ20代だったころの1935年に作られた「フルート二重奏のための3つの小品」です。ここで演奏しているのはツェンツと、NAXOSレーベルでは古典的な作品の多くの録音でおなじみのウーヴェ・グロットです。これは、それぞれきちんとイタリア語の表情記号が付けられており、楽譜もきちんとした五線紙に書かれている、まさに西洋音楽の伝統にのっとった「確定」された音楽です。とても素朴な無調のフレーズを、お互い時間をずらしてほとんどカノンのように演奏するという、いたって「古典的」な書法の作品です。ケージにもこんな時代があったのだな、と思わせられるだけの、逆の意味でのインパクトは確実にあるのではないでしょうか。
そして、彼にとっては「普通の」音楽として、あと3曲収められています。最も有名な「竜安寺」は、まさにその京都の石庭にインスパイアされて作られたもの、元々はオーボエ奏者からの委嘱でしたが、ここではフルートと打楽器で演奏されています。まるで木魚のような打楽器に乗って、ほとんど尺八かと思えるようなフルート・ソロが、「禅」の世界観を表現しています。
1987年に作られた「TWO」は、そのような演奏者の人数をそのまま「数字」で表した一連の作品群の、最初のものです。これは「1」から「108」(さらにソロ楽器が加わった「110」も)まであって、最後のものは18型の弦楽器に木管楽器と打楽器が加わるという大編成のもの。この「2」では、一応ピアノとフルートという楽器が指定されています。ピアノのパートは2段譜表に記されたコードがいくつか書いてありますが、フルートは3つのピッチの単音しか要求されていません。それぞれのパートは互いに「無関係に」演奏しろ、という指定があり、ここでもやはり「禅」に通じる静謐な世界が広がります。
1984年に作られて、1987年に改訂された「Music for」もやはりその「for」のあとに演奏家の人数を続ける、タイトルからして「不確定」な曲です。ここでは、本来は17のパートが必要な作品をツェンツ自身がピアノとフルートのために編曲して「Music
for Two」というタイトルで演奏してています。冒頭からピアノの共鳴音が聴こえたり、フルートはいくつもの音を同時に出す「重音奏法」を行ったりと、サウンド的にはかなり刺激的なものが与えられます。

そんな、フルートを通して体験するケージの形而上の世界、第2集も楽しみです。

CD Artwork © Nacos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2016-01-14 23:21 | フルート | Comments(0)
HASSE/Works for Flute
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Imme-Jeanne Klett(Fl)
Nele Lamersdorf(Fl)
Elbipolis Barockorchester Hamburg
ES DUR/ES 2062




