おやぢの部屋2
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音の出る「かいほうげん」
 「おやぢの部屋2」という私のブログは、2005年に始めた当初は(え、もう9年近くやってるんだ)文字通り、私のサイトの「おやぢの部屋」をそのままコピーしたものでした。それが、しばらくしてやはりサイトの日記もどき「禁断あばんちゅうる」も転載するようになります。基本的に「禁断」は不特定多数の人に見せるような内容ではないので、サイトでは2回分だけ公開したら、あとはパスワードで隠すようにしています。いや、書いていることは別に誰に見せても恥かしいものではないのですが、全く関係のないような人が見ると誤解を招いたりすることがたびたびあったので、そんな風にちょっと「受け身」になっていたのですね。ただ、たまには全く公開OKみたいなネタになることもあったので、そういうものをブログに載せるようにはしていました。
 それが、最近では毎回ブログに載るようになっています。要は、「禁断」の内容を、最初から誰に見られても構わないようなものに変えてしまったからなのです。その結果、めでたくブログは毎日更新ということになりました。そうなると、今まではどうでもいいようなことでも書けていた「禁断」が、「おやじ」なんかよりはるかに手間がかかるようになってしまいましたよ。前回なんかは、とても「禁断」とは思えないような(いや、それはあくまで私の中の基準ですが)手がかかったものになってしまいました。楽譜をスキャンするだけで、かなり大変だったんですよね。
 それだけの手間をかけたものを、ブログ1回分で済ませてしまうのは惜しいので、それをほとんどそのまま次の「かいほうげん」のコンテンツにしてみようと思いました。「再利用」ってやつですね。せっかくスキャンした画像もあることですし。ところが、その画像が、一応こんなこともあるだろうと少し高めの解像度で作ったつもりだったのが、いざペーパーの画像として使う時には、ちょっとサイズが小さすぎることに気が付きました。いや、たとえばチラシなんかだと充分な大きさなんですが、今回は元がポケット・スコアですから、そもそも拡大しないと使えないものだったんですね。仕方がないので、もう一回スキャンを全部やり直しましたよ。「再利用」には程遠い「二度手間」になってしまいました。これからは気をつけましょうね。
 でも、画像さえ出来てしまえば、テキストなどはほぼそのまま使えますから、あとは簡単、すぐに4ページ分のレイアウトが出来てしまいました。これを使うかどうかは分かりませんが、こういうストックさえ用意しておけば誌面が足らない時にはすぐ使えますから重宝します。
 ただ、「禁断」やブログには、音源のリンクが付いていましたよね。あれがないと、実際にどんな音がするのかは楽譜を見ただけではよく分からないはずです。そこで、今回は「音の出る『かいほうげん』」というのを作ってみることにしました。これは、もしかしたらモノクロだった「かいほうげん」がカラーになった時よりインパクトがあるかもしれませんよ。なんて、大騒ぎするほどのものではなく、あの音源のURLをQRコードにして印刷するだけの話なのですよ。以前、職場の通信物に動画が見れるようにやはりQRコードを印刷したのと同じことですね。そこにスマホをかざすと、その音源にアクセスできて、スマホから音が出てくる、という仕掛けです。
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 実際にやってみたら、なかなかのものでした。実は、その前にPCで試してみたのですが、それだと低音が殆どカットされているので、肝心のバスドラムの音が全然聴こえなかったのですよ。しかし、iPhoneでやってみたら、スピーカーでも見事に聴こえますよ。iPhoneのスピーカーも侮れませんね。もちろん、イヤフォンだったら間違いなく聴こえるでしょう。ガラケーではどうなのか、それは分かりません。もはや私はそんなところには後戻りは出来ないようになってしまっているのです。

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by jurassic_oyaji | 2014-01-31 21:40 | 禁断 | Comments(0)
TCHAIKOVSKY/Piano Concertos Nos 1 & 2
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Denis Matsuev(Pf)
Valery Gergiev/
Mariinsky Orchestra
MARIINSKY/MAR0548(hybrid SACD)




チャイコフスキーのピアノ協奏曲と言えば、なんたって「第1番」が有名ですね。あまりに有名なために、彼のピアノ協奏曲はこれしかないのだ、と思っている人も少なくないのではないでしょうか。彼にはほかにまだ2つもピアノ協奏曲があるというのに。さらに、「協奏曲」という名前は付いていませんが、「協奏的幻想曲」という、ピアノとオーケストラのための2楽章から成る堂々たる作品もありますし。
「第1番」が作られたのは1875年ですが、1880年には「第2番」が作られました。さらに、最晩年の1893年には、未完の交響曲をピアノ協奏曲に転用した「第3番」だって作られています。もっとも、この「第3番」は演奏時間が15分ぐらいの一つの楽章しかありませんから、確かに他の2曲にはちょっと引けを取っています(ちなみに、この元になった交響曲は、1955年にセミョン・ボガティレフという人によって「交響曲第7番」として復元?されました)。しかし、「2番」の演奏時間は「1番」よりも長く、堂々たるものですから、もっと自信をもってもらいたいものです。
そんな有名な「第1番」ですが、これにはとっても不思議な部分があります。それは、第2楽章のテーマが、最初にフルート・ソロによって演奏されるものと、それを受けてピアノ・ソロが弾き出すものとが、違うメロディになっているということです。
