おやぢの部屋2
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結婚式
 そもそも、「11月30日に結婚式があるけど、出てくれない?」と頼まれた時には、まさかそこにニューフィルの予定が入っているとは思ってもみませんでした。まあ、毎年12月初めに「第9」があるのは分かっていましたが、「11月」ですから、まず重なることはないと思ったのですね。ところが、今年の「第9」は12月の1日に開催だったのでした。ですから、結婚式の日が「第9」の前日リハと同じ日だと気が付いたのは、しばらく経ってからでした。でも、いまさらどうしようもありませんから、リハーサルに出なくても済むようなパートに替えてもらって、その日は、その、鎌倉で行われる姪の結婚式に出ることにしましたよ。
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 朝早くから、なんとあの鶴岡八幡宮での挙式というので、前の日に鎌倉に泊まります。早めに着いて、まずは観光モード、次の日の式場などの下見などを行いましょう。それは、あの石段を上った先の「本宮」ではなく、下にある「若宮」というところでした。毎日結婚式が行われているようで、今まさに挙式の真っ最中でした。ということは、我々の時も、こんな風に一般の観光客に見られる、ということですね。緊張します。いえ、別に私が式を挙げるわけではありませんが。
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 その大石段の途中から、例の、倒れてしまった大銀杏の跡が見えました。手前にあるのが、新しい苗、その隣に、元の銀杏の切り株が保存してありました。ずっと先には、別の銀杏が鮮やかに紅葉していました。
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 それが終わったら、あとはヒマなので、乗り放題のパスを活用しようと、また「夜の東京」へ繰り出しました。とは言っても、しばらく行ってなかった渋谷のタワーレコードに行くぐらいのことですがね。渋谷の駅前はガラッと変わっていて、一瞬自分がどこにいるのか分からないほどになっていましたね。新装なったタワーのクラシック・フロアでは、一見CDにあふれかえっているように見えますが、よくよく見てみると本当に必要なものが全く見当たりません。ハイレゾのコーナーもあるのですが、いかにもとって付けたような感じで、なんの新鮮味もありません。それよりも、こんな時代ですからLPが置いてあることを期待していたのですが、それは1枚もありませんでした。こんなことでは、世の中に置いて行かれます。私がとても残念に思った最新のCDに、べた褒めのコメントが付いたりしていると、そこまで堕ちてしまったのか、と悲しくなってしまいます。
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 そして、今日が結婚式の本番です。少し早目に行ってみると、石段の真ん前の「舞段」から、生の雅楽が聴こえてきます。確かに3人の楽士が演奏していますね。その中でも結婚式が。ここは四方から見られるので大変ですね。我々はそのあとの時間帯に、普通の神社の中ですから、正面からしか見えないはず。
 控室でお互いの家族の顔合わせなどをやって、いよいよ神殿に入っていくと(ここは写真撮影は禁止です)その途中にさっきの楽士さんが並んでいて、「越天楽」なんかを演奏しています。編成は龍笛、篳篥、笙でしょうか。式が始まると、彼らは本殿に移って、そこでも進行に合わせて演奏しています。「生バンド」ですね。こちらは筝も入っているようです。実は、座っているところからは姿が見えないのですよね。これは感激ものでした。
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 披露宴は、鎌倉山のレストランに場所を移します。なんせ観光地、しかも紅葉の見ごろとあって、街中は人であふれています。西岸良平の「鎌倉ものがたり」に出てくるような細い道やトンネルをタクシーで通りかかるのが、いかにも「鎌倉」です。目的地のちょっと前で、今まで無口だった運転手さんが突然「この先が、みのもんたの家です」などと言い出しましたよ。しっかり「名所」になっているのですね。
 会場は、古い民家を改造したような広い場所でした。まずはお庭で記念撮影をしてから、中で披露宴が始まります。
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 これがメニュー。何の変哲もないものですが、出てきた料理を見てびっくりです。
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 これが「オードブル」ですよ。もうこれだけあればお腹がいっぱいになりそう。左手前にあるのはキャビアとフォアグラです。
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 そしてこれが「伊勢海老のブイヤベース」。
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 メインのローストビーフは、ここで切り分けます。
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 こんなに分厚くても、とても柔らかくジューシーでした。
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 そして、デザート・ブッフェ。「抹茶」だけはご遠慮します。というか、もうお腹はいっぱい。新郎新婦が、「みんなに本当においしいものをたっぷり食べていただきたい」ということで用意されたメニュー、存分に楽しみました。親族だけの和やかなパーティ、私の隣は一面識もない新郎の親戚でしたが、結構話が弾みましたね。