このサイトに初登場、1993年にハンブルクで創設された新しいレーベル「ES DUR」です。ユニークなのは、ブックレットに最初から日本語の解説が入っているということです。つまり、ドイツ語、英語、フランス語のアルファベットに続いて、なんと漢字やひらがなのページが現れるのですね。これはいい感じ。ただ、誰が訳したのかは分かりませんが、その訳文は結構いい加減、フルート奏者が作曲まで手掛けているように読めてしまいます。英語やドイツ語の同じ部分にはそんなことは書かれていないのに。
ヨーハン・アドルフ・ハッセと言えば、18世紀の半ばに多くのオペラを作った作曲家として知られています。1699年にハンブルクの生まれと言いますから、このレーベルともつながりがあるのでしょう。ここでは、ハンブルクで活躍している演奏家によって録音されたフルートのためのソナタと協奏曲、そしてフルート2本による二重奏を聴くことが出来ます。
ハッセはバッハの一回りあとの世代になるのでしょうが、一生ドイツで暮らしたバッハとは異なり、若いころにはナポリに留学、その後もイタリア国内やロンドン、ウィーンでも活躍、晩年はヴェネツィアで暮らしたという国際的な人でした。
まず、協奏曲が最初と最後に1曲ずつ収録されています。いずれも3つの楽章を持つイタリア風の典型的な協奏曲のスタイルです。最初のロ短調の曲では、真ん中の楽章は長調に、逆に、最後のト長調の協奏曲では、真ん中の楽章は短調になっているという、分かりやすい構成です。この時代の曲を演奏する時には、どんな楽器を使うかがまず興味の対象ですが、ここでクラットというおそらく50代の女性フルーティストは、ハンス=ヨヘン・メーネルトという珍しい木管を使っています。ベームシステムのメカニズムですが、とても鄙びた音色がこの時代の作品に良くマッチしています。そして、クラットはノン・ビブラートでさらにピリオド感を漂わせています。しかし、その吹き方には目の覚めるような爽快感があり、華々しい装飾と相まって、とてもスタイリッシュ、ピリオドでありながら現代感覚も併せ持つというなかなか素敵なことをやっていましたよ。特に目覚ましいのが、オクターブを上げての華麗なパッセージです。ピリオド楽器ではこんなことは無理でしょうね。
協奏曲ですから、カデンツァも挿入されています。ロ短調では第2楽章だけですが、ト長調では全楽章に入っています。おそらくクラットの自作でしょう、ありきたりのフレーズではなく、次々に思ってもみなかったような展開になるという意外性がたまりません。
ソナタもやはり2曲、こちらはいずれも「教会ソナタ」のスタイルをとった4楽章形式のものです。しっとりとした情緒が漂うホ短調のソナタも魅力的ですが、よりファンタジーの溢れるニ短調の曲の方が、大きなスケールを感じます。
そして、もう2曲、今度はもう一人のラーマースドルフというやはり女性のフルーティストとの二重奏です。ただ、これはハッセのフルート曲のアルバムだと思っていたら、この2曲には「ロバート・ヴァレンタイン作曲」というクレジットが付いていました。よくあることですが、この時代の出版社は、楽譜を売るために知名度の低い作曲家の作品を、すでに有名になっているほかの作曲家の作品として出版したりしていました。この2曲も、オランダの出版社から「ハッセ作曲2本のフルートのための8つのソナタ作品5」というタイトルで出版された曲集の、7曲目と8曲目にあたるのですが、のちに、このヴァレンタインというイギリス生まれで後にイタリアで活躍した作曲家が以前に作っていた曲だったことが分かったのだそうです。確かに、これは協奏曲やソナタと比べると、明らかに作曲様式というか、作曲家の趣味が異なっていることが分かります。

CD Artwork © C2 Hamburg
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by jurassic_oyaji | 2016-01-06 20:38 | フルート | Comments(0)
DEVIENNE/Quartets
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Kersten McCall(Fl)
Gustavo Núñez(Fg)
Musica Reale
Channel/CCS SA 35415(hybrid SACD)




このオランダのレーベルがリリースした、アムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者をフィーチャーしたアルバムは、例えばこちらのエミリー・バイノンをメインにしたアンサンブルなどのシリーズがありました。その流れでの新しい録音、今回はベイノンとともに首席フルート奏者を務めるケルステン・マッコールと首席ファゴット奏者のグスターヴォ・ヌニェスを中心にした四重奏曲がそれぞれ2曲ずつ収められています。
このオーケストラのライブ映像を見ると、バイノンが首席奏者に就任した1995年以降のものは、当時のかなり年配のもう一人の首席奏者はめったに乗っていなかったような気がしますが、2005年にマッコールがその後釜として新たに入団すると、バイノンと同じぐらい、あるいは少し多めの頻度で登場するようになったのではないでしょうか(あくまで、個人的な感想です)。まあ、確かにバイノンと比べても遜色のない演奏を聴かせてくれていたようですが、それほどの存在感はないのかな、と思っていたところに、この、ほとんど初めての、彼をメインにしたアルバムを聴いて、正直かなり驚いているところです。これはかなりすごいフルーティストです。
「マッコール」という、いかにもオネエ風(それは「マツコ」)、ではなく、スコットランド風のラストネームのせいか、イギリス人のように思われてファーストネームを「カーステン」と表記しているところもありますが(このSACDの帯でも)、彼は生粋のドイツ人なので、「ケルステン」と呼んだ方が本人も喜ぶのではないでしょうか。作曲家を父に持ち1973年にフライブルクで生まれ、現代音楽祭で有名なドナウエッシンゲンで育ったマッコールは、ニコレなどに師事、1997年には第4回神戸国際フルートコンクールで1位を獲得しました。その時の2位が、最近引退したアンドレアス・ブラウの後任として長く務めたシカゴ交響楽団からベルン・フィルに移籍したマテュー・デュフー、第3位がバイエルン放送交響楽団の首席奏者で音楽学者でもあるヘンリク・ヴィーゼという顔ぶれですから、昔から「すごかった」のでしょう。
神童であり、夭折しているところから「フランスのモーツァルト」とも呼ばれるフランソワ・ドヴィエンヌは、自身がフルートとファゴットを演奏したために、おもにその二つの楽器ための協奏曲や室内楽曲が有名ですが、それ以外の楽器のためにも膨大な作品を作っていますし、かなりの数のオペラや歌曲も作っているそうです。その中で、ここでマッコールたちが同僚のロイヤル・コンセルトヘボウ管の弦楽器奏者(日本人のヴァイオリン奏者の内藤淳子さんや、ヴィオラの小熊佐絵子さんなども)たちと演奏しているのは、Op.66-1とOp.66-3の2曲の四重奏曲です。いずれもクイケンたちの演奏で聴いたことがありました。しかし、ピリオドとモダンという楽器の違いもありますが、その印象はずいぶん異なるものでした。クイケンはあくまでアンサンブルの中の楽器という位置づけですが、マッコールはもっと存在感のあるソリスティックな活躍を見せています。イ短調のOp.66-1の冒頭で、最初に弦楽器だけでメランコリックなテーマが演奏される中に、彼のフルートが登場するとその場の空気がガラリと変わってしまうほどのインパクトが感じられます。こういう種類のフルートを吹いていたのが、あのゴールウェイでした。マッコールはゴールウェイほどの華やかな音色ではありませんが、技巧的なフレーズを「聴かせる」ことに関しては、決して引けを取りません。その完璧なテクニックと、心地よいピッチには、安心して身を委ねられる快感がありました。これからは、この人には注目が必要ですね。
音色に関して言えば、この録音ではゴールドの楽器では出ないようなこもった音のキーノイズが時折聴こえてきます。もしかしたらここでは時代的にあえて地味な音にするために、木管の楽器を使っていたのかもしれません。