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これは、その後どんな楽器で出てきても、すべてピアノと同じもの、おそらく、この曲を初めて聴いた人は、なぜフルートだけが違うメロディを弾いているのか不思議に思うはずですが、さすがに「名曲」として親しまれているものですから、「これは音が違っている」などと言い出す勇気のある人はいませんでした。というか、もうこれはこういうものなのだ、と寛容に受け止められるようになっているのが現状なのでしょう。そこに最近、イギリスのピアニスト、スティーヴン・ハフが、はっきりした証拠を突きつけて「フルートの音が間違っている」と言い出しました。その「証拠」というのが、ベルリン国立図書館所蔵の、この曲の自筆譜です。こちらで現物を見ることが出来ますが、確かにフルートの「F」の音を青鉛筆で「B♭」に直した跡がはっきり分かりますね。やはり、これはピアノと同じように吹くのが、作曲家の本心に従ったやり方なのでしょうか。
ただ、こんな、誰でもネットで見られるほどの物に、他の誰も気が付かなかった、という方が、よっぽど不思議なことのような気がするのですが、どうでしょう。
ちょっと調べてみたら、実際には1950年代あたりの録音では、結構B♭で演奏しているものがありました。その中には、モントゥー指揮のロンドン響とか、ライナー指揮のシカゴ響のようなメジャーどころもありましたね。しかし、最近のものとしてはネシュリング指揮のサンパウロ響(BIS/2006年)しか見つかりません。今回ハフが訴えたことによって、この状況は変わるのでしょうか。もちろん、今回のSACDでのゲルギエフ指揮のマリインスキー管弦楽団のフルート奏者も、今まで通りの「F」で演奏していますし。
ここでは、そんなマニアックなものではなく、あくまでマツーエフの、まさに「完璧」と言っていい演奏を思う存分楽しむべきでしょう。「1番」のような難曲をいとも軽々と弾いてくれる様は爽快そのものですし、それに加えて第1楽章の第2主題などのような繊細極まりない表現にも圧倒されます。そして、なんでも「2番」では通常カットされる部分もしっかり演奏されているのだとか。これを彼のピアノで聴けば、きっとこの曲がもっと頻繁に演奏されて欲しいと、心から望むようになることは間違いありません。きっとチャイコフスキーは、第3楽章の胸のすくような鮮やかさを、このような演奏で堪能してほしいと思っていたんのうではないでしょうか。

SACD Artwork © State Academic Mariinsky Theatre
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by jurassic_oyaji | 2014-01-30 20:22 | オーケストラ | Comments(0)
「展覧会の絵」の各種スコア
 きのうは木管のパート練習で「展覧会の絵」を集中的に練習しましたし、今日になったら、その「展覧会」のモチーフがメインになっているチラシのデザインをそのままFacebookのカバーに仕立てたものが届きました。ニューフィルのページでご覧になれますので、そのカッコよさを体験してみてください。
 そんな「展覧会」のモードは、楽譜でもさらに盛り上がっています。この間Eulenburg版を入手して、その完璧な校訂に驚いたということを書きましたが、その後のリサーチでB&Hの方でも、最近(2002年)新しく校訂された楽譜が出ていたことが分かったので、それを注文したら、すぐに届きました。その他、茂木大輔さんのブログでもこの辺の情報があったりして、なんだか整理しきれない状態になっています。とりあえず、パッと見て面白そうなところをご紹介しておきます。
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 手元にあるのは、実際に販売されていたこの3種類の楽譜(左からEulenburg、B&H旧版、B&H新版)と、ネットでPDFを入手したもう一つのB&H旧版です。茂木さんのサイトによると、最初に西側で出版されたのがこの写真のスタディ・スコアだったのですが、その後指揮者用の大判スコアも出版、その際には全く別の版が組まれていました。新版では、その大判スコアが版下になっていて、部分的に改訂されているという、ブルックナーの楽譜のようなことが行われています。
 その4種の楽譜は、それぞれ細かいところで違いがあるのですが、それがよく分かるのが「リモージュ」のこの練習番号68の部分です。
■B&H旧版スタディ・スコア
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■B&H旧版大判スコア
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■B&H新版
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■Eulenburg版
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 オーボエとクラリネットのスラーの場所が、みんな違っています。
 前回、「ラヴェル版の決定的な間違い」と指摘した部分が、これです。これは「キエフ」でのB&H旧版の練習番号119の直前。赤枠で囲った部分の中で、実音A♭の音は、ピアノ版ではA♭♭になっています。ですから、この赤枠の1小節前から始まる4小節間では、本当は「A♭→A♭♭→G♭→F」という、とてもカッコいい半音下降の進行が聴こえるはずなのですが、ここでは「全音→半音」という中途半端なことになっています。
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 それが、Eulenburg版ではきっちり音符が訂正されています。
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 さらに、B&H新版では、音はそのままですが、注釈で「ピアノ版ではA♭♭である」という記載があります。