 帰る段になって、着替えに手間取って(着替えの場所が、歩いて1分ぐらいかかるところ)一緒に帰るはずだった社長が頼んだタクシーに置いて行かれてしまいました。でも、続々別の車が来るので、それに乗って一番近い大船駅に向かいます。しかし、その道は途中から大渋滞。なんとか大船駅に着いて、ちょうど来た特急に飛び乗ったら、そこは指定席だったので、2台ぐらい歩いて、やっと自由席に座れました。東京駅では8分の待ち時間で、新幹線にやはり飛び乗り、仙台に帰ってきました。
 そんなわけで、今回の旅行では、iPhoneが大活躍。各駅の時刻表や、目的地の到着時間などがすぐに分かるのが、とても重宝しました。
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by jurassic_oyaji | 2013-11-30 23:14 | 禁断 | Comments(0)
VERDI/Requiem, WAGNER/Symphonic excerpts from "Ring"*
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Nina Stemme*, Kristin Lewis(Sop)
Violeta Urmana(MS), Piotr Beczala(Ten)
Ildar Abdrazakov(Bas)
Philppe Jordan/
Orchestre et Choeur de l'Opéra national de Paris
ERATO/9341402 9, 9341422 7



同じ、WARNERが買収したレーベルでも、EMIの場合はロゴはもちろんのこと、どこを見ても「EMI」という文字は全く見当たらないというのに、ERATOでは、きちんと「Erato/Warner Classics」というセクションに収まっているのですから、なんか不公平ですね。でも、これはやはり今まではVIRGINだったもの。
そんなERATOから、フィリップ・ジョルダンが指揮をしたパリオペラ座管弦楽団のCDが立て続けに2枚リリースされました。オペラ座だけあって、それはヴェルディとワーグナー、もちろん、録音されたのはその両方に縁のある、今年2013年です。ところが、データを見てみると、ヴェルディは6月10日と11日のバスティーユ・オペラでのライブ録音、そしてワーグナーはその翌日の12日を初日とした3日におよぶ、こちらは「サル・リーバーマン」という、バスティーユでオーケストラのリハーサルに使われているホールでのセッション録音なのでした。なかなか充実したスケジュールですね。
いずれにしても、2009年からパリオペラ座の音楽監督を務めているジョルダンですから、このレパートリーはちょっと興味があります。まずはワーグナーの「リング・ハイライト」から。実は、ジョルダンは2010年から2013年までの間に「リング」のツィクルスを演奏したばかり、これは、ガルニエでは昔はやったことがあっても、バスティーユで上演されたのは初めてという演目だったのだそうです。そんな、まだ湯気が立っているような「リング」から、単独でオーケストラのコンサートでも演奏されるような部分を集め、最後だけはソプラノのニーナ・ステンメを呼んで「黄昏」のエンディング、という趣向です。
つまり、最後だけはオリジナルなので、最初も「ラインゴルト」の前奏曲から始まります。実は、この部分は、iPhoneの「Shazam」という、どんな曲でも、聴かせるだけで即座に演奏家まで教えてくれるアプリの性能を確かめるために、最近家中にある「リング」のCDで聴きまくったという個所なものですから、もう耳にタコが出来るほどになっていました(もちろん、Shazamくんは全部判別できました)。ところが、このジョルダンの演奏は、それらのものとは全く違っていたのです。まるで世界の始まりのように思える低音から始まるホルンのアルペジオの音形が、全然「荘厳」ではないんですね。それは、ゆったりと流れていってほしいものが、時折立ち止まって周りの音と寄り道をしているようにすら聴こえます。なんか、ジョルダンのワーグナーはとても不真面目で、ほとんど冗談にしか聴こえません。
一番の違和感は、「ワルキューレの騎行」などで出てくる「タンタタン」というリズムの扱いです。ジョルダンは、これを本気で跳ねているんですね。まるで踊りを踊っているように。ワルキューレたちが軽やかにダンスをしている光景が、この第3幕の前奏曲から見えてくるというのは、とても異様です。最悪なのは「ジークフリートの葬送行進曲」。これが、まるで運動会の「行進曲」のように聴こえてしまっては、おしまいです。
気を取り直して、ヴェルディの「レクイエム」を聴いてみましょうか。最初のうちは合唱のひどさにガッカリさせられます。やたらハイテンションでハーモニーなんて無いも同然、ひたすら叫びまくっている「Dies irae」などは、そもそもテンポが速すぎて弦楽器がついていけてません。しかし、しばらく聴いていると、そんな騒々しさが、なぜかヴェルディには似つかわしく思えてきます。最初はか細い声で、いったいどうなることかと思っていたソプラノのソリストも、「Libera me」では見違えるようなたくましさに変わっていましたよ。なんとも不思議な演奏ですが、こちらはワーグナーとは違って最後には楽しめるようになりました。

CD Artwork © Warner Music UK Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2013-11-29 08:37 | オーケストラ | Comments(0)
PCオーディオに潜む悪