SACD Artwork © Channel Classics Records bv
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by jurassic_oyaji | 2015-12-23 23:19 | フルート | Comments(0)
FÜRSTENAU/Masonic Music
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Mario Carbotta(Fl)
Aldo Martinoni(Guit)
Diego Fasolis/
RTSI Choir of Lugano
DYNAMIC/DM8002




ネットでセールをやっていたので覗いてみたら、こんなCDが見つかりました。そこで「フュルステナウ」という名前に引っかかって入手してしまいました。確か、「Bouquets des tons」というタイトルのフルートのエチュードを作った人が、そんな名前だったはず、しかもこれはフルートが加わった演奏が聴けるというのですから、興味が湧いてくるのも当然です。余談ですが、このエチュードは「音の花束(ブーケ)」と訳されているようですが、本当はそんなかわいらしい訳語ではなく、「音の束」ぐらいの即物的なもののはずです。とても手におえないほどのたくさんの音が「束」になっている、という感じのとても難しい練習曲ですから。
しかし、手元に届いてみると、それはどうやら別の「フュルステナウ」さんであることが分かりました。エチュードを作ったのはアントン・ベルンハルト・フュルステナウ、このCDの作曲家はカスパール・フュルステナウです。とは言っても、この二人は全くの他人ではなく、実は親子だった、ということも分かりました。カスパールの息子がアントン・ベルンハルトですね。しかもその息子のモリッツもフルーティストになったという、3代フルーティストが続いた家系だったのです。
1772年にドイツのミュンスターで生まれたカスパール・フュルステナウは、最初はオーボエ奏者だった父からオーボエを教わりますが、その父が亡くなったために作曲家でファゴット奏者でもあったアントン・ロンベルクの元に引き取られます。そこで彼はファゴットを習うのですが、やがてフルートに転向、見る見るうちに腕を上げて、15歳になったころには軍楽隊で演奏することで、家族を養うこともできるようになっていたそうです。後にオルデンブルクの宮廷オーケストラの団員となり、その地で47年の生涯を終えることになります。
作曲家として、カスパールは2曲のフルート協奏曲をはじめ、フルートが入った室内楽を数多く残しています。特にギターとのアンサンブルが多いのだそうです。しかし、今では全く知られていない彼の作品ですから、この中の曲もこのCDが録音された1998年の時点ではすべて世界初録音でした。
中でも、彼が属していたフリーメーソンの集会で歌われたであろう、やはりフルートとギターの伴奏が付いた男声合唱とソロのための歌は、まさに「珍品」と言えるものでしょう。「友情のために」とか、「貞節のために」といった、まさにフリーメーソンの教義が述べられている歌詞なのですが、それに付けられた音楽がとてもシンプルで和みます。というより、同じフリーメーソンの影響を強く受けているモーツァルトの「魔笛」を思わせるようなフレーズがあちこちに登場しているのには、興味が尽きません。
それを彩るフルートのオブリガートは、とても技巧的なものでした。これは間違いなくカスパール自身が集会では吹いていたのでしょうね。歌っているのは、ルガーノにあるスイス・イタリア語地区放送の合唱団の男声パートです。もちろん、ソロも合唱団の団員が担当しています。時にはテノール、時にはバリトンあたりが、得意げに喉を披露している中で、男声合唱が渋いハーモニーを付けるという、まさにフリーメーソンの集会そのものの光景が眼前に広がります。ここで、今ではバロック音楽の指揮者として高名なディエゴ・ファソリスの名前がクレジットされていますが、別にこれは指揮者がどうのという音楽ではないような気がします。どうやら、このアルバムのメインはフルーティストのようですね。
その、フルートを吹いているマリオ・カルボッタというパスタ料理のような名前(それは「カルボナーラ」)の人は、こちらのメルカダンテの協奏曲集で聴いたことがありました。ちょっとこんな曲にはもったいないような立派な演奏を聴かせてくれています。カップリングのギターとのデュオ作品も、同じような作風で楽しめます。