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 もう一つ、「キエフ」の大詰めでは、茂木さんのブログでは触れられてはいませんでしたが、B&H旧版での曖昧な表記が、不思議な演奏を生んでいました。練習番号120からです。まず、その「不思議な演奏」を聞いてみてください→音源(問題はバスドラム。PCのスピーカーでは聴こえないかもしれません)
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 これは、この楽譜通りに演奏したものです。赤枠のバスドラムのパートは、この楽譜だと2/2になっていますから、金管や弦楽器が3/2で演奏している中で「リズム通り」に叩くと、この音源のように間違えたように聴こえてしまいます。普通の指揮者は、ここはバスドラムも3/2に変わっていると判断して、他の楽器と合わせています。
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 ですから、Eulenburg版では、そこをきちんと表記しています。
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 さらに、B&Hでも、新版ではきちんとこのようになっていますよ。
 ということは、さっきの音源のような演奏は、「楽譜通り」でもなんでもない、ただ印刷のミスを真に受けただけのなんとも間抜けなものでしかなかったのですね。これは、ゲルギエフとウィーンフィルによる2000年の録音(PHILIPS→DECCA)でした。そのあと、2008年には、ヤンソンス指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管(RCO)が、同じようなことをやっていましたね。
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by jurassic_oyaji | 2014-01-29 22:53 | 禁断 | Comments(0)
HINDEMITH/Violin Konzert, Symphonic Metamorphosis
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五嶋みどり(Vn)
Christoph Eschenbach/
NDR Sinfonieorchester
ONDINE/ODE 1214-2




昨日は、アメリカで「世界最大の音楽賞」と言われている「グラミー賞」の授賞式が行われました。対象は、もちろん女性だけです(それは「グラマー賞」)。
今回も、日本人アーティストが受賞するのではないかということで、様々な下馬評が飛び交っていましたが、あいにくそのような人たちは受賞を逃したようですね。ところが、全く期待されていなかったクラシックの部門で、なんと五嶋みどりさんという押しも押されぬ日本人アーティストが受賞したということで、全く何の準備もなかったその方面の業界はてんやわんやの騒ぎになっているのだとか。
それは、全部で82もある部門の中の79番目、「BEST CLASSICAL COMPENDIUM」というちょっと意味不明のものです。賞自体は、指揮者のクリストフ・エッシェンバッハに対して贈られるもののようですが、そこに五嶋みどりさんがソリストとして参加していたため、「日本人がグラミー賞を受賞!」という報道が飛び交うことになったのです。
そのアルバムが、これ。リリースされたのは昨年ですが、その年はパウル・ヒンデミットの没後50周年にあたっていたということで企画された、ヒンデミットの曲集です。メインタイトルは、「ヴァイオリン協奏曲」、その他に、「ウェーバーの主題による交響的変容」と、「協奏音楽」が収録されています。「ウェーバー~」以外は全く聴いたことのない曲ですが、せっかくですのでみどりさんの活躍している「ヴァイオリン協奏曲」を聴いてみることにしました。
古典的な3楽章形式による協奏曲、第1楽章では、いかにもヒンデミットらしいクールな和声が迫ってきます。ちょっと人工的なテイストなのは仕方がありませんが、オーケストラの響きはとても充実していて、すんなり入って行けます。ヴァイオリンは、ここではそれほどソリスティックにテクニックを披露する、といったものではなく、淡々とそのクールさを楽しむかのようにオーケストラに寄り添います。全然力みのない自然な佇まいが、こういう音楽にとてもよく合っています。
第2楽章も型通りのゆっくりとしたもの、ヴァイオリンは、ひたすら静かな情景を描いています。この、情感を表に出さないような奥ゆかしさは、なんだか日本人の感性とマッチしているように思えます。しばらくすると、その静かさは荒々しいオーケストラのトゥッティにかき消されますが、それがひとしきり収まった後に、まるで何事もなかったかのようにやってくる静かなヴァイオリンが、とても素敵です。
第3楽章は、いきなりクライスラーの「中国の太鼓」のような、東洋的で軽やかな音楽で始まります。ここに来てやっと、ヴァイオリンの技巧を楽しめるようになりますが、それもしばらくするととても息の長い、やはり東洋風のヴァイオリン・ソロによって、落ち着きを取り戻します。そのテーマは、2度目に現れたときには、1オクターブ上の音になり、より切なさ、あるいははかなさといったような情緒が漂い、それがそのまま長大なカデンツァへとつながります。このカデンツァは見事としか言いようがありません。
おそらく、ヒンデミットの作品の中では最も演奏頻度の高い「交響的変容」は、長いこと最後の最後に出てくるテーマ以外は「どこがウェーバー」という気がしていました。そこで、その楽章ごとの「元ネタ」の音源を探して聴いてみたところ、この作品の骨組みは、ほとんどウェーバーのオリジナルと同じであることが分かりました。今頃、と言われそうですが、ヒンデミットが施した「変容」というのは、その骨組みに彼なりの和声とオーケストレーションを与えることだけだったのです。それと、最後の「マーチ」では、オリジナルのトリオの部分を拡大してそのまま盛り上げて終わるという形に変えただけなのですね。そんな、ヒンデミットのニヒリズムが、エッシェンバッハの演奏からは良く伝わってきます。

CD Artwork © Ondine Inc.