 最近のレコード業界ではCDのような「フィジカル」な商品の売れ行きは非常に落ち込んでいるのだそうです。その代わりに伸びているのが、音楽データのダウンロードです。もはや、新しいアルバムが出ても買うのは「CD」ではなく、「データ」なのだ、という時代になりかけているのでしょう。ただ、そのデータは、そんなに「音質」はよくないものでした。CD並みのデータをダウンロードするにはかなり時間がかかりますから、データに圧縮をかけて「軽く」しているため、実際に聴こえるのはCDに比べたらはるかにひどいものでした。とは言っても、それは立派なオーディオで聴かれることはなく、主にヘッドフォンで聴かれているものですから、そんな音でも充分に満足できるのでしょう。ですから、すでにCDの音には満足できなくなってきているようなマニアにしてみれば、やはり頼れるのは「フィジカル」なものだったのです。こちらはSACDとか、ブルーレイ・オーディオといった、CDよりも良い音の「ハイレゾ」音源が収録されたパッケージもかなり出回ってきましたしね。
 ところが、いつの間にか、そんなダウンロード界で、そのようなハイレゾ音源を扱う様なところが出てきました。今の録音の現場で使われている機材は、もはやCDのスペックをはるかに超えるものになっています。それをそのまま届けるためにSACDやらBDというパッケージが出ていたとしても、いまいち元気がありません。その間隙を縫って、ハイレゾデータそのものを直接ユーザーに届けようという動きが活発化しているのです。それは「ネットオーディオ」とか「PCオーディオ」と呼ばれているものですね。そのための新しい製品が怒涛のごとく開発され、ユーザーにとっては何を選んでいいのか、あるいは、どのような方式を取ったらいいのか、ほとんどパニック状態に陥っているのではないでしょうか。私も、こんな素晴らしいものはないと思っていますから、なんとかそれを導入したいとは思っているのですが、NASとかDACとか、ちょっとハードルが高いので、もっとシンプルなものが出て来ないか様子を見ていたところです。
 そんな時に、今まで使っていたPCMレコーダーM-10の上級機種が新しく発売されることになりました。M-10は手軽なのはいいのですが、ちょっとマイクがお粗末ですし、そろそろ調子がおかしくなってきているので、これには食指を動かされました。しかも、これはPCMのスペックが、現在のハイレゾの最高値までカバーしています。それだけではなく、DSDでも録音再生が出来るというのですよ。そんなものが、こんなにコンパクトで、考えようによってはかなりリーズナブルに手に入るというだけで、ちょっと興奮してしまったのですが、それだけではなく、これでハイレゾ音源の再生が出来ないかな、と思いました。ダウンロードしたハイレゾ音源は、殆どコピーガードがかかっていませんから、このレコーダーの本体やSDカードにコピーして、それをアンプにつなげれば、そのまんま再生出来てしまいますからね。
 ということで、さっそくお買い上げ。これがその現物です。
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 箱を開けると、なんだか「宝物」みたいに中に収まっていました。
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 これにはリモコンもついていますから、遠くからでも操作できます。
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 それで、試しに単品でダウンロードしたデータを、同じものがCDやSACD、あるいはBDで出ているものととっかえひっかえ比較してみました。それはもう、とても安定した素晴らしい音が聴こえてきます。いろいろなスペックのデータが何種類かある者同士も比較できますが、スペックが上がればそれだけのものが聴こえますし、特にDSDはまさに滑らかの極致です。SACDを、最高のマスタリングで聴いているという感じですね。
 とは言っても、確かにCDに比べれば格段にいい音なのですが、BDあたりではこのレベルはすでに可能になっていますから、それほど大騒ぎをするほどのものではないような気もします。なにしろ、現状ではアイテムがあまりに少なすぎますしね。
 さらに、ダウンロードには決定的な欠点があることも、実際に使ってみると分かります。それは、ライナーノーツのようなものが一切ない、ということです。とくに、CDでは必ず付いている録音データが、この「商品」にはどこにも「書いて」ありません。私がこういう録音されたものを聴く時には、単に出てきた音だけではなく、それを作った人たち、演奏家や録音スタッフたちの仕事まで含めて味わいたいと思っています。こういうものを作った「人間」を感じたいのですよ。それを知るための大切なものが何もないというのが、どうしようもなく寂しく感じられます。フィジカル音源は「文化」と言えますが、ダウンロード音源はもはや「文化」ではなく、ただの「商売」になり下がってしまっているのです。おそらく、こんなことを言われてもなんのことか分からない人の方が多いのではないでしょうか。知らないうちに、そんな愚かに時代になっていたなんて。
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by jurassic_oyaji | 2013-11-28 21:56 | 禁断 | Comments(1)
FOREVER/Unforgettable Songs from Vienna, Broadway and Hollywood
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Diana Damrau(Sop)
David Charles Abell/
Royao Liverpool Philharmonic Orchestra
ERATO/6026662 0