CD Artwork © DYNAMIC S.r.l.
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by jurassic_oyaji | 2015-12-16 00:19 | フルート | Comments(0)
BEETHOVEN/Variations on Folk Songs
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Patrick Gallois(Fl)
Maria Prinz(Pf)
NAXOS/8.573337




もはやすっかりNaxosの看板となったパトリック・ガロワ、最近では特定のオーケストラの指揮者というポストもなくなったし、サッカー選手に転向も出来ず(それは「ハットトリック」)、フルーティストとしてそのユニークなキャラクターを存分に披露してくれているのではないでしょうか。今回も、到底ほかのフルーティストではなしえないようなヘンタイなアルバムが出来上がりました。
ここでガロワが取り上げたのは、ベートーヴェンの作品105と作品107という正式な作品番号が付けられている、「民謡による変奏曲集」です。こんな作品、おそらく実際に聴いたことのある人などほとんどいないのではないでしょうか。余談ですが、悪名高いNMLの表記では、これが「国歌による変奏曲」となっていましたね。
作品番号が付いているということは、ちゃんと出版されたということですが、1819年にイギリスで部分的に出版された時のタイトルが「Twelve National Airs with Variations for the Piano and an accompaniment for the Flute」でしたから、「National Air」に反応して「国歌」と訳したのかもしれません。でも例えば「庭の千草」などがテーマとして使われているのは聴いてみればすぐにわかりますから、これは国歌ではないと気づきそうなものです。なんともいい加減な日本のNMLのスタッフの仕事ぶりです。
参考までに、その後きちんと作品番号を付けて出版された時のタイトルは作品105が「ピアノ・ソロ、もしくは任意のフルートかヴァイオリンを伴う6つの平易な変奏曲」ですし、作品107が「ピアノと任意のフルートかヴァイオリンを伴うロシア、スコットランド、チロルのテーマによる10の変奏曲」(いずれもフランス語)というものでしたから、「民謡」という単語すら入ってはいなかったのですけどね。
これらの作品は、スコットランドで「芸術産業振興理事会」の職員をしていて、自身もかなりオタクなアマチュアの音楽家だったジョージ・トムソンという人の依頼によって作られました。彼の仕事は出版された民謡の楽譜を収集することでしたが、それが昂じてついに当時ウィーンで活躍していた大作曲家たちに民謡の主題を用いた曲を作らせることを始めたのです。最初はプレイエル、そして彼の師であり、イギリスでのライバルでもあったハイドンにそのような委嘱を行いますが、さらにベートーヴェンにも同様の仕事を依頼します。しかし、そのオファーは金額的に必ずしもベートーヴェンの満足できる条件ではなく、さらに、あくまでアマチュア向けのやさしい作品をトムソンが求めても、ベートーヴェンは断固として応じなかったということで、なかなか話は進まなかったようですね。結局出来上がったのはこの2つの曲集だけでした。
そのような、あくまでフルートはピアノの「付け足し」という位置づけのこれらの作品を演奏する時に、ガロワは大幅に手を入れて「ピアノ伴奏によるフルート・ソロ」という形の変奏曲に作り替えました。例えば、オリジナルではピアノが変奏を弾く中でフルートはちょっとした間の手を入れる、といったような部分でも、フルートに堂々たるテーマを演奏させて、そのバックでピアノがチマチマ変奏を行う、というような改変ですね。
そして、最大の改変は、この、言ってみれば「金のため」だけに作った(それは決して悪いことではありませんが)イージーとも思われる作品に、ガロワがとてつもなく深みのある「意味」を込めて演奏しているという点です。こんな曲でも以前にヴァイオリンとピアノのバージョンで演奏されたものがあったので聴いてみましたが、その、まさに音符を忠実に再現しただけの演奏と比べると、その違いは歴然としています。おそらく、トムソンの苦情に応じていやいや作り変えたベートーヴェンの仕事に最初はあったはずの作曲家の意地のようなものを、ガロワは丹念に付け加えていたのでしょう。でも、さすがに「フィンガー・ビブラート」はちょっと余計だったような気がしますが。