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by jurassic_oyaji | 2014-01-28 23:04 | 禁断 | Comments(0)
IMAX 3D
 「大人の休日パス」第2弾は、映画を見るためだけに往復新幹線を使う、というミッションでした。というか、そもそもそっちの方が今回のパスを買おうと思った動機なわけでして、「サバの塩焼き」の方がオマケだったんですけどね。「映画なんか、新幹線を使わなくても仙台市内で見れるではないか」とおっしゃるかもしれませんが、私が見たかったのは仙台では絶対に見ることのできない映画なのでした。いや、「映画」そのものはMOVIXでも109でも、チネ・ラビータでもやっていますが、そういう標準スクリーンではなく、「IMAX 3D」でぜひ見て見たかったのですよ。このシステムの映画が上映可能な映画館は、宮城県はおろか東北地方には全くありません。一番近いのが浦和にある「ユナイテッドシネマ浦和」なんですよね。ここだったら、新幹線を使えば大宮まで1時間、そのあとは宇都宮線や湘南新宿ラインを使えば7分で着いてしまいます。京浜東北線でも9分ですからね。
 実は、最近までIMAXに関しては「かつて存在していたけれど、今ではもはや国内には上映劇場がなくなってしまった」形態のシステムだと思っていました。しかし、いつの間にか、おそらくデジタル化と3Dの波で息を吹き返していたのですね。私は品川で初めてアナログのIMAX 3Dを見て、度肝を抜かれた思い出がありますから、この方式自体のすごさは身を持って体験しています。それが「ゼロ・グラビティ」で見られると知って、これは絶対に見たい、と思ったのですよ。そうなんです、確かにこれはMOVIX仙台で見てものすごい映画だとは思ったのですが、IMAXであれば、間違いなく、あの壮大な世界はさらに実体を伴ったものとして感じることが出来るはずだと、確信しました。
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 ユナイテッドシネマ浦和は、浦和駅の東口に、2007年にオープンした「浦和パルコ」の6階にあります。浦和駅そのものが、昔のイメージは残っていなくて、リニューアル工事の真っ最中でしたが、その東口の真ん前にそのパルコがありました。壁には「ゼロ・グラビティ」のポスターが。ただ、なんか閑散としていて、正直「田舎のスーパー」といった感じがしたのはなぜでしょう。これだったら仙台のパルコの方がよっぽど「都会的」ですね。でも、映画館は広々としたロビーや落ち着いたスクリーンなど、間違いなく「都会的」なたたずまいです。このギャップは一体何なのでしょう。椅子もゆったりしていて、肘かけがかなり太くて、隣の人の腕が全く邪魔にならないほどのスペースがあるのには感激しました。ただ、カップホルダーが、MOVIXあたりだとどちら側のが自分のものかはっきり分かるようになっているのに、ここにはそういう案内が一切ありません。これは、へたをするとドリンクの置き場をめぐって隣の人と喧嘩になりかねない設計ですよ。もっとひどいのは、私は食事をする暇がなかったので、トレイに乗せたホットドッグを買って持って行ったのですが、それをカップホルダーに置くことが出来ないのですね。これも、MOVIXでは当たり前のように置けたのに。結局、膝の上に置いて食べて、終わったら椅子の下にしまいましたが、それが正しいやり方だったのかは分かりません。
 なぜ時間がなかったのかというと、ちょっと半端だったので、同じスクリーンで上映される別の映画を、「ゼロ・グラビティ」の前のコマで見ることになってしまったからです。それは「エンダーのゲーム」。原作は読んでませんが、いかにもディズニー風に作られたノーテンキな宇宙戦争ものです。正直、この結末には全然納得できずに、後味の悪さだけが残ってしまいましたが、それを助長してくれたのが、音響のあまりのひどさです。それは、IMAXの大スクリーンに呼応した大迫力を目指したサウンドシステムを、変な意味で信じ切ってその結果完全な「勘違い」を犯してしまった録音スタッフの耳の悪さを露呈したものです。なにしろ、低音のバランスが強すぎて、セリフすらもとても人間の声とは思えないようなものになってしまっていますし、その分高音が完全に頭打ちになっていて、もう逃げ出したくなるような不快な音になっています。
 もしかしたら、これはこのスクリーンの音響システムのせいなのかな、と、ちょっと暗澹たる気持ちになったのですが、1度外に出て、本命の「ゼロ・グラビティ」になったら、見違えるような音だったので一安心。確かに、高音の繊細さなどは「バルト9」あたりには負けますが、今まで聴いていたのとは別物の「ちゃんとした」音でした。というか、こうなると音楽を作った人の志、もっと言えば映画を作った人の志の違いがそのまま音響に反映されていたのでは、などと思えてしまいます。こちらは音楽そのものも「エンダー」とは比べ物にならないぐらいていねいにつくられたものでしたし。
