おやぢの部屋2
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BRUBECK/American Poets
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Lynn Morrow/
Pacific Mozart Ensemble
SONO LUMINUS/DSL-92160(CD, BD)




SONO LUMINUS」というのは初めて聞くレーベル名でした。実は、これはかつてあった「DORIAN」というアメリカのレーベルが2005年に倒産したものを、「SONO LUMINUS」という会社が買い取って2007年に新たに発足したレーベルなのです。確かにマークはDORIANそのものですね。ただ、最初のころは「DORIAN SONO LUMINUS」と言っていたものが、最近ではこのようにマークが微妙に変わって「DORIAN」がなくなっていますね。かわいそうに。
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そのSONO LUMINUSという会社は、録音を専門にしていたところなので、最近の新譜では録音面でかなりのインパクトのある製品を出してきています。実はジャケットのインレイには「Blu-ray Audio + CD」という文字と、BDCDのロゴが印刷されていることが、拡大すると分かります。

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例えば、「2L」や「NAXOS」のように、ブルーレイ・オーディオはしっかり縦長のBDのケースに収まっているのではなく、これはただのCDケースですので、中に同じコンテンツのCDBDが2枚入っていることには気づかないかもしれません。ネットショップの案内にも、ただ「CD」と書いてあるだけですし。
そんな、まるで「趣味でやっているのだから、別に気づいてもらわなくてもかまわないさ」とでも言いたげにさりげなく入っているブルーレイ・オーディオですが、そのスペックはしっかり極限を追求したものでした。サラウンドが7.15.1の2種類、それに2チャンネルステレオが加わります。音声スペックは24bit/192kHzという、BDの規格の最大値を確保しています。7.1だけはさすがに24/96になっていますが、そうしないと1枚のBDには収まらなくなってしまうのでしょう。ただの「趣味」にしては、気合の入り過ぎ。
これはもちろん、「指環」のSACDのようなアップコンバートではなく、最初から24/192で録音されたものですから、同梱のCDと比較するのもかわいそうなぐらい、ものすごい音を聴くことが出来ます。合唱の肌触りと質感が、まさに別物、それこそ、ちょっと突っついたら果汁があふれ出てくるほどの豊穣さがみなぎっているのですからね。
そう、タイトルからはわかりませんが、これはデイヴ・ブルーベックの合唱曲を集めたアルバムです。いわゆる「組曲」のような大仰なものではなく、ほんの数分程度のかわいらしいピースが20曲程度集められています。その作風も、まるでロマン派の合唱曲のようなオーソドックスなものから、彼の本来のフィールドであるジャズっぽいものまで、多岐にわたっています。どんな曲の中でも、しっとりとした歌心が感じられ、聴く者を幸せにしてくれます。
と、最初の数曲を聴いているうちは、その包み込まれるようなみずみずしい録音にも助けられてうっとりとしていられたのですが、しばらくしてくるとなんだかこの合唱団の演奏はとても覇気に欠けるような気がしてきました。ただ流れに乗って歌っているだけで、そこから何かを表現しようという意思が全く感じられないのですね。本来は楽しいはずのブギ・ウギをベースにした曲でも、聴いていてつらくなるようなノリの悪さですし。
曲の中には、最初はインスト物として作られたものを合唱曲に編曲したものもたくさん含まれています。そんな中で、そもそもは弦楽オーケストラのために作られた「Regret」という複雑な対位法を駆使したかなり「器楽的」なイディオムが満載の難曲では、もろに合唱団のスキルでは手に負えないことが露呈されて、とてもひどいことになっていました。
この合唱団は、以前バーンスタインの「ミサ」にも参加していました。でも、あそこでの「合唱」はそれほど厳格さを要求されるパートではなかったはず、ライナーによると、彼らのレパートリーは「ブラームスからビーチ・ボーイズまで」なのだそうですが、ここではもろビーチ・ボーイズ寄りの軸足になっているようです。それではブルーベックは歌えません。

CD Artwork © SonoLuminus LLC
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by jurassic_oyaji | 2012-10-30 23:24 | 合唱 | Comments(0)
N響中国公演
 いよいよ今週末はニューフィルの定期演奏会、練習に熱が入ってくるのはもちろんのことですが、チケットの争奪戦も熱を帯びてくる時期でもあります。メンバーは、今こそ追い込みとばかりに各方面に売り込みをかけた結果、自分の持ち分をオーバーしてしまうと、チケットを追加するためにはまたお金を払わなければなりません。そこで、まだそんなに売れていない他のメンバーの残りのチケットを、なんとか確保しようとするのですね。そうなってくると、ギリギリになって「チケットほしいんだけど、まだある?」と言われても、仲間に譲ってしまってもはや手元には1枚も残らなくなってしまう、などという事態も起こりかねないのですよ。そんなことにならないように、ぜひチケットだけはお早目に確保しておきたいものです。私のところにも、今ならまだ都合が付けられますので、どうぞお申し出ください(もちろん、差し上げます)。
 そういえば、日本ではなく中国で演奏会を行っていた日本のオーケストラがありました。なんでも「日中国交正常化40周年」の記念事業として、北京のホールで武満やチャイコフスキーを演奏したのだそうです。行ったのが9月の初めごろなので、全く普通に演奏会は開催されていました。石原のアホや、野田のバカがあんなことをする前でしたから、本当に良かったですね。へたをしたら、演奏会が開けなかっただけではなく、楽器も全部略奪されていたかもしれませんからね。
 その演奏会の模様が、きのうBSで放送されていました。出来たばかりのホールの内装が、「川内萩ホール」によく似ていたのが、非常に印象的でした。
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 中国との国交が結ばれたのよりもう少し前のポスターや、その頃の生活が反映された様々なものを集めた「博覧会」が開かれていたので、泉のショッピングモールに行ってきました。
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 東京オリンピックのポスターなんかは、昔我が家にもあったのですが、もうどこかへ行ってなくなってしまいました。そんな、昔は普通に誰でも持っていたのに、今ではすっかりなくなってしまって「貴重品」に変わってしまった、というアイテムを集めたのが、この博覧会のメインです。言ってみれば「ガラクタ」を集めただけなのですが、そんなものが今となっては計り知れない価値を持つことになったのですね。
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 この他にも、ブリキのおもちゃや、月刊のマンガ雑誌の付録について来たマンガの単行本などもありました。「わちさんぺい」とか、「一峰大二」とか「関谷ひさし」などという名前を懐かしく思える人は、今ではかなり少なくなってきました。それでも、別のところにあった7インチシングルの「ピンクレディー」や「寺尾聰」ぐらいだったら、まだそんなに古くはありません。
 一応タイトルは「20世紀」ですから、いくらなんでも私にとっては実体験が伴わないほどに昔のものもありました。今でも復刻されているビールのポスターなども、もちろん現物が使われた時代にはまだ生まれてはいませんでしたよ。その筆致を見てみると、まだパソコンも、ましてやエアブラシもなかった時代に、よくこんな味が出せたなぁ、と感心してしまいます。いや、「創意」という意味では、この時代のがむしゃらさにはとても惹かれるものがありましたね。
 でも、中には意味不明のものもありますが。よく、こんなものが検閲に引っ掛からなかったものです。
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by jurassic_oyaji | 2012-10-29 21:00 | 禁断 | Comments(0)
WAGNER/The Ring Without Words
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Lorin Maazel/
Berliner Philharmoniker
EUROARTS/2057607(BD)




前回はBD1枚でワーグナーの「指環」全曲を聴いてしまいましたが、今回もやはりBD1枚の「指環」という企画です。ただ、こちらはしっかり映像も見られますから、さらにお買い得。
とは言っても、こちらは「全曲」ではありませんでしたね。さすがにまだそんなメディアは開発されてはいなかったのでした。要するに、「指環」のいいとこを集めてオーケストラで演奏した、というだけのことなのですがね。前例としては、そんなものは、1991年にデ・ヴリーガーが編曲したものがありましたね。正確には、今回のマゼール自身の編曲の方が先、1987年にアメリカのレーベルTELARCの要望に応えて編曲を行い、それをベルリン・フィルと録音したのですね。それ以来、この編曲はマゼールの「持ちネタ」となり、世界中のオーケストラとことあるごとに共演しています。つい先日も日本のNHK交響楽団と初めて共演した時にも、「名刺代わり」に演奏していましたね。
今回の映像は、マゼールと、この編曲を初演したベルリン・フィルとのコンサートのライブです。BDDVDともに昨年リリースされていたものなのですが、なぜか大幅に価格を下げて別の装丁になったものが出ました。BDとしては想定外の値段だったので、つい買ってしまいましたよ。
手元に届いたもののクレジットを見ると、なんだか日本人っぽい名前の人がディレクターやプロデューサーとして名を連ねていました。さらによく見てみると、これは「テレビマン・ユニオン」と「WOWOW」との共同制作であることも分かりました。「なんでWOWOWが?」という疑問は、録音年を見て氷解します。この映像が録画されたのは2000年だったのですよ。BDだからてっきり最近のものだと早合点してしまいましたが、これはそんな大昔の映像なのでした。いや、確かにこのころすでに「ハイビジョン」はありましたから、フルHDの素材があってもおかしくはありません。そして、今のWOWOWからは想像もできませんが、このBSチャンネルは、この時期にはベルリン・フィルの演奏会を定期的に収録して、それを放送していたのですよ。もちろん、技術スタッフは現地のメンバーですが、制作はしっかりテレビマン・ユニオンとWOWOW自身だったのですね。おそらく、当時はこの映像目当てにWOWOWに加入した人が、クラシック・ファンの中には結構いたのではないでしょうか。そんな映像が、今頃になってBDとして商品化されたのですね。そういう意味で、これは「歴史的映像」と言えるかもしれませんね。
実際はたった12年前の映像ですが、ベルリン・フィルのメンバーはかなり顔ぶれが変わっていました。コンサートマスターも、今はもういない人ですし、フルートパートには、やはりすでに退団しているピッコロのデュンシェーデとともに、なんか日本人のような人がいます。そう、この方は、日本人フルーティストとしては恐らく初めてベルリン・フィルの団員(産休団員の代わりを務める契約団員)となった庄田奏美(かなみ)さんです。
マゼールの編曲は、ごく素直に曲をつなげたものでした。「Without Words」とあるように、歌手が言葉をつけて歌う部分は楽器で演奏されているあたりが、ちょっと違和感があるぐらいでしょうか。でも、それぞれに「ソリスト」は健闘しています。「黄昏」でのラインの乙女のアンサンブルをクラリネット3本で演奏しているのなどは、大成功でしょう。曲のつながりもとても自然、「ワルキューレ」から「ジークフリート」に変わった部分などは、あまりの滑らかさに曲が変わったのにも気づかないほどでした。
例えば、オペラの「ラインの黄金」などは、オーケストラは2時間半の間全く休むことなく演奏を続けます。それはピットの中だから何とかなるものなのですが、ステージに上がって83分間全く休みなしという体験は、演奏する側はもちろん、聴く側にとってもかなりつらいものなのだな、と切実に感じてしまった映像でした。

BD Artwork © EuroArts Music International GmbH
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by jurassic_oyaji | 2012-10-28 20:56 | オーケストラ | Comments(0)
ショルティの「指環」のSACDのマスター
 きのうの「おやぢ」では、極力あたりさわりのないことを書きましたが、今回のショルティの「指環」のニュー・リマスター・ボックスの発売によって明らかになったことは、かなり重大な意味を持つものなのではないでしょうか。それは、CD、さらにはBDがアルバム状に収納されているハードカバーの最後にあったDECCAのプロデューサーの、今回のリマスターについての詳細な記述です。そこには、普通はあまり公にはしないようなかなり具体的なマスタリングの作業の内容が書かれていたのですね。特に注目されたのは、もはや現時点(正確には、もう少し前、2009年の時点ですが、それについてはあとで触れます)では、1950年代から1960年代にかけて録音されたマスターテープは、最高の状態で保存してたにもかかわらず、もはやそこから新たに高音質のデジタル・マスターを作ることは不可能なまでに劣化が進んでいた、ということです。これは大変なことですね。まさに「文化遺産」とも言うべきオリジナルのマスターテープがそんな状態になる前に、しっかりハイレゾのPCM、あるいはDSDにトランスファーして保存しておいてもらいたいものです。
 ですから、今回のリマスタリングに用いられたマスターは、そのマスターテープから今まで何度もトランスファーされたものの中から最良のものと判断された、かつて「ワルキューレ」でアシスタント・エンジニアとして参加していたジェイムズ・ロックが作った1997年のデジタル・テープだったのです。これは、その年にリリースされた「指環」の2度目のリマスタリングCDのマスターとして使われたものですね。
 ロックは当時としては先見の明があって、普通のCDの規格である16bitではなく、24bitでトランスファーを行っていましたから、それは今回のリマスタリングにも充分なだけの「ダイナミック・レンジ」は確保できていました。ここで注意したいのは、この記述の中では「24bit」と書かれているだけで、サンプリング周波数に関してはどこにも具体的な数字は示されていないことです。現代のリマスタリングでは、それは最低でも96kHzでないと、CDはともかくSACDにするためには充分ではないのです。しかし、それが書かれていないということは、ロックのトランスファーでは48kHz、もしかしたらCDと同じ44.1kHzだったのかもしれないのですね。それを裏付けるように、このボックスの「目玉」として華々しく登場した、1枚に「指環」全曲が収まってしまうというBlu-ray Audioには、24bit/48kHzのLPCMデータが入っていたのです。
 まあ、それはそれで、間違いなくCDを超える、かなりマスター・テープに近づいたと思われる音が聴けるので、そんなに問題ではありません。なにしろ、今となっては24/96のマスターを作るのは、もう不可能になっているのですからね。
 しかし、この記述の中では、もう一つ驚くべき事実が暴露されていたのです。マスターテープが使い物にならないと判断された2009年に行われていたことは、「日本の会社」へ向けてのマスター作りだったというのです。その「会社」とははもちろん、その年に世界で初めてこの「指環」のSACDを制作したESOTERICのことですね。つまり、杉本一家さんがSACDへのマスタリングの際に用いたのは、この24bit/48kHzのマスターだったのですよ。もしかしたら、杉本さんの手元には、それがアップコンバートされた24bit/96kHzのものが届いていたのかもしれませんが、大元は24/48であったことには変わりはありません。これは、かなりヤバいことなのではないでしょうか。
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 ESOTERICのサイトでは、この「指環」のSACDについて、「今回のリマスタリングは、初のSACDハイブリッド化ということで、これまでのエソテリック企画同様、使用するオリジナル・マスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われました。」とありますよ。これを読めば、誰でも「オリジナル・マスターテープを使用した」と思うじゃないですか。私もずっとそう思っていました。他の事例もあるので、一連のESOTERICのSACDを作る際にはマスターテープなどは使われていないことはうすうす気がついてはいましたが、それを裏付ける証拠がここまではっきりしていたとは。見事に裏切られた思いです。
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by jurassic_oyaji | 2012-10-27 22:09 | 禁断 | Comments(4)
WAGNER/Der Ring des Nibelungen
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Many Singers
Georg Solti/
Wiener Philharmoniker
DECCA/478 3702 2(CD, DVD, BD)




今年はゲオルク・ショルティの生誕100年、そして来年はリヒャルト・ワーグナーの生誕200年ということで、こんなものすごいボックスが発売になりました。ジョン・カルショーによって制作された半世紀以上前の「指環」です。
まず、ボックスそのものがCDサイズのちゃちなものではなく、12インチ四方のLPサイズになっています。白いスリーヴを外すと漆黒のボックス本体が姿を現します。
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なんと、箱のお尻にはシリアル・ナンバーが。
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その中にあるのは、4冊のハードカバーのようなものですが、この形ですからまるでこの録音が最初にリリースされた時のLPボックスが4つ集まっているかのように見えはしないでしょうか。
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まず驚くのが、カルショーの著書「Ring Resounding」の原書の復刻版です。もちろん装丁は違っていますが、この数多くのデータが満載の書物を、誤訳を気にせずに読めるのはとてもありがたいことです。表紙のこのキャラは「ワルキューレ」でしょう。
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そして、メインの音声ディスクは、この「ラインの黄金」の巨人族が表紙になっている「アルバム」に収められています。
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1ページごとにそれぞれの作品のCD、最後にはデリック・クックが監修したライトモチーフの音源集、
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さらに「おまけ」として、同じ頃に録音されたワーグナーの「ジークフリート牧歌」などのコンピCD(既発売品)と、「指環」全曲を1枚に収録してしまったBDが入っています。しかし、このメディアは25GBの容量しかありませんから、24bit/96kHzの非圧縮PCMだったらトータル・タイムの14時間半はちょっと難しいのでは。
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3枚目の表紙は、ラインの乙女なのですが、「ラインの黄金」ではなく「神々の黄昏」のキャラとして使われているのでしょう。
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これには、さっきのライトモチーフ集の譜例と、
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なんとも貴重なショルティが実際に使った書き込み入りのスコアの「ワルキューレの騎行」の部分のファクシミリが入っています。
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その他に5枚の写真、発売当時の音楽雑誌の広告紙面と、ハンフリー・バートンが制作した「神々の黄昏」の録音セッションの記録映像のDVDThe Golden Ring」まで入っていますよ。
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そして、最後は「ジークフリート」に飾られたリブレット集です。あいにく、英訳しかありませんが。
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と、ため息が出そうになるほどの豪華絢爛なボックスですが、なんと言っても購入のきっかけとなったのはBDによる音源です。もちろん、映像ではなくいわゆるBlu-ray Audioと呼ばれる、ハイレゾPCMの音声ファイルが収められているものです。一応「24-bit」とか「higher bit-depth」という文字が見えますが、今回のリマスタリングに使われたマスターは、オリジナルのアナログマスターテープではなく(劣化が進んで、もはや使い物にならないのだそうです)、1997年にそのマスターテープから「CDよりは広いダイナミック・レンジ」でトランスファーされたデジタルテープなのだそうです。ですから、具体的に数値が示されていない限り、サンプリング周波数についてはCDと同じ44.1kHzだった可能性もありますね(DECCA24bit/96kHzでリマスタリングを始めたのは1999年?)。これなら、楽々1枚のBDに収まります。
そんな、数字上のことは何も考えずにこのBDを聴いてみると、まるでLPを聴いているようなアナログ的な生々しさがたっぷり味わえることに驚きます。「ワルキューレ」の前奏曲などは、最初にLPを聴いたときの感動がまざまざと甦ってきましたよ。これは、SACDでも体験できなかったことです。
実は、このボックスからは、そのESOTERICSACDのソースについても知ることが出来ます。DECCAでは2009年に「日本の会社」のためにデジタル・マスターを作った時も、やはりこの1997年のマスターを用いたそうなのです。いま改めてこのBDと比較してみると、確かにより繊細なところはありますが、アナログ録音が持っている「中身の詰まった」感じがあまりしないのは、CDより少しはマシ程度のスペックのものをSACDにアップコンバートしたせいなのかな、などと漠然と思ってしまうのですが、どうでしょうか。

Box Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2012-10-26 22:26 | オペラ | Comments(0)
BACH/Brandenburg Concertos
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Jeanne Lamon/
Tafelmusik Baroque Orchestra
TAFELMUSIK/TMK1004CD2




カナダのトロントを本拠地に活躍しているピリオド楽器のオーケストラ、ターフェルムジーク・バロック・オーケストラが設立されたのは、1979年の事でした。その後、1981年に音楽監督兼コンサートマスターとしてジーン・ラモンが招かれて以来、さらなる飛躍を遂げ、カナダ国内だけではなく世界中で活躍するようになります。今はどうしているのでしょう(それは「レイザーラモン」)。
録音も積極的に行い、これまでに多くのレーベルから100枚近くのCDをリリースしてきました。その中でメインとなっているのは、SONYのサブレーベルであるVIVARTEからのものでしょう。ラモンの指揮による演奏のほかに、ブルーノ・ヴァイルが指揮をしたものは、「バロック」にとどまらずベートーヴェンあたりまでのレパートリーをカバーしていました。
しかし、そのようなメジャー・レーベルは、もはやクラシックの録音に対しては全く消極的な態度を取り始めています。いや、彼らはすでに、クラシックの新しい録音からはほとんど撤退を完了した、と言っても構わないような状況に陥っているのが、現在の音楽業界なのですよ。
そんな状況を見据えて、いち早くメジャー・レーベルを見限ったのが、シンフォニー・オーケストラでした。先日取り上げたサンフランシスコ交響楽団を皮切りに、今では世界中のオーケストラが、メジャーをあてにしないで独自のレーベルを持つようになり、多くの録音を行うようになっています。その波が、ターフェルムジークのような室内オーケストラにも及んだのでしょう、2011年、ラモンの音楽監督就任30周年を機に、独自のレーベル「Tafelmusik Media」を世に送り出すことを決意、2012年の3月からは、実際にこのレーベルから新譜がリリースされるようになりました。
その新譜のラインナップは、大半は新録音ではなく、VIVARTEからリリースされていたものの、すでに廃盤となっていて入手できない状態になっているアイテムの移行品でした。そうなんですよね。これがまさに自主レーベルを立ち上げるもう一つの理由、旧譜がSONYの手元にあるうちは、アーティストがいくらリリースしたいと思っても自由にはならないのですが、このように自分たちのレーベルに移行すれば、いつでも入手できる状態にしておけるようになるのですからね。そのうち、自主レーベルではオリジナルアルバム、メジャーではコンピレーションみたいな棲み分けになってくるのかもしれませんね。
今回のアイテムも、そんな旧譜、1993年に録音されて、1994年にVIVARTEからリリースされたものです。ジャケットがすっかりリニューアルされて、このレーベルのカラーでしょうか、ちょっとどぎついものに変わっていますから、まさに「新生ターフェルムジーク」といった感じですね。
VIVARTEのものは聴いたことが無くて、今回が初めての体験ですが、これはラモンのもと、とても伸び伸びと演奏された「ブランデン」でした。
編成は、別に「1パート1人」にはこだわらず、適宜リピエーノの弦楽器は複数重ねて演奏しています。ただ、「6番」は指定されたように各パート1人ずつ、さらに「5番」ではリピエーノもひとりずつになっています。この曲は中間楽章が完全なトリオソナタですので、ほかの楽章もバランス上そのようにしたのでしょう。フルートを吹いているのはマルテン・ロート、フィンガー・ビブラートを多用してちょっと変わった味を出しています。チェンバロのシャルロット・ニーディガーのソロは、流麗そのもの、気品すらたたえた素晴らしいものです。
録音もとても素晴らしかったので、クレジットを見たら、エンジニアはトリトヌスのノイブロンナーでした。それぞれの楽器の質感がとても立体的にしっかり伝わってくるものですから、全く古さを感じさせません。もう少しすると、このレーベルの新録音が手元に届きます。そこでもおそらく同じチームが録音を担当しているのでしょうから、期待してもいいのでは。

CD Artwork © Tafelmusik Media
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by jurassic_oyaji | 2012-10-24 21:09 | オーケストラ | Comments(0)
MOZART/Symphonies Vol.3
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Adam Fischer/
The Danish National Chamber Orchestra
DACAPO/6.220538(hybrid SACD)




2007年に「第5巻」からスタートしたアダム・フィッシャーとデンマーク国立室内管弦楽団とによるモーツァルトの交響曲の年代順全集は、今までに全部で11巻のうちの7巻までがリリースされています。最新の「第9巻」はあいにく国内では来月にならないと入手できませんから、今の時点では「最新」となる「第3巻」で我慢してください。
現時点では、最も初期の作品が集められているこのアルバムには、1769年から1770年、つまりモーツァルトが13歳から14歳の時に作られた交響曲が収められています。収録されているのは「9番」、「10番」、「11番」、そして番号が付いていない3曲の計6曲です。しかし、それらにも実は「44番」、「45番」、「47番」という番号が付いていた時代があったことを知る人は、今となっては少なくなってしまいました。
以前こちらでも書いたことですが、モーツァルトの交響曲やさらにはソナタや協奏曲の番号は、全くモーツァルト本人のあずかり知らないところでつけられたものでした。そもそも、作品番号にしても、モーツァルトの死後70年以上も経った1862年にやっとルートヴィッヒ・ケッヘルによって付けられたものなのですからね。そのケッヘルは、単に作品の目録をつくるだけではなく、モーツァルトのすべての作品をきちんとオリジナルの形で出版したいと考えていました。結局、ケッヘルは志半ばで1877年に亡くなりますが、まさにその年からブライトコプフ・ウント・ヘルテルからブラームスやライネッケなどという大作曲家なども協力してモーツァルトの作品全集の刊行が始まっています。それは、「補遺」も含めると1910年まで続き、全部で24の「編」、およそ65巻から成る全集が完成します。これが、今では「旧モーツァルト全集Alte Mozart-Ausgabe」と呼ばれているものです。その時に交響曲などにはしっかり番号が付けられました。交響曲は「第8編」として、3つの「巻」に収められています。ここで付けられたのが、41番までの番号です。最後のハ長調の交響曲は、この時以来「交響曲第41番」と呼ばれるようになったのですね。
しかし、交響曲の出版が終わった後も、新たに「交響曲」と認められるものが現れます。それらが第24編の「補遺」の中に集められ、42番以降の番号を付けられることになりました。それらは、作曲年代などはあまり考慮されず、いともホイホイと付けられてしまったのでしょうね。
その後、研究が進んで作品の正確な作曲年代が分かるようになってくると、最初に付けた交響曲の順番もいい加減だったことも分かってきますし、偽作であることが判明して欠番になるものも出てきます。ですから、1955年から刊行が始まった「新モーツァルト全集」(ベーレンライター)では交響曲の番号はなくなり、付くのはケッヘルの番号だけになっています。まあ、それでは不便だというので、普通は便宜的に旧全集の番号を併記していますから、このアルバムのように「番号なし」という不公平な目に遭う交響曲も出てくることになるのですね。
このあたりの交響曲はまともに聴くのはおそらく初めての事ではないでしょうか。なかなか新鮮な気持ちで味わうことが出来ました。しっかり、それぞれの曲のキャラクターが際立っているのもさすがです。「45番(K6=73n)」では、ニ長調アレグロの第1楽章がD7という属7の和音で終わっているのですね。もちろん、それは全然終止感がありませんから、そのまますんなりト長調の第2楽章に続いていくのです。モーツァルトが、こんなラジオドラマみたいな終わり方をやっていたなんて。第3楽章も、メヌエットはニ長調ですが、トリオではなんとニ短調になってますよ。
「9番」などは、こんな若いころの作品にもかかわらず堂々たる風格を与えてくれるのは、フィッシャーの颯爽たる指揮のおかげでしょう。なにしろSACDですから、弦楽器の生々しさまではっきり味わえるとびきりの録音、存分に楽しめます。

SACD Artwork © DRS 11
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by jurassic_oyaji | 2012-10-22 19:46 | オーケストラ | Comments(0)
駅コン
 
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いろいろ気を持たせてきましたが、来年秋の指揮者がこのたび晴れて確定しました。Facebookではすでにきのうアップされていますが、5年ぶりとなる新田ユリさんと、また共演できることになりました。実は、この情報はおとといすでに掲示板にはアップされていたのですが、チェックを怠っていたので、1日遅れの発表となってしまいました。しかし、そのおかげで、なんと新田さんの誕生日の日に公開出来たというおめでたいことになったのですから、何が幸いするのやら。さらにおめでたいのは、来年の演奏会の本番の日が、まさにそのお誕生日である10月20日なのですから、これはもうなにか深い縁で結ばれているとしか言いようがありませんね。本番当日は、きっとサプライズがあることでしょう。
 その新田さんは、先々週、上野駅の「駅コン」に出演されていました。「北欧の音楽」というタイトルで、お友達のトランペット奏者、ハルヤンネさんなどの演奏のナビゲーターを務めてらしたそうですね。この「駅コン」というのは、上野駅と仙台駅でセットになっているそうで、その仙台駅版が今週行われていたのですが、その最終日に愚妻の入っている合唱団が出演していたので、行ってきました。こちらは、本番前の公開リハーサル。
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 このアングルは、3階の新幹線の改札の前からのショットです。椅子のあるところは、なんせステージが設営されていなくてベタなところで演奏していたために、とても写真などは撮れませんから、前から目を付けていたこのベスト・ポジションに陣取って、写真をとったり録音したりしました。ただ、せっかくPAがしっかりセットされているというのに、殆ど生音しか聴こえてきませんでした。まあ、それはそれで生音をきちんと尊重しようというポリシーなのでしょうから、ホールなどでは好ましいやり方なのですが、なんせここは駅の中ですから、まわりはものすごいノイズだらけのところです。こんな甘っちょろいPAでは、全然合唱もピアノも聴こえてきませんよ。
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 本番になると、まわりはもっと騒がしくなってきました。実際に目の前で演奏しているのを聴く分には、そんなにまわりはやかましくは感じられないのですが、それを録音するともろに全部の音が入ってしまって、ひどいことになっていましたよ。でも、こんなところで演奏出来ただけでも、素晴らしいことだったのではないでしょうか。確か、去年の上野駅版では「ハルモニア・アンサンブル」が出演していたそうですから、エピスもハルモニアと同格ということになるのですからね。ほんと、若い人の多い合唱団で、とてもノリのよい演奏でしたね。
 ところで、この前45回転のレコードを33回転でかけたのでは、ということで、それこそ「鬼の首をとった」かのような書き方をしてしまった当のブログのオーナーが、しっかりその事実を認めたばかりか、それを指摘してくれたブログ(私の?)に対して感謝するコメントを書いていたのには、逆に恐縮してしまいました。一応文筆業の方ですから、「活字になる前に指摘してもらえてよかった」ということなのだそうです。とても謙虚な方なんですね。
 かと思うと、「活字」で堂々と間違った情報を発信している人は後を絶ちません。最新の「レコ芸」では、私も取り上げたベザリーのアルバムを紹介している方が、すごいデタラメを書いていましたね。別に私は「鬼の首」を取りたいわけではなく、間違った情報を平然と垂れ流す「ライター」が許せないだけなのですよ。自戒もこめて。
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by jurassic_oyaji | 2012-10-21 21:58 | 禁断 | Comments(0)
オーケストラは未来をつくる/マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦
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潮博恵著
アルテスパブリッシング刊
ISBN978-4-903951-59-1



最近、マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)とサンフランシスコ交響楽団が録音したマーラー全集が注目を集めています。そんな時に見つけたのが、この本です。これを読んで、この指揮者とオーケストラが今まで思っていたのよりはるかに先を行った高みに達していることを知りました。
著者は、音大は出ていますが、現在は音楽の演奏やビジネスとは全く関係のない仕事に就いている一介の愛好家なのだそうです。6年ほど前にたまたまCDで聴いた彼らの演奏に感銘を受け、その足でサンフランシスコに渡り、実際の演奏を体験してその感銘を確固たるものにし、彼らを応援するウェブサイトを立ち上げました。それが人の目に触れ、この出版が実現したということなのですね。
そのような、愛情あふれる筆致からは、このオーケストラの現在の多方面での活躍がつぶさに語られます。このあたりの、アメリカのオーケストラ特有の組織の話などは、日本のオーケストラにとっても大いに参考になることでしょう。それは、現在の音楽監督のMTTの代になって大きく花開くわけですが、実はその2代前の音楽監督、エド・デ・ワールトの時代からの息の長い積み重ねの賜物だということも語られます。ずいぶん昔からなんですね(それは「エド時代」)。
まあ、そのあたり、オーケストラの経営や、教育プログラムなどに関しては、しかるべき人に読んでいただいてそれぞれの分野で役に立てていただければよいことなので、ここでは、あくまで彼らの音楽、そして彼らが自ら立ち上げたレーベルについての言及にとどめたいと思います。
いかに組織や活動内容が素晴らしくても、演奏される音楽のクオリティが高くないことには、オーケストラとしての意味はありません。その意味で、巻末に収録されている、コンサートマスターのアレクサンダー・バランチックへのインタビューは興味深いものがあります。彼はロンドン交響楽団時代からのMTTとの「相棒」ですが、彼が語るには、MTTは同じ曲を演奏すると、常に前とは全く別の演奏になっているのだそうです。これこそが、クラシック音楽がいつも「同じ」ものなのに、演奏ごとに感動を与えられる原点なのではないでしょうか。伝え聞いた日本の某中堅指揮者O氏の話(客演したすべてのオケで、全く同じ個所で同じ注意をするというリハーサルを行っている)とは全く反対の地点に、MTTはあるということなのでしょう。そんな人に率いられているオーケストラに、活気がないはずがありません。
マーラーですっかり有名になったレーベル「SFS Media」ですが、実はこれがオーケストラの自主レーベルとしては世界初のものであることも、本書で知ることが出来ました。さらに、2001年に立ち上げられたレーベルは、最初からDSD録音によるSACDというフォーマットで出発したというのも、注目すべきことです。この時期は、まだDSD自体が開発されたばかりのものですから、その開発者であるSONYとの協力のもとに始められていたのですね。そもそも、このレーベルを立ち上げることになったのは、それまでのパートナーであったRCAがマーラーのリリースをためらったためでした。もはやそのようなメジャー・レーベルは自分たちの望むものをリリースできる状態ではなくなっていることを察して、早々に見限ったのも、先見の明があったということでしょう。その後、世界中のオーケストラが追従して自主レーベルを立ち上げることになりますし、メジャー・レーベルの淘汰はさらに進んで、RCASONYに買収されてしまうのですからね。
このマーラー・ツィクルスの23枚組「ヴァイナル・エディション」に関して、「LPレコード、45回転」(187ページ)とあるのは、誤解を招く記述です。実際に45回転なのはボーナス盤1枚だけ、残りの22枚は通常の33回転盤なのですから。

Book Artwork © Artes Publishing Inc.
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by jurassic_oyaji | 2012-10-20 23:03 | 書籍 | Comments(0)
45回転LP
 最近、オーディオの世界では「LPレコード」が見直されているような気がしませんか。いや、そもそも真のオーディオ・マニアというのは、CDなんかには最初から見向きもしない「アナログ人間」なのでしょうが、そういうコアな次元での話ではなく、ごく普通の感じでLPが販売されるようになっているな、という気がしているものですから。あのドゥダメルがウィーン・フィルを指揮したメンデルスゾーンの「スコットランド」などは、CDにはならないでLPだけの販売という、考えられないようなことをやっていましたからね。そして、もう少しするとビートルズの全アルバムがLPで発売になるんですよ。
 ただ、これはちょっと複雑な気持ちですね。LPなんだから、アナログのマスターテープからそのままカッティングすればいいと思うのに、これはわざわざデジタル変換したものをマスターにしているというのですからね。まあ、これはどんな音になっているかは、とても興味のあるところです。
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 そして、最近ちょっと食指が動いてしまったのが、こちらのLPボックスです。各方面でとても高い評価を得ているサンフランシスコ交響楽団の最新のマーラー・ツィクルスは、そもそもすべてSACDで出すぐらい音の良さでは知られていたものですが、それをLPにして出したのですから、すごいですよね。ほんとに、これはもうちょっと安ければ間違いなく買っていたでしょうね。
 そこに、タイミング良く、こんなLPのことも含めてこのオーケストラのことを紹介した本が出ました。それについては明日の「おやぢ」を見ていただければいいのですが、その中に、「45回転のLP」という言葉があったのですね。実は、さっきのリンクでも、「45回転」については情報がありました。しかし、それはあくまでボーナス・ディスク1枚だけの話で、本体のシンフォニーやリートはちゃんと「33回転」と書いてあったのに、この本ではすべて45回転であるかのような記述なのですよ。もしそれが本当なら、これはちょっとすごいことです。ご存じでしょうが、LPは確かに音が良いものの、内周に行くに従ってだんだん音が悪くなるという欠点があります。これは、外周と内周との針に対する線速度の違いなのですね。それを、45回転にすれば、内周でも33回転の外周と同じか、それ以上の線速度が確保できますし、外周だったらさらに余裕でいい音を出すことが出来るのですよ。もし、これが全部45回転だったら、この値段でも充分なだけの価値があるな、と思ってもおかしくはないでしょ?
 そこで、それに関して確かめてみようとネットを探してみたら、実際にこのボックスを買った人のブログなどという、まさにど真ん中のものが見つかってしまいました。それを読んでみると、特に「45回転」というような言葉は出て来なかったので、これは普通のLPなのだろう、と推測することが出来ました。さらに、その書き込みには、決定的にこれが45回転ではないことを裏付けるようなことが書かれていたのです。ちょっと引用すると、

23枚目のレコード=「リュッケルトの詩による5つの歌曲」のピアノ版に針を下ろした。
いやあ、これは凄い。歌声が聴こえてきた瞬間、いったい何が起きたのか分からなかった。冥界からの声が歌い手の肉体を通して届けられたかのような不可思議な感覚。まるで、男声がファルセットで歌っているようでもあり、黒人のソウルシンガーのようでもある。クラシカルではあり得ないヴィブラートや大きな音程の巾。しかし、それが濃密な味となって私の魂を激しく揺り動かす。その感動の質は、本物のゴスペルを聴いたときに近い。
思わず歌手の名前を確認すると、スーザン・グラハム(メゾ・ソプラノ)。いや、そんなはずはない。同じセットのオーケストラ・バージョンでは、極めてノーマルで正統派の歌声を披露しているではないか。とても同じ歌手とは思えない!

 お分かりでしょ?「23枚目」というのは、まさにさっきのボーナス・ディスク、しっかり「45回転」と表記のあるものでした。このブログの筆者は、それを33回転で再生したのですね。それでは「同じ歌手とは思えない」のは当たり前です。

あまりにも感動して、昨夜からもう4回も聴きかえしては余韻に浸っているほどだ。

 なんだか、かわいそうになってきますね。4回も聴いて、おかしいことに気づかないのでしょうか(それとも、この書き込み全体が、巧妙に仕組まれたネタ?)。
 ですから、ボーナス以外のLPは、間違いなく33回転(正確には33 1/3回転)なんですよ。
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by jurassic_oyaji | 2012-10-19 21:42 | 禁断 | Comments(0)