CD Artwork © Naxos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2015-11-18 00:05 | フルート | Comments(0)
TAKEMITSU/And Then I Knew 'Twas Wind
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The Museaux Trio
Sydney Carlson(Fl)
Denise Fujikawa(Hp)
Brian Quincey(Va)
ALBANY/TROY1581




武満徹が1992年に作った「そして、それが風であることを知った」というフルート、ハープ、ヴィオラのための曲と、その元ネタであるドビュッシーの同じ楽器編成の「ソナタ」をカップリングしたアルバムは、いったい今までにどのぐらい作られたことでしょう。今回、そこに新たに参入したのが、「The Museau Trio」という、2011年に結成されたばかりの新しいグループです。メンバーは、かつてヒューストン・グランド・オペラのオーケストラの団員だったフルートのシドニー・カールソン、かつてポートランド・オペラのオーケストラの団員だったハープのデニス・フジカワ、そして、フェニックス交響楽団、サクラメント交響楽団、サンフランシスコ交響楽団を経て、1997年からオレゴン交響楽団の団員であるヴィオラのブライアン・クインシーの3人です。
このグループの名前は、このようなフランス風のネーミングになっています。最初、それこそフランス語として「ミュゾー・トリオ」と読むのだと思ったら、なんとこれはニホンゴだというのですから、驚いてしまいます。「Museaux」は「ムソー」と読ませて、「苔寺」として有名な西芳寺の庭園などを設計したことで知られる鎌倉・室町時代の禅僧、夢窓礎石を意味するのだそうです。そういえば、武満にも「夢窓」という1985年に作られたオーケストラ作品がありましたね。その作品の英語表記は「Dream/Window」、ですから、「Museaux」にも「夢」と「窓」という意味までもが込められているのでしょう。かなり苦しいこじつけ、それならもっとわかりやすく「Musoh」ぐらいにしておけばいいのに。
まあ、気持ちだけはしっかり汲ませていただくとして、まずその武満のタイトル曲を聴いてみると、フルートのとても澄んだ音色に魅了されてしまいます。それは、まさに「禅寺」とか「水墨画」からイメージされそうなモノクロームの世界へと誘い込まれるようなフルートでした。よくある勘違いは、このパートに日本の楽器、尺八に似せた音色と奏法を期待するというやり方ですが、それはフルートと尺八の双方に失礼なこと、このような、あくまで西洋音楽のアプローチで武満の世界を表現する方がどれほど彼の本質に迫れることでしょう。
続くドビュッシーの「トリオ」にも、カールソンは同じようなクリアな音色と抑揚の少ないエクスプレッションで挑んでいます。それは確かに武満とのつながりをもろに感じられるような表現には仕上がってはいるのですが、ドビュッシーとしてはもう少し「艶」のようなものが欲しい気がしないでもありません。
これだけではアルバムとしては時間が短いので、もう1曲のカップリングが用意されています。それが、彼らが1970年生まれのアメリカの作曲家、カリム・アル=ザンドに委嘱した「Studies in Nature」という作品です。これは、19世紀末のドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルが1904年に出版した「Kunstformen der Natur」(英語訳が「Art Forms in Nature」、日本では「生物の驚異的な形」というタイトルで出版されています)という、様々な珍しい生物の100枚の彩色画を集めた画集にインスパイアされて作られたものです。これらのイラストには、単なる生物の標本画を超えた、芸術としての完成度が見られます。この本の中から選ばれたのが、「ウミユリ」と「放散虫」と「クラゲ」、このアルバムのジャケットには、その「放散虫」が使われています。でも、ちょっと気持ち悪いですね。