 そして、画面はまさに期待通り、MOVIXで見たのは一体何だったのか、という、情報量がまるで違う、これも「別物」の画面でした。すごかったのは、ヘルメット越しに宇宙空間を眺めている、というショット。ヘルメット内の反射など、こんなの初めて見たような気がします。あと、空中に漂っていた水滴が涙だったことも、初めて気付きました。存分に楽しめましたよ。
 「ヤク」のおかげで、こんな大画面をずっと見続けていたのに、ほとんど目の疲れを感じませんでした。前は、次の日には頭痛がしたりしてたのですが、それもありません。「ヤク」なしでも、こんな体調でいられるようになるといいのですが。なんだか、副作用もあるみたいですし。
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by jurassic_oyaji | 2014-01-27 22:58 | 禁断 | Comments(0)
BIZET/Docteur Miracle
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Marie-Bénédicte Souquet, Isabelle Druet(Sop)
Jérôme Billy(Ten), Pierre-Yves Pruvot(Bar)
Samuel Jean/
Orchestre Lyrique de Re()gion Avignon Provance
TIMPANI/1C1204




クセナキスのオーケストラ作品の全集はなかなか先に進まないで立ち消えになりそうな気配のTIMPANIレーベルですが、本来の役割であるフランスの隠れた作品の紹介ではまだまだ頑張っているようです。しばらく新譜を見かけないなと思っていたら、どうやら日本の代理店が替わったみたいですね。そのためにリリースが滞っていたのでしょう。
そこで、新しく代理店になったのが、ナクソス・ジャパンなのだそうです。ここは、自社製品でなくてもしっかり帯解説を付けてくれたりしていますから、これにも期待したのですが、あいにくなにもありませんでした。そこまでは手が回らなかったのでしょうか。
この「ミラクル博士」というのは、ビゼーが18歳の時に作ったという「オペレッタ」、あるいはフランスですので「オペラ・コミーク」と言われるジャンルの作品です。まあ、ビゼー晩年(といっても36歳)の有名な「オペラ」である「カルメン」も実は「オペラ・コミーク」なのですが、物語の内容も音楽のスケールも、大きく異なっています。すでに録音もありますし、実際に日本で上演されたこともありますが、おそらく今まで普通に聴かれたことはまずない、極めて珍しい作品です。
そんな珍しいものですから、この代理店が誇る「帯職人」の手によってせめてあらすじだけでも読めるようにしてほしかったなと、切に思います。
とりあえず、出演者は女性二人、男性二人の4人だけです。それは、地方の司法官(名前は明らかにされていません)とその妻ヴェロニク、その娘のロレット、そして、彼女が愛している兵士のシルヴィオ。ただ、ヴェロニクは今までに4人の夫と死別していて、現在の夫に対しても死んでくれることを望んでいるという、ちょっとアブナい人。ロレットも、義父からは別の男との結婚を迫られているという、問題を抱えた家族構成です。そこで、シルヴィオは醜いコックに変装して毒入りのオムレツを作って司法官に食べさせ、今度はどんな病気でも治せる「ミラクル博士」という、ラテン語しかしゃべれない医者に変装して現れ、最後はめでたくロレットと結婚するという、ドタバタ喜劇なのでしょう。
音楽は、その前の年に作られたハ長調の交響曲のような、古典的なテイストに包まれています。全体的になんか「小さくまとまっている」という感じがしますね。序曲からして、ある意味荒唐無稽な物語にしてはきっちりと作られていますし、途中で短調に変わるなど「深み」を演出する意図は感じられます。その中で、のべつトライアングルのにぎやかなロールを鳴らし続けているのは、「喜劇」としての軽さを演出したいという気持ちの表れなのでしょうが、変に浮き上がって全体の方向性が散漫になってしまっています。
地のセリフを入れても、全体で1時間ちょっとという非常にコンパクトな作品ですので、気軽に楽しむことはできるでしょう。「アリア」とは言えないほどの素朴なソロ・ナンバーもありますが、メインはアンサンブル、軽妙なやり取りが、とてもあっさりした音楽によってすんなり入ってきます。最後あたりの、オムレツを食べるシーンでの「オムレツの四重唱」などは、笑いのツボをしっかり押さえていてほほえましく感じられます。
4人の歌手はそれぞれに魅力的ですが、シルヴィオ役のテノールの人は、もっと伸びやかな歌い方だとさらに魅力が増したのではないでしょうか。その人の演じているニセ医者がタイトルになっているのですが、これを「ミラクル博士」と訳してしまうと、なんだか近未来のマッド・サイエンティストの物語のように思えてしまいませんか?これからは、そのまま「ドクター・ミラクル」と呼んだ方がいいと思いま~す!