ダムラウの最新のソロアルバムは、当然のことながらERATOレーベルからリリースされました。何しろ、VIRGIN時代と品番の付け方が同じですから、彼女には「移籍した」というような意識は全くないに違いありません。今までのアルバム同様、グレードの高いものが、また出来上がりました。
今回の彼女のレパートリーは、タイトルのコピー通りウィーン(オペレッタ)、ブロードウェイ(ミュージカル)、そしてハリウッド(映画音楽)という3つの街がテーマです。オペレッタはともかく、「映画音楽」がクラシックの歌手にとっては必ずしも相性の良いものでないことが、この前のデセイで露呈されてしまったばかりですから、ここでのダムラウにも少なからぬ不安の念がよぎります。
しかし、それは全くの杞憂でした。彼女はデセイのように曲に媚びて歌い方を変えるようなさもしいことはせずに、自身の武器であるベル・カントを前面に出して、果敢に曲に立ち向かっていたのです。
まずは、オペレッタのセクションです。カールマンやレハール、そしてヨハン・シュトラウス二世などのよく知られたナンバーを、ダムラウは時にユーモラスなしぐさを交えながら、堂々たる歌いぶりでこれらの「王道」を格調高く制覇します。それはまさに彼女にしてみれば余裕の世界でしょう。声はもちろん、なんたって、ドイツ語のディクションが違いますからね。1曲だけ、レハールの「メリー・ウィドー」からの有名な「Lippen schweigen」では相手役としてローランド・ヴィリャゾンが加わりますが、この人のとんでもないドイツ語に比べたら、なおさらです。
そして、「ミュージカル」が始まります。まずは、「マイ・フェア・レディ」から、「Would't It Be Lovely」はドイツ語で、「I Could Have Danced All Night」は英語で歌われます。ドイツ語で歌うと、まるでオペレッタのように聴こえますし、もちろん英語では微妙にそれからは離れたミュージカルっぽい感じが漂います。同じ作品から、そんな二通りの味わい、というよりは「可能性」を、ダムラウは見事に引き出してくれています。
続いては、ソンドハイムの「スウィニー・トッド」から、ジョアンナが歌う「Green Finch and Linnet Bird」を、これもドイツ語で歌います。ガーシュウィンの「Summertime」は英語でとてもドラマティックに、そして圧巻はロイド・ウェッバーの「Wishing You Were Somehow Here Again」。ご存知、「オペラ座の怪人」の中の、クリスティーヌのアリアですね。そう、ダムラウによって、それはまさに「ナンバー」あるいは「ショーストップ」というよりは、「アリア」と呼ぶにふさわしい、オペレッタ、いや文字通り「オペラ」として歌われるに値するだけの「芸術性」を持ったものであることがはっきりわかります。
そんな、ひょっとしたら作曲した人でさえ予想しなかったほどのとても含蓄の深い歌い方は、「映画音楽」のセクションに入っても満載でした。「オズの魔法使い」からの「Over the Rainbow」は、あまたのカバーを超えるものとして強烈に迫ってきます。そのエンディングでのsotto voceの繊細さにも、圧倒されるはずです。そして、「スノーマン」からの「Walking in the Air」こそは、最大の収穫でした。この曲からこんなダイナミックなドラマを引き出す可能性があったなんて、思ってもみませんでした。
アルバムの最初と最後を、「ヴォカリーズ」でくくるというのも卓越したアイディアです。ちなみに、エンディングのフレデリク・シャスランの、2008年に作られたオペラ「嵐が丘」からのヴォカリーズは、これが世界初録音だそうです。
ここで歌われているミュージカルや映画音楽は、よくある、クラシック歌手がほんの片手間に演奏してみました、みたいなものとは完全に別物です。クラシックと全く同じ、作曲家の思いを最高に表現するすべを小手先に頼らず真剣に追求した成果が、ここにはありました。それが感動を呼ばないわけがありません。

CD Artwork © Erato/Warner Classics, Warner Music UK Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2013-11-27 20:01 | オペラ | Comments(0)
ガスコンロの交換
 我が家のキッチンで今使っているガスコンロが、かなり老朽化してきました。これが今までのもの。ビルトインタイプのものが、最初にここに入居した時についていたのですが、すでにそれは使えなくなって、これが2台目です。それが、もう点火用のつまみ(上に乗ってます)がみんな壊れてしまって、まだ大丈夫なものを他のところにも差し込んで、だましだまし使っているという状態です。五徳もかなり劣化してきましたしね。
 そこで、新しいものに交換しようと調べてみたら、こういう、バーナーがちょっと低くなっているタイプのものは、もうどこにも売っていないのですね。主流は平らなテーブルの上にバーナーが飛び出していて、五徳をその周りに置く、というものでした。「ガラストップ」という、ガラスが素材のものがいいのだそうで(掃除がしやすい)、それだと、今使っているものの倍以上の値段がします。
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 買ったのはひと月ぐらい前ですが、工事が込んでいて、やっと今日、据え付けをしてもらえることになりました。まずは、古いコンロを撤去します。
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 天板を取るとこんな感じ、バーナー自体も、部分的に火が点かなくなって、もう交換時でした。