これは、武満やドビュッシーとはうって変わって、具体的なイメージがはっきり伝わってくる、そのままこれらのイラストのバックに流してもいいような分かりやすい作品です。フルートも心なしかうきうきと歌っているようですし、何よりもヴィオラのハイテンションぶりがとてもよく伝わってきます。これは、日本の禅僧とは無縁の世界、正直、一度聴いたらそれっきりというような、どうでもいい作品ですが。

CD Artwork © Albany Records
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by jurassic_oyaji | 2015-11-13 21:56 | フルート | Comments(0)
REVOLUTION
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Emmanuel Pahud(Fl)
Giovanni Antonini/
Kammerorchester Basel
WARNER/0825646276783




ベルリン・フィルの首席フルート奏者、エマニュエル・パユの久しぶりのソロアルバムは、なんと「革命」というタイトルでした。そういえば、少し前に彼が世界に羽ばたくきっかけとなった神戸国際フルートコンクールへの公的援助が打ち切られることに対しての、自治体への嘆願書みたいなものをネットで見かけましたね。そんな貧しい日本の文化政策を立て直すために、まずは「革命」を起こして腐りきったアベ政権を倒そう、という意気込みが込められたアルバムなのでしょうか。
もちろん、そんな勇ましいことを考えるようなパユではありませんから、それはあり得ません。この「革命」というのは、ほとんど固有名詞として使われる「革命」、つまり「フランス革命」のことです。そういえば、分かりにくいかもしれませんが、このジャケットの背景となっているのは、その「革命前夜」の象徴的な出来事「球戯場の誓い」を描いたジャック=ルイ・ダヴィッドの有名な絵画の下書きですね。完成された作品はもちろんみんなちゃんとした服を着ていますが、この下書きではみんな全裸なのが興味深いですね。その前で、パユはそれこそ「レ・ミゼラブル」にでも出てきそうないでたちで空中浮遊をしています。
そう、ここでは、そんなフランス革命の時代に作られたフルートのための協奏曲が演奏されているのです。このような、ある時期を切り取ってその時代の作品を取り上げるという企画は、以前ベルリンのフリードリヒ大王をキーワードとした「The Flute King」に続いてのものとなります。今回はそれよりも少しあとの時代のフランス、という設定です。
そういうコンセプトで取り上げられたのが、ドゥヴィエンヌの協奏曲第7番ホ短調、ジアネッラの協奏曲第1番ニ短調、グルックの協奏曲ト長調、そしてプレイエルの協奏曲ハ長調です。この中ではドゥヴィエンヌの曲がかなり有名で多くのCDが出ていますが、それ以外はなかなか聴く機会はないはずです。
他のEMIのアーティスト同様、パユもレーベルの名前が変わったことには何の影響も受けなかったかのように、以前と同じかつてのEMIのプロデューサー、スティーヴン・ジョンズのもとで今回もアルバムを制作しています。ただ、ちょっと興味を引くのが、フィリップ・ホッブスとロバート・カミッジというエンジニアの名前です。この二人はLINNのプロデューサー兼エンジニアと、そのアシスタントではありませんか。LINNのスタッフが元EMIの録音を行うなんて時代になってしまったのですね。
聴こえてきたのは、まさにLINNのきめ細かなサウンドだったのでうれしくなりました。まさか、パユをこんな素敵な録音で聴けるなんて、思ってもみませんでしたよ。いや、まずパユが出てくる前のオーケストラの序奏で、その刺激的なサウンドとアグレッシブな音楽性に引きつけられてしまいました。実は、バックのオケがどこかなんてことは全くチェックせずに聴きはじめたのですね。改めてクレジットを見ると、それはジョヴァンニ・アントニーニ指揮のバーゼル室内オーケストラでした。どうりで、すごいはずです。彼らの演奏するベートーヴェンに衝撃を受けたことを、いまさらながら思い出しました。
そのオーケストラは、コンチェルトのバックにはあるまじきハイテンションの演奏で音楽をぐいぐい引っ張っていきます。もちろん彼らはノン・ビブラートの弦楽器と、びっくりするような音色のピリオドの金管楽器でめいっぱい迫ります。正直、こうなってくるとフルート・ソロなんかどうでもよくなってくるほどの存在感です。全く思いがけないところで、お腹がいっぱいになってしまいましたよ。
パユ?・・・。早い楽章での目の覚めるような軽業には圧倒されますが、ゆっくりとした楽章でのいつもながらの無気力な(本人はしっかり「抑えた」音楽を演出しているつもりなのでしょうが)吹き方には、まるでおかゆしか食べなかったあとのような空腹感しか味わうことが出来ませんでした。