幕開けの三重唱の中で、一瞬「ハバネラ」の断片が聴こえてきたのにはびっくりしました。こんなところに「カルメン」の萌芽があったなんて。


CD Artwork © Timpani
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by jurassic_oyaji | 2014-01-27 00:18 | オペラ | Comments(0)
サバの塩焼き
 今は、「大人の休日倶楽部」の乗り放題パスが使える期間中です。17000円でJR東日本の区間+アルファが4日間乗り放題、座席指定券も6枚までは使えるという、使いようによってはお得なキャンペーンですが、なかなか使う機会がありません。せっかく会員になって会費も払っているのに、この特典を利用しないのはもったいないという貧乏人根性で、愚妻の「酢重にサバの塩焼きを食べに行こう」という言葉に乗ってしまいました。「酢重」というのは、新丸ビルにある和食ダイニングなのですが、愚妻が女子会で東京に行った時にここで食べたサバの塩焼きが、ものすごくおいしかったというのですよ。「これを食べたら、他のところのは食べられない」とまで言っていたんですね。私は、魚料理、特に焼き魚には目がありませんから、そんな話を聞けば食べてみたいと思うじゃないですか。
 ということで、せっかくの日曜日なので、東京まで「サバの塩焼き」を食べる事をメインのミッションにして、その近辺をぶらぶらしてくることにしました。しかし、悪いことはできないもので、駅に行ったらニューフィルのN岡さんに出くわしてしまいましたよ。秘密のミッションだったのに、なんと思われたことでしょう。
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 そのお店は新丸ビルの5階にあって、皇居側がガラス張りになっていますから、窓際の席はいつも予約でいっぱいなのだそうです。それで、早目に手を打っておこうと、おととい電話して予約をしようと思ったら、もうすでに満席になってしまっているというではありませんか。へたをすれば、しばらく待たないとお店に入ることも出来ないようなことも言ってます。さすが、評判のお店は大変ですね。
 それで、一応東京駅に11時半に着く新幹線で行く予定だったのですが、少しでも早く着いて並んだ方がいいだろうと、それより30分早い新幹線に間に合うように、早目に家を出ます。ところが、みどりの窓口に行ってみると、その新幹線はすでに満席になっていました。仕方がありませんね。あとは、少しでも早く駅を出て、お店にたどり着くようにしなければ。
 結局、そこに着いた時には、お店の中はガラガラでした。しかも、窓際の席は、「12時50分からの予約が入ってますが、それまででしたら構いませんよ」ということで、楽々座れてしまいましたよ。ラッキーでしたね。しばらくすると、お客さんがどんどん入ってきて、ほぼ満席になっていましたから。
 ところが、メニューを見てみると肝心のサバの塩焼きは載ってません。サバの味噌煮だったらあるんですけどね。確かに、愚妻は食べたことがありますし、ネットで調べたメニューにもちゃんと載っていたというのに、これは一体どういうことなのでしょう。そこで、店員さんに聞いてみると、サバの塩焼きは「平日メニュー」なのだそうですよ。確かに、愚妻が食べたのは平日でした。あとで、お店の前にあったメニューを見てみたら、確かに平日、しかも数量限定になってましたね。いやあ、せっかく食べに来たのに、休日はダメですか。
 仕方がないので、サバの味噌煮にすることにしました。でも、これがとてもふっくらしていて、味もまろやか、すごくおいしいんですね。しかも、ご飯もおいしいので、お代わりまでしてしまいましたよ。味噌煮でこんなにおいしいんですから、塩焼きだったらどんなだろう、と思ってしまいました。ま、いつかは食べられる日を信じて待つことにしましょうか。
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 まず、見た目からあまりにおいしそうだったので、つい写真も撮らずに食べ始めてしまいました。夢中になって食べていて、気が付いたら、こんな写真しか撮れませんでした。すみません。
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by jurassic_oyaji | 2014-01-25 21:39 | 禁断 | Comments(0)
PENTATONIX VOL. II
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Pentatonix
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「ペンタトニックス」って知ってますか?カメラじゃないですよ(それは「ペンタックス」)。アメリカの20代の5人のメンバーによるア・カペラで、今最もホットなグループとして大注目されているんですよ。特にYouTubeでの露出が、とんでもないヒット数となっているそうです。
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これが、そのメンバー、後列向かって左からミッチ・グラッシ(リード・ヴォーカル)、スコット・ホイング(リード・ヴォーカル)、カースティー・マルドナード(リード・ヴォーカル)、前列向かって左からアヴィ・キャプラン(ベース)、ケヴィン・オルソナ(ヴォイス・パーカッション)という、女声1人、男声4人の編成です。最初はミッチ、スコット、カースティーの3人の幼馴染同士で始めたグループでしたが、後にアヴィとケヴィンが加わり、現在の形になりました。それぞれに小さなころから音楽的な経験を積んできていて、しっかりクラシックの教育を受けている人もいます。スコットはすでにソングライターとして活躍していて、ピアノも弾きますし、ギターも弾けるケヴィンはコーラス・アレンジにも携わっています。