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 コンロを取り去ると、こんな、ただの穴が開いているだけです。ちゃんと共通の規格があって、基本的にどのメーカーのものでも取りつけることが出来ます。とは言っても、今では実質的に3社の製品しかありません。今までの「サンウェーブ」は、もう作っていません。
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 これが新しいコンロの本体です。
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 簡単に取りつけが終わり、ガス管をつないでいるところです。この作業は資格のある人でないと出来ないのだそうです。確かに、ガス漏れがないかというチェックも、ちょっと素人では出来ないような感じでしたね。
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 完成です。
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 ちょっと下に隙間が開くので、スペーサーを取りつけます。ところが、設置したおじさんが帰ったあとでまず使ってみようとガスの元栓を開けるために下の扉を開こうとすると、指が入りません。この扉には取っ手が付いてなくて、上の部分を持って開くようになっているので、これではどうにもなりません。スペーサーをもっと短くしないことには。
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 その人の電話番号などは分からなかったので、会社に電話して連絡をもらうことにしたら、すぐ電話がかかってきて、今、すぐそばで仕事をしているので、これから行きます、という返事でした。とても恐縮しているようでしたね。
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 すぐにやってきて、下の方を切ってくれました。これで大丈夫です。プロでも、こんな間抜けなことをやってしまうこともあるのでしょう。
 今回のコンロには、タイマーがあったり、お湯が沸いたら知らせてくれたり、なんだか「便利」そうな機能がいっぱい付いていました。でも、そんなもののために信じられないほどの高いものになってしまっているのですね。ただ普通に安全に火が点いたり消えたりするだけで十分なのに。
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by jurassic_oyaji | 2013-11-26 23:47 | 禁断 | Comments(0)
Entre elle et lui
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Natalie Dessay(Vo)
Michel Legrand(Pf)
Pierre Boussaguet(Cb)
François Laizeau(Dr)
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このERATOというレーベルは、もともとは1953年に創設され、この間のヴェルナーの一連の録音なども手掛けた、フランスの由緒あるレコード会社でした。しかし、1992年にWARNERの傘下に入ってからは、なにか「飼殺し」のような状態が続き、ついに2002年には活動を停止させられてしまいます。
その後、2013年にすでにUNIVERSALに買収されていたEMIのうちのクラシック部門だけがWARNERによってさらに買収された時には、かつて、EMIが買収したVIRGINレーベルも一緒にWARNERのものになりました。そこでWARNERは、その受け皿としてこのERATOというレーベルを用意しました。つまり、今まで「VIRGIN」と呼ばれていたものは「ERATO」に(そして、「EMI」と呼ばれていたものは「WARNER」に)名前が変わってしまったのですよ。まあ、言ってみれば今まで「吉田」という苗字だった人が嫁に行って「福原」と呼び名が変わるようなものですね。
ということで、今まではVIRGINのアーティストだったナタリー・デセイは、これからはERATOのアーティストとなるのでしょう。その彼女が、もちろんERATOレーベルからソロアルバムを出しました。タイトルは「彼女と彼の間」という、意味深なもの、いったい彼女と彼の間に何があったというのでしょう。その「彼」というのは、ミシェル・ルグラン、映画音楽の作曲家やジャズピアニスト、さらにはクラシックの指揮者としても大活躍というものすごい人です。ラグラン袖のスウェットがお気に入りだとか(ウソですからね)。
ルグランが映画に付けた音楽の中には、ただのBGMではなく、殆どミュージカルと言ってもかまわないようなものがあります。それが、1964年に公開された「シェルブールの雨傘」と、1967年に公開された「ロシュフォールの恋人たち」です。このアルバムには、もちろんそれらの作品からのナンバーが含まれていて、まず「ロシュフォール」からの「デルフィーヌの歌」が最初に歌われています。ルグランの軽やかなピアノ・ソロに乗って聴こえてきたのは、まさに「シャンソン」そのものでした。とても奇麗なフランス語で(当たり前!)、囁くようなハスキーな歌い方は、「クラシック」とは全く無縁の、とびきりの魅力を持ったものでした。デセイって人は、こんな歌い方もできるんですね。
ただ、その次に出てきた同じ「ロシュフォール」のナンバー、「デルフィーヌとランシアン」では、ものすごい早口言葉が要求される歌詞に、ちょっと乗りきれないところがあって、まあそれもご愛嬌、みたいな感じです。ロッシーニの早口とはちょっと性質が違いますから、無理もないな、と。