CD Artwork © Parlophone Records Limited
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by jurassic_oyaji | 2015-10-23 20:21 | フルート | Comments(0)
Lockrufe
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Meininger-Trio
Christiane Meininger(Fl)
Miloš Mlejnik(Vc)
Rainer Gepp(Pf)
Roger Coldberg(Bass/guest)
PROFIL/PH15020




「マイニンガー・トリオ」のコンサートは、いつも満員だぁ。いや、そんなことは分かりませんが、「マイニンガー」と聞いてイメージしたのは、「シュワルツェネッガー」みたいな屈強な男の姿でした。でも、パーソネルを見てみるとそのマイニンガーさんはクリスティアーネ・マイニンガーという女性でした。ジャケット裏の写真見ると、屈強な男は残りの二人、ピアノのライナー・ゲップとチェロのミロシュ・ムレイニクでした。この、いかにも若作りのマイニンガーおばはんは、日本の着物の「帯」をワンピースに巻いているようですね。ただ、ドイツ人はともかく我々日本人は帯締めが「縦結び」になっている時点でもうこの人のファッション・センスを疑ってしまうことでしょう。なんたって、これは死装束の結び方ですからね

それはともかく、このおばはんを中心にしたトリオは、活発に同時代の作曲家に作品を依頼してそれを演奏しているのだそうです。今回のCDには全く名前を聞いたことのない6人の作曲家が、それぞれ1曲ずつ曲を提供しています。もちろんすべてが世界初録音です。
この中での最年長、1943年生まれのライナー・リシュカの作品のタイトルが、アルバムタイトルにもなっている「Lockrufe」です。鳥が求愛のために叫ぶ鳴き声のことだそうですが、特にメシアンのように鳥の声を認識させられるようなモティーフが現れるわけではありません。もっと内面的な意味での「求愛」を音で表現した、というところでしょうか。冒頭ではフルートだけで、まるで尺八のような音色の演奏が聴こえてきます。そんな瞑想的な作品なのかと思いきや、いつの間にかピアノやチェロによってなんだか「ジャズ」っぽいビートが流れてくるようになると、それはまさに「ジャズもどき」の音楽に変貌します。「もどき」というのは、マイニンガーのフルートがとてもどんくさくて(ブレスに時間を取っている間に、どんどんリズムから乗り遅れていきます)、いくらなんでもこれを「ジャズ」と呼ぶのはためらわれるからです。「ジャズの要素もほんの少し加味された現代の作品」、という感じでしょうか。4つの「楽章」から出来ていますが、「Langsam」とか「Luhig」といったドイツ語表記が、まるでブルックナーみたいで笑えます。そのくせ、終楽章は「Samba feel」と言ってる割りには、全然「サンバ」っぽくないのも粋ですね。
1994年生まれのライナー・エブル・サカルの「Wind Touch」という作品は、なんでも2015年のアンカラでの作曲コンクール(それが、どの程度のレベルのものかは分かりません)で1位を取ったのだそうです。この録音は2013年に行われたものですから、受賞したのはその後のことになります。タイトルの爽やかさとはうらはらに、ダークなテイストに支配された曲です。
1986年生まれのメフメト・エルハン・タンマンの「Water Waves」という、まるで武満徹みたいなタイトルの作品は、基本ミニマル、その中にドビュッシー風のスローなパーツが挿入されています。
1963年生まれのジョエル・クーリーの「Arabian Fantasy in Blue」は、タイトルに逆らわない、アラビア風の「ブルース」。
1955年生まれのケイト・ウェアリングの「Lotus」は、その名の通り、「真っ白なハス」、「ハスの夢」、「ハスの心」という2つの楽章から出来ていますが、細川俊夫ほどのエロさはなく、やはりミニマルっぽいテーマの繰り返しや、リズム・パターンがはっきりしている今風の作品です。
そして、1977年生まれのブラシュ・プツィハルの「Full Moon Trio」は、もろ中国風の音階が使われたリリックな作品です。チェロが奏でるとても美しいメロディをフルートが奏でると、なぜかとても下品なものに変わるといったように、このフルーティストの音楽的なセンスは、ちょっと別の方向を向いているような気がしてなりません。写真の帯締めが気にならない人であれば、もしかしたらこれは楽しんで聴けるものなのかもしれません。