上の画像から「Evolution of Music」という、コーラスの歴史をア・カペラでたどろうという曲のYouTubeの映像がリンクされていますが、それを見れば(聴けば)彼らの完璧なア・カペラ・ワークが分かるはずです。
フィジカル・パッケージとしては、2012年6月にリリースされた、「PENTATONIX Vol. 1」という6曲入りのミニアルバム(こういうのも「EP」というのだそうです)が大ヒット、それに続いて2013年の11月にリリースされたのが、この「Vol. 2」です。収録曲は全部で8曲、トータル・タイムは27:12と、かなりコンパクト、しかし、この中には彼らの実力を見せつけるような、非常にバラエティに富んだ曲が並んでいます。
最大の目玉は、フランス出身のテクノ・ユニット「ダフト・パンク」のヒット曲を全部で7曲詰め込んだというマッシュアップ「Duft Pank」でしょう。おなじみの曲の断片を、まるで一つの作品のように聴かせるアレンジの妙が、完璧なア・カペラのテクニックで聴くものを熱くしてくれます。「One More Time」などでは、オリジナルではヴォコーダーで変調させているヴォーカルを、ミッチくんが素の声で見事に再現してくれますし、「Get Lucky」なんかはオリジナルをはるかにしのぐコーラスのすばらしさですよ。これを映像で見ると、それぞれのメンバーの役割がはっきりわかって面白いのではないでしょうか。
そんな「最新」のカバーとともに、半世紀以上前のレイ・チャールズの持ち歌「Hit the Road Jack」なども取り上げられているのも、なかなかのものです。
さらに、彼らのすばらしさはオリジナル曲でも発揮されているというのが、すごいところです。前作CDでは6曲中2曲、そして今回は8曲中3曲が、おそらくスコットくんあたりが作った曲が入っていますが、そのどれもが作品としてとても素晴らしいのですね。どの曲にも、必ずハッとさせられるような美しいメロディが潜んでいるのですよ。その中で一番のお気に入りは、最初から最後までケヴィンくんのヴォイパが抜けた他の4人のホモフォニックなア・カペラで歌われる「Run to You」という曲です。この編成は、あの「シンガーズ・アンリミテッド」と同じもの、時折、ボニー・ハーマンのように聴こえるカースティー嬢のヴォーカルを中心にした、もしかしたらこの先達を超えるのではないかとも思えるような純正なハーモニーは、至福のひと時を与えてくれます。中でも
I will break down the gates of heaven
A thousie angels stand waiting for me
Oh, take my heart and I'll lay down my weapons
Break my shackles to set me free
という歌詞で盛り上がるサビの部分には、涙さえ誘われるほどの崇高さ、もっと言えば、宗教的な高貴さまでもが宿ってはいないでしょうか。

CD Artwork © Pentatonix/Madison Gate Records, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2014-01-24 20:14 | 合唱 | Comments(0)
免許更新
 きのうは、「5年ぶりに」免許の更新に行ってきました。「5年」というところをぜひ強調させてくださいね。なんせ、私にとっては初めてのことですから自慢してみたいんですよね。最近は、免許センターのすぐ向かいにある○ニクロによく来ているものですから、道路状況などもすっかり頭に入っていて、予定通り受付開始時間である8時半の10分前に到着できました。毎回、今頃のシーズンに来ていますが、今年は全然雪がないというのが珍しい感じ、いつもなら降ってはいなくても必ず雪が残っていましたからね。駐車場も、この時間だとガラガラ、入口に近いところに停められました。
 建物に入ると、いつもは長い行列、というイメージがあったものが、どこもガラガラ、多くても2人ぐらいしかいませんよ。これはすごい、と思って順に窓口をまわっていると、反対側にある最後の写真撮影のコーナーの前には、椅子に座りきれないほど人が待っているではありませんか。やはり、それなりの人は来ていたのですね。普通、そんな風にただ待っているようなところでは、もちろんスマホを眺めている人もいるでしょうが、イヤフォンを付けて音楽を聴いている人もいるものです。しかし、見まわしたところでは、イヤフォン姿の人は見当たりませんでした。たしかに、そこでは、天井のスピーカーで自分の名前を呼び出され、それにしたがって行動するという、いわば「聴力検査」にあたることが行われているのですから、みんな必死になって聴き耳を立てているのでしょう。要は、運転する時には聴こえていなければならない音情報を確実にキャッチできるかを見極めるテストなわけですから、当然イヤフォンなんかは外しているのでしょう。それなのに、実際に運転する時にはイヤフォンを付けたり、ひどいのになるとテレビをつけたりしている人がいるのですから、何にもなりませんね。
 写真撮影が終わると、講習です。1日に何回か予定されているのでしょうが、当然その初回を受けることが出来ました。私の場合は「5年間無事故無違反」なので、「優良講習」を30分受けるというスケジュールですが、この会場では同時に「5年間に軽微な違反を1回」という人が受ける「一般講習」も行われるようですね。確かに、黒板には2種類の時間が書いてありました。でも、これだと両方とも「優良」みたいですね。下段は「一般」と書くべきところを、間違えたのでしょう。毎日のことなのに。