そして、この映画の中で最も有名な「双子姉妹の歌」では、「双子」としてパトリシア・プティボンが加わります。ものすごいキャスティングですね。プティボンだってデセイと同じぐらいの芸達者ですから、期待したっていいでしょう。ところが、これがとことんつまらないんですね。まずはリズム感。二人とも、ルグランならではのシンコペーションがガタガタで、オリジナルの軽快さが全く感じられません。そして、もっとひどいのが音程です。おそらく、音域的に地声で歌うにはちょっと高すぎるのでしょう、そこで、いきおいベル・カントを混ぜようとした結果、音程が犠牲になってしまっているのですね。それを二人でやっているので、もう最悪です。
もっとひどいのが、「シェルブール」の中の最も有名なギィとジュヌヴィエーヴのデュオ(この曲にはタイトルがないんですね)です。コーラスごとに半音ずつ上がっていくという構成ですが、上がっていくたびにどんどんコントロールが出来なくなって行くんですね。1曲目で見せてくれた「シャンソン」は一体どこへ行ってしまったのかと、途方に暮れてしまいます。ルグランは、クラシックの歌手が歌うにはハードルが高すぎることだけを見せつけてくれたアルバムでした。

CD Artwork © Erato/Warner Classics UK Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2013-11-25 20:26 | ポップス | Comments(0)
楽天日本一パレード
 楽天のパレード、すごかったですね。とは言っても、実際に二番丁まで行ったわけではなく、テレビで見てただけなんですけどね。最初の情報では、市内の5局が同時に生中継、みたいなことを言っていたのですが、実際は全部中継をしたのは2局だけでしたね。でも、制作ではみんなが協力したのでしょう。なんでも、ヘリコプターからの空撮はNHKだとか、それで見ると、あの広い道路の半分を人垣が占めていたのは、壮観でしたね。
 そのうちに、Facebookで続々現地からの写真が届きます。みんな行ってたんですね。お天気が良くて、本当に良かったです。テレビ中継で解説者(こういうものにも「解説」が付くのって…)が言ってましたが、一番怖いのは「燃え尽き症候群」なのだそうです。来年はどんなラインナップになるのかは分かりませんが、また応援のし甲斐のあるチームであって欲しいものです。
 いずれにしても、こんな全国ニュースのトップを飾るような「大事件」が続々と起こって、ここ仙台はすっかり有名な街になってしまいました。そして、テレビの中に映った風景は、どこから見ても大都会です。でも、パレードの会場になったあの通りには、今ではあのように真ん中に中央分離帯がありますが、私の学生時代にはちょっと違っていて、分離帯は真ん中ではなく、両端の1車線分のところに、2本ありました。つまり、一番端の車線はバス停専用の車線で、それは「分離帯」というような大げさなものではなく、ほんの目印程度に間が大きく空いていましたから、バスは簡単に入って行けるようになっていたのです。ですから、その車線は原則普通の車は通れないようになっていて、そこはもっぱら自転車が走っていましたね。私の高校は連坊にあったので、そこを自転車で、ちょうど今日のパレードと同じコースをたどって五橋まで行き、そこで左折していたんですよ。すごいでしょ?もっとすごいのは、その頃のその高校の標準的なファッションだった「足駄(あしだ)」を履いて自転車を運転していたこと。知ってます?足駄って。
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 こんな、ちょっと前まで朝ドラで悠太郎さんが履いていた、ものすごく歯の長い下駄です。ま、厚底サンダルみたいなものですね。これで自転車は大変でしたが、ファッションですから。
 そんな時代よりももっと昔から、仙台駅の北側には「エックス橋」という線路をまたぐ橋がありました。それぞれの東西の端が二手に分かれて2本の道路につながっていましたから、その形は上から見ると「>―<」という形になります。それが「X(エックス)」に見えることから、「エックス橋」という愛称で呼ばれていたのです。そのあたりはいかにも「駅裏」といった風情で、夜には一人では歩けないような怪しげなところでした。
 今では、このあたりはすっかり開発され、左下の道路をつぶして、そこに「アエル」が建っていますから、実際は「Y」を横に倒した形になってしまいましたし、東側はそのまま幅広い道路になってしまいましたから、もうそんな形も分からないようになっています。さらに、線路をまたぐ橋そのものも、現在新しいものに架け替える工事の真っ最中です。そこの半分だけが、ついこの間開通したばかり、きのうそこを走ってみたら、なんだか不思議なものが目に入りました。
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 街灯が、1本の柱に車道用の大きなものと、歩道用の小さなものが付いていますが、それぞれの根元は、まさに「X」ではありませんか。これは偶然ではなく、意識してのことに違いありません。慣れ親しんだ「X橋」というものを後世に伝えようという、まさにモニュメントとして作られたものなのでしょうね。
 別の方向から撮ったものが、これです。
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 もう少し大きくしてみましょうか。
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 どうです。「X」がはるか向こうまで連なっていますね。誰が考えたのかは分かりませんが、こういうデザインのセンスには、とてもうれしくなってしまいます。
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by jurassic_oyaji | 2013-11-24 20:07 | 禁断 | Comments(0)
BACH/The Passions etc.
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Soloists
Fritz Werner/
Heinrich-Schütz-Chor Heilbronn
Südwestdeutsches Kammerorchester Pforzheim
ERATO/2564 64735-1




何事にも始まりはあるもので、最初に買った「マタイ」のレコード(=ハジレコ、やっぱり最初は不安・・・それは恥レコ)は、フリッツ・ヴェルナー盤でした。ERATOの日本での最初の販売先、日本コロムビアから出ていたLPです。いかにも当時のERATOらしいシャリシャリとした音と、かなり誇張されたステレオ音場が強く印象に残っています。
そんな、ERATOの初期の録音などは、WARNERはさっぱりと忘れてしまっているのだと思っていたら、2004年にこのヴェルナーが録音した全てのバッハの宗教曲が10枚入りボックス3巻という、総勢30枚のCDになっていたのですね。それがごく最近、教会カンタータは20枚、その他の受難曲などは10枚入りの2つのボックスという形でリイシューされました。もちろん、価格もかなり安くなっています。
教会カンタータは「いまさら」という感じなので入手していませんが、データによると正味58曲の教会カンタータを録音していたようですね。リヒターの80曲超には及びませんが、当時としてはなかなか頑張っていたのでしょう。というか、そもそもヴェルナーが1957年にERATOに最初に録音を行ったのがカンタータの147番なのですね(まだモノラル)。それ1曲だけが、なぜかこちらの受難曲などのボックスに入ってました。それから1973年の最晩年まで、こつこつと録り続けた成果が、これらのものだったのです。そして、おそらくカンタータ全曲をカタログに入れたかったERATOは、ヴェルナーがやり残した仕事を、ヘルムート・リリンクに託します。本当ですよ。手元にある1975年のERATOのカタログには、しっかり全4巻、19枚のLPによる36曲のラインナップが載っています。
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これらは1970年から1973年にかけて録音されたものです。その後もERATOはこのプロジェクトを継続し(1983年のカタログには第12巻まで載ってます)、リリンクは1984年にはついに世界初の教会カンタータ全曲録音という偉業を成し遂げます。しかし、その全集はなぜかERATOではなくHÄNSSLERからリリースされました。
こちらのボックスに戻りましょう。ここでは、さっきのBWV147はもちろん、翌1958年の1月に録音されたロ短調ミサもまだモノラルです。エンジニアはダニエル・マドレーヌですが、なんともレンジの狭い録音で、合唱などはとてもヘタに聴こえてしまいます。ところが、同じ年の10月に録音された「マタイ」では、すでにステレオになっていました。その時のエンジニアが、あのアンドレ・シャルランです。改めて聴いてみると、かつてのLPの記憶が完全が覆されてしまうような、とても素晴らしい録音だったことに驚かされます。音場設定も、エヴァンゲリストは右チャンネル、イエスは左チャンネルという分かりやすい形で「対話」を強調していますし、アリアでは第2コーラスでもしっかり中央にソリストが定位しています。その際に、ヴァイオリンを右、低音を左と逆の配置にしていることで、「第2」ということをわからせる配慮もあります。かなり大人数のオーケストラと合唱の響きはあくまでも豊穣で、体いっぱいに輝くばかりの音響が降り注ぎます。さらに、このシリーズではERATOならではのフランスのアーティストが大挙して参加していますが、「マタイ」ではフルートがランパルとラリューというびっくりするようなキャスティングですよ。49番のソプラノのアリアでは、そのランパルの朗々としたフルートを、ピエール・ピエルロとジャック・シャンボンのコール・アングレが支えるという超豪華版です。
しかし、シャルランの録音はこれだけ、1960年に録音された「ヨハネ」は、さっきのマドレーヌの仕事でした。こちらはごくオーソドックスな音しか聴こえません。
これには1968年に録音されたモテットも収録されていますが、その頃にはエンジニアはピーター・ヴィルモースになっていました。これはまさにERATOならではのクリアな音、そんな、エンジニアの個性までも味わえる、貴重なボックスです。

CD Artwork © Warner Music UK Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2013-11-23 21:03 | 合唱 | Comments(3)
かいほうげんゲラ
 来週発行する予定の「かいほうげん」が、一応出来上がりました。
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 これは1ページ目の写真ですが、ちゃんと最後まで中身が詰まっていますから、ご安心ください。今回は、これからの演奏会の情報などが、一旦は決まりかけたものがまた振り出しに戻ってしまう、というような状態だったので、このように最初のページは定期演奏会の写真で埋める、という、お約束のやり方になったということです。
 今回のコンテンツは、かなり早い段階で固まっていたので、そんなに焦らなくても作業は進められました。ちょっと遅れ気味だった原稿も、予想通りのページ数で、十分に間に合うように届きましたしね。ですから、最後に残ったのが、この1ページ目から続く、全部で3ページ分の写真集です。ご覧のように、1ページ目は本番の写真、そして、2ページ目には例の「動画」をキャプチャーして、そこにFacebookを見ていない人には目にできなかったはずの新田さんのコメントを載せました。たったいま思いついたのですが、そこまでやったのなら、動画をコマ割りにして「パラパラマンガ」を作ればよかったですね。でも、片面だと8ページしかありませんから、そこで「動かす」のはちょっと無理かもしれませんね。それよりも、動きが分かっても「音」が聴こえないことには全然面白くないでしょうね。
 そして、3ページ目に、打ち上げの写真です。まあ、これはあんまり刺激のない、穏やかな写真ばかり集めましたから、それほど面白い仕上がりではないかもしれません。というか、一応公式の団内紙ですから、そんな「面白い」ものを載せる方が間違っているのでしょうがね。ですから、この辺はあまり期待しないでください。
 あとは、他の人から写真と一緒に寄せられた原稿です。これも、一番後ろの「お知らせ」のページにこれと言ったものがなかったので、そこを埋めるのにとても役に立ちました。
 実は、今回は保存する時に今までの「.doc」ではなく「.docx」にしてみました。というのも、このところファイルをまとめて全ページの大きなファイルにする時に、常に書式やフォントが変わってしまう、ということを経験していたものですから、もしかしたら「.docx」ではそんなことは起こらないのではないか、という期待があったからなのです。もうかなり前からこの「.docx」が標準になっていたのでしょうが、私の場合は使いなれたものがちょっとでも変わってしまうと作業がやりにくいので、ずっと昔のままでやってきました。
 ところが、いざ「.docx」を使ってみると、機能自体は全く変わっていないのに、操作部分が全く別のところに移ってしまった、というのがたくさんあるのには、参りました。例えば、画像を挿入した時に、そのプロパティを決めるのには以前は全部「書式設定」で出来たのに、これだと位置情報の設定などは、別のところでやらなければいけないんですよね。なんで、今までの操作をそのまま継承させるというごく単純なことを、MSは守ってはくれないのでしょうか。
 それでも、さっきのファイルをつなげる時のトラブルが解消されていれば許せますが、そんな基本的なことが全く改善されていないのですから、いやになります。なぜ、ファイルをコピーしただけで行内文字数が変わってしまうのか、知っている方は教えてください。
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by jurassic_oyaji | 2013-11-22 20:41 | 禁断 | Comments(0)
PROKOFIEV/Piano Concerto No.3, BARTOK/Piano Concerto No.2
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Lang Lang(Pf)
Simon Rattle/
Berliner Philharmoniker
SONY/88883773809(BD)




ラトル/BPOとランランという組み合わせによる新し目のピアノ協奏曲の新録音です。同じデザインのCDも出ていますが、こちらはBD。ちょっとややこしいのですが、そのCDBDの違いについて、まず。
このコンビが演奏しているのはプロコフィエフの3番とバルトークの2番という2曲のピアノ協奏曲です。それは、最近では珍しくなったセッション・レコーディングによって作られたもので、CDにはその成果の音源が入っています。もちろん、普通のCDですから、16bit/44.1kHzという、標準的なスペックのPCMです。それに対して、BDでは、その同じ音源が24bit/96kHzのハイレゾPCMで収録されています。このレーベルとしては初めての「ブルーレイ・オーディオ」ですね。
ただ、ジャケットの表側では、それに関しては全く触れられておらず、あくまで「映像」としてのBDのコンテンツの紹介にとどまっています。それは、「The Highest Level」というタイトルの、このレコーディングのメイキングと、プロコフィエフを全曲通した時のランスルーの映像です。ですから、それだけを見ると、ここにはバルトークは入っていないのだ、と誤解を招きかねない表記ですね。もちろん、裏側を見ればそれはきちんと書かれているのですが、それもかなり不親切な書き方です。
いかにも映像作品の方がメインで、ハイレゾの音声データは「おまけ」みたいな扱い、ただCDよりもいい音のハイレゾを聴きたかっただけなのですから、そんな映像はどうでもいいのですが、それも値段のうちなので一応見てみることにしましょう。
メイキングの方は、型通り関係者へのインタビューやフィルハーモニーでの録音風景などが組み合わされた構成です。あいにく日本語字幕はありませんが、英語字幕を出しておけばほぼ理解はできます。そこで最も興味深かったのは、ランランの余裕たっぷりの振る舞いなどではなく、録音のプレイバックを聴きながら演奏家とスタッフがディスカッションしてそれをさらに現場にフィードバックする、という光景でした。これこそがセッション・レコーディングの醍醐味ですから、そこを重点的に紹介してくれたのにはうれしくなりました。
そこで、現場を仕切っていたプロデューサーが、クリストフ・フランケという人です。ベルリン・フィルでは、2009年ごろから「デジタル・コンサートホール」というライブ映像のネット配信事業を始めていますが、彼はそのプロデューサーなのですね。そして、エンジニアが、なんとTELDEX STUDIOSのルネ・メラーではありませんか。すごい人が参加していたんですね。映像でも、メラーはフランケの後ろに立っていました。実は、この二人は、2010年に録音され、もちろんEMIからリリースされたマーラーの2番のCDでも、すでにスタッフとしてクレジットされていました。その前のほぼ10年間は、EMI Classicsの副社長のスティーヴン・ジョーンズがずっとラトル盤のプロデュースをしていたのですから、もうその時点で制作はEMIの手を離れていたのですね。この映像でのラトルとフランケの親密な様子を見るにつけ、EMIの凋落ぶりを思い知らされます。ラトルのクレジットで、いまさら「appears courtesy of EMI Classics」とあるのが、なんとも白々しいですね。もうそんな名前の会社はどこにもないというのに。
映像を一通り見終わって、メニューからブルーレイ・オーディオを選択したら、モニターの画面が消えてしまいました。これは初めての経験、普通はきちんとガイドの画面が出るというのに、「おまけ」扱いもここまで来ると腹も立ちません。もちろん、その音は到底CDや、それまで聴いていた映像の圧縮された音声チャンネルとは別格の瑞々しさを持っていました。それは、プロコフィエフの冒頭のクラリネットの存在感が全く違っていることで実感できますし、ランランの爛々ときらめく変幻自在なタッチもより生々しく伝えるものでした。

BD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2013-11-21 20:07 | ピアノ | Comments(0)