CD Artwork © Profil Medien GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-09-21 21:14 | フルート | Comments(0)
French Flute Concertos
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Frank Theuns(Fl)
Les Buffardins
ACCENT/ACC 24297




このACCENTというベルギーのレーベルは、「ピリオド楽器の第2世代」と言われたクイケン兄弟などをメイン・アーティストにして1978年に設立されました。発足当時のLPは国内プレス盤も発売され、録音の良さとクイケンたちの「新しい」スタイルによって、多くのファンを獲得します。
このレーベルを作ったのは、フルート(もちろんピリオド楽器)製作者であり、レコーディング・エンジニアでもあったアンドレアス・グラットです。彼は、この「アクサン」レーベルを奥さんのアデルハイド(やはり、ヴィオール奏者でエンジニア)との2人だけで運営し、多くのレコードを作り続けたのです。
この二人による録音、制作という体制はおそらく2000年代までは続いていたのでしょう。手元にあるCDを調べてみると、2010年代に入るとクレジットからはこの二人の名前が消えて、例えばノイブロンナーなどが登場するようになっていますから、おそらくこの頃にレーベルの活動の第一線からは退いたのではないでしょうか。
今回の最新の「アクサン」レーベルのCDを手にしたら、ブックレットの最初に、このアルバムのアーティストであるフランク・トゥーンスによる、「このレーベルの創設者であり、2013年に鬼籍に入ったアンドレアス・グラットにこの録音をささげる」という献辞がありました。もう亡くなっていたのですね。そういえば、最近は経営母体も変っているようですね。
クイケン兄弟とかグスタフ・レオンハルトなどに師事した、いわば第3世代のピリオド・プレイヤーの一人であるトラヴェルソ奏者のトゥーンス(「トインス」とか「トゥンス」といった表記もありますが、これがおそらく最も近い発音?)が、同じ門下生仲間を集めて作ったアンサンブルが「レ・ビュッファルダン」です。彼らはこれまでACCENTで多くの録音を行ってきましたし、トゥーンスはジギスヴァルト・クイケンの「ラ・プティット・バンド」やインマゼールの「アニマ・エテルナ」のメンバーとして、多くのレーベルでの録音に参加しています。その「アニマ・エテルナ」のアルバムではドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」のソロをモダン・フルートで吹いていたりするのですから、なかなか柔軟な一面もあるのでしょう。
今回のアルバムは、フランスの作曲家によるフルート協奏曲を集めたものです。ラインナップはルクレール、ブラヴェ、コレット、ビュッファルダン、ノード、ボアモルティエという、よだれの出そうな豪華メンバーのオンパレード、ただ、実際に聴いたことのあるフルート協奏曲はブラヴェのものだけだったので、それぞれの曲の魅力を新鮮に味わうことが出来ました。
トゥーンスの演奏は、先ほどのドビュッシーとは全然違う、まるで水を得た魚のよう、ちまちましたところのない直球勝負で迫ります。メカニカルな部分はあくまで正確に、リリカルな部分はしっとり歌うというとても気持ちのいいものです。聴きどころは、真ん中のゆっくりした楽章。イタリアの作曲家の場合ではごてごてと装飾を付けるのでしょうが、ここは「おフランス」ですから、メロディそのものの美しさをダイナミックに前面に出してくれています。特に、あのクヴァンツの先生だったビュッファルダンの、前後を短調の楽章に挟まれたなかで、長調の美しいメロディを奏でるアンダンテの楽章は、とても心にしみます。
ノードの協奏曲は、元々はハーディ・ガーディのために作られたものだそうですが、トゥーンスは「ピッコロ」で演奏しています。でもこれは横笛のピッコロではなく、どうもソプラノ・リコーダーのように聴こえるのですが、どうでしょう。
エンジニアが替わっても、グラットが作り上げた「アクサン・サウンド」は正しく継承されているようです。チェンバロの繊細な響きはとても魅力的、ただ、チェロの音だけちょっと輪郭がぼやけているのはノーマルCDだからでしょうか。

CD Artwork © Note 1 Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2015-09-13 20:10 | フルート | Comments(0)