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 つまり、私のような「優良」運転者は、30分経ったところで新しい免許証を受け取って帰ることが出来るのに、「一般」の人たちは、それをうらやましく思いながら、あと30分講習を受けなければいけないのですね。下段は1時間5分の予定になっていますが、その「5分」が、そんな、目の前で他の人が免許証を受け取っているのを黙ってみていなければならない屈辱の時間ということになるのです。次回は、そちら側だけにはなりたくないものです。とは言っても、「違反」はどんなところで起こす(起きる)か、殆ど「運」みたいなものですから、こればっかりはどうなるかは分かりません。
 その講習会では、あの「自転車の右側通行の禁止」についてもしっかり説明がありました。確かに、法律が変わってからは、「逆行」してくる自転車は幾分少なくはなったような気がしますが、やっぱりなくなることはありません。まあ、飲酒運転がいくら騒がれてもなくならないのですから、仕方がないことなのでしょうかね。
 いや、いくら騒がれてもなくならない、もっと凄いのがありましたね。「原発再稼働」というやつです。ひとたび事故を起こせばあれだけの損失を各方面に及ぼすだけでなく、たとえ事故を起こさなくても、危険な使用済みの核燃料は、人類の英知をもってしても処理することは不可能なことが分かっているというのに。自転車の逆走ぐらいは許しますから、これだけはぜひ、世の中から完全になくしてほしいものです。
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by jurassic_oyaji | 2014-01-23 21:31 | 禁断 | Comments(0)
Paths Through The Labyrinth - The Composer Krzysztof Penderecki
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Anna Schmidt(Dir)
C MAJOR/9861




先日NHK-BSで、昨年2013年に80歳を迎えたポーランドの作曲家、クシシトフ・ペンデレツキのドキュメンタリー映像を放送していました。これはいずれBDDVDとしてリリースされるということなので、ちょっと先走ったレビューです。
タイトルが「迷宮の小道」という大層なものですが、これはこの中で作曲家自身がたびたび口にしている「作曲とは、迷路の中を歩いているようなものだ」という、分かったような分からないような語録に由来するものなのでしょう。しかも、その「迷宮」というか、「迷路」の中を実際に歩き回っている彼の映像がシンクロしているという具体性までくっついていますから、いやでも納得させられてしまいます。そこで驚いてしまうのは、その生垣で作った背の丈ほどもある迷路などが点在している広大な庭園が、彼の自宅の敷地内にあるということです。いや、実はそんな瀟洒な庭園などはごく一部分、その背後に広がる巨大な樹木が生い茂る、なんと30ヘクタールにも及ぶ山野が、そのまま「自分の土地」だというのですから、彼はまさに「大地主」いや、もっとはっきり言えば「大金持ち」です。ロック界のスーパースター、マイケル・ジャクソンの「自宅」だって、これほど広くはないのではないでしょうか。
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そう、ロック・アイドルならいざ知らず、かつては「前衛」と言われていたクラシックの「現代作曲家」が、こんなにリッチな生活をしているなんて、とても信じられない、というのが、まずこの映像を見ての率直な感想なのでした。我ながら、なんと浅ましい。
そんな田園風景から、いきなり画面が野外ロック・フェスの会場へと変わります。詰めかけた何万人という聴衆の前に姿を現したのは、ペンデレツキその人、そして、彼に指揮されたステージ上の弦楽オーケストラが奏ではじめたのは、なんと彼の半世紀前のヒット曲「広島の犠牲者にささげる哀歌」ではありませんか。作られたころはお客さんはみんな眉間にしわを寄せて、ひたすら拷問のような音響に耐えていたというこの「前衛作品」に、お客さんたちは何の抵抗もなく、それこそ大音響のヘビメタでも聴くような感覚で、喝采を送っているのですよ。演奏者がアップになると、彼女ら(女性奏者が圧倒的に多いようでした)はいとも嬉々とした表情で、時には笑いながら、この、本来は難解そのものの音楽を全身で楽しんでいるようでした。
なにかが確実に変わっています。この頃のペンデレツキの作品に対して、今まで考えられなかったような方面からの「ファン」がいつの間にか生まれていたのですね。これに関しては、思い当ることがありました。それは、以前こちらでご紹介したレディオ・ヘッドのメンバー、ジョニー・グリーンウッドのアルバムです。これはこの映像のフェスの1年前に録音されたもの、これはまさにこのアルバムを引っさげてのライブだったのでしょう。もちろん、ここではそのペンデレツキの熱狂的なファンであるグリーンウッドの作品も演奏されていました。
ここで重要なことは、このフェスで聴衆が熱狂的に聴いていたのは、ペンデレツキの「過去の」作品だったということです。彼らが現在の彼の作品を聴いたら、いったいどのように感じるのか、非常に興味のあるところです。
このドキュメンタリーのハイライトは、先ほどの自分の地所の中に作られた、「クシシトフ・ペンデレツキ・ミュージック・センター」という名前のコンサートホールの、こけら落としコンサートです。彼の資産は、途方もないガーデニングだけではなく、ホールを1軒やすやすと建ててしまえるだけのものだったのです。この映像で語られているのは、彼より120年ほど前に生まれた作曲家は、自分のホールを作るためにパトロンに無心して国家予算をつぎ込ませたというのに、現代の作曲家はそれを自費でやれるほどお金を持っていた、というお話です。BDが出たらじひ(ぜひ)見てみてください。
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by jurassic_oyaji | 2014-01-22 20:27 | Comments(0)