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ごちそうさん
 今回の朝ドラは、なんせ「あまちゃん」の次ですから、誰もがそんなに期待していたわけではないでしょうが、意外な健闘ぶりにはちょっとびっくりです。最近は、確実に朝ドラ全体がレベルアップしているというか、ついにツボをつかんだというか。それは、BSでの7時半からの初回放送の前にやっている、ちょっと前の朝ドラを見れば分かります。あれは本当につまらないですね。
 もうすでにご存じのことでしょうが、ヒロインの相手の方は、しっかり「あまちゃん」にも出ていたんですね。全く気が付きませんでしたよ。
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 こちらがあまちゃん。
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 そして、こちらが悠太郎。改めて見てみると、確かにおんなじでしたね。彼は帝大生で、いずれは下宿先の娘と結婚するのでしょう。実は、それと同じシチュエーションにあったのが、私の両親だったことに気が付きました。私の父親は四国の生まれですが、なぜか秋田の秋田鉱専に入学します。4年生の時に学徒動員で兵役につきますが、その後復員して仙台の東北帝国大学に再入学、その時の下宿先が、母親の実家、今の私の職場だったんですね。父は、この東京、京都に次ぐ3番目の「帝大」時代最後の卒業者だったそうです。私の大先輩、でも、私が中一の時に亡くなってしまいましたから、本人からそんなことを聞いたことはありません。
 ところで、私のブログのランキングで、そばにちょっと気になるタイトルがあったので見てみたら、こんな書き込みがありました。さるアマオケが、定期演奏会で演奏中に止まってしまったようですね。なんと恐ろしい。さいわい、仙台ニューフィルの場合は本番の事故は数々あったものの、こんな風に止まることは今までに経験したことはありません。ただ、一度だけ、今思い起こしてみるともしかしたら止まることもあったかもしれない、ということはありました。
 もう10年近く前のことですから、書いてもかまわないでしょう。それは、さる世界的なソリストを迎えてのコンチェルトの時でした。もちろんソリストは暗譜で演奏していました。と、第3楽章のスコアの練習番号29の2小節前から始まるソロの部分、同じようなフレーズが繰り返されるので、ソリストは勘違いをして32からの16小節を飛ばして次の33に行ってしまったのです。そこから18小節吹いたところで、気が付いて12小節戻ります。そのまま最後まで吹いたので、結局4小節早く終わってしまいました。そのままだと完全にオケとずれてしまうところでしたが、指揮者はソロの最後のフレーズをしっかり見つけて、見事にオケを同時に終わらせたのです。
 この時私はオケの中で吹いていたのですが、ここはひたすらリズムを刻み続けている個所でした。途中から、なんだかソロと和音が違うような気になって来たのですが、もう少し続くはずのところが、いきなり金管が「ジャン」と入ったので、不思議だなあと思っていました。今改めてCDを聴きながら楽譜を見て、さっきのようなミスだったことを確かめてみると、ただ抜けただけではなく、ちょっと戻っていたのですね。ですから、最後に指揮者が合わせたのは、殆ど奇跡と言っていいことでした。
 最初は楽譜を見ながら聴いていても、間違ったところに気づきませんでした。ですから、お客さんの中には気が付いた人は殆どいなかったでしょうね。でも、我々はヒヤヒヤものでしたよ。さて、これは何の曲だったのでしょう。
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by jurassic_oyaji | 2013-10-31 21:56 | 禁断 | Comments(1)
TCHAIKOVSKY, ELLINGTON & STRAYHORN/Nutcracker Suites
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Steven Richman/
Harmonie Ensemble/New York
HARMONIA MUNDI/HMU 907493




以前、こちらでグローフェが作ったガーシュインのオリジナル・スコアを演奏していたスティーヴン・リッチマンという人は、そのようなジャズのオリジナル・スコアを発掘して現代に蘇えらせるという仕事に情熱を傾けているのでしょうね。今回は、なんとチャイコフスキーの「くるみ割り人形」を、デューク・エリントンのビッグ・バンドがジャズに編曲して1960年に録音したものを、実際のスコアを使って2010年に録音しています。さらに、同じ曲のチャイコフスキー・バージョン(というか、原曲)を、クラシックのオーケストラをリッチマンが指揮をして録音したものがカップリングされています。これは、同じ指揮者がクラシックとジャズの「くるみ割り人形」を同じアルバムに世界で初めて収録したものなのだそうです。確かに、そんなことをやる指揮者はなかなかいないでしょうね。
ジャズ版では、編曲者としてデューク・エリントンともう一人ビリー・ストレイホーンという名前がクレジットされています。このストレイホーンという人は、エリントン・バンドのテーマ曲である「Take the "A" Train」を作った人で、エリントンの「片腕」というか、ほとんど「影武者」としてバンドのために編曲などを行っていたそうです。
このジャズ版、チャイコフスキーの作品71aとして知られる8曲から成る組曲を、全てジャズに編曲したものです。なぜか全部で9曲になっているのは、オリジナルの「小さな序曲」を、「Overture」と「Entr'acte」として、全く異なる編曲プランで2度使っているからです。真ん中にこの「Entr'acte」を置くことで、組曲として収まりの良い形にしたのでしょう。さらに、「Overture」以外は、原曲とは異なる順番になっています。
タイトルも、ジャズっぽいちょっとひねったものに変わっています。2曲目の「Toot Toot Tootie Toot」は、例のフルート3本のソリで聴かせる「葦笛の踊り」ですが、いきなりクラリネットで冗談のような音列が登場して、驚かせてくれます。オリジナルのハーモニーを逆手にとって、軽妙に迫ります。2曲目の「Peanut Brittle Brigade」というのは、「小さな行進曲」のこと、引用しているのは前半だけで、後半の細かい音符が続くところは使われていません。まさに正調スウィングで、あの秋吉バンドのルー・タバキンのパワフルなテナー・ソロが聴けます。
3曲目の「Sugar Rum Cherry」は、想像通り「金平糖の踊り」でした。チェレスタ・ソロが、とても甘いサックスのアンサンブルで再現されています。フレーズの頭だけを執拗に繰り返すというエンディングがおしゃれ。
Entr'acte」を挟んで、6曲目の「The Volga Vouty」は、「トレパーク」ですね。忙しいロシアの踊りが、軽妙なスウィングに変わります。7曲目の「Chinoiserie」は、そのまんま「中国の踊り」、これは、意識的に中国風のコードを取り入れたかなり高度なアレンジが光ります。エンディングがとんでもない音で終わっているのも、そういう流れだったのでしょう。
そして、オリジナルでは最後を飾る「花のワルツ」が、ここでは「Dance of the Floreadores」となって8曲目に来ています。もちろん、3拍子の「ワルツ」ではなく、4拍子になっています。最後の9曲目は「Arabesque Cookie」で、もちろん原曲は「アラビアの踊り」です。「アラビア」というよりはちょっと悩ましい「ラテン」、あの「タブー」みたいなテイストで迫ります。途中で出てくるソプラノ・サックスとバス・クラリネットの不思議なポリコード感がたまりません。
と、単にクラシックをそのままアレンジしたのではない、とても手の込んだアレンジには脱帽です。ところが、一緒に入っている原曲が、寄せ集めのメンバーによるかなり少ない人数によるもので、聴いていてとてもつまらないもの、はっきり言ってジャズ版には到底及ばないレベルの低さでした。「花のワルツ」のハープのカデンツァが、後半でかなり手を加えられているのには、一体どういう意味があるのでしょう。

CD Artwork © harmonia mundi usa
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by jurassic_oyaji | 2013-10-30 20:35 | オーケストラ | Comments(0)
モスの冬メニュー
 定期演奏会が終わって1週間以上、やっとニューフィルの練習が始まります。やっぱり、こんだけ間が開くとすっかりだらけてしまって、いけませんね。そこで、練習に備えて新しい「パスワード票」を作ることにしました。公式サイトの掲示板などにアクセスするのに、団員だけが知っているパスワードがあって、それを紙に印刷してみんなに配っているのですが、それをリニューアルしようと思ったのですね。つまり、今まではそれを説明するのにPCの画面だけを使っていたものを、今回はiPhoneの画面も載せてみたのですよ。こういうことをやりたいために、iPhoneがdocomoから出るのを待っていた、と言えなくもありませんからね。
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 要は、こういう認証の表示が出た画面をキャプチャーして、その用紙に挿入したのですよね。この部分に「ログイン」と「パスワード」を入れなさい、という指示書です。
 そして、この画面を出させるために、URLをQRコードを読み取らせて簡単にアクセスできるように、QRコードもしっかり用意しました。それを、iPhoneで読みとろうと思ったら、なんと、どこを探してもQRコードリーダーがないことに気づきました。ネットで調べると、やはりこれはたいして必要な機能ではないということで、最初の仕様から省かれていたのだそうです。この辺が、ガラケーとの大きな違いだったんですね。まあ、ワンセグなんかはなくてもかまいませんが、まさかQRコードが読みとれないなんて、思ってもみませんでしたよ。
 それで、必要な時にはアプリをインストールせよ、ということなのですね。そこで、とりあえず検索の最初にあったこれをインストールしてみました。
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 確かに、QRコードにかざすだけでしっかりURLは表示されました。ところが、そこからサイトにアクセスしようとすると、いつまでたってもつながりません。普通の認証の必要ないところは同じようにやれば簡単につながりますから、おそらくこのアプリではこういう認証のかかったところとは相性が悪いのでしょう。これでは使えません。
 そこで、2番目に出てきたこちらにトライです。
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 これは、全く問題なく読み取りからアクセスまで出来ました。こんなことがあるんですね。ほんとに、実際にiPhoneを手にして自分で操作しないことには絶対に分からないことでした。これだけでも、機種変更しただけのことはありました。
 そんな「パスワード票」も出来上がったので、それを持って練習に向かいます。まずはその前に腹ごしらえでいつものモスバーガーに行ったら、ついに「冬限定メニュー」が登場していました。
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 左がメンチカツフォカッチャ、去年まではフォカッチャはコロッケだったのですが、今年からメンチカツになったんですね。本当はコロッケの方が良かったのですが、まあメンチでも充分おいしかったので、これからは主にこれを食べることになるのでしょう。そして、右のお汁粉です。毎年、これが出てくると寒い冬に向かうことが実感されるメニュー、もうそんな時期になってしまったんですね。
 今日の練習は軽く「第9」を通したあとは、演奏会の反省などを出し合う「懇談会」でした。もちろん、その間にスマホで日本シリーズの経過を確認することも、みんな忘れてはいませんでした。
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by jurassic_oyaji | 2013-10-29 23:59 | 禁断 | Comments(0)
Sprung Rhythm
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Richard Scerbo/
inscape*
SONO LUMINUS/DSL-92170(CD, BD)




かつての「DORIAN SONO LUMINUS」というレーベル(その前は「DORIAN」)は今ではただの「SONO LUMINUS」と名前を変えていますが、品番(DSL)にはまだその名残があります。持ち主は変わっても、どこかにレーベルの元の名前を残しておきたいという願いの現れなのでしょうね。日本でも、かつてあった「EMIミュージック・ジャパン」という会社では、品番の頭に「TO」という文字を入れていましたが、これもこの会社が出来たときの社名「東芝音楽工業」の頭文字をずっと守っていた結果なのでした。
「輝ける音」という名前の通り、SONO LUMINUSはまず音にこだわるレーベルとして再スタートしたようでした。そこで、こちらにあったように、CDBDオーディオとを同じパッケージで発売するようなアイテムもリリースされています。もちろん、このレーベルのBDオーディオには、24bit/192kHzのハイレゾPCMデータが収録されていて、BDプレイヤーで再生すればSACDをしのぐほどの高音質を楽しむことが出来ることは、すでにご存じでしょう。
今回のアルバムも、そんな音質重視のBDCDの2枚組でした。タイトルは「弾けるリズム」、いかにも生き生きとした音が弾け出てくるようなイメージがありますね。とは言っても、これはそんな浮ついた、これ見よがしに大音響で音の良さを誇示するというようなものではありませんでした。
ここでは、3人の若い作曲家の作品が、それぞれ2曲ずつ収められています。まず、ナタン・リンカン=デクサティスという、自身がジャズ・ピアニストでもある作曲家の作品の「A Collection of Sand」を聴いてみましょう。編成はこの中では最も大きいものですが、それでも弦楽五重奏+木管四重奏+ハープ、ピアノ、打楽器というコンパクトな室内楽です。一聴してスティーヴ・ライヒの影響を強く受けていることが分かる作風で、同じ音型の繰り返しや単調なパルスが続く曲ですが、もちろんそれだけでは終わらない独特のリリシズムも持っています。そんな、何層にも重なった音の綾が、CDだとイマイチぼやけてしまっているのですが、それがBDではすべての楽器がしっかりと浮き上がってくっきりと聴こえてくるのですね。そこからは、プレイヤーそれぞれの息遣いまでもが伝わってきて、より深いところで音楽と向き合えることが可能になります。これこそが、ハイレゾで再生音を聴くときの最も重要なポイントなのかもしれません。オーディオ的な追求というのは、最終的には音楽をより作り手の思いに近いところで聴くための手段にすぎないのですよ。
次のジョセフ・ホールマンという作曲家からは、それとは全く異なるバックグラウンドが感じられるというのが、やはりアメリカらしいところです。この人のスキルはおそらくかなりの多様性をもっているのではないでしょうか。基本的には伝統的なところを押さえつつ、もっとアヴァン・ギャルドな技法にも果敢に挑戦する、といった姿勢でしょうか。「Three Poems of Jessica Hornik」ではソプラノのけだるいソロに伴奏を付けるという手法ですが、もう一曲の「imagined landscapes」では、シュプレッヒゲザンクまで使って前衛的に迫ります。
そして、三人目のジャスティン・ボイヤーという人は、聴く人を喜ばすことを考えられる作曲家のようです(写真を見るとただのボーヤ)。「Con slancio」ではバス・クラリネット、「Auguries」ではファゴットというソロ楽器を立てて、弦楽器との愉悦感あふれるプレイを披露させています。
この「Auguries」という曲だけが、CDには時間が足らずに収録されていません。しかし、BDで聴き終わった後にCDを聴くと、もうこんなものは二度と聴きたくなくなるような気持になってしまうほど。まさにこのCDは、ただBDの音の良さを際立たせるためのサンプルにすぎないのですから、1曲ぐらいなくても全くどうでもいいのですよ。そのぐらい、このBDはすごい音を聴かせてくれています。

CD & BD Artwork © Sono Luminus LLC
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by jurassic_oyaji | 2013-10-28 20:43 | 禁断 | Comments(0)
櫻家のカツ丼
 2日連続の一人だけの休日、そういう時にはまず食事に困る人が多いかもしれませんが、私の場合は日頃が日頃ですから、何の心配も要りません。というわけで、まずきのうのお昼には近所の櫻家でランチを食べることにしましょうか。土曜日でもランチをやってますから、機会あるごとに行ってます。なんたって、日替わりランチだと730円ですからね。ただ、ここのランチは人気のようで、あまり広くないお店は満席になってしまうこともありますから、注意が必要です。きのうも、家族連れが1組来ていて、大きなテーブルは満席、カウンターも半分埋まっていましたが、私が一人で行く時の指定席一番奥の「カウンターの5番」は空いていたので、そこに座ります。
 このお店では、いつでもBGMがかかっています。その曲目は、マスターの趣味なのでしょうか、いつでもジャズです。それも、ちょっとマニアックなコンボ・ジャズ、正直、このお店には似つかわしくないような渋い選曲なのですが、長く通っているといつしか馴染んできます。もちろん、同じ曲が繰り返しかかることはまずありませんから、おそらくUSENなのでしょう。それとは対照的に、いつ行っても同じ曲ばかり流しているのが南光台の鳥料理のお店「杉本」です。エンドレスでカセットか何かをかけているのでしょうか、こちらはもう曲順まで憶えてしまったほどです。小学唱歌みたいなものなのですが、アレンジが最悪、ベースが間違った音を出しているところまで、しっかり覚えてしまいましたよ。
 櫻家では、誰でも知っているような有名な曲は殆どかかりません。そこで、iPhoneにインストールしたShaznaで曲を検索させてみました。そうしたら、こんな感じ。
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 確かにトランペットのソロでしたね。ほんとにこのアプリはすごいですね。でも、この間車でかかっていた曲が、何回やってもヒットしませんでした。曲が終わってMCが入ると、その曲はまだリリースされていなかったのだそうです。やはり、そういうものは無理なんですね。
 きのうの日替わりはカツ丼でした。
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 これは、以前も食べたことがあるのですが、ちょっとこのお店らしくない雑な味のような印象がありました。もう1度食べても、やはりピントきません。お肉は良いのですが、ダシがやたら甘くて、せっかくの肉の味を殺してしまっているのですね。見た目も、あんまり美しくありませんね。マスターはこういうものはあまり得意ではないのでしょうか。
 別の日に行った時には、日替わりはカツカレーでした。これは、以前は通常メニューにもあってとてもおいしかったのですが、その日のはなんだかイマイチな感じでした。こちらも、やはりカレーが重すぎて、肉が生きてないんですね。あれだけ素晴らしい「特上ロース」を出しているんですから、それに恥じないようなものを、こういうところでもぜひ出していただきたいと、本気でお願いしたいものです。
 その日の晩ご飯は、櫻家の隣にあったコンビニで買ってきました。コンビニ弁当ってのは、一つだけポリ袋に入れて持って帰ると、何かものすごくわびしい気分になるものなんですね。
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by jurassic_oyaji | 2013-10-27 22:37 | 禁断 | Comments(0)
GOUNOD/The Complete Works for Pedal Piano & Orchestra
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Roberto Prosseda(Ped.Pf)
Howard Shelley/
Orchestra della Svizzera Italiana
HYPERION/CDA67975




「ペダル・ピアノ」と言えば、以前にもこちらで、そんな楽器のために作られた作品のCDを聴いていました。あの時は、それらの作品が作られた時代に存在していた「本物」のペダル・ピアノを使って演奏されていましたね。その時の写真を見ると、普通のグランド・ピアノとはかなり違う形をしています。足元にオルガンと同じような足鍵盤(ペダル)があり、そこから操作される低音用のピアノ線が収納されているケースが、縦になって足元に設置されていました。もちろん、こんな楽器は19世紀の中ごろに現れて、すぐに消えてしまいますから、現在では同じ形の「新品」は存在してはいません。
HYPERIONレーベルの貴重なアンソロジー「The Romantic Piano Concerto」の最新アルバムで取り上げられていたのが、このペダル・ピアノを使ったグノーの作品でした。おそらく「アヴェ・マリア」やオペラの作曲家としての認識しかないシャルル・グノーは、こんなジャンルの作品も残していたのですね。もちろん、グノーもさっきのリンク先で登場する作曲家たちと同じ時代の人ですから、やはりあのエラールやプレイエルの楽器を使って演奏するためにそれらの曲を作ったのでしょうが、このアルバムでは、そのようなヒストリカルな楽器ではなく、「モダン楽器」としてのペダル・ピアノが用いられているという点が、まず注目されるのではないでしょうか。実際にロベルト・プロセダが演奏している楽器の写真が、これです。
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これは、スタインウェイのフル・コンサート・グランドの「D」タイプを2台、上下に並べた物です。下に置かれたスタインウェイは、脚を取り外してキャスターだけの状態、その上に、イタリアのオルガン製作者クラウディオ・ピンチが考案した「ペダル」がセットされています。そう、「ペダル・ピアノ」という名前から、ペダルの部分で演奏される音は本来のピアノよりも低い音であるかのように思いがちですが、ピアノはそれ自体でオルガンのペダルに相当する低音を出すことが出来るのですね。ですから、このピンチのペダル・システムでは、足鍵盤によって低い方の鍵盤を操作するだけのものなのです。ただ、鍵盤としてのペダルの数は37しかありません。これでは3オクターブしか出せませんが、実際には5オクターブ、低音寄りの61の鍵盤をこのペダルを使って操作することが出来るそうなのです。つまり、足鍵盤である「ペダル」のほかに、「ペダル」が3本付いていて、それでピアノの鍵盤にハンマーが当たる場所を1オクターブずつ移動させているのです。ですから、これはオルガンの「ペダル」というイメージではなく、連弾の時の第2奏者、みたいなものになるのでしょうね。
ここでの演奏を聴いてみても、そんな感じは伝わってきます。「ペダル」とは言っても要は同じピアノの低音部を弾いているだけなのですから、音色も全く一緒、特に1886年に作られた「協奏的組曲イ長調」の方は、独立してペダルのパートが聴こえてくることはほとんどありません。両手両足を使って一生懸命弾いていても、音を聴くだけではそれが報われない、ちょっと悲しい使われ方です。
しかし、1889年に作られた「ペダル・ピアノのための協奏曲変ホ長調」では、全然様子が変わって、ペダルのパートがきちんと別の声部に割り当てられて、ポリフォニックに扱われていますから、存分にその威力を聴きとることが出来ます。「ロシア国歌による幻想曲」では、テーマである、あの「1812年」にも登場するメロディが、絶対に両手だけでは弾けない豊かな低音を伴って披露されています。
グノーの曲自体は、まさにオペラのエッセンスが詰まった、カラッとした明るさ満載のキャッチーなものです。こんな楽しい曲で、ソリストが体全体で名人芸を披露してくれれば、パリのサロンはさぞや華やぐのーでしょうね。聴いていたマダムたちもうっとりだったことでしょう。

CD Artwork © Hyperion Records Limited
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by jurassic_oyaji | 2013-10-26 20:03 | ピアノ | Comments(0)
iPhone版NML
 なんか、ニューフィルの人で、演奏会が終わったとたん体調が悪くなったと言っている人がたくさんいるようなことを、Facebookを見ていて知りました。やはり、ずっと緊張していたものが解放されると、ちょっと弱いところがやられる、というのはよくあることのようですね。さいわい、というか、私の場合は演奏会の前にそんな悪い状態が来てしまったものですから、そのあとはなんともありませんでした。だから、あんまり体調が良すぎると、かえって反動が大きいのかもしれませんね。もっとも、いつだかは風邪気味の中で本番を迎えて、なんとか乗り切ったと安心したら、そのあとしばらくひどい状態が続いてしまいましたから、やはり体調管理というものは難しいですね。
 今回は、そんなわけで体調には影響がなかったものの、なんかそのあとは精神的にちょっと緩んでしまって、なにかを一生懸命やるという気に全くなれないのが困ったものです。Nさんからはさっそく写真を大量に送っていただきましたから、まずこれをどうにかしなければいけないのですがね。今回も楽しい表情のものが揃っていましたが、その中でもこれなんかは出色の出来なのではないでしょうか。
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 いや、「表情」が分からないって・・・
 実は、明日からは丸2日間フリーになってしまったので、その間にたまっている仕事を片付けようと思っています。最優先は、このNさんの写真を集めた「禁断の写真館」、そして、ニューフィルのサイトの更新ですね。それと、リクエストにお答えして「かいほうげん」のダウンロードを最新号まで出来るようにはしたのですが、まだちょっとリンクを整備しないといけないところがあるので、そんなことをやっていたら、2日なんてすぐ過ぎてしまいそうです。
 ところで、これまでNaxos Music Libraryというサイトを、たまに利用してました。いや、さるネット仲間が会員登録していて、その人がIDを使ってもいいよ、と言ってくれたので、お言葉に甘えて使わせてもらっていたのですね。普段はめったに使うことはないのですが、たまに誰も知らない曲の音源が必要になったりしますから、そうい時には重宝していましたね。この間ニューフィルが演奏したニルセンの「ヘリオス」だって、曲を決める時の参考音源は、私がここから録ってみんなに聴いてもらったぐらいです。ご存じでしょうが、このサイトはダウンロードではなくストリーミングですから、そのままデジタル・ファイルを手に入れることはできないので、M-10をA/Dコンバーターとして使ってアナログの出力をデジタル・ファイルにしていました。
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 それが、確かiPhoneでも使えるはずだと思って、アプリを探してインストールしてみました。これが、なかなか快適なのですね。リッピングなどをしなくても、このサイトに必要なCDの音源は殆ど揃っていますから、これだけ入れておけば、どんな曲でもiPhoneさえあれば即座に再生できる、ということになるのですからね。
 と、喜んだのも束の間、ある日、急にログインが出来なくなってしまいました。iPhone版だけではなく、PC版でも同じこと、何度やってもパスワードが通りません。そのネット仲間は、最近はずっと疎遠になっていて動向も全く知らないのですが、もしかしたら職場をクビになって会費を払えず、解約してしまったのかもしれませんね。いや、もしかしたら私があんまり頻繁に使うのに気づいてパスワードを変えてしまったとか。
 まあ、そもそもそんな「人のふんどし」がいけなかったのですから、ここはちゃんと登録することにしましょう。そんなことで気兼ねなんかしたくありませんからね。なにしろ、会費は月額がCD1枚より安い値段ですから、せいぜい使い倒してやろうじゃないですか。
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by jurassic_oyaji | 2013-10-25 22:52 | 禁断 | Comments(0)
GOTTWALD/Transkriptionen für gemischten Chor a cappella
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Georg Grün/
KammerChor Saarbrücken
CARUS/83.458




ふつう、クラシックのCDのタイトルと言えば最初に作曲家の名前が付けられているものです。もし、その作品が「編曲」されているものであれば、その編曲者の名前などはゴミみたいに小さな文字で書かれているのではないでしょうか。たとえば、あの有名な「展覧会の絵」でも、まずは作曲家の「ムソルグスキー」があって、そのあとに一歩下がって「ラヴェル編曲」という表記があるのが普通でしょ?ところが、このCDでは、最初にデカデカと書いてあるのは「クリトゥス・ゴットヴァルト」という「編曲者」の名前、その下にあるのはフリードリッヒ・ニーチェの作品のタイトルですが、そのニーチェも含めて「作曲家」の名前なんてどこにもありませんよ。ここには、それこそラヴェルや、ブラームス、シューマンなどの大作曲家の「作品」が収められているというのに。
そう、ゴットヴァルトは、今ではその編曲がほとんど「作品」と同じ価値を持つ合唱曲の編曲者として、このようにアルバムタイトルにまでなるほどの人気者となっているのです。
彼が生まれたのは1925年。最初は合唱指揮者として、1960年に彼自身が設立した「シュトゥットガルト・スコラ・カントルム」とともに音楽シーンに登場します。このチームは、名前が表わすような「古い」音楽だけではなく、当時の「現代音楽」の演奏を積極的に行い、多くの「現代作曲家」が、彼らのために曲を作ることになりました。ブーレーズ、カーゲル、ラッヘンマン、ペンデレツキ、ファーニホーなど、かなり「懐かしい」名前がそこには登場しています。その中でも、リゲティが1966年に作った「Lux aeterna」は、同じ年にWERGOレーベルに録音され、それが1968年に公開された映画「2001年宇宙の旅」のサウンドトラックに採用されることによって、「現代曲」にはあるまじき知名度を獲得することになってしまいました。
いつのころからか、ゴットヴァルトはおそらくこの「Lux aeterna」あたりの書法を強烈に意識した、多声部の無伴奏の合唱のための編曲を始めることになります。その代表作は、マーラーの「リュッケルト歌曲集」の中の「Ich bin der Welt abhanden gekommen」ではないでしょうか。オリジナルはオーケストラとメゾ・ソプラノ独唱のための作品ですが、それをゴットヴァルトは16声部に分かれた混声合唱による緻密な響きによって、まさにリゲティのトーン・クラスターのような肌触りを持つものに変貌させてしまったのです。
それらの、もはや独立した「作品」と呼んでも構わないほどのクオリティを持つ編曲は、このレーベルの母体である出版社から数多くのものが出版されています。その、いわば「サンプル音源」のような位置づけで、今までに何枚ものCDがこのレーベルからリリースされてきました。
今回は、ドイツ・ロマン派の歌曲などを編曲したものが集められています。最初のシューマンの「詩人の恋」などは、オリジナルからはあまり変わっていないごくまっとうな編曲に、逆にショックを受けてしまうほどですが、とても有名なブラームスの「子守歌」になったとたん、やっとゴットヴァルトらしさが聴こえてきたので一安心です。それは、最初はいったい何の曲かわからないほど、メロディがデフォルメされていたのですからね。
もっと「安心」させられたのが、リストの「Richard Wagner - Venezia」です。これは、作曲家の最晩年の1883年に、ワーグナーの死を悼んで作ったピアノ曲ですが、このシンプルな作品の中にその1年前に初演されたワーグナーの「パルジファル」の投影を見た編曲家は、増和音のアルペジオの中に、このオペラのライト・モティーフを挿入して、全く新たな作品に仕上げたのです。これはそういう見事な仕事です。
もう90歳近くになっているのでしょうが、ここでのライナーノーツの執筆もゴットヴァルト自身。まだまだお元気なようですから、こんなサプライズを、もっと期待してもいいのでしょうか。

CD Artwork © Carus-Verlag
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by jurassic_oyaji | 2013-10-24 20:35 | 合唱 | Comments(0)
新しいカバー
 定期演奏会も終わったので、いわばその「後始末」をぼちぼちとやっているところです。まずは、Facebookのカバーの交換。ずっと演奏会宣伝モードのカバーをつけていましたが、それも演奏会が終わればおしまい、新しいものに替えないと間抜けですからね。いや、別に新しいものに替えなくても、それまで使っていたものにすればいいのですが、この際だから新規に用意しましょう。「衣替え」ってやつですね。
 ニューフィルのFacebookの方は、Oさんが、お父様が2階席のど真ん中に座って撮ってくれたという、まさに記念写真そのものを送ってくれたので、さっそくそれを使いましょう。ちなみに、この写真は公式サイトのトップページにも使っています(本当は、コンテンツも新しくしなければいけないのですが、まだ取り掛かれていません。もう少し待っていてください)。
 そして、私のFacebookも。今まではCDの棚やらSACDプレイヤーの写真を使っていたので、同じ流れで紙ジャケCDを集めた写真に取り替えました。
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 しかし、きのうになってちょっとネットを見てみたら、映画「ジュラシック・パーク」の第4作が再来年に公開されることが決定した、というニュースが見つかりました。タイトルは「Jurassic World」ですって。さらに、そのためのロゴマークもあるというのですよ。さっそくそれを見てみたら、これほど私のFacebookのカバーにふさわしいものはないのでは、という気になってしまいました。そこで、その画像をダウンロード、そのままだとカバーにすると縦横比の関係で欠けてしまうところが出てくるので、奥の手を使って幅を拡大、プロフィール写真を入れるスペースも考えて、最終的にこんなものが出来上がりました。
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 それをカバーにはめ込んだら、今度は、プロフィール写真がちょっと違和感があります。カラーだからなのでしょう。それで、その写真も手を加えてモノクロにし、ちょっと粗めになるフィルターをかけてみました。どうです。ぴったりでしょう?
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 ところで、演奏会直後にアップした新田さんのお誕生日サプライズの画像は、すでに4000ヒットを超えるというところまで行ってしまいました。いろいろな方にシェアしていただいた結果ですが、それぞれのコメントを見てみると「とても暖かいものを見せていただきました」なんていう、こちらの方が暖かくなってしまうようなものもあって、仕掛けた当人としては本当にうれしい限りです。
 これを何度も見なおしていると、59秒あたりのところで、なんだかハープのグリッサンドのような音が聴こえてきませんか?あのおねえさまが、即興で入れてくださったのでしょうか。もうご自分の出番は終わっているので、普通はもう引っ込んでいるはずなのに、わざわざ残って演奏に参加してくれたとか。私は、それに関しては全く記憶がありません。近くにいる方、知っていたら教えてください。
 実は、もう昨日のうちに、CDやDVDが出来上がって、手元に届いていました。日曜日に本番だったのに、Hさんは一体いつ作ったのでしょう。これこそサプライズです。そこにも、やはりこの場面の映像が、ちょっと違うアングルで写っていました。しかし、ハープのあたりはあいにく入っていなかったので、これでも確認できませんでした。これから、今度はみんなが分担して撮っていた写真が集まってきます。まだまだ「後始末」は終わりません。なによりも、公式サイトを更新しないことには。
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by jurassic_oyaji | 2013-10-23 21:58 | 禁断 | Comments(0)
PETITGIRARD/The Little Prince
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Laurent Petitgirard/
Budapest Studio Choir
Honvéd Male Choir
Soloists of the Hungarian Symphony Orchestra Budapest
NAXOS/8.573113




1950年生まれのフランスの作曲家ローラン・プティジラールは、映画音楽など多方面にわたっての作曲活動と同時に、指揮者としても有名です。ベルリン・フィルやウィーン・フィルといった超一流どころはさすがにまだですが、フランス国内を始め世界中のかなりの数のオーケストラとの共演を果たしています。さらに、彼は1989年には自分で「フランス交響楽団 Orchestre Symphonique Français」というオーケストラを作って、そこの指揮者と音楽監督になります。音楽監督のポストは1997年まで務めたのですが、その後このオーケストラはどうなってしまったのでしょう。記録の上ではプティジラールとの演奏しか見当たらないので、彼が去ったあとは自然消滅したとか。
彼の作品は今まで聴いたことがなかったので、ここは帯解説を頼りに2002年に初演されたオペラ「エレファント・マン」をまず試聴してみましょうか。その解説では「ほとんど無調で強烈な響き」とありますが、この年代の作曲家で「無調」などという前世紀の遺物にこだわっている人というだけで、無性に興味が出てきます。
ところが、そのオペラから聴こえてきたのは、ほとんどミニマルと言っていい小さなパターンの繰り返しの音楽、ハーモニーもフランス音楽の伝統をしっかり受け継いだプーランクとかメシアンあたりとの共通項が容易に感じられるものですよ。確かに「強烈」なところはありますが、これのいったいどこが「無調」なのでしょう。
という予備知識を仕入れたところで、このCDを聴いてみることにしましょうか。ここに収録されているのは、2010年の新作です。サン・テグジュペリの「星の王子さま」をテキストにしたバレエ音楽、アヴィニョンのオペラハウスでのソニア・ペトロヴナの振付による公演のために作られました。編成は合唱にクラリネットとハープと打楽器が加わっただけという、とても簡素なものです。
ここでは音楽のみが収録されていますから、作品としては「組曲」というタイトルが付けられています。要は、映画のサントラ盤のように、それぞれのシーンにふさわしいタイトルが付けられた、全部で14の「楽章 movement」から成っているという構成です。その第1楽章「プロローグ」は、もろにア・カペラの合唱で、何か不思議な音列が演奏されます。まあ、これは確かに「無調」っぽい音列ではありますが、それよりはメシアンあたりの「移調の限られた旋法」のようなテイストを帯びたもののように感じられます。
メシアンとの類似性(あくまで、単なる感想ですが)は、第6楽章の「ばら」でも見られます。ここではなんと最初から最後までクラリネット1本で演奏されているのです。もちろん、これをメシアンの「時の終わりのための四重奏曲」の投影と見るのは、そんなに見当外れのものではないはずです。ここからは、何か瞑想的な情感が感じとられるかもしれません。その対極にあるのが、第4楽章の「バオバブ」。これは、まさにこの恐ろしい植物を描写したかのような、荒々しい7拍子のモチーフが繰り返される、「ミニマル」そのまんまの音楽です。
そんな風に、ジャケットのインレイの英文コメントを引用すれば、この作品ではそれぞれの「楽章によって、夢から現実まで、そして神秘性から無垢な情感までという、『星の王子様』のエッセンスを呼び起こしてくれる」はずです。
ところが、やはりこの部分を引用した帯解説では、「movement」をそのまんま「動き」と訳してしまったために、相変わらずのおかしな訳文が出来上がってしまいました。これがその全文です。
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こういう曲ですから、合唱にはキレのいい演奏を期待したいところですが、ここで歌っているハンガリーの団体は、歌い出しのピッチやタイミングはバラバラ、歌い始めれば意味のない深いビブラートと、ちょっと残念です。

CD Artwork © Naxos Rights US Inc.
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by jurassic_oyaji | 2013-10-22 20:45 | 現代音楽 | Comments